3.儲かる販促と利益アップ

二代目が親の店を継いだとき、最初の1年でやったことと失敗した話(なぜ私は家業を継いで3年で売上を2倍にしたのか)

お盆が明けると、なんとなく空気が変わる気がします。夏の熱気がほんの少しだけ落ち着いて、「さて、秋に向けてどう動くか」と頭が切り替わる、あの感覚です。

ちょうどこの時期に、家業の継承について相談をいただくことが増えます。夏休みに親子で店の将来を話し合い、「来年から一緒にやろう」「いや、もうそろそろ任せたい」という話になった、という方が多いのかもしれません。

今回は、そんな二代目の話を書こうと思います。「継いだはいいが、何から手をつければいいかわからない」「設備をリニューアルしたのに思ったほど売上が伸びない」という、二代目特有の悩みに正直に向き合う記事です。

ただし、これは単純な「継承ハウツー」ではありません。補助金を使って設備投資をしたのに売上が変わらなかった話、そしてその後に気づいたことを軸にお伝えします。

📋 この記事でわかること

  1. 二代目が店を継いだ直後に陥りやすい「設備投資の落とし穴」とは何か
  2. 補助金を活用した設備投資が「回収できない」本当の理由
  3. 売上を2倍にするために本当に必要だった「販促の設計」という視点
  4. 客数・客単価・再来店の3つに分解して投資を回収する考え方

こんな方におすすめ

  • ✅ 親の店を継いで1〜3年、売上の伸ばし方に迷っている二代目経営者の方
  • ✅ 補助金を使って設備投資を検討しているが、どう売上に結びつけるか悩んでいる方
  • ✅ リニューアル後も客数・単価が変わらず、手ごたえが感じられない方
  • ✅ 「設備を入れれば何とかなる」という感覚に、どこか引っかかりを覚えている方
  • ✅ 投資と販促をセットで考えたいが、具体的なやり方がわからない方
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「継いだ瞬間」の高揚感と、最初の判断ミス

その方(ここでは「Aさん」とします)が親の小さなイタリアンレストランを引き継いだのは、30代の終わりのことでした。

親御さんが体を壊したことがきっかけで、「まあ、自分がやるしかない」という半ば強制的な形で店に立つことになった。スタートとしては珍しくない話です。

そしてAさんが最初にやったこと──それは補助金を申請して、厨房設備と内装を一新することでした。

理由はわかります。「自分がやるなら、気持ちよく新しい形でスタートしたい」「古い設備のせいで提供できなかったメニューを出せるようにしたい」「内装が古くなっているから、それが集客の足を引っ張っているはずだ」。

使える制度があるなら使いたい、出せる費用は抑えたい──これは経営者として当然の考えです。補助金を活用しようという判断自体は間違っていない。実際に認定支援機関や中小企業診断士に相談しながら申請を進め、無事に採択されたこともあって、Aさんの気持ちはリニューアル当日に向けて高まっていきました。

ところが、リニューアルから3ヶ月経っても、売上はほとんど変わりませんでした。

「設備が入ったのに売上が変わらない」──その詰まりの正体は、投資と販促が切り離されたまま走ってしまったことにあります。繁盛店ポータルの無料アカウントでは、AIがあなたの店の業種・状況をもとに客数・客単価・再来店のどこを動かすべきかを一緒に整理してくれる「増益繁盛プランナー」が5ステップで使えます。メール登録だけで、1分で始められます。

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「設備が入ること」と「売上が伸びること」は別の話だった

Aさんが最初に気づいた違和感は、「新しくなったのに、お客さんの数が増えていない」という事実でした。

厨房は新しくなった。内装も明るくなった。新しい設備で作れるメニューも増えた。でも、来るお客さんは変わらない。客単価も変わらない。リピートの頻度も変わらない。

そこで私がAさんに聞いたのは、こういうことでした。

「その設備が入ることで、客数・客単価・再来店のどれが、どう動くと想定していましたか?」

Aさんはしばらく黙ってから、「……考えていなかった」と答えてくれました。

これが、二代目が陥りやすい最初の落とし穴です。設備投資は「環境を整えること」であって、「売上を作ること」ではない。その間を埋めるのが、販促の設計です。

「補助金で設備を入れることと、その設備で顧客を創造することは、まったく別の仕事です。新しい厨房が完成した翌日から、その設備を使って客数・単価・再来店のどれを動かすかを設計する。そこから初めて、投資の回収が始まります。」

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「お金を掛けずに売上を伸ばす」のは愚策です。一方で、「掛けるお金が顧客を創造するかどうか」は、まったく別の問いです。補助金で300万円の設備を入れることよりも、その設備で何をどう売るかを考えることのほうが、実は難しくて大切な仕事なのです。

✓ ここまでのポイント

  • 補助金の活用自体は正しい選択。ただし設備投資の申請・採択は「スタート地点」に過ぎない
  • 設備が入っても、客数・客単価・再来店のどれをどう動かすかが設計されていなければ、投資は回収できない
  • 「設備を入れること」と「売上を作ること」の間を埋めるのが、販促の設計という仕事

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失敗から気づいた「3つの数字」で売上を分解する視点

Aさんが転換点を迎えたのは、継いでから約1年が経ったころのことです。

「売上が上がらない理由が、正直わからなかった」とAさんは言っていました。味には自信があった。内装もきれいになった。スタッフも一生懸命やっている。なのに数字が動かない。そのもやもやが、ある相談をきっかけに少しずつ解けていきました。

私がAさんに最初に整理してもらったのは、売上を「客数 × 客単価 × 来店頻度」という3つの数字に分解して、自分の店の弱点がどこにあるかを特定することでした。

Aさんの店の場合、来てくれるお客さんの満足度は高かった。問題は「来てくれるお客さんの数」が増えていないこと、そして「一度来てくれた方がまた来る仕組み」がほとんど存在していないことでした。

つまり弱点は「客数」と「再来店」。そして客単価にも、まだ伸ばせる余地があった。

この3点が明確になったとき、Aさんは初めて「やることが見えた」という感覚を持てたそうです。

「客単価が18%上がりました。それよりも大きかったのは、漠然とした不安が『やることが見える』安心に変わったことです。」

イタリアン経営(女性・40代)

この感覚の変化が、行動の質を変えます。「とにかく何かしなければ」という焦りから、「まずここを動かす」という落ち着いた判断に変わる。そこからようやく、一手ずつ売上を積み上げることができるようになります。

二代目として店を継いだ方が月商・粗利・手残りの違いを正確に把握することも、この段階で一緒にやっておくと後が楽になります。数字の読み方が変わると、次の打ち手の優先順位が見えやすくなるからです。

設備投資を「回収する」ための販促設計──3年で売上が2倍になった理由

Aさんが売上を2倍にするまでにやったことは、実は地味なものばかりです。

まず、新しい厨房で作れるようになったメニューを、「なぜこれが美味しいのか」「どんな食材をどう使っているか」がわかる形でPOPとメニュー表に落とし込みました。設備が変わったことで実現した「価値」を、お客さんに伝える言葉に変えたのです。これが客単価を動かす一手になりました。

次に、来てくれたお客さんとの関係を続けるためにLINE公式アカウントを整備し、ニュースレターを月1回出し始めました。「また来たい」と思ってくれているお客さんに、「来るきっかけ」を届ける仕組みです。これが再来店を動かしました。

そして新規客については、Googleビジネスプロフィールを整え、エリア内の検索で見つけてもらえる状態を作ることから始めました。リニューアルしたことでお店の写真も新しくなり、口コミへの返信も丁寧に行うことで、少しずつ新規の方が増えていきました。

どれも「すぐに劇的な変化が起きる」打ち手ではありません。でも、3系統(客数・客単価・再来店)をそれぞれ動かす手を、地道に続けていった結果、3年後に売上は2倍になっていました。

補助金で整えた設備は、この販促設計の「土台」として機能しました。設備があったから作れたメニューがあり、そのメニューを伝える言葉があり、その言葉を届ける仕組みがあった。投資と販促がセットになって、初めて回収が完結するのです。

飲食店の販促を年間で設計したい方は、月別に仕込む売上の山の作り方と年間販促カレンダーも参考にしてください。一手ずつ仕込んでいく感覚がつかめます。

二代目へ──投資を「回収する経営」に切り替えるために

補助金の申請要件や採択のノウハウ、税務処理については、認定支援機関や中小企業診断士、行政書士、税理士といった専門家に相談するのが正解です。私がお伝えできるのはそこではなく、「投資を回収する販促の設計」の部分です。

二代目として店を継ぐとき、設備のリニューアルや補助金の活用はたしかに大切な一手です。ただ、その先の「それで誰をどう集めるか、どう来続けてもらうか」を設計しないまま進むと、せっかくの投資が宙に浮いてしまいます。

Aさんが3年かけてたどり着いた場所は、特別な才能や奇抜なアイデアで作ったものではありません。客数・客単価・再来店という3つの数字を地道に動かし続けた積み重ねです。

そして何より大きかったのは、「漠然とした不安」が「やることが見える安心」に変わったことだと、Aさん自身が言っていました。

店を継ぐというのは、親の積み上げてきたものを受け取りながら、自分の経営を一から設計し直す仕事でもあります。最初の1年でやることと、やらないことを整理するためにも、既存のお客さんを大切にすることで売上が安定する理由を一度読んでみてください。二代目が真っ先に固めるべき「足元」の話が整理されています。

投資と販促は、セットで設計するもの。その考え方を一緒に整理していきましょう。

設備投資の後に「何から動かせばいいかわからない」状態が続いているなら、それは情報不足ではなく、売上を3系統に分解して設計する仕組みが手元にないからです。増益繁盛クラブでは、客数・客単価・再来店それぞれを動かす販促を、二代目・承継直後の方も含めて伴走しながら積み上げていける環境が整っています。申込フォームへの入力だけで始められます。

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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。

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