先日、会員の方からこんな相談をいただきました。
「ジョイマンさん、うちの看板メニューって、正直まだ全然売れてないんですよ。味には自信があるんですけど……」
50代の男性で、和食店を営む方です。食材のこだわりは本物で、仕入れにも手間とお金をかけている。なのに、客単価がなかなか上がらない。ランチのときに「おすすめ」と書いた紙を貼っても、スルーされる。「やっぱり値段を下げないとだめですかね」と、諦めかけた表情でおっしゃっていました。
気持ちは痛いほどわかります。「安くしないと選ばれないのでは」という不安は、お店を続けてきた経営者なら一度は通る道です。でも、問題は価格ではなく、価値が伝わっていないことにある場合がほとんどです。
今回は、POPのタイミングと文言を変えることで注文が動いた飲食店の事例を3つ、具体的にご紹介します。値下げをせず、価値を伝えて選ばれる店になるためのヒントとして、ぜひ読んでみてください。
📋 この記事でわかること
- なぜ「おすすめ」と書いただけのPOPは機能しないのか
- POP文言のどこを変えると注文が増えるか(3つの事例)
- POPを変えるタイミングの考え方(季節・曜日・客層別)
- 値下げなしで客単価を上げるPOP設計の基本
こんな方におすすめ
- ✅ 看板メニューがあるのに、注文が思ったより入らないと感じている方
- ✅ 値引きやクーポンに頼らず、単価を上げたいと考えている飲食店オーナー
- ✅ POPを作ったことはあるが、効果が出ているのかよくわからない方
- ✅ 料理や食材にこだわりがあるのに、お客さんにうまく伝わっていないと感じる方
- ✅ 季節に合わせて販促を変えていきたいけれど、何から手をつければいいか迷っている方

「おすすめ」という言葉だけでは、何も伝わっていない
POPを貼っても注文が増えないとき、多くの場合に共通しているのが「おすすめ」「人気No.1」「定番」といった言葉で止まっていることです。
お客さんの立場で考えてみると、「おすすめ」と書かれていても、なぜおすすめなのかがわからない。「誰にとっておすすめなのか」も見えない。結果として、目に入っても意識されずに終わります。
POPが機能するのは、お客さんが「これは自分のことだ」「これを頼めばよかったのか」と腑に落ちる瞬間が生まれたときです。そのためには、料理の背景・食材のこだわり・食べると得られる体験を、短い言葉で具体的に伝える必要があります。
私がよくお伝えしているのは、「POPは、お客さんの横に立ってすすめる、口の達者なスタッフの代わりだ」ということです。スタッフが話しかけるように、読んだ人の心に響く言葉を置く。これがPOP文言の本質です。
「値引きをしなくても選ばれる店は、必ずどこかで価値をちゃんと言葉にしている。POPはその最初の一歩です」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
「おすすめと書いても注文が増えない」という感覚、まさに今回の事例で出てきた状況です。繁盛店ポータルに無料登録すると、ハワードジョイマンAIにあなたのお店の業種・状況を伝えて、POP文言の改善案や価値の言語化について具体的に相談できます。メール登録のみ、1分で完了です。
事例1|和食店(50代・男性):文言を変えたら、月商が80万円上乗せに
冒頭でご紹介した和食店のオーナーとのやりとりに戻ります。
話を聞いていくと、自家製の出汁へのこだわりが相当なものでした。朝4時に仕入れた昆布と鰹を丁寧に引いて、その日の料理すべてに使っている。しかし店内のPOPには「本日のおすすめ 季節の煮物盛り合わせ 1,200円」と書いてあるだけ。
そこで、文言を変えることを提案しました。
「毎朝4時、利尻昆布と枕崎産の鰹節だけで引く、その日限りの出汁。この出汁でしか作れない煮物があります」
値段もメニュー名も変えていません。変えたのは、その1枚の紙に書いてある言葉だけです。
合わせて、提供するタイミングも見直しました。このPOPを、ランチの混雑ピーク前の時間帯に、席に置くのではなくメニューブックの最初のページに挟む形に変更。入店直後に目に入るように設計しました。
結果として、この煮物盛り合わせの注文数が増え、客単価が上がり始めました。月商にして80万円の上乗せにつながっています。加えて、POPの管理や内容の更新をスタッフに任せられる仕組みも整い、オーナー自身が経営に集中できる時間が増えたとおっしゃっていました。「抱え込みグセが減った」という言葉が印象的でした。
「月商80万円上乗せできた。それより嬉しかったのは、自分の料理に自信を持って話せるようになったことです」
和食店オーナー(男性・50代)
POPの文言には、食材の産地・仕入れのこだわり・作り手の思いなど、「なぜこれを出しているのか」を入れること。これが価値を伝えることの基本です。POPをいつ変えるべきか、季節・曜日・客層別に整理した完全ガイドも参考にしてみてください。
✓ ここまでのポイント
- 「おすすめ」だけのPOPは、価値が伝わらず素通りされる
- 食材の背景・こだわりを具体的な言葉にすることで、注文行動が変わる
- POPを置くタイミング(入店直後・混雑前)も、効果を左右する大事な変数
「なぜこれを出しているのか」を言葉にする作業、一人でやろうとすると手が止まることが多いです。繁盛店ポータルでは、あなたのメニューや販促物を添付してAIに添削・改善アドバイスをもらうこともできます。無料で使えて、登録はメールアドレスだけです。
事例2|居酒屋(40代・男性):曜日別に文言を使い分けて客単価が上がった
次は、鉄板居酒屋を営む40代の男性オーナーのケースです。
この方の悩みは、週末と平日の客単価の差でした。週末は比較的アルコールも出るが、平日は料理だけで帰ってしまうお客さんが多い。「平日の客単価を上げたい」というのが最初の相談内容でした。
お話を聞いていくと、平日の来店客は、近くの会社員や地元の常連が中心でした。週末とは客層が違う。それなのに、POPの内容は週末も平日も同じだったのです。
そこで、平日限定で「一人でふらっと来たときに頼みたいセット」という切り口のPOPを作ることにしました。「今日だけの鉄板小皿3品+ハイボール 1,900円」という内容で、単品で頼むより少し得になる設計にしつつ、POPの文言には「今日少し疲れた夜に、一人でゆっくり食べてほしい。常連さんへのこっそり定番です」と書きました。
値引きではありません。「このセットがあなたに合っている」という文脈を作ったのです。
結果、平日のドリンク付注文が増え、客単価が上向きました。オーナー自身も「月商25%増えた。それより、店に立つのが待ち遠しくなった」とおっしゃっていました。
客層によって刺さる言葉は違います。平日と週末、ランチとディナー、若い客層とファミリー。それぞれに合ったPOPを用意することが、幅広い客単価アップへの道です。飲食店のドリンク売上を上げるメニューとPOPの考え方も合わせてご覧ください。
チェックポイント1:あなたのPOPは、今の季節・曜日・客層に合っているか
8月下旬の今、店内に残暑を意識したPOPはありますか。平日の常連向けの一言が入っていますか。同じPOPを1ヶ月以上貼りっぱなしにしていないでしょうか。
✅ ポイント:POPは「貼って終わり」ではなく、季節・曜日・客層の変化に合わせて更新することで効果が持続します。月1回、POPを見直すサイクルを作るだけでも、売り場の鮮度は全然違います。
チェックポイント2:POPに「なぜこれを選ぶといいか」が書かれているか
「人気No.1」「売れています」という言葉は、証拠が見えないため信頼されにくい時代になっています。食材の仕入れ先・調理法の一手間・生産者の背景など、「なぜこれが良いのか」を一行でも加えると反応が変わります。
✅ ポイント:料理の「価値の根拠」を言葉にすることが、値下げなしで選ばれるための基本。一行でいい。書いてあるのとないのでは大違いです。
事例3|カフェ(30代・女性):看板メニュー設計とPOPのセットで月商が20%増えた
3つめは、カフェを営む30代の女性オーナーのケースです。
この方は、物販とサブスク(定期便)を導入したいと考えていましたが、「何を看板商品にすればいいかわからない」という状態でした。ドリンクもスイーツも揃っているが、何でも売ろうとしているため、お客さんに「ここに来たらこれ」という印象が生まれていなかったのです。
最初にやったのは、看板メニューを1つに絞ること。このカフェの場合、自家焙煎のコーヒーへのこだわりが一番の強みでした。そこで「毎朝焙煎した豆で淹れる、その日かぎりのブレンド」を看板として前面に出す設計にしました。
POPには、焙煎の工程を短く書いた文と、「豆の違いが気になったら、スタッフに聞いてください」という一言を添えました。これにより、スタッフとの会話が生まれ、豆の物販や定期便の説明につながる流れができました。
結果、物販とサブスクの導入で月商が20%増。「安売り以外の道があると、視界が開けた」とおっしゃっていました。
看板メニューを1つ決めることで、POPの文言も書きやすくなります。何でも売ろうとすると、POPも何を伝えたいかわからなくなる。「これがうちの一番だ」と決めることが、価値を伝える出発点です。
「看板メニューがない店は、POPを何枚貼っても届かない。まず一点突破の軸を決めることが先です」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
まとめ|POPは「貼るもの」から「語りかけるもの」に変える
今回の3つの事例に共通しているのは、値段を変えたのではなく、「言葉」を変えたということです。
和食店のオーナーは、出汁へのこだわりを言葉にした。居酒屋のオーナーは、平日の客層に語りかける文言を作った。カフェのオーナーは、看板を1つに絞ってPOPに軸を持たせた。
どれも大きなコストはかかっていません。必要なのは、「自分のお店の価値は何か」を言語化する作業と、それを適切なタイミングで届ける意識です。
「安くしないと選ばれない」という不安は、価値が伝わっていないことへの不安に過ぎないことが多い。POPという小さな紙切れ一枚でも、言葉を変えるだけでお客さんの行動は変わります。
売上は運任せでも、勢いで作るものでもなく、こういった地味な販促を「すぐに」「継続して」やり切ることで積み上がっていくものです。
まずは今日、店内のPOPを1枚だけ見直してみてください。「おすすめ」の一言で止まっているものがあれば、そこに「なぜおすすめか」を1行足すだけでいい。それが最初の一歩です。
紹介が生まれる店とそうでない店の違いも、実は価値の伝え方に根ざしています。紹介が生まれる店と生まれない店、何が違うのかを飲食店・美容室・工務店の事例で比較した記事も参考になると思います。
事例3つを読んで、「自分の店でもやれそう」と感じたなら、次は実行の仕組みをどう作るかが問われます。増益繁盛クラブでは、POPや客単価設計を含む販促の打ち手を、同じ景色を見ている全国の仲間と一緒に、迷わず継続できる環境で進められます。申込フォームに必要事項を入力するだけで始められます。