秋彼岸を過ぎると、急に夕暮れが早くなりますよね。「あれ、もうこんな時間か」と気づいた瞬間、まだ仕込みが半分も終わっていない——そんな経験、ありませんか。
飲食店の現場では、仕込みは「開店前に終わらせるべきルーティン」として半ば当然視されています。でも実際のところ、仕込みに費やす時間が経営者の手元からどれだけの時間を奪っているか、数字で把握している方は少ない。
私がこれまで21年間・延べ数百店舗の飲食店・美容室オーナーを支援してきた中で、仕込みの非効率が「手元にお金も時間も残らない」状態の根っこにあるケースは非常に多かった。今回はそこにフォーカスして、仕込みを効率化する3つのコツをお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 仕込みに「何時間」かかっているか、数字で把握する重要性
- 仕込みを分業・集約・手放すための具体的な3つのアプローチ
- 仕込みの効率化が「自分の時間を取り戻す」ことに直結する理由
- 月商20%増を実現したカフェオーナーの実例から学べること
こんな方におすすめ
- ✅ 毎日仕込みに追われて、経営のことを考える時間がとれていない方
- ✅ 仕込み作業を「自分でないとできない」と思い込んでいる方
- ✅ 忙しく働いているのに、手元にお金も時間も残らないと感じている方
- ✅ スタッフに任せたいけれど、どこから手をつければいいか分からない方
- ✅ 仕込みを減らしても売上が落ちないか不安な飲食店オーナーの方

仕込みに何時間かけているか、あなたは知っていますか?
まず確認したい事実があります。
飲食店オーナーにヒアリングすると、「仕込みにかかっている時間」を正確に把握している方は驚くほど少ない。「だいたい3〜4時間くらい」という感覚値はあっても、何の作業に何分かかっているかを工程ごとに計測したことがある方は、体感として全体の1割にも満たない印象です。
感覚で「3時間」と言っていた方が、実際に1週間記録をつけてみると1日あたり平均4時間45分だった——こういうケースは珍しくありません。週5日営業なら、それだけで週約24時間が仕込みに消えている計算です。
効率化の前に、まず「現状を数字で知ること」が出発点です。感覚ではなく、計測する。これが最初の一歩。
仕込みの工程を洗い出し、それぞれにかかっている時間を記録するだけで、「この作業、本当に自分でやる必要があるのか?」という問いが自然に生まれてきます。
仕込みの工程を書き出そうとしても、「何から整理すればいいか分からない」で止まってしまう方は多いです。繁盛店ポータルの無料登録で使える「増益繁盛プランナー」では、AIと対話しながらお店の課題と優先順位を5ステップで整理できます。メールアドレスだけで無料登録できます。
コツ①:仕込みを「工程」に分解して、手放せるものを特定する
仕込みが非効率になる最大の原因は、「仕込み」という塊のまま捉えていることです。
たとえば「スープの仕込み」と言っても、食材の洗浄・カット・計量・加熱・冷却・保存容器への移し替えと、実際には複数の工程に分かれています。このうち、高い技術や判断が必要なのはどの工程でしょうか。
経験上、技術的な判断が必要な工程は全体の2〜3割程度であることが多い。残りの6〜7割は、やり方さえ整理すればスタッフや補助スタッフに任せられる工程です。
チェックポイント1:仕込みの工程を書き出せているか
「仕込み」という言葉でひとまとめにせず、実際に行っている作業を紙に書き出してみてください。10〜20工程に分かれることも珍しくありません。
✅ ポイント:工程ごとに「誰がやっているか」「何分かかっているか」「なぜ自分でやっているか」の3列を埋めるだけで、手放せる候補が見えてきます。
チェックポイント2:「自分でないとダメ」の根拠はあるか
多くのオーナーが「自分でやらないと品質が保てない」と感じていますが、実際には「やり方を言語化・図解していないから任せられない」状態であるケースが多数あります。
✅ ポイント:任せられない理由が「技術の差」なのか「説明不足」なのかを区別してください。後者なら、手順書1枚で解決することがほとんどです。
飲食店の仕組み化をはじめて取り組む方向けの具体的なやり方も参考にしてみてください。
コツ②:仕込みを「分業」して、作業時間を構造的に削る
工程が分解できたら、次は分業の設計です。ここで重要なのは「任せる」ではなく「設計する」という意識です。
分業がうまくいかないオーナーに共通しているのは、「スタッフに言ったけどうまくやってくれない」という状態です。でもこれ、原因はスタッフ側にあるのではなく、分業の設計ができていないことにあります。
分業を機能させるには、次の3点が必要です。
- ①何をどのレベルまでやるか:完成基準を数字や写真で示す
- ②どの順番でやるか:工程の順番を固定し、迷いをなくす
- ③確認のタイミング:途中チェックのポイントを決める
これが整っていれば、スタッフは「考えなくてもできる」状態になります。そしてオーナーは、スタッフが動いている間に経営の仕事を進められる時間が生まれます。
「仕込みを任せられないのは、スタッフの能力の問題じゃない。任せる仕組みがないだけです。仕組みは経営者が作る。それが社長の仕事です。」
ハワードジョイマン(繁盛店研究所 主宰・中小企業診断士)
実際、仕組み化の前と後で何が変わるかを整理した記事も書いていますので、参考にしてみてください。
✓ ここまでのポイント
- 仕込みの非効率は「感覚」ではなく「計測」で初めて見える。工程ごとに時間を記録することが出発点。
- 「仕込み」を塊で捉えず工程に分解すると、技術が必要な部分は全体の2〜3割。残りは設計次第で任せられる。
- 分業を機能させるには「任せる」ではなく「完成基準・順番・確認ポイントを設計する」ことが先決。
分業の設計や「やめる判断」の基準が分からないまま進めると、結局また全部自分でやり直すループに戻ってしまいます。動画講座「行動収益化法」では、1週間の行動を分析して利益に直結しない作業を特定し、「なくす・任せる・外注する」を判断するための6つの選択肢を具体的に学べます。全8本・約6時間17分で、購入後すぐに視聴できます。
「仕込みの分業を始めてから、閉店後に作業を引きずらなくなりました。仕込みを分けたことで、月商も結果的に20%増えて、『安売りしなくても売上は伸ばせるんだ』と気づいた瞬間、視界がひらけた気がしました。」
カフェ経営・30代女性
このカフェオーナーが取り組んだのは、特別な設備投資でも大胆なメニュー改革でもありません。仕込みを工程に分解し、補助スタッフと分担できる体制をつくること。それだけで作業時間が短縮され、その空いた時間で物販やサブスクの仕組みを整えた結果、月商が20%増という数字につながりました。
コツ③:「仕込み量そのもの」を見直す——本当にその量が必要か
効率化のコツとして見落とされがちなのが、「仕込む量と種類を絞る」という視点です。
メニューが多ければ多いほど仕込みの種類は増え、それぞれに時間がかかります。でも、実際に売れているメニューを集計すると、売上の8割は全体メニューの2〜3割から生まれていることが多い。これは飲食業の現場で繰り返し確認してきた実感です。
つまり、残りの7〜8割のメニューのために費やしている仕込み時間は、売上への貢献度が低い可能性があります。
チェックポイント3:メニュー別の注文数を把握しているか
直近1ヶ月のPOSデータや手書きの注文記録を集計し、メニューごとの注文数と売上貢献度を出してみてください。
✅ ポイント:下位2〜3割のメニューを整理するだけで、仕込み工程が大幅に削れることがあります。メニューを絞ることは「手抜き」ではなく「集中」です。品質と仕込みの精度が上がり、結果としてお客様の満足度も高まります。
❌ よくあるパターン:「お客様のために選択肢を増やしたい」でメニューを増やし続ける
- 仕込みの種類が増えて時間が膨張する
- 各メニューの品質が分散し、看板商品の強みが薄れる
- 廃棄ロスが増えてコストが上がる
✅ 推奨アプローチ:売上上位のメニューに仕込みを集中させる
- 仕込み時間が短縮され、他の経営行動に時間を使える
- 看板メニューの品質が安定し、リピーターが増える
- 廃棄ロスの削減で利益率が改善する
飲食店オーナーが時間を作る手順では、こうした「やめる選択」を含めた時間の捻出方法について詳しく解説しています。合わせて読んでみてください。
仕込みの効率化は「時間を取り戻す」ための入口
仕込みの効率化は、単なる「作業の時短」ではありません。経営者が現場の作業から少しずつ手を離し、経営に使う時間を増やしていくための入口です。
仕込みに追われている状態では、新しい打ち手を考える時間も、スタッフと向き合う時間も、お客様に価値を届けるための仕組みを整える時間も生まれません。毎日を「こなす」だけになってしまう。
でも、仕込みを工程に分解して、分業し、量を絞っていくと——少しずつですが、確実に時間が戻ってきます。
その時間で何をするか。集客の仕組みを考える、客単価を上げるメニューを設計する、スタッフが自分で動ける体制を整える。それが積み重なったとき、「忙しいのに手元にお金が残らない」という状態から抜け出せます。
先ほどご紹介したカフェのオーナーが「視界が開けた」と表現したのは、仕込みの分業によって生まれた時間を使って、物販やサブスクという「自分がいなくても売上が立つ仕組み」をつくれたからです。忙しさを減らしながら月商が20%増という結果は、時間を取り戻したからこそ生まれたものです。
「儲かるアイデアと儲かる仕組みをつくるのが社長の仕事。仕込みに追われているうちは、その仕事ができていない。まず時間を取り戻すことが先です。」
ハワードジョイマン(繁盛店研究所 主宰・中小企業診断士)
まとめ:今日から仕込みの「計測」を始めよう
今回お伝えした3つのコツを整理します。
- コツ①:仕込みを工程に分解し、手放せる作業を特定する
- コツ②:完成基準・順番・確認タイミングを設計して分業を機能させる
- コツ③:売上への貢献度が低いメニューの仕込みを整理し、量そのものを見直す
どれも今日から着手できます。最初の一歩は、今週の仕込み時間を工程ごとに計測してみること。感覚ではなく数字で現状を知ることから、変化が始まります。
「時間がない」が口癖になっている経営者の方ほど、一度立ち止まって仕込みの工程を書き出してみてほしい。そこに必ず、手放せる時間が眠っています。
「仕込みを分業して時間を取り戻す」という方向性は見えた。でも、具体的にどう工程を分解し、どう基準値を設定し、何から手をつけるかが整理できていない——そこを埋めるのが動画講座「行動収益化法」です。作業を分解してマニュアル化し委譲する手順から、捻出した時間で売上を伸ばす行動設計まで、一連の流れを学べます。