結論から言うと、飲食店の売上を上げるために最初にやることは「今やっていることを整理して、やめるものを決める」です。新しいことを追加するより先に、これをやらないと手詰まりのまま変わりません。その理由と具体的な手順を、順を追ってお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 売上が上がらない本当の原因が「やることの多さ」ではなく「優先順位のなさ」にある理由
- 社長が集中すべき仕事と、手放すべき作業を見分けるステップ
- 時間を捻出して売上につながる行動に集中するための具体的な進め方
- 「仕組み」をつくって自分がいなくても回る状態に近づく考え方
こんな方におすすめ
- ✅ 毎日忙しく動いているのに売上が上がらないと感じている飲食店オーナー
- ✅ やることが山積みで、何から手をつければいいか分からない方
- ✅ 値引きや集客サイト頼みから抜け出したいけれど時間がとれない方
- ✅ 自分が現場に入り続けなければ店が回らない状況をなんとかしたい方
- ✅ 「このままではまずい」という危機感はあるのに、動き出せていない方

「何から手をつければいいか分からない」のは、能力の問題じゃない
多くの飲食店オーナーから「やることが多すぎて、何から手をつければいいか分からない」という声をよく聞きます。仕込み、接客、発注、スタッフのシフト調整、SNSの更新、売上管理、クレーム対応——気づけば1日が終わっていて、「売上を上げるための動き」に時間を使えていないという状況です。
これは、あなたの能力が低いわけでも、努力が足りないわけでもありません。すべての仕事を「同じ重さ」で抱えてしまっているから起きていることです。
仕込みも、SNS投稿も、新メニューの開発も、全部「やらなきゃいけないこと」として並んでいる。でも実際には、売上に直結するものとそうでないものがあります。その区別をせずに毎日動き続けているから、忙しいのに手元にお金が残らない、という状態になるんです。
「原因は100%自分にある。その視点に立ったとき、初めて変えられる部分が見えてくる。やることが多すぎると感じているなら、それはまだ"やめる判断"をしていないというサインです」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所 主宰)
まず確認してほしいのは、「今週、売上に直結した行動に何時間使えたか」ということです。飲食店の労働時間が長い経営者が時間を取り戻すための考え方と手順でも詳しく書いていますが、時間の使い方を変えることが、売上を変える最初の一歩です。
「全部やらなきゃいけない」という感覚は、書き出してみるまで自覚しにくいものです。無料で受け取れる書籍8冊の中には、売上を伸ばした実践者が「何をどう変えたか」を具体的に語った134ページのインタビュー集も含まれています。メールアドレスだけで登録でき、すぐに読み始められます。
STEP1:今やっていることを書き出して「整理」する
仕事の棚卸し STEP 1
1週間の行動をすべて書き出す
まず、今週1週間でやったこと・やっていることを、思いつく限りすべて紙に書き出してください。「仕込み」「発注」「レジ締め」「SNS投稿」「スタッフへの指示」「売上の記録」——細かくて構いません。「当たり前にやっていること」ほど書き出す価値があります。
次に、それぞれの仕事に対して「これは売上に直結しているか?」という問いを立てます。直結しているものには○、していないものには×をつける。これだけでいい。
多くの場合、×がついた仕事が全体の半分以上を占めます。それが「忙しいのに売上が上がらない」構造の正体です。
⚠️ よくある失敗:「全部必要だから全部やる」と判断してしまうこと。「必要かどうか」と「社長がやるべきかどうか」は別の話です。必要でも、社長じゃなくてもできる仕事は山ほどあります。
STEP2:「社長の仕事」と「それ以外」を切り分ける
優先順位の切り分け STEP 2
儲かるアイデアと仕組みをつくることが社長の仕事
書き出した仕事を整理したら、次の問いで分類します。「これは、儲かるアイデアを考えることか? それとも、儲かる仕組みをつくることか?」。この2つに当てはまるものだけが、社長が集中すべき仕事です。
それ以外——毎日の仕込み、レジ作業、発注、SNSの定型投稿——は、なくす・任せる・外注する・変える・速める・集約するという6つの選択肢で整理していきます。「全部自分でやらないと不安」という感覚はよく分かりますが、その感覚のままでいる限り、経営者としての本来の仕事に時間を使えません。
⚠️ よくある失敗:「スタッフに任せたら質が落ちる」という不安から、何でも自分でやってしまうこと。任せられない理由の多くは、手順が言語化されていないことにあります。マニュアルになっていない作業を「任せる」のは確かに難しい。だから次のステップが必要です。
❌ よくあるパターン(全部自分で抱える)
- 毎日の作業に追われて、メニュー改訂や集客の企画に時間が使えない
- 「売上を上げる施策を考える時間」が後回しになり続ける
- 体力的な限界が来たときに、店ごと立ち行かなくなるリスクを抱える
✅ 推奨アプローチ(社長の仕事に集中する)
- 作業を分解・言語化してスタッフや仕組みに委ねる
- 空いた時間で「客単価を上げる施策」「リピーターを増やす導線」を設計できる
- 自分の体力や時間に依存しない収益の形をつくれる
✓ ここまでのポイント
- 「やることが多すぎる」の正体は、売上に直結しない作業を同じ重さで抱えていること
- 1週間の行動を書き出して×をつけることで、手放せる仕事が見えてくる
- 社長の仕事は「儲かるアイデアと仕組みをつくること」だけに絞ってよい
「社長の仕事に集中する」と決めても、何を手放してどこから動けばいいかで詰まる方が多いです。動画講座「行動収益化法」では、1週間の行動分析で利益に直結しない作業を特定してやめる判断をする方法と、作業を分解してマニュアル化し委譲する手順を収録しています。全8本・約6時間17分で、視聴期限なく繰り返し見られます。
STEP3:手放した時間で「売上に直結する行動」をひとつ動かす
時間の再投資 STEP 3
捻出した時間を、客単価アップかリピート導線に使う
作業を手放して時間ができたら、その時間を何に使うかが勝負です。ここで「とりあえず休む」になってしまうと変化は起きません。捻出した時間を、客単価アップかリピート導線づくりのどちらかに使うと決めてください。
値引きなしで客単価を上げるための方法と考え方でも詳しく解説していますが、単価を上げるのに必ずしも大きな投資は必要ありません。メニューの組み合わせ方、提案の仕方、席の使い方——小さな見直しが積み重なって単価は変わっていきます。
ただし、やることをまた増やすのは本末転倒です。「まずひとつだけ」という原則を守る。施策を5個同時に動かそうとすると、また「何から手をつければいいか分からない」状態に戻ります。
⚠️ よくある失敗:新しい施策を思いついて次々と追加してしまうこと。売上が上がらない時期ほど「あれもこれも」と手を広げたくなりますが、集中しないと何も結果が出ないまま疲弊します。「今月はこれだけ」と決め切ることが大事です。
「客単価が11,000円から14,000円になり、自分の稼働も3割減らせました。体力の限界が怖くて、ずっと不安を抱えていたんですが、仕組みをつくることで解放された気がします」
高単価サロン(40代・女性)
この方は美容サロンのオーナーですが、飲食店でも同じことが起きています。「自分が動き続けないと売上が立たない」という状態は、体力の限界と同時に経営の限界でもあります。仕組みをつくって単価を上げることで、稼働を減らしながら収益を増やすことができる。これは業種を問わず同じ構造です。
STEP4:「未来から今を見る」視点で行動の優先順位をつける
経営の設計 STEP 4
3年後の状態を描いて、今やることを逆算する
ここまでのステップで「やめるもの」「集中するもの」が見えてきたはずです。最後に、その行動の根拠を「未来から逆算する」視点でつくります。
「3年後、この店はどんな状態になっていたいか」を具体的に書いてみてください。月商はいくらか、スタッフに何を任せているか、自分はどんな時間の使い方をしているか。これを完了形で書くのがポイントです。「なっていたい」ではなく「なっている」と書く。
その未来から逆算すると、「今月やるべきことはこれだ」という判断が格段にシャープになります。判断の基準が「未来の自分」になるので、目の前の作業に引っ張られにくくなるんです。
逆に、この視点がないと「忙しいからまた来月」「落ち着いたら考えよう」が延々と続きます。落ち着く日は来ません。未来を描かない限り、今日の行動は変わらないからです。
⚠️ よくある失敗:未来を描くのを「余裕ができてからやること」にしてしまうこと。余裕は先につくるものではなく、未来を決めてから逆算することで生まれます。順番が逆です。
売上が頭打ちになったオーナーが最初に見直すべき3つのことでも触れていますが、売上の天井を破るには、ノウハウを増やすより先に「自分の認識を変える」ことが必要です。何から手をつければいいかが分からない状態の多くは、未来が描けていないから起きています。
まとめ:手順を知っていても動けないなら、認識を変えるところから
飲食店の売上を上げるための手順を整理すると、こうなります。
- 1週間の行動をすべて書き出して、売上に直結しない仕事に×をつける
- ×をつけた仕事を「なくす・任せる・外注する」で整理して、社長の仕事に集中できる時間をつくる
- 捻出した時間で、客単価アップかリピート導線のどちらかひとつだけを動かす
- 3年後の状態を完了形で描いて、今月の行動を逆算する
ただ、手順を知っているだけでは動けない人が多いのも事実です。それは意志の問題ではなく、「今のやり方を変えることへの抵抗」が、認識の奥底に根を張っているからです。繁盛店研究所では、この認識の転換こそが売上を変える起点だと、21年間・全国500名の経営者への支援の現場から確信しています。
動ける手順を手に入れても動けない——そう感じているなら、まず認識と行動の設計を一緒に変えることから始めてみてください。
未来から逆算して今月の行動を決める——これが分かっていても、一人で設計するのは難しい。動画講座「行動収益化法」では、未来デザインマップと曼荼羅シートを使って望む状態を描き、日々の行動に落とし込む方法をワーク形式で実践できます。客単価アップも時間の捻出も、まず「何をやめるか」を決めるところから始まります。