「うちのスタッフ、言っても動かないんですよね」
「何度教えても、自分から動こうとしない」
「やる気があるのかないのか、正直わからない」
こういった声を、全国の美容室オーナーから本当によくいただきます。お客さんが来れば現場に出て、空いた時間にはスタッフへの声かけ。でも手応えがない。そのうち「うちのスタッフはそういうタイプなんだ」と諦めがちになってしまう。
ただ、私がこれまで833件以上の店舗経営者を指導してきた経験から言うと、「やる気のないスタッフ」と「やる気を引き出せていない環境」は、まったく別の話です。多くの場合、問題はスタッフ側にあるのではなく、働きかけ方の「設計」が抜けていることにあります。
今回は、実際に会員の方からいただいた声をもとに、スタッフの行動力を引き出すために経営者が今すぐできることをお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 「やる気がない」と感じる前に経営者が見直すべきこと
- スタッフが自ら動くようになる、働きかけの具体的な方法
- 行動力を引き出す仕組みのつくり方と現場での使い方
こんな方におすすめ
- ✅ スタッフに何度指示しても動いてもらえないと感じている方
- ✅ 自分一人が現場を回している状況から抜け出したい方
- ✅ スタッフ教育に時間をかけているのに成果につながらない方
- ✅ スタッフとの関係性をもっとうまく築きたいと思っている方
- ✅ 仕組み化を進めて、社長業に集中できる体制を作りたい方

「動かないスタッフ」より先に、「動ける仕組みがあるか」を確認する
増益繁盛クラブの会員の方から、こんな声をいただいたことがあります。
「ジョイマンさんの話を聞いて気づいたんですが、私、スタッフに『やってほしいこと』は伝えていたんですけど、『なぜやるのか』と『どうやるか』をちゃんと伝えていなかったんですよね。それから変えたら、少しずつスタッフが動くようになってきました」
40代・男性(美容室オーナー)
これ、すごく多いパターンです。
「次回予約を取って」「店販を勧めて」「POPを見てもらって」と指示は出す。でも、なぜそれが大事なのか、どのタイミングでどう声をかけるのかが共有されていない。スタッフにしてみれば、「やれと言われたけどどうすればいいかわからない」という状態のまま放置されているわけです。
人は「何をすればいいかわからないこと」に対して、自然と動きが鈍くなります。これはやる気の問題ではなく、設計の問題です。
まず確認してほしいのは、スタッフが「動ける」環境が整っているかどうかです。
チェックポイント1:「何をするか」だけでなく「なぜするか」を伝えているか
次回予約の取り方を教えるとき、「お客さんの髪の状態を保つために、40〜45日後に来てもらうことが大事」という理由まで伝えていますか? 理由がわかると、スタッフは自分ごとになって動けるようになります。
✅ ポイント:指示の前に「目的と背景」を1〜2文で添えるだけで、スタッフの納得感と行動率が変わります。
チェックポイント2:「どうやるか」の手順が明文化されているか
「いい感じにやって」「状況を見て対応して」という曖昧な指示では、スタッフは動けません。たとえば次回予約のトークスクリプト、店販を勧めるタイミング、POPの説明の仕方など、具体的な行動手順が紙やデジタルで残っているかを確認してみてください。
✅ ポイント:「40点のスタッフでも実行できる手順書」があることが、仕組み化の出発点です。
チェックポイント3:やったかどうかを確認できる仕組みがあるか
指示を出しっぱなしにして、確認のルーティンがない場合、スタッフは「言われたけどやらなくても何も言われない」という状態になります。確認とフィードバックのループがあって初めて、行動が定着します。
✅ ポイント:週に一度、5分でいいので「やってみた?どうだった?」と話す時間を作りましょう。
現場で使えた「声のかけ方」の工夫
別の会員の方からは、こんな声もいただきました。
「以前は『なんでやらないの』って詰める感じがあったと思うんですけど、ジョイマンさんから教わった言葉の使い方を変えたら、スタッフとの関係自体が変わりました。今は自分から報告してくれるようになっています」
50代・女性(美容室オーナー)
スタッフへの声のかけ方は、内容よりも「聞こえ方」が大事です。
たとえば——
❌ やってしまいがちなパターン
- 「なんでやらないの?」「言ったよね?」という詰める形の問いかけ
- うまくいかなかったときだけ声をかけ、できたときに何も言わない
- 「これくらい自分で考えて」という暗黙の期待
✅ 行動を引き出すアプローチ
- 「先週試してみてどうだった?」と結果ではなくプロセスに関心を持つ
- 小さな行動でもその場で「ありがとう、助かった」と口に出して伝える
- 「次はこうしてみよう」と改善を一緒に考える姿勢を見せる
「やる気を出せ」と言っても、やる気は出ません。でも、「やったことが認められる環境」があれば、人は自然と行動を繰り返すようになります。
「スタッフに変わってもらいたいなら、先に経営者が変わることです。変化を求めるのなら、まず自分の働きかけを変える。これが先です」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
✓ ここまでのポイント
- 「動かないスタッフ」の前に、「動ける仕組みと情報が整っているか」を確認すること
- 指示には「なぜ」と「どうやって」をセットにすることで、スタッフの行動率が変わる
- 声のかけ方を「詰める型」から「関心を持つ型」に変えると、関係性ごと改善されることがある
行動が続く仕組みをどうつくるか
一度動いてもらえたとして、それが続かなければ意味がありません。スタッフの行動を定着させるには、「毎回意識しなくても自然とやる流れ」をつくることが大切です。
客単価アップ STEP 1
小さな成功体験を先につくる
いきなり大きな変化を求めると、スタッフにとっての「失敗リスク」が大きく感じられます。まず「これだけやってみて」という小さな一歩を設定し、うまくいった体験を積み重ねることで、行動への心理的なハードルが下がっていきます。たとえば「今週はお会計後に次回の目安を一言添えてみる」だけでもOKです。
⚠️ よくある失敗:最初から完璧な接客を求めすぎて、スタッフが萎縮してしまうケース。完璧より「まずやってみること」を優先しましょう。
客単価アップ STEP 2
行動の「見える化」を仕組みに組み込む
次回予約の取得率や、店販のご案内をした件数など、行動の結果を記録・共有できる形にします。数字にすることで、スタッフ自身が「今週どうだったか」を振り返るきっかけになります。経営者が細かく管理するのではなく、スタッフが自分で気づける仕掛けをつくるのがポイントです。
⚠️ よくある失敗:数字を「管理・監視」として使うと逆効果。「みんなで良くするための情報共有」という文脈で導入することが大切です。
客単価アップ STEP 3
「なぜ大切か」を定期的に話す時間をつくる
月1回でも、15分でも、「なぜこのお店でこれを大切にしているか」を話す場があると、スタッフの行動に一貫性が生まれます。日々の業務に追われていると、このような対話の時間は後回しになりがちです。でも、ここに時間を使うことが、長期的には現場を安定させる最短ルートです。
⚠️ よくある失敗:「忙しくてそんな時間はない」と後回しにし続けることで、毎回同じ問題が繰り返される悪循環に入ってしまいます。
「自分が動かないと店が回らない」から抜け出すために
ここまでお読みいただいた方の中には、「それができたらそもそも困ってないんだよな」と感じた方もいるかもしれません。
その感覚、すごくよくわかります。時間もない、余裕もない、毎日施術してスタッフのフォローもして、それでまだ「仕組みを設計する」のかと。
ただ、私がずっとお伝えしているのは、「社長が現場作業者であり続ける限り、構造は変わらない」ということです。
毎日1時間だけでいい。施術でも接客でもなく、「お店の設計をする時間」を意識的に確保する。その時間の使い方を変えることで、半年後・1年後のスタッフの動き方は確実に変わります。
私自身も、独立直後に貯金を使い果たし、家族に頭を下げて借金した経験があります。その中でわかったのは、「今と同じことを続けても状況は変わらない」という当たり前のことでした。何かを変えるには、どこかで動き方を変えるしかない。それはスタッフも経営者も同じです。
まとめ:「やる気がない」は結論じゃない
スタッフが動かないと感じたとき、その前に一度立ち止まってみてください。
「動ける情報が渡っているか」「動ける仕組みがあるか」「動いたことが認められているか」——この3つが揃っていないまま「やる気がない」と結論づけると、本質的な改善につながりません。
実際に増益繁盛クラブの会員の方々も、「スタッフへの働きかけ方を変えたら、自分が楽になった」という声を多くいただいています。それは偶然ではなく、スタッフが自分で動ける環境をつくったことの結果です。
美容室経営で利益を残していくには、経営者一人で全部を抱えない体制が必要です。そのための第一歩が、今日お伝えした「働きかけ方の設計」です。
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