美容室の2店舗目を出す経営者のうち、3年以内に採算が取れず1店舗に戻るか閉店するケースは少なくない、という現実をご存知でしょうか。
多くの場合、その原因は「集客不足」でも「スタッフ不足」でもありません。開業前の内装投資が利益構造に見合っていなかったことが、経営を圧迫する大きな要因のひとつになっています。
「2店舗目の内装費はいくらかけるべきか?」という問いに、明確な「正解の金額」はありません。ただ、「利益から逆算した投資の上限」は計算できます。
私ハワードジョイマンは、静岡市清水区を拠点に21年間・833件以上の店舗経営者を支援してきました。そのなかで、2店舗目・3店舗目への出店を実現したクライアントと、出店後に苦しんだクライアント、両方の現場を見てきました。
今回は、そこから見えてきた「内装費の考え方」を、実際の事例をもとにお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 2店舗目の内装費で「失敗するパターン」と「うまくいくパターン」の違い
- 利益から逆算した内装投資額の考え方と目安
- 内装費よりも先に整えるべき「経営の土台」とは何か
- 2店舗目出店を現実にしたクライアントの実例と再現ポイント
こんな方におすすめ
- ✅ 2店舗目の出店を検討しているが、内装費の適正額がわからない方
- ✅ 開業費用を抑えたいが、どこまで削れるか判断できない方
- ✅ 1店舗目の利益が安定してきて、次のステップを考えている美容室オーナーの方
- ✅ 内装にこだわりすぎて資金繰りが不安になった経験がある方
- ✅ 投資回収の計算をしたことがなく、なんとなく出店を判断しようとしている方

「内装にこだわればお客さんが来る」という思い込みが危ない
2店舗目の内装費について相談を受けると、多くのオーナーがこんな発言をします。
「1店舗目は節約しすぎたので、2店舗目はしっかりお金をかけたい」
「内装がきれいでないと、お客さんが来てくれない」
気持ちはよくわかります。しかし、ここには経営上の落とし穴があります。
内装はたしかに「来店動機のひとつ」にはなります。ただ、内装がきれいだから利益が出るわけではありません。内装費は初期投資として固定費に乗っかり、毎月の返済や減価償却として経営を圧迫し続けます。
内装費1,000万円を5年返済にすると、毎月約16万7,000円の返済負担が生まれます。これは「毎月売上がそれだけ余分に必要」ということを意味します。売上が想定より低かった月でも、この返済は容赦なく発生します。
❌ よくある失敗パターン:「内装費ありき」の出店
- デザイナーやリフォーム業者の提案に引きずられ、予算が膨らむ
- 「映える内装」を目指すあまり、回収計算が後回しになる
- 開業後の運転資金が足りず、販促に投資できなくなる
- 集客できないのに内装返済だけが続く、という状況に陥る
✅ うまくいくパターン:「利益の逆算」から出店
- 想定月商・想定利益率から投資回収期間を先に計算する
- 内装費の上限を「回収期間○年以内」というルールで決める
- 削れる部分と削ってはいけない部分を明確に仕分ける
- 開業後の販促費・運転資金をしっかり手元に残しておく
内装費の「適正額」は利益から逆算して決める
内装費に「業界の相場」はあります。美容室であれば坪あたり30万〜60万円程度が一般的な目安と言われています。ただし、これはあくまで「市場価格の目安」であり、あなたのお店の利益構造に合った金額かどうかは別の話です。
私がクライアントに必ずやってもらうのは、以下のシンプルな逆算です。
チェックポイント1:月次利益から投資回収期間を計算する
2店舗目の想定月商と利益率から、毎月残せる利益額を出します。たとえば月商150万円・利益率20%なら、月次利益は30万円です。内装費が600万円であれば、単純計算で20ヶ月(約1年8ヶ月)が回収期間になります。
これが3年を超えるようであれば、内装費を削るか、単価・来店頻度の改善計画を先に立てる必要があります。
✅ ポイント:投資回収期間は「2〜3年以内」を目安に設定する。それを超える場合は内装費を削るか、出店時期を見直す判断も必要です。
チェックポイント2:1店舗目の利益構造が安定しているか確認する
2店舗目を出す前に確認したいのが、1店舗目の数字の安定度です。客単価・リピート率・月次利益が安定して出ているか。「忙しいけど利益が薄い」状態のまま2店舗目を出すと、経営者の時間とお金が分散してどちらも中途半端になりやすい。
✅ ポイント:1店舗目で「仕組み」と「利益の出る構造」が確立していることが、2店舗目成功の前提条件です。
チェックポイント3:開業後の運転資金と販促予算を別に確保しているか
内装費の計算だけに気を取られ、開業後の運転資金・広告費・人件費の準備が薄くなるケースが多い。新しいお店はオープン直後から集客が必要で、そこに投資できないと一気に苦しくなります。
✅ ポイント:内装費とは別に、最低3〜6ヶ月分の運転資金と初期の販促予算を手元に確保しておくことが重要です。
✓ ここまでのポイント
- 内装費の適正額は「業界相場」ではなく「自店の利益からの逆算」で決める
- 投資回収期間2〜3年以内を目安に上限額を設定する
- 1店舗目の利益構造が安定していることが、2店舗目出店の前提条件
内装費よりも大切な「出店前に整えること」
「2店舗目を成功させた経営者に共通しているのは、内装費をいくらかけたかではなく、1店舗目の数字をどれだけ把握していたかです。売上ではなく、利益の構造を理解していた人が次のステージに進めています」
ハワードジョイマン(繁盛店グループ総代表/店舗利益最大化コンサルタント)
私が支援してきた中で、2店舗目・3店舗目の出店を実現したクライアントには、ある共通点がありました。それは「内装をどうするか」より前に、経営の仕組みが整っていたことです。
具体的には次のような状態です。
・客単価が安定して上がっている(カット+αの提案が自然にできている)
・リピート率が一定水準を維持している
・次回予約の仕組みが店舗に根付いている
・自分がいなくても店が回る仕組みがある程度できている
・月次の利益額と利益率を毎月把握している
逆に言えば、これらができていない段階で2店舗目を出すのは、穴の開いたバケツをもう1個持つようなものです。どれだけ水(お客さん・売上)を注いでも、利益という水は溜まりません。
内装費の話は「出店を決める前の土台」が整ってから、初めて意味のある議論になります。
実例:2店舗目を成功させたクライアントの判断プロセス
あるスタイリスト2名の小規模美容室を経営するオーナーから相談を受けたときのことです。「2店舗目の物件が見つかった。内装費の見積もりが出たのだが、これで大丈夫か」という相談でした。
最初に確認したのは、内装費の金額ではなく1店舗目の経営状態でした。
2店舗目出店 STEP 1
1店舗目の「利益の出る構造」を言語化する
客単価・リピート率・来店頻度・月次利益率を数字で把握してもらいました。このとき、多くのオーナーが「売上は知っているが、利益率を把握していない」という状態です。まずここを整理することが出発点です。
⚠️ よくある失敗:売上の数字だけで「順調だから大丈夫」と判断し、利益率を確認しないまま出店を決めてしまう。
2店舗目出店 STEP 2
2店舗目の想定月商・想定利益率から内装費の上限を逆算する
物件の立地・客層・席数をもとに保守的な想定月商を設定。そこから内装投資の回収期間が2〜3年以内に収まる金額の上限を計算しました。出てきた金額と実際の見積もりを比較し、削れる箇所を業者と交渉しました。
⚠️ よくある失敗:業者の提案をそのまま受け入れ、削れる部分を交渉しないまま契約してしまう。
2店舗目出店 STEP 3
開業後の販促計画と運転資金を先に確保する
内装費を回収計算の範囲内に収めたうえで、開業後3〜4ヶ月分の運転資金と、新規集客のための広告・販促費を別に確保する計画を立てました。「お金をかけずに集客する」という発想ではなく、開業直後に適切な広告投資ができる体力を持った状態でオープンすることが重要です。
⚠️ よくある失敗:内装費に予算を使い切り、開業後の販促費がゼロになる。結果、口コミだけを頼るしかなくなり、集客に時間がかかる。
このクライアントは、内装費を当初の見積もりより削減し、浮いた資金を開業後の販促と運転資金に充てました。開業から数ヶ月で2店舗目の月次収支が安定し、現在は3店舗目の検討段階に入っています。
「2店舗目は夢ではなく、数字の問題です。感情ではなく、利益の逆算で判断できた経営者だけが、次のステージへ進める。それは21年間、多くの現場を見てきた私の実感です」
ハワードジョイマン(繁盛店グループ総代表/店舗利益最大化コンサルタント)
「ジョイマンさんに相談するまで、内装費の話しか考えていませんでした。でも利益から逆算する考え方を教えてもらって、出店の判断が数字でできるようになりました。感覚で動いていた自分が怖かったです」
美容室オーナー(40代・男性)
まとめ:内装費は「いくらかけるか」より「いくらまでかけられるか」で決める
2店舗目の内装費に「正解の金額」はありません。ただ、「あなたのお店の利益構造から見た上限額」は計算で出せます。
今回の内容を整理すると、
・内装費は利益から逆算し、投資回収期間2〜3年以内に収める
・内装費よりも先に、1店舗目の利益の仕組みを整えておく
・開業後の運転資金と販促費を内装費とは別に確保する
・広告・販促への投資を惜しまない体力を持った状態でオープンする
2店舗目の出店は、正しい判断基準さえ持てれば、現実的な目標になります。「いつか2店舗目を」と思っているなら、今の1店舗目の数字を整理することから始めてみてください。
私は静岡県静岡市清水区を拠点に、全国の美容室オーナーをオンライン・会員サポートで支援しています。833件以上の指導実績と21年の経験から、あなたのお店に合った具体的なアドバイスをお伝えできます。
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