「加盟の問い合わせは来るのに、受け入れる仕組みがなくて機会を逃している」
「育てたエース店長が独立してしまう前に、何か手を打ちたい」
「投資家や副業オーナーに加盟してもらえる本部にしたいけど、何から始めればいいか分からない」
こういった言葉を、富士市・静岡市周辺の飲食経営者の方からよく耳にします。直営で3〜5店舗を運営し、業態の再現性は実証できている。けれど自己資本と銀行の借入枠はすでに限界に近く、このままのスピードでは「真似される前に広げる」ことができない——そんな焦りを抱えながら、それでも本部化への第一歩がなかなか踏み出せない方が、実は多いのです。
今回は、富士市の飲食店オーナーがFC相談をはじめた日を軸に、私・ハワード・ジョイマンが朝から晩まで実際にどう動いたかを書き留めました。「本部化の第一歩」がどういう一日に見えるのか、具体的なイメージを持っていただけると幸いです。
📋 この記事でわかること
- 投資家・副業オーナーが集まる本部にするために、最初に整えるべきもの
- 省人化オペレーションが「投資として選ばれる」理由
- FC相談初日にコンサルタントが実際に確認していること
- 募集資料と収益モデルを先に設計することの重要性
こんな方におすすめ
- ✅ 富士市・静岡市周辺で直営3〜10店舗を運営し、FC化を検討しはじめた飲食経営者の方
- ✅ 投資家や副業オーナーが加盟したくなる本部の条件を知りたい方
- ✅ 省人化オペレーションの設計から着手すべき理由を知りたい方
- ✅ FC相談の初日に何が起きるのか、リアルなイメージを持ちたい方
- ✅ 加盟者が自分で運営できる「手離れの良いモデル」の作り方を学びたい方

朝9時:相談前日に届いたメッセージと、当日の準備
その日の前夜、富士市でラーメン店を3店舗運営するオーナーの方からメッセージが届いていました。内容はこうでした。「問い合わせフォームに"加盟したい"という連絡が来たんですが、受け入れる書類も仕組みも何もなくて……。正直、今のままでは答えられる状態じゃないと気づきました」。
この言葉は、私がよく聞くパターンの一つです。業態が評価されているのに、本部側の受け皿が整っていないために機会を逃してしまう。ビジネスとして見れば損失ですが、もっと深く言えば、「加盟したい人を適切に受け入れられない状態でFC化を進めることのリスク」を回避できているとも言えます。だからこそ、この段階で相談に来てくださったことは、むしろ正しいタイミングです。
事務所に着いたのは9時半ごろ。まず手元に広げるのは、オーナーから事前に送ってもらった3店舗分の月次P/Lと、簡単な業態概要のメモです。FC化を考える前に、私が必ず確認するのは「この業態は、オーナー不在でも利益が出るか」という一点です。投資家や副業オーナーに加盟してもらうことを目指すなら、この問いへの答えが「YES」でなければ、募集資料をいくら磨いても意味がありません。
午前10時:初回相談で最初に聞く「3つの問い」
相談は10時からオンラインで始まりました。富士市のオーナーは40代の男性で、開口一番「まず何をすればいいですか」と聞いてきました。この問い自体は正直で良い。ただ、私が最初に返すのは答えではなく、問いかけです。
チェックポイント1:オーナーが不在でも、1店舗の月次利益はどの水準で出ているか
投資家・副業オーナー向けのFCで最も重視されるのは「手離れの良さ」です。つまり、雇われ店長がいても利益が出る構造になっているかどうか。家賃と人件費を織り込んで、それでもオーナー不在で月に一定の利益が残る業態でなければ、投資として成立しません。
✅ ポイント:まず現在の直営1店舗のP/Lから、オーナー人件費を除いた実態利益を算出することが出発点です。
チェックポイント2:オペレーションは「他人が再現できる」レベルまで言語化されているか
投資家や副業オーナーが加盟する場合、現場を動かすのは雇われた店長やスタッフです。オーナー本人の感覚や勘に依存している部分が多いと、加盟後に品質がばらつきます。結果として加盟店が儲からなくなり、本部への不満が蓄積する。これが「揉める本部」の典型的な入口です。
✅ ポイント:マニュアル化・標準化の進捗を確認し、「言語化できていない暗黙知」がどこにあるかを洗い出すことが早期の優先課題です。
チェックポイント3:「加盟したい」という問い合わせは何件来ていて、どういう属性の人からか
既に問い合わせが来ているなら、その人たちがどういう動機で連絡してきたかを知ることは、募集戦略を設計する上で非常に重要な一次情報です。飲食経験者なのか、投資目的の方なのか、あるいは脱サラを考えている方なのか。それによって、整えるべき募集資料の中身も変わります。
✅ ポイント:問い合わせ者の属性と動機をヒアリングし、「どんな加盟者を集めたいか」のターゲット像を言語化することが、募集活動の設計の前提となります。
✓ ここまでのポイント
- 投資家・副業オーナーが集まる本部を目指すなら、「オーナー不在でも利益が出る構造か」を先に確認する必要がある
- オペレーションの言語化(マニュアル化)が不十分なまま加盟者を募集すると、品質のばらつきと本部トラブルの原因になる
- 既に来ている問い合わせは、募集戦略を設計するための貴重な一次情報として活用できる
午後:省人化モデルの設計と、「投資として選ばれる」募集資料の話
午後の時間は、より具体的な設計の話に入ります。富士市のオーナーが特に気にしていたのは「加盟者がちゃんと儲かるモデルをどう設計すればいいか分からない」という点でした。この悩みは、誠実な経営者ほど深く抱えています。
私が伝えたのは、「投資として選ばれるFC」に必要なのは、夢のある数字ではなく、現実に近い数字だということです。家賃・人件費・食材費・ロイヤルティを全て織り込んだ上で、加盟者が毎月手元に残せる金額がどのくらいか。その数字を、根拠を持って説明できる状態にすること。それが募集資料の核心です。
「募集資料は、加盟者を口説く道具ではありません。加盟者が自分で意思決定できるための情報を、誠実に並べる場所です。そこに夢だけを書いても、開示書面との乖離が後でトラブルになる。現実の数字を出せることが、本部への信頼になります。」
ハワード・ジョイマン(飲食店FC本部構築支援コンサルタント)
省人化オペレーションの設計も、この文脈で重要です。副業オーナーや投資家が加盟する場合、自分が毎日現場に立てるわけではありません。スタッフが少なくても回せる仕組み、調理の工程を減らす仕入れや加工の工夫、シフト管理をシンプルにするルール——こうした設計が整っていると、「自分でも運営できそう」と感じてもらいやすくなります。つまり省人化は、オペレーション効率の話であると同時に、加盟者に「投資として選ばれる」ための差別化要素でもあるのです。
この日の相談で私が富士市のオーナーに提案したのは、まずFC化適性の診断から入り、現行のP/Lをもとにモデル収益のシミュレーションを作ること。その数字が投資として成立する水準であれば、次のステップとして省人化の設計と募集ツールの制作に進む、という順序でした。「FC化の手続き」より先に「加盟者が儲かる構造かどうか」を確認する——この順番を間違えると、後から修正するコストが非常に大きくなります。
なお、本部化の準備度を診断するチェックリストも参考になります。FC化を検討しはじめた段階で、自社がどのフェーズにいるかを確認しておくことをお勧めします。
夕方:「手離れの良い加盟店」を集める仕組みをどう整えるか
相談の後半、話題は「どうやって投資家や副業オーナーに知ってもらうか」に移りました。ここで多くの経営者が勘違いするのは、「いい業態であれば自然に人が集まる」という思い込みです。実際には、業態の良さを「投資家目線で語れる言語」に翻訳することが必要です。
❌ よくある募集のパターン
- 「人気業態だから加盟者が来るはず」と思い、具体的な収益モデルを出さないまま募集する
- 飲食経験者向けの説明資料を、投資家・副業オーナーにそのまま使い回す
- 加盟金・保証金の金額だけを前面に出し、投資回収期間の根拠を示さない
✅ 投資として選ばれる募集のアプローチ
- 家賃・人件費・食材費・ロイヤルティを全て織り込んだモデル収益シミュレーションを開示する
- 「雇われ店長1名でも黒字になる」という省人化の実績を具体的に示す
- 投資回収のめどが分かる資料を整え、副業・投資目的の加盟者が自分で意思決定できる情報を揃える
また、のれん分けとフランチャイズの違いと選択基準についても、この段階で整理しておくことが重要です。投資家・副業オーナーをターゲットにするなら、のれん分けよりも正式なFC契約の枠組みで進める方が、法的な開示義務と情報の透明性を担保しやすいケースが多いためです。
「加盟店が儲かってこそ、本部は続く。この順番を逆にした本部が、どれだけ閉店と訴訟で疲弊してきたか。私が21年間見てきたのはその繰り返しです。だから私は、加盟金を早く集めることより、加盟者が月次で利益を出せる設計に時間をかけます。」
ハワード・ジョイマン(飲食店FC本部構築支援コンサルタント)
夜:この日の相談で見えてきたこと、そして次の一手
富士市のオーナーとの相談は、予定の時間を少しオーバーして終わりました。最後に彼が言った言葉が印象的でした。「FC化って、加盟者を集めることから始まると思っていたけど、整えることから始まるんですね」。まさにその通りです。
この日の相談を通じて見えてきたのは、次の3点でした。
FC化初日 STEP 1
現行直営店の収益構造を「加盟者視点」で再評価する
オーナー自身の人件費を除いた実態利益を算出し、家賃・人件費・ロイヤルティを全て織り込んだ上で、加盟者が手元に残せる金額を試算する。この数字が投資として成立する水準かどうかが、FC化の前提条件です。
⚠️ よくある失敗:オーナーが現場に立っていることで実質的に人件費が圧縮されており、それを踏まえずにモデル収益を計算すると、加盟後に収益が出ない事態になります。
FC化初日 STEP 2
省人化できる工程と、まだオーナー依存の工程を仕分けする
投資家・副業オーナー向けのFCを目指すなら、雇われ店長とパートだけで運営できる部分を増やすことが急務です。仕込みの簡略化、仕入れ先の集約、シフト設計のルール化など、「オーナー不在でも動く仕組み」を一つひとつ洗い出します。
⚠️ よくある失敗:「うちはシンプルな業態だから大丈夫」と思い込んでいるオーナーほど、蓋を開けると属人的な作業が多く残っています。言語化してみて初めて気づくケースが大半です。
FC化初日 STEP 3
募集資料の骨格をモデル収益から逆算して設計する
加盟金・保証金・ロイヤルティの設定より先に、「加盟者が月次で利益を出せる水準か」を確認する。その数字を根拠として、投資回収期間と収益の見通しを正直に開示できる募集資料の骨格を作る。
⚠️ よくある失敗:加盟金の設定から始めてしまい、後からモデル収益と辻褄が合わなくなる。あるいは、夢のある数字を並べた資料が開示書面と乖離してトラブルになる。
富士市のオーナーには、次回までにまず直営1店舗分の「オーナー不在P/L」を作ることをお願いしました。この一枚の数字が、FC化のすべての起点になります。
ここで、実際に支援を受けた方の声をご紹介します。飲食業ではなく美容サロンの例ですが、「フル稼働しなくても回る体制」への移行という点で、FC化を目指す飲食経営者の方にも共通するものがあると思います。
「客単価改善で月商230万を達成できました。以前はとにかく自分が動かなければという感覚が強かったのですが、仕組みを整えていく中でフル稼働しなくても回る体制に近づいてきて、毎日に目的地ができた感覚があります。」
オーナー1人+アシスタント体制のサロン経営者(40代・女性)
「毎日に目的地ができた」——この言葉は、仕組みを整えた先にある感覚を的確に表していると思います。投資家・副業オーナーが加盟したくなる本部を作るということは、オーナー自身が属人的な現場仕事から抜け出す設計を先に整えるということでもあります。
まとめ:FC相談の「第一歩」は、加盟者を集めることではない
富士市のオーナーと過ごしたこの一日を通じて、改めて感じたのは「FC化の第一歩」が多くの経営者のイメージとズレているということです。
加盟者を募集することが第一歩ではありません。「加盟者が儲かる構造かどうか」を確認し、省人化できるオペレーションを整え、現実の数字を根拠にした募集資料を作る——この順番で準備を進めることが、投資家・副業オーナーに「投資として選ばれる本部」への正しい道順です。
私がこれまで833件以上の店舗支援を通じて一貫して言ってきたのは、「売上より利益」です。FC化においても同じで、加盟店数より「閉店しない加盟店の数」が本部の信頼と継続につながります。
静岡県内の飲食経営者の方で、FC本部構築の進め方の入門的な情報をお求めの方は、ぜひ参考にしてみてください。また、本部化を決めるまでに清水駅周辺のコンサルに相談した経営者の体験談もあわせてお読みいただくと、相談前のイメージが具体的になるかと思います。
富士市をはじめ静岡県内・全国の飲食経営者の方からのご相談を、増益繁盛クラブでは平日10時〜15時(土日祝休)にお受けしています。「まだ早いかもしれない」と思っている段階でも、FC化適性の診断からお話しすることができます。準備が整っていない段階であれば、正直にそうお伝えします。それもまた、伴走型の支援だと思っています。