2店舗目を出したとき、あなたはそこに「通い続けて」いませんか?
「新店舗だから自分が入らないと不安」「スタッフに任せたら質が落ちる」「まだ軌道に乗っていないから」——そう言い訳しながら、1号店も2号店も自分が回している経営者を、私はこれまで何人も見てきました。
こんにちは、増益繁盛クラブ事務局スタッフの渥美 昌代です。普段はコンテンツ運営や会員サポートを担当しています。休日は畑に出て土を耕したり、愛猫のアメリカンショートヘアと過ごしたり——なかなか穏やかな日常を送っているのですが、仕事でいちばん心が痛むのは、「忙しく動き続けているのに、手元にお金が残らない」と疲れ果てた顔でご相談してくださる美容室経営者の方と話すときです。
今回は、ジョイマンのコンサルティング現場で実際に起きた、ある美容室オーナーの6ヶ月間の記録をもとに、「2店舗目にオーナーが現場に入り続けた結果、何が起きるのか」をお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 2店舗目でオーナーが現場に居続けると何が起きるか(6ヶ月の経緯)
- 「自分がいないと回らない」状態が生まれる本当の原因
- 仕組み化なき多店舗展開が利益を圧迫する構造
- 現場から抜け出し、利益が残る経営に転換する具体的な考え方
こんな方におすすめ
- ✅ 2店舗目を出したばかり、または検討中の美容室オーナー
- ✅ 「自分がいないとお店が回らない」と感じている方
- ✅ スタッフに任せることへの不安が拭えない方
- ✅ 多店舗展開したのに利益が増えず、むしろ疲弊している方
- ✅ 仕組み化・マニュアル化に興味はあるが、どこから手をつければいいか分からない方

1号店も2号店も「自分が回す」——気づかなかった6ヶ月間
あるオーナーの話をしましょう(特定を避けるため、詳細は一部変えています)。
独立から7年、1号店を順調に育ててきたAさんは、念願の2店舗目を出店しました。スタッフは採用した。内装も整えた。でも、いざ開店してみると「やっぱり自分がいないと心配」という気持ちが抑えられなかった。
最初の1ヶ月は「立ち上げだから」と自分に言い聞かせました。2ヶ月目も「まだ軌道に乗っていないから」。3ヶ月目には「スタッフの教育が終わっていないから」。——そうして6ヶ月が経ったとき、Aさんの体と経営に何が起きていたか。
- 1号店の売上が前年比で下がり始めた(オーナー不在の影響)
- 2号店は売上が立っているが、人件費・家賃を引くと利益がほぼ出ない
- Aさん自身は週休1日も取れず、体調を崩し始めた
- 家族との時間がほぼゼロになり、夫婦間にひずみが生じた
「店舗が増えた=成功」のはずだったのに、現実はまったく逆でした。
なぜ「自分がいないと回らない」状態になるのか
これは、Aさんが特別に経営が下手だったわけではありません。むしろ、勤勉で技術力があり、お客さんへの責任感が強い方でした。
問題は、1号店で「自分が現場に入ることで売上を作る」というモデルのまま、2店舗目に乗り出してしまったことです。
仕組みが作られていない状態で店舗を増やすと、単純に「自分が動かなければならない場所」が倍になるだけです。売上は増えても、労働時間も増える。結果として、利益率はむしろ下がります。
「社長が現場で一番うまく仕事をしている店は、実は一番危ない店です。なぜなら、社長という経営資源が最も価値の低い使われ方をしているから」
ハワードジョイマン(繁盛店グループ総代表/店舗利益最大化コンサルタント)
ジョイマンがよく言う言葉があります。「40点のスタッフでも店が回る仕組みを作ることが、社長の本当の仕事だ」と。
技術や接客のクオリティを自分が担保しようとする限り、経営者は現場から抜け出せません。そして現場から抜け出せない社長は、「仕組みを作る時間」を永遠に持てないのです。
✓ ここまでのポイント
- 2店舗目でオーナーが現場に張り付くと、売上は増えても利益・体力・家族時間のすべてが目減りする
- 「自分がいないと回らない」のは個人の問題ではなく、仕組みなき拡大という構造問題
仕組み化なき多店舗展開が利益を圧迫する、3つの構造
Aさんのケースで実際に起きた利益の圧迫を、もう少し具体的に整理してみます。
チェックポイント1:1号店の客単価・再来店率が落ちていないか
オーナーが2号店に集中するにつれ、1号店での細かな接客提案——「次回はこのトリートメントをおすすめしますね」「40日後にいらしてください」——ができなくなります。スタッフはその提案をしていない。結果として客単価が下がり、来店間隔が伸びます。
✅ ポイント:客単価と再来店率は、オーナーの目が届かなくなった瞬間から静かに落ち始めます。この2指標を週次でモニタリングする仕組みを先に作っておくことが不可欠です。
チェックポイント2:2号店の利益計算を「売上-経費」で止めていないか
新店舗は「売上が立っている」と思いがちですが、オーナーの労働時間をコストに換算すると、実際の利益はほぼゼロ、あるいはマイナスということが珍しくありません。オーナーの時間単価を設定し、それを経費として計上したときに利益が出るかどうかを確認する必要があります。
✅ ポイント:「自分が入っているから黒字」は、正確には「自分の給料を払っていないから黒字」です。経営者の時間コストを含めた損益計算をしてみてください。
チェックポイント3:スタッフへの業務移管リストが存在するか
Aさんのケースでは、スタッフへの引き継ぎが「口頭の説明」だけで終わっていました。何度も同じことを聞かれ、そのたびにAさんが対応する——これが「自分がいないと回らない」幻想を強化していました。
✅ ポイント:業務を「言語化→リスト化→チェックシート化」するだけで、スタッフの自走度は大きく変わります。最初の投資として、この言語化に時間を使う価値があります。
「毎日1時間でいい。現場の作業をやめて、仕組みを作ることに集中してほしい。それが積み重なったとき、初めて経営者は現場から自由になれる」
ハワードジョイマン(繁盛店グループ総代表/店舗利益最大化コンサルタント)
6ヶ月後、Aさんが選んだ転換点
Aさんがジョイマンに相談してきたのは、ちょうど出店から6ヶ月が経った頃でした。体調も気力も限界に近く、「2号店を閉めることも考えている」という状態でした。
ジョイマンのアドバイスは、いたってシンプルでした。
現場から抜け出す STEP 1
「今週の自分の仕事リスト」を書き出す
まず自分が毎日やっている作業を全部書き出しました。カット、カラー、レジ、発注、スタッフへの指示、SNS更新……。このリストを「自分しかできない仕事」と「本来スタッフに移管できる仕事」に分類するところから始めました。
⚠️ よくある失敗:「自分しかできない」の欄に何でも入れてしまう。本当に自分にしかできないのか、一度疑ってみることが大切です。
現場から抜け出す STEP 2
移管できる仕事を1つずつマニュアル化する
完璧なマニュアルを最初から作ろうとしなくてよい。「まずA4の紙1枚、手順を箇条書きにする」だけでいい。それをスタッフに渡し、試してもらいながら修正していきました。
⚠️ よくある失敗:完璧なマニュアルを作ろうとして、1ヶ月経っても何も作れないまま終わる。40点のクオリティで構いません。
現場から抜け出す STEP 3
客単価・再来店率を「数字で見える化」する
週に一度、たった2つの数字——「平均客単価」と「再来店率(リピート率)」——を確認する習慣をつけました。これだけで、現場に毎日いなくても経営の健康状態が把握できるようになります。
⚠️ よくある失敗:「大体感覚でわかる」で済ませてしまう。感覚は正確ではありません。数字で見ると、現実を正直に教えてくれます。
Aさんは3ヶ月かけてこのプロセスを実践しました。2号店への訪問を週4日から週2日に減らし、空いた時間を「仕組み作り」と「1号店のお客さんへの販促活動」に充てました。結果として、1号店の客単価が戻り始め、2号店のスタッフが自走できる場面が増えてきた——と聞いています。
「ジョイマン先生に相談するまで、『自分が入らないといけない』というのが当たり前だと思っていました。でも実際は、自分が現場に入ることへの依存を、自分自身が作り出していたんだと気づきました。仕組みを作るって、最初は怖い。でも一つやってみると、意外とスタッフが動いてくれた。」
(40代・男性・美容室オーナー)
まとめ:「現場に入り続けること」は美徳ではない
渥美は畑を耕すのが好きなのですが、畑でいちばん大切なのは「土台を整えること」です。土壌が整っていないと、どれだけ種を蒔いても育ちません。経営も同じだと感じています。仕組みという土壌を整えてからでないと、店舗を増やしても収穫は増えない。
2店舗目に現場で頑張り続けることは、一見すると責任感の強さのように見えます。でも実際は、「仕組み化から逃げている」という側面もあります。
忙しく働いているのに利益が残らない、疲れているのに休めない——その状態を変えるのは、もっと頑張ることではなく、「仕組みをデザインすること」です。
支援実績833件以上、美容室だけでも150件以上の現場を見てきたジョイマンは、「現場から抜けられない経営者を、利益が残る仕組みのある経営者へ」転換する手法を体系化しています。業界経験21年、中小企業診断士として、即実践できるノウハウだけをお伝えしています。
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