3.行動戦略と時間創出

飲食店オーナーが時間を作る方法、朝から晩まで動き続けている方へ

11月に入って、日が暮れるのが一段と早くなってきました。夕方5時にはもう外が暗い。飲食店のオーナーにとって、この時季は年末に向けての仕込みや準備が増えてくる時期でもあります。

ただ、こんな話をしても「季節を感じる余裕がない」という方も多いはず。朝イチで仕込みに入って、ランチで回して、アイドルタイムに発注と清掃、夕方から夜の営業、閉店後の締め作業。気づいたら深夜。翌朝また繰り返す。

ぼくはこういう状態を「働く機械になっている」と呼んでいます。悪い言い方に聞こえるかもしれませんが、これは能力の問題じゃない。構造の問題です。

今日は、ぼく自身が日々どういう動き方をしているかをベースにしながら、「時間を作る」ということの本質を、現場目線でお伝えしたいと思います。

📋 この記事でわかること

  1. 「時間がない」の正体が、能力でなく構造にある理由
  2. 厨房に入りっぱなしのオーナーが最初に手放すべき工程とは
  3. 寿司店オーナーが1日1.5時間を捻出した具体的な仕組み
  4. 空いた時間を「社長業」に変えるための朝から晩までの使い方

こんな方におすすめ

  • ✅ 開店から閉店まで厨房に立ち続けている飲食店オーナーの方
  • ✅ スタッフに任せたいが「自分がやったほうが早い」と思ってしまう方
  • ✅ 忙しいのに手元に利益が残らず、原因が分からない方
  • ✅ 経営の時間を作りたいが、何をどう手放せばいいか分からない方
  • ✅ 「このままじゃまずい」という危機感を抱えながら動けていない方
飲食店オーナーが時間を作る方法、朝から晩まで動き続けている方へ | 有限会社繁盛店研究所

朝のぼくが最初にやること——「今日の社長業」を決める15分

ぼくの朝は、パソコンを開く前に始まります。手帳を開いて、今日「経営者としてやること」を3つだけ書く。これが一番大事な習慣です。

飲食店のオーナーに置き換えると、こうなります。「今日の社長業は何か」——これを明確にせずに厨房に入ると、一日が終わった後に何も残らない。売上は立った、お客さんには喜ばれた。でも経営は1ミリも前に進んでいない。

多くのオーナーは朝の時間を「仕込み」で使い切ってしまいます。仕込みは必要な作業です。でも、仕込みは「誰かができる作業」でもあります。オーナーが毎朝2時間かけてやる必要があるかどうか、一度立ち止まって考えてみてほしいんです。

ぼくが経営者に最初に聞くのは「今日、あなたにしかできなかった仕事は何ですか?」という質問です。この答えが出てこない日が続いているなら、それが問題の核心です。

「今の現実は100%自分が作り出している。だとすれば、変えられるのも自分だけだ。そこに気づいた瞬間から、人は動き出せる。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所 主宰)

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午前中——「工程の分解」が時間を生む唯一の入口

では具体的にどうするか。

ぼくが支援した寿司店の50代男性オーナーの話をします。客単価6,000円の店で、オーナー自身が仕込みから握りまで全部担っていました。スタッフはいるのに「任せると品質が落ちる」という理由で、結局全部自分でやっていた。

最初にやったのは、「自分の一日の作業を全部書き出すこと」でした。15分単位で何をしているかを3日間記録する。すると、自分にしかできない作業と、誰でもできる作業が明確に分かれてくる。

このオーナーの場合、「シャリの炊き加減の確認」と「ネタの目利き・仕入れ判断」は自分にしかできない。でも「シャリを容器に分ける作業」「ネタを冷蔵ケースに並べる」「食器の洗浄・セット」は、教えれば誰でもできる作業だった。

これを分けて、誰でもできる側をスタッフに委ねる。オーナーは「チェックする人」になる。この切り替えだけで、午前中に1時間近くの空白が生まれました。

チェックポイント①:「自分でやる理由」が本物かどうかを疑う

「自分がやったほうが早い」「クオリティが落ちる」——この言葉が出てきたとき、それは本当に正しいでしょうか。それとも、任せ方を知らないだけでしょうか。

✅ ポイント:工程を言語化してみてください。手順を「言葉で説明できない作業」は、まずマニュアル化が先。説明できる作業は、今すぐ誰かに渡せます。

チェックポイント②:「確認」と「作業」が混在していないか

オーナーが「確認」のつもりでやっている仕事の中に、「作業」がまぎれていることがある。仕入れの確認なのか、仕入れそのものをやっているのか。ここがあいまいなまま動いていると、時間はいつまでも返ってきません。

✅ ポイント:「確認だけ自分、作業は委ねる」という役割の線引きを明確にすること。これがオーナーが現場から一歩引くための最初の設計です。

✓ ここまでのポイント

  • 朝に「今日の社長業」を3つ決めることで、一日の優先順位が変わる
  • 工程を15分単位で書き出すと「自分にしかできない作業」と「委ねられる作業」が見えてくる
  • 「確認」と「作業」を分けることが、厨房から経営へのシフトの出発点になる

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午後——空いた時間を「経営の時間」に変える具体的な使い方

さて、午前中に空白が生まれたとして、その時間を何に使うかが次の問題です。

ここで多くのオーナーがやってしまうのが、「空いた時間でまた別の作業をする」パターン。発注をまとめる、清掃を前倒しする、SNSの更新をする——これ自体は悪くない。でも、それが「社長業」かどうかは別の話です。

先ほどの寿司店のオーナーは、捻出した時間を使って、「どのお客さんに何を提案すれば単価が上がるか」を考えるようになりました。常連のお客さんの好みを振り返り、今まで提案していなかったおまかせコースの案内を始めた。その結果、客単価は6,000円から8,500円に上がり、「価値で選ばれている」という実感が生まれたとおっしゃっていました。

「客単価が6,000円から8,500円になりました。時間を捻出してからは、1日1.5時間、自分のことを考えられるようになった。お客さんに価値で選ばれている、という実感が初めて生まれた気がします。」

寿司店オーナー(50代・男性)

この変化は、技術が上がったわけじゃない。時間ができて、考える余白が生まれたことで起きた変化です。

ぼく自身も、午後の前半は「考える仕事」に使います。クライアントの状況を整理する、次の打ち手を設計する、発信する内容を考える。これが社長業の核心です。作業じゃなくて、判断と設計。ここに時間を使えているかどうかで、半年後の経営がまったく変わってきます。

飲食店オーナーに時間がない本当の原因を深く掘り下げた記事も参考にしてみてください。「忙しいから時間がない」ではなく、「時間の使い方が設計されていないから忙しい」という構造が見えてきます。

夕方〜営業中——「いない自分」を想定した仕組みを作る

ここからが本番、という感覚を持っているオーナーも多いでしょう。夕方の仕込み、開店準備、ランチで使ったものの補充。そして夜の営業が始まる。

この時間帯、オーナーが「いなくても回る仕組み」を作れているかどうかで、経営の未来が変わります。

ポイントは「自分がいない前提で設計する」こと。自分が急病で休んだとしたら、今日の営業はどうなるか。この問いに「問題なく回ります」と言えるなら、仕組みができている証拠です。「自分がいないと無理です」という答えが出るなら、それが今すぐ手をつけるべき課題です。

チェックポイント③:繁忙時間帯にオーナーだけが担っている工程はないか

ピーク時に「自分しかできない」状態が続いているとしたら、そこがボトルネックです。どんな工程か、なぜ自分でなければならないかを書き出してみてください。

✅ ポイント:「自分しかできない」の多くは「まだ教えていない」が正体。一度マニュアル化して試してみることが、仕組み化の第一歩になります。

飲食店の業務効率化を現場から進める具体的な方法についても別の記事で詳しく書いています。スタッフの動き方が変わったときに何が起きるか、現場目線で解説しているのでぜひ読んでみてください。

閉店後の15分——翌朝の「社長業」を仕込む時間

ぼくは閉店後(仕事の締め)に15分だけ、必ず振り返りをします。「今日の社長業、3つのうち何ができたか」「できなかったとしたら何が邪魔したか」「明日の3つは何にするか」——これだけ。

この習慣が地味に見えて、一番効いています。振り返らないと、同じ一日を繰り返し続けるだけだからです。

飲食店のオーナーも、閉店後の15分をこれに使ってほしい。売上の集計だけで終わらせない。「今日、自分が経営者として何をしたか」を確認する時間を持つことが、明日の動き方を変えていきます。

「忙しい」という言葉をぼくはあまり使いません。「大人気」という言葉に置き換えています。忙しいは疲弊の言葉、大人気は誇りの言葉。使う言葉が変わると、状況の見え方が変わる。見え方が変わると、行動が変わる。

時間がないのは、能力が低いからじゃない。設計されていないからです。飲食店経営者が時間を取り戻す手順と考え方をまとめた記事も参考にしてもらえると、今日からの動き出し方が具体的になるはずです。

まとめ——「働く機械」から「経営する人間」へ

朝から晩まで動き続けている飲食店オーナーに、ぼくが伝えたいのは一つだけです。

「今の忙しさは、あなたの仕組みが作り出している」

これは責めているんじゃなくて、希望の話をしています。自分が作り出しているなら、自分で変えられる。工程を分解して委ねる。確認だけ担う。空いた時間を社長業に使う。閉店後の15分で翌日を設計する。

寿司店のオーナーが1日1.5時間を捻出して客単価を8,500円まで引き上げたのも、特別な才能があったからじゃない。「自分がやらなくていい作業」を手放す決断をしたからです。

とっとやれ、とぼくはよく言います。完璧に準備してから動こうとするのが一番遅い。まず今日の自分の一日を15分単位で書き出してみてください。それだけでいい。そこから始まります。

閉店後の15分で翌日を設計する、という話をしました。でも「何を設計すればいいか分からない」「やることが多すぎて優先順位がつけられない」という状態なら、まず動き方の土台を作るところから始めてください。未来デザインマップと曼荼羅シートを使って望む未来を描き、今日の行動に落とし込む方法を学べる動画講座です。視聴期限なし、スマホでも繰り返し見られます。

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