先日、複数店舗を経営されている美容室オーナーの方から、こんな相談をいただきました。
「ジョイマンさん、うちは春と秋は忙しいんですが、1月・2月・7月あたりはガクッと落ちるんです。年間を通すと、まぁなんとかなってはいるんですが……毎年同じ時期に同じ不安を繰り返している気がして」
この言葉、すごく刺さりました。「なんとかなってはいる」けれど、毎年同じ不安を繰り返している。これは、売上を運任せにしているサインです。繁閑の波が大きい経営者ほど、「どうせ閑散期は仕方ない」と諦めてしまいがちですが、実は閑散期の売上は、意図的に作ることができます。
繁閑の波を平滑化するとは、ピーク月を下げることではなく、谷の月を底上げすることです。そのためには、客数・客単価・来店頻度という3つのレンズで自店の現状を分解し、それぞれに合った打ち手を「閑散期に合わせて先手で仕込む」ことが必要になります。
📋 この記事でわかること
- 繁閑の波が生まれる本当の理由と、経営者が陥りやすい思考の罠
- 閑散期に売上を作る「3つの考え方」とその使い分け方
- 飲食店・美容室・小売店それぞれの業種別・閑散期打ち手の具体例
- 仕組みとして回すために、紙・ネット・AIをどう組み合わせるか
こんな方におすすめ
- ✅ 「いい月と悪い月の波が大きい」と毎年同じ悩みを繰り返している方
- ✅ 閑散期に何か打ち手を出したいが、何から手をつければいいか分からない方
- ✅ 値引きやクーポン以外の閑散期対策を探している飲食店・美容室オーナー
- ✅ 売上を運任せにせず、意図的に作れるようになりたいと思っている方
- ✅ 複数店舗を経営していて、店ごとの繁閑バランスが取れていないと感じている方

繁閑の波はなぜ生まれるのか?
繁閑の波が大きい店舗には、共通したパターンがあります。ピーク月はお客さんが自然に来てくれるので販促を打たない。閑散期に入ってから「やばい」と気づいて慌てる。そして値引きやクーポンで何とかしようとする。翌年も同じことを繰り返す。
この繰り返しの根本にあるのは、「販促を思いついたときにやる」という運任せの構造です。繁忙期には時間もなく、閑散期には気持ちの余裕もない。結果として、売上は季節任せ・天気任せ・景気任せになってしまいます。
もう一つ見落とされがちなのが、「客数だけを見ている」という問題です。閑散期は来客数が減るのは事実ですが、それを補う方法は客単価の引き上げや来店頻度の底上げにもあります。客数・客単価・来店頻度という3つの軸で売上を分解してみると、自店の弱点と打ち手が見えてきます。
「売上の波を嘆くより先に、その波のどこが自分でコントロールできるかを考えることが先です。客数・客単価・来店頻度のうち、閑散期に動かせるものは必ず一つはある」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
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閑散期に売上を作る「3つの考え方」とは?
閑散期の売上を意図的に作るには、次の3つの視点から打ち手を選ぶことが基本になります。
チェックポイント1:客数を補う「新規と掘り起こし」
閑散期に客数が減るのは、来店動機が薄くなるからです。この時期だからこそ、休眠客へのアプローチが効きます。たとえばハガキDMやLINE配信で「久しぶりにいかがですか」という接点を作るだけで、再来店が動きます。また、Googleビジネスプロフィールの口コミ対応や投稿更新は、閑散期でも検索からの流入を作り続けます。新規客を広告だけで補おうとすると費用がかさむので、まず休眠客への掘り起こしを先に仕込んでください。
✅ ポイント:「来なくなった人」を放置するのではなく、定期的な接点(ハガキDM・LINE)で関係を維持しておくことで、閑散期の客数底上げに直結します。
チェックポイント2:客単価を上げる「閑散期限定の価値設計」
閑散期に値引きをしたくなる気持ちはわかります。でも、価格で来たお客さんは価格で去ります。代わりに試してほしいのが、「閑散期だから体験できる価値」を設計することです。混んでいない時期だからこそ、オーナー自らが時間をかけて提供できるプレミアムな体験やセットメニューの提案ができます。POPやメニュー表の言葉を変えるだけで、同じサービスの見え方が変わります。
✅ ポイント:閑散期に単価を上げるのは難しいと思われがちですが、「丁寧に時間をかけてもらえる今だから価値がある」という切り口で、特別感のある提案ができます。値引きではなく、価値の言語化が先です。
チェックポイント3:来店頻度を上げる「既存客との関係深化」
月に1回来てくれるお客さんが月に1.5回来てくれるだけで、来店頻度は50%増えます。これを実現するのが、ニュースレターや季節のDM、LINE配信による「思い出してもらう仕掛け」です。閑散期は特に、既存客との関係を深めるコンテンツを仕込むチャンスでもあります。お客さんの記憶に残っている店は、暇な時期でも思い出してもらえます。
✅ ポイント:来店頻度の向上は、新規集客コストゼロで売上が作れる最も費用対効果の高い打ち手です。飲食店が既存のお客さんを大切にすると売上が安定する理由を理解しておくと、この打ち手の重要性がよりクリアになります。
✓ ここまでのポイント
- 繁閑の波は「販促を思いついたときにやる」運任せ経営の産物。先手で仕込む構造に変えることが先決。
- 閑散期対策は「客数補完」「単価アップ」「来店頻度向上」の3軸で考えると打ち手が見えてくる。
- 値引きは最後の手段。価値の言語化と既存客への接点維持が、利益を残しながら谷を埋める王道。
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業種別の閑散期打ち手は?
3つの考え方を理解したうえで、業種ごとに具体的な打ち手を整理してみます。
❌ よくあるパターン(業種共通)
- 閑散期に入ってから慌ててクーポン・割引を出す
- SNSに思いつきの投稿をして反応がないと止める
- 「どうせ暇な時期だから仕方ない」と諦めて待ちの姿勢になる
✅ 推奨アプローチ(先手を打つ販促の仕込み)
- 繁忙期が終わる前に、次の閑散期向けの接点(ハガキDM・LINE・ニュースレター)を設計しておく
- AIを使って販促文・配信メッセージを事前に複数パターン作り置きする
- Googleビジネスプロフィールの写真・投稿更新を閑散期の集客導線として活用する
飲食店の場合:閑散期(例:1〜2月)は宴会需要が落ちる時期です。この時期に有効なのが、ランチタイムの強化とテイクアウトの打ち出し。既存客へのハガキDMで「寒い時期だからこそ温かい鍋コースを」といった季節テーマのオファーを送ると、グループ客の来店動機を作れます。また、年間販促カレンダーを月別に仕込む考え方を持っておくと、閑散期にも打ち手が途切れなくなります。
美容室の場合:閑散期(例:1月・7月)は来客が減りやすいですが、次回予約率を上げることで来店頻度をコントロールできます。施術中に「次回は〇月〇日あたりにいかがですか」と伝えるだけで、閑散期に向けた予約が埋まり始めます。加えて、LINE公式アカウントから「前回からそろそろ〇週間です」というリマインド配信を設定しておくと、自動的に接点が維持できます。
小売店の場合:閑散期は「商品が売れない時期」ではなく、「購入動機を作り直す時期」です。POPの言葉を変えること、ニュースレターで商品の背景ストーリーを届けること、SNSで店主の目線から商品の使い方を発信することが、単価と来店頻度の両方を動かします。
「閑散期に何もしない店と、先手で仕込みを入れている店では、半年後の体力が別物になっています。打ち手の派手さより、継続の有無が決定的な差になる」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
紙・ネット・AIをどう組み合わせて「仕組み」にするか?
閑散期対策を「単発のイベント」で終わらせず、毎年自動的に回る仕組みにするには、紙・ネット・AIの3つを組み合わせることが現実的です。
仕組み化 STEP 1
年間の繁閑パターンを可視化する
まず過去2〜3年の月別売上を並べて、「谷の月」がどこに来るかを把握します。多くの場合、閑散期は毎年ほぼ同じ時期に繰り返されています。これを「予測できる問題」として扱うことが仕組み化の第一歩です。
⚠️ よくある失敗:「今年は違うかもしれない」と楽観して対策を後回しにし、結局同じ谷に落ちる。
仕組み化 STEP 2
閑散期の1〜2ヶ月前に、接点コンテンツを準備する
ハガキDMの文面、LINE配信のメッセージ、ニュースレターの原稿をAIに下書きさせて、事前に複数パターン用意します。ChatGPTやClaudeに「1月の閑散期に既存客へ送るLINEメッセージを書いて」と指示するだけで、叩き台が出来上がります。最終的な言葉は自分でチェックして送る。この分業で、準備の手間が大幅に減ります。
⚠️ よくある失敗:「時間ができたら作ろう」と後回しにして、閑散期直前まで何も準備できていない。
仕組み化 STEP 3
Googleビジネスプロフィールと口コミ対応を閑散期の集客導線として整える
閑散期こそ、検索からの流入を増やすチャンスです。Googleビジネスプロフィールの写真を更新し、「今の時期だからこその価値」を伝える投稿を週1〜2本出す。口コミへの返信も丁寧に行うことで、新規客の信頼を積み上げます。これはコストゼロで、地道に続けるほど効果が出る打ち手です。
⚠️ よくある失敗:繁忙期だけ投稿して閑散期に更新が止まる。検索での露出が落ちるタイミングと閑散期が重なって、余計に客数が減る悪循環になる。
「2店舗合計で月商550万円を超えました。仕組み化で各店を任せられる体制になり、自分が『美容師』から『経営者』へ意識が変わったと感じています」
複数店舗経営オーナー(男性・40代)
この方が変わったポイントは、売上を「現場で頑張る」から「仕組みが作る」に移行したことです。閑散期対策も同じで、その場その場で慌てるのをやめて、先手の仕込みを年間スケジュールに組み込んだことが転換点でした。美容室が続けたい販促の順番も参考にしてみてください。
まとめ:閑散期の売上は「待つもの」から「作るもの」へ
「来月の売上がどうなるか分からない」「いい月と悪い月の差が激しい」——この感覚は、売上を天候や季節に委ねているときに生まれます。私自身、独立当初にまったく同じ不安の中にいました。仕事が来るかどうか、毎月怯えながら過ごしていた時期があります。
そこから抜け出せたのは、「広告と販促に投資して、意図的に顧客を創造する」という考え方に切り替えたからです。お金をかけずに売上を伸ばそうという発想は、時間と機会損失を最も生む選択です。閑散期対策も同じで、先手でお金と時間をかけて仕込んだ接点が、谷の月を底上げします。
まず自店の「谷の月」を特定して、その1〜2ヶ月前に動き始める。客数・客単価・来店頻度のどこを動かすかを決めて、紙・ネット・AIを組み合わせた打ち手を仕込む。地味で当たり前に見えますが、これを「すぐに」「継続して」やり切ることが、繁閑の波を平らにする唯一の現実的な道です。
売上は運ではなく、意図で作るもの。その手触りを、ぜひ次の閑散期で体感してみてください。
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