秋の夜、厨房でまかないを食べながら。
あるオーナーがぽつりと言った言葉が、ずっと頭に残っています。
「うちのスタッフ、最近元気ないんですよね。
お客さんも減ってるし、声かけが怖いみたいで」
売上が落ちると、スタッフの顔も変わる。
お客さんへの声かけが怖くなる。
提案することを、避けるようになる。
でも、お客さんがまた来てくれて、
「また来たよ」と言ってくれた瞬間、
厨房の空気って、がらりと変わるんです。
と言うことで、今日はDM(ダイレクトメール)の話をします。
既存客への一通が、売上だけじゃなく、
店の雰囲気まで変える話です。
こんな方におすすめ
- ✅ 既存客にDMを送ったことがあるが、反応が薄かった方
- ✅ スタッフが提案やお声がけを苦手にしていると感じる方
- ✅ 来店頻度を上げたいが、値引きや割引以外の方法を探している方
- ✅ 紙の販促とリピート対策をセットで考えたい飲食店オーナー
- ✅ 繁盛している店の空気をスタッフと一緒に作っていきたい方
📋 この記事でわかること
- 飲食店のDMが来店につながるタイミングの考え方
- 既存客が「また行こう」と思う文面の作り方
- DMを通じてスタッフの誇りと店の雰囲気が変わる理由
- 値下げに頼らず再来店を作る具体的なステップ

DMを送っても来ない、その理由はタイミングにある
「以前DMを送ったけど、ほとんど反応がなかった」
そう話す経営者の方は、本当に多いです。
でも、その原因のほとんどは文面より先に、
タイミングの問題です。
例えば、ある居酒屋さんの話。
月に一度、ハガキDMを出していた。
でも、毎月同じ時期に同じ内容で送っていたので、
お客さんはいつしか「またか」と流し読みするようになっていた。
人が「また行こう」と思うのは、
その人の生活リズムの中で、自然に思い出すタイミングです。
10月なら、ちょうどいまごろは
秋の味覚が出始め、空気が涼しくなって
鍋や熱燗が恋しくなる時期です。
「そういえば、あの店の牡蠣鍋、今年も出てるかな」
と思わせるDMを、その気分になる直前に届けるのが正解です。
「ご無沙汰しているお客さんに一斉送信」ではなく、
「この人が来そうなタイミングに、この一通を届ける」
という発想の転換が、まず必要です。
具体的なタイミングの目安は、3パターンあります。
チェックポイント1:最終来店から60日以上経過しているお客さん
人は60日来ないと、自然に「遠ざかった店」になります。
この手前に届けることが、来店を引き戻す最大の機会です。
✅ ポイント:ポイントカードや予約台帳を使って、最終来店日を定期的に確認する習慣をつけましょう。月に一度、60日未来店のリストを作るだけでOKです。
チェックポイント2:季節の変わり目・旬の食材が出る前
「新メニューが出ました」より、「そろそろ出てくるはずの、あれ」を先に届けることで、読んだ瞬間に食欲が動きます。
✅ ポイント:仕入れ先から旬の情報を早めに聞いておき、DMの文面に「今年も入りました」の一言を添えられるよう準備しておく。
チェックポイント3:お客さんの記念日・誕生月
予約時やアンケートで取っておいた誕生月に、
一通届けるだけで、反応率は他のDMの数倍になります。
✅ ポイント:特典は割引でなくていい。「特別な一品をご用意しています」という言葉だけで、お客さんは来る理由を手に入れます。
✓ ここまでのポイント
- DMの反応が薄い原因は、文面より先にタイミングにある
- 最終来店から60日・季節の変わり目・記念日が、送る3つの黄金タイミング
- 「一斉配信」ではなく「この人に、この時期に」の発想で変わる
「20人にDMを送る」「来てくれた人との会話でネタを拾う」という動き方が見えてきたところで、実際に自店の数字を確認したい方もいると思います。無料登録後にすぐ使える「必要売上シミュレーター」で、固定費・人件費率・原価率から利益を残すために必要な売上を自動計算できます。メール登録のみで使えます。
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「また来たい」と思わせる文面の3つの要素
タイミングが合っていても、文面が「お知らせ」のままだと、
読んだ人の心は動きません。
人が動くのは、情報を受け取ったときではなく、
自分のことを思い出してもらえたと感じたときです。
では、どう書けばいいか。
3つの要素を紹介します。
① 名前か、来店シーンを一行目に入れる
「先日は、お二人でいらしてくださいましたね」
「先月、カウンターでビールを飲んでくださった方へ」
全員に同じ文章を送っていても、
「これ、私のことを書いてる?」と思わせることが大事です。
個別対応が難しければ、「常連さまへ」でもいい。
「お客さまへ」よりずっと温かく受け取られます。
② 新情報は「あなただから先に教えます」という語りで
「今月から秋の特別コースが始まります」ではなく、
「いつも来てくださっているあなたに、
先に知らせたくてご連絡しました」と書く。
情報の内容は同じでも、受け取り方がまるで違います。
お客さんは「選ばれた」と感じます。
③ 来店する理由を、文面の中に置いておく
「ぜひお越しください」で終わるDMは、
来店する理由をお客さん任せにしています。
「今月の牡蠣は三陸産で、例年より身が大きい。
焼き、蒸し、グラタン、全部やります」
この一文があるだけで、
読んだ人は来店後の場面を頭の中で描きます。
行動は、想像から始まるんです。
DMの文章は長くなくていい。
ハガキ一枚、200字以内でも十分です。
ただし、この3つの要素だけは必ず入れてください。
また、飲食店のPOPの書き方と共通していますが、「読まれる言葉」には必ず、お客さんの気持ちを動かす一言が入っています。DMも同じ原則で作れます。
「DMを送ることを、お知らせだと思っているうちは刺さらない。あれは、『あなたのことを考えていました』という手紙なんです」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
来店が増えた瞬間、店の空気が変わる話
ここからが、今日いちばん伝えたいことです。
DMで来店が増えると何が起きるか。
売上が増える。
それは当然です。
でも、もっと大事なことが起きます。
「また来たよ」と言ってもらえた日、
ホールのスタッフの顔が変わるんです。
「あのお客さん、前回もカウンターに座ってた人だ」
「覚えてる人が来てくれた」
そこから、声かけが怖くなくなる。
追加の一品を勧めることができるようになる。
笑顔が、作るものじゃなくなる。
私が見てきた店で、こういう変化が起きたのは、
必ず「お客さんとの関係が続いている店」でした。
一方、値引きクーポンで新規ばかりを集めている店では、
スタッフはいつも「はじめまして」のお客さんと接し続けます。
関係の積み重ねがない。
だから、提案するのが怖い。断られたら終わりだから。
でも、「また来たよ」と言ってくれるお客さんには、
「実は今日、新メニューが入ってまして」と自然に言えます。
断られても「じゃあ次回ね」で終わる。
それが、スタッフの誇りになっていくんです。
「月商380万から470万になったとき、数字の話より先に『スタッフが動きやすくなった』という話を聞いて、それがいちばん嬉しかった」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
給与を上げる、休みを増やす。
それも大事です。
でも、それより先に、店が繁盛していることがスタッフの働きがいを作ります。
「忙しいけど楽しい」という空気は、
売上の数字が作るものじゃなく、
お客さんとの関係が積み重なったところにあります。
そして、その関係を作るのがDMなんです。
「客単価が20%上がったことより、提案への迷いが自信に変わったのが本当の変化でした。無駄な待機が減って、子どもと過ごす時間も増えました」
ヘッドスパ強化サロン(40代・女性)
業種は違えど、この感覚は飲食店でも同じです。
売上が立ち、お客さんとの関係が続くようになったとき、
スタッフの「提案への迷い」が消えていきます。
実際に動いた飲食店の、DMの送り方ステップ
「やってみたい」と思っても、
「何から始めればいい?」で止まる方が多いです。
シンプルに3ステップでやってみてください。
DM実践 STEP 1
リストを作る(まず20枚)
予約台帳・ポイントカード・名刺から、
最終来店が60日以上前のお客さんを20人ピックアップします。
一度に全員にやろうとしない。
まず20人に送って、何人来てくれたかを確認する。
それが、あなたの店のDM反応率になります。
⚠️ よくある失敗:「リストが100人集まったら送ろう」と待ち続けて、結局一度も送らない。20人でいい。今週末に送れる人数からやる。
DM実践 STEP 2
手書きの一言を添える
印刷したハガキ一枚でも、
右下に3行の手書きがあるだけで、
開封率も来店率も変わります。
「〇〇さん、今年の秋も美味しいものが入っています」
それだけでいい。
⚠️ よくある失敗:「パソコンで作ったきれいなDMを送ったが反応がなかった」。機械が作った温度より、少し雑でも手の温度が勝ちます。
DM実践 STEP 3
来店してくれたら、次のDMの種を拾う
来てくれたお客さんとの会話の中で、
次のDMに書けるネタを集める。
「〇〇さんが好きだと言ってた煮込みが、今月新しくなりました」
これが次のDMになります。
DMはループで回るものです。
一回送って終わりではない。
⚠️ よくある失敗:来てくれたお客さんに何もしないで帰す。来てくれた人が、次のDMの一番いい受け取り手です。
DMと合わせて、飲食店のチラシで新規来店につなげる作り方も参考にしてみてください。紙の販促は、既存客への「戻り来店」と、新規客への「初来店」で役割が違います。両方を使い分けられるようになると、客数の底が安定してきます。
また、飲食店の客単価を値下げに頼らず引き上げる4つの手順も合わせて読んでほしいです。DMで来店してもらった後、一人あたりの売上をどう設計するか。再来店と客単価は、セットで考えると利益の伸び方が変わります。
繁盛の先に、スタッフが誇りを持つ店がある
「スタッフに誇りを持って働いてほしい」
そう思っている経営者の方は、本当に多いです。
でも、その土台を作るのは制度や給与より先に、
店が繁盛していることです。
お客さんから「また来たよ」と言われる回数が増えれば、
スタッフは自分たちがやっていることに意味を感じます。
提案が怖くなくなる。
声をかけることが楽しくなる。
DMは、その「また来たよ」を意図的に作る手段です。
運任せでお客さんが来るのを待つのではなく、
一通のハガキで関係を続ける。
それが、売上を作るだけでなく、
スタッフの誇りと店の空気を作っていきます。
まず20人に、今週末送ってみてください。
その一通から、店の表情が変わっていきます。
地味でいい。派手じゃなくていい。
続けることが、最大の戦略です。
一緒にやっていきましょう!
店舗経営は、ゴールのないマラソンです。走り続けましょう!
追伸:
DMを含めた紙販促・ネット集客・AI活用を組み合わせて、
客数・客単価・再来店の3系統で売上を作る仕組みについて、
増益繁盛クラブでは毎月実践的な内容を提供しています。
「何から手をつければいいか」が明確になると、
動くのが楽になります。
DMで再来店を作り、スタッフが誇りを持って働ける店にしたいと思いながらも、一人でやっていると「次に何をすべきか」で止まってしまいます。増益繁盛クラブでは、客数・客単価・再来店の3系統を意図的に動かす順番と、同じ景色を見ている全国の仲間との実践の場を提供しています。申込フォームへの入力のみで始められます。