カツカレー誕生秘話:巨人軍選手の習慣から生まれた商品

カツカレー誕生秘話:巨人軍選手の習慣から生まれた商品

目次

なぜ「かつ丼とカレー」の組み合わせが国民食になったのか

講演で紹介されたカツカレー誕生の裏話
—実は、読売ジャイアンツの選手が
「かつ丼とカレーを同時に注文する」という習慣から生まれた商品だったのです。
この事例は、顧客行動の観察から新商品を発見する 完璧な成功パターンです。

1960年代、銀座の洋食店「グリル スイス」で働いていた料理人が、
巨人軍の選手が毎回「かつ丼とカレーライス」を注文することに気づきました。
「勝つ」の語呂合わせでゲン担ぎをしていたのです。

料理人は思いました。
「毎回2皿注文するなら、最初から1皿にしてしまえば便利では?」
この観察力と発想力が、
後に年間数千万食が消費される国民的メニューを生み出しました。

カツカレー誕生の詳細プロセス

発見の背景

【時代背景】
年代:1960年代前半
場所:銀座「グリル スイス」
社会状況:高度経済成長期、プロ野球人気絶頂
読売ジャイアンツ:V9時代の始まり

【店舗状況】
業態:老舗洋食店
立地:銀座中央通り
客層:サラリーマン、文化人、芸能人
名物:オムライス、ハヤシライス
特徴:手作りにこだわる職人気質

観察された行動パターン

【巨人軍選手の習慣】
来店頻度:週2-3回(シーズン中)
注文パターン:必ず「かつ丼+カレーライス」
食べ方:かつ丼を先に食べ、続いてカレー
理由:「勝つ」+「カレー(彼)」でゲン担ぎ
時間:試合前日の夕食時間帯

【店側の課題】
・2皿分の調理時間
・テーブル占有時間の長さ  
・食器の使用量増加
・選手の食べきれない時の残り
・他の客の待ち時間への影響

アイデア発想の瞬間

【料理人の観察】
「毎回同じものを2皿注文している」
「2皿目のカレーは半分残すことが多い」
「忙しい試合前には時間短縮したそう」
「他の客も真似して同じ注文をし始めた」

【発想の転換】
課題:2皿注文の不便さ
発想:「1皿にまとめたらどうか?」
仮説:「選手にも店にもメリットがある」
検証:「試しに作ってみよう」

商品開発の試行錯誤

初期バージョンの開発

【試作1号】
構成:ご飯の上にカツとカレーを別々に盛る
課題:カレーがカツにかかって衣がふやける
評価:×(食感が悪い)

【試作2号】
構成:ご飯とカツを別容器、カレーをかける
課題:結局2皿になってしまう
評価:×(目的と違う)

【試作3号】
構成:ご飯の上にカツ、カレーを横に添える
課題:見た目のバランスが悪い
評価:△(改善の余地あり)

【完成版】
構成:ご飯の上にカツ、その上からカレーをかける
工夫:カツの衣を厚めにしてふやけにくく
評価:◎(選手に大好評)

調理技術の確立

【カツの工夫】
・衣を通常の1.5倍の厚さに
・揚げ温度を高めにして表面を固く
・カレーをかける直前まで別皿で保温
・肉厚のロースカツを使用

【カレーの調整】
・通常より粘度を下げて浸透を防ぐ
・スパイスを強めにしてカツに負けない味
・温度管理で最適な粘度を維持
・量を調整して食べやすく

【盛り付けの技術】
・ご飯の盛り方でカレーの流れをコントロール
・カツの位置決めで見た目を美しく
・付け合わせ野菜でバランス調整
・食べやすい配置の研究

市場投入と普及プロセス

初期の反応

【巨人軍選手の反応】
・「これは便利だ!」(王貞治選手)
・「食べやすくて時間短縮になる」(長嶋茂雄選手)
・「ゲン担ぎも簡単にできる」(村山実選手)
・「他の選手にも勧めたい」(森祇晶選手)

【一般客の反応】
・「選手と同じものを食べられる」
・「1皿で満足感がある」
・「新しい洋食として興味深い」
・「値段も手頃で注文しやすい」

メディア注目と拡散

【新聞報道】
・スポーツ新聞が「選手の新しいゲン担ぎ」として紹介
・グルメ欄で「新感覚洋食」として特集
・銀座情報として雑誌掲載

【口コミ拡散】
・野球ファンの間で話題
・銀座の新名物として認知
・他の洋食店での真似る動き
・家庭料理としての普及開始

全国普及の過程

【他店への広がり】
1965年:都内洋食店で本格的に広がる
1970年:関西地区の洋食店に波及
1975年:全国のファミリーレストランで採用
1980年:学食・社食での定番メニュー化
1985年:コンビニ弁当として商品化

【バリエーションの発展】
・チキンカツカレー
・エビフライカレー
・メンチカツカレー
・野菜カツカレー
・地域特色カレー(各地のご当地カレー)

成功要因の分析

1. 的確な顧客観察

【観察のポイント】
・来店頻度と注文パターンの把握
・食べ方の細かい観察
・困りごとの発見
・改善可能性の検討

【気づきの質】
・単なる注文記録ではなく行動の意味理解
・顧客の潜在ニーズの発見
・効率化への着眼
・商品化可能性の判断

2. 実用性とニーズの合致

【選手側のメリット】
・注文の簡素化
・食事時間の短縮
・ゲン担ぎの維持
・栄養バランスの確保

【店側のメリット】
・調理効率の向上
・テーブル回転率向上
・食器使用量の削減
・話題性による集客効果

【一般客のメリット】
・満足感の高い1皿料理
・選手気分を味わえる
・コストパフォーマンス
・新しい味の体験

3. 技術的完成度

【調理技術の工夫】
・カツの衣の改良
・カレーの粘度調整
・温度管理の最適化
・盛り付け技術の確立

【品質の維持】
・安定した味の提供
・見た目の美しさ
・食べやすさの追求
・再現性の確保

現代への教訓と応用方法

顧客行動観察の手法

【観察すべきポイント】
・頻繁に組み合わせ注文される商品
・お客様の困っている様子
・非効率な行動パターン
・改善要望の声
・無意識の習慣

【記録方法】
・注文パターンの記録
・食べ方の観察メモ
・会話内容の記録
・表情・行動の観察
・時間・頻度の測定

現代版カツカレー発想法

【組み合わせ観察】
質問1:お客様がよく一緒に注文するものは?
質問2:2品以上の注文で困っていることは?
質問3:時間短縮を求められている場面は?
質問4:1つにまとめたら喜ばれる組み合わせは?

【効率化の視点】
・注文の簡素化
・調理時間の短縮
・食事時間の効率化
・清掃・片付けの簡便化
・価格のお得感創出

業種別応用事例

美容室での応用

【観察される行動】
カット + カラーを毎回セット注文

【発想される商品】
「カットカラーコース」
・2工程を効率化
・時間短縮を実現
・セット価格でお得感
・予約枠の最適化

カフェでの応用

【観察される行動】
コーヒー + ケーキのセット注文が多い

【発想される商品】
「コーヒーケーキ」
・コーヒー味のケーキ
・コーヒーのお供に最適化
・1皿で完結する満足感
・新しいスイーツジャンル

書店での応用

【観察される行動】
参考書 + 問題集を同時購入

【発想される商品】
「参考書&問題集一体型」
・1冊で完結
・持ち運びやすさ
・学習効率の向上
・コストパフォーマンス向上

フィットネスでの応用

【観察される行動】
筋トレ + 有酸素運動の組み合わせ

【発想される商品】
「筋トレ有酸素ミックスプログラム」
・効率的な組み合わせ
・時間短縮効果
・相乗効果の最大化
・初心者にも分かりやすい

実践のための観察システム

日常観察チェックリスト

【来店時の観察】
□ 複数商品を同時注文するパターン
□ 注文に迷っている様子
□ 時間を気にしている行動
□ 不便そうな様子
□ 改善要望の声

【食事・利用中の観察】
□ 食べ方・使い方の工夫
□ 困っている様子
□ 非効率な行動
□ 満足度の表情
□ 他の客への迷惑

【退店時の観察】
□ 満足度の表情
□ 改善提案の声
□ リピート意向の表現
□ 他者への推奨意向
□ 次回への要望

観察記録シート

【日時】_______________________________
【客層】_______________________________
【注文内容】___________________________
【観察された行動】_____________________
【気づいた課題】_______________________
【改善アイデア】_______________________
【実現可能性】_________________________
【期待効果】___________________________

カツカレー発想法実践ワーク

組み合わせ発見ワーク

【よく一緒に注文される組み合わせ】
1._______________________________
2._______________________________
3._______________________________

【お客様の困りごと】
組み合わせ1の課題:____________________
組み合わせ2の課題:____________________
組み合わせ3の課題:____________________

【1つにまとめるアイデア】
アイデア1:____________________________
アイデア2:____________________________
アイデア3:____________________________

【最も実現可能性が高いアイデア】
_________________________________

【期待される効果】
・お客様メリット:_____________________
・店側メリット:_______________________
・差別化効果:_________________________

実践計画

【観察期間】
_________________________________

【観察対象】
_________________________________

【記録方法】
_________________________________

【アイデア検討日】
_________________________________

【テスト実施予定】
_________________________________

今すぐ実践!顧客行動観察

明日から始める観察チャレンジ

【観察目標】
1日5組の顧客行動を詳細観察

【観察ポイント】
□ 組み合わせ注文パターン
□ 困っている様子
□ 非効率な行動
□ 改善要望の声

【記録方法】
メモ帳に時系列で記録

【1週間後の分析】
パターンの発見と改善アイデアの抽出

カツカレー誕生の物語は、
日常の顧客観察画期的な商品開発につながることを証明しています。

重要なのは、
「なぜお客様はその行動をするのか?」 という疑問を持ち続けることです。
表面的な注文パターンではなく、
その背景にある本当のニーズを見抜く観察力が成功の鍵です。

あなたの店にも、
毎回同じ組み合わせで注文するお客様がいるはずです。
その行動パターンの中に、
次のヒット商品のヒントが隠れているかもしれません。

今日から顧客観察を習慣化して、 あなただけの「カツカレー」 を発見してください。


次回予告: 「Feel Cycle:暗闇×音楽×バイクの異業種組み合わせ成功例」で、
全く異なる業界の要素を組み合わせて新しい価値を創造する手法をお伝えします。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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