実践力を高める基本知識

美容室の値上げの伝え方、常連客が離れないための手順と言葉の選び方

11月に入ると、来年の経営をどう立て直すか、年末までに何か手を打てないか——そんなことを考え始める美容室オーナーが増えます。その「何か」の筆頭に上がるのが、ほぼ毎回「値上げ」です。

でも、多くのオーナーがその手前で止まってしまう。「常連さんに申し訳ない」「やめると言われたら怖い」「どう言えばいいのかわからない」。そう言いながら、ずっと同じ価格で走り続けている。

今回は、この「値上げを伝える」という場面を正面から扱います。ただし、ここで先にお伝えしておきたいのは、値上げは「言い方」だけの問題じゃない、ということ。伝える言葉を考える前に、整えておくべきことがあります。その順番を間違えると、どんなに丁寧に伝えても、お客様は「値段が上がっただけ」と受け取ってしまいます。

📋 この記事でわかること

  1. 値上げを伝える前に整えておくべき「価値の見える化」の手順
  2. 常連客に届く言葉の選び方と、やってはいけないNG表現
  3. 値上げ後も関係が続く「伝え方の構造」と具体的なステップ
  4. 値上げを「自分の望む未来」への一歩として位置づける考え方

こんな方におすすめ

  • ✅ 値上げしたいが常連客が離れることを恐れて踏み出せていない美容室オーナー
  • ✅ 「技術には自信があるのに、なぜか値段を上げられない」と感じている方
  • ✅ ホットペッパー等の掲載サイトの割引クーポンに依存していて抜け出したい方
  • ✅ 値上げの言葉をどう組み立てればいいか、具体的な手順を知りたい方
  • ✅ 客単価を上げながら、働く時間を増やさずに利益を改善したい方
美容室の値上げの伝え方、常連客が離れないための手順と言葉の選び方 | 有限会社繁盛店研究所

値上げが「怖い」のは、価値がまだ言葉になっていないから

値上げを躊躇する理由として、「常連さんが離れるかもしれない」という不安をよく聞きます。でも少し掘り下げると、その不安の根っこにあるのは「値段が上がることへの後ろめたさ」だったりします。

なぜ後ろめたいのか。それは、自分でも「この価格の上昇を正当化できる言葉」を持っていないからです。「材料費が上がったから」という理由は事実ですが、それだけでは弱い。お客様の側から見ると、「自分たちのコストを客に転嫁した」という話にしか聞こえない。

では、何があれば堂々と値上げを伝えられるのか。答えはシンプルで、「この価格でなければ受け取れない価値がここにある」と、自分自身が確信できているかどうかです。

「値上げを怖がる前に、自分が提供している価値を言葉にする練習をしてほしい。言葉にできないものは、お客様にも伝わらない。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士/繁盛店研究所 主宰)

例えば、こんな話があります。焼鳥居酒屋を営む50代の男性オーナーは、値上げに踏み切るまで「うちは普通の居酒屋だから」という意識が抜けなかったと言います。でも、自分のこだわりを棚卸しして言葉にしていくうちに、「うちは他と違う」と堂々と言えるようになった。その結果、客単価が900円アップし、価格を変えたことで離れたお客様より、「そこまでこだわっているなら納得」と言って関係が深まったお客様の方が多かったそうです。

価値を言葉にすることが、値上げの前提です。これを飛ばして「伝え方」だけを考えても、土台がない状態で家を建てるようなものです。

値上げを伝える言葉の前に「価値の棚卸し」が必要だとわかっても、「自分のどこに価値があるのか」が言葉にならないまま止まっているオーナーは多いです。無料で読める「増益繁盛店になる12ステップ」(74ページ)では、価値の言語化と客単価アップの構造を、実際に売上を伸ばした事例とともに解説しています。メールアドレスだけで、すぐに読み始められます。

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STEP1:値上げ前に整える「価値の棚卸し」

価値を見える化する STEP 1

「なぜうちで施術を受けるのか」を紙に書き出す

まず、自店の強みや他と違う点を、遠慮なく書き出してください。使っている薬剤のこだわり、施術の所要時間の精度、お客様一人ひとりの髪質や好みを記録している仕組み、再現性の高い技術——何でもいいです。「これくらい普通じゃないか」と感じるものも含めて、とにかく出す。

次に、常連客からもらった言葉を思い出してください。「ここに来ると毎回イメージ通りになる」「他の美容室に行ってから、やっぱり戻ってきた」——そういった声の中に、あなたのサービスの価値が隠れています。

⚠️ よくある失敗:「書くことが思いつかない」と手を止めてしまうこと。これは謙虚さが邪魔をしています。「当たり前のことしかない」と思っても書く。他の美容室が同じことをやっているかどうかは、後で検証すればいい。まず出し切ることが先です。

価値を見える化する STEP 2

「価格に見合う根拠」を3つに絞る

出し切ったリストの中から、お客様に最も伝わりやすいものを3つ選びます。選ぶ基準は「お客様がそれを聞いたとき、納得感を感じるか」です。自分がこだわっていても、お客様の生活には関係ない話は優先度を下げます。

この3つが、値上げを伝えるときの「骨格」になります。

⚠️ よくある失敗:「いっぱい書いた方が説得力がある」と思ってたくさん伝えようとすること。情報量が多いほど、何が大事かわからなくなります。3つに絞ることが、逆に信頼感を生みます。

✓ ここまでのポイント

  • 値上げへの後ろめたさは「価値を言葉にしていない」ことから来ている
  • 自分のサービスの強みを書き出し、お客様に伝わる3つに絞ることが先決
  • 価値の棚卸しを済ませてから、初めて「伝え方」を考える順番が正しい

値上げの手順はわかった、でも「自分が本当に望む未来」から逆算して今の行動を決める、という部分が一番難しいと感じているなら、そこを整理するための道具があります。動画講座「行動収益化法」では、未来デザインマップを使って望む状態を完了形で描き、値上げを含む日々の行動に落とし込む手順を全8本の動画で学べます。視聴期限なし、スマートフォンからも視聴できます。

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STEP2:常連客への伝え方、言葉の選び方

価値の棚卸しができたら、次は「どう伝えるか」です。ここで多くのオーナーが悩むのは、「謝罪から入るべきか」「理由を説明すべきか」「いつ言うか」という点です。

❌ よくある伝え方(避けるべきパターン)

  • 「諸事情により価格改定をさせていただきます」という一方的なお知らせ
  • 「申し訳ないのですが……」と謝罪から入ることで不安を先に植え付ける
  • 材料費や光熱費の話だけで、お客様へのメリットが一切含まれない説明

✅ 常連客の心に届く伝え方のポイント

  • 「いつもご来店ありがとうございます。○○さんのような長くご利用いただいている方に、先にお伝えしたくて」と、特別な関係性を前提にした入り方をする
  • 価格が変わる「事実」よりも、価格が変わることで「何がより良くなるのか」を中心に話す
  • 新しい価格で、これからも最高の状態で提供し続けることへのコミットメントを伝える

具体的な言葉の例を挙げます。

「○○さん、いつもありがとうございます。来月から少し価格を見直します。理由は、今の品質を落とさず、さらに安定してお届けするためです。薬剤の仕入れ基準を上げていて、それに合わせた価格にします。これからも同じようにお任せいただけると嬉しいです」

これだけです。長い説明は不要です。謝らず、ただ事実と意志を伝える。常連客は、オーナーの本気度をちゃんと感じ取ります。

「値上げのお知らせに謝罪を入れた瞬間、お客様も『やっぱり高くなったな』という受け取り方をする。価値を語るなら、堂々と語る。それだけで伝わり方がまったく変わる。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士/繁盛店研究所 主宰)

また、美容室の値上げを相談する前に、オーナーが自分でできる価格設計の手順でも触れていますが、値上げは「単価を上げる」という行為ではなく、「自分の価値をどの価格帯に置くか」を決める行為です。その意識の持ち方が、言葉のトーンにそのまま出ます。

STEP3:値上げ後の関係づくり——離れないための「その後」

値上げを伝えて終わり、ではありません。伝えた後の動き方が、実は一番大事です。

値上げ後のフォロー STEP 1

新価格で来てくれた常連客に「ありがとう」を伝える

値上げ後、最初のご来店のときに「来てくれてありがとうございます」を一言添える。これが想像以上に効きます。常連客は「選んでもらえた」という実感を持ちます。お客様も実は少し緊張して来ているんです。その緊張をほぐすのは、技術より先に「言葉」です。

⚠️ よくある失敗:値上げ後に「何もなかったかのように」振る舞うこと。それは気を遣っているようで、逆に距離を生む場合があります。

値上げ後のフォロー STEP 2

次回予約の案内をセットにする

値上げのタイミングは、次回予約の仕組みを整える絶好の機会でもあります。「今日から新しい価格になるので、次回はこの時期に来ていただくと状態が一番良い状態で保てます」と、次の来店理由をセットで渡す。これが自然にリピートの仕組みになります。

美容室オーナーが時間を作る方法、施術と経営を両立している舞台裏でも書いていますが、次回予約の定着は、現場の属人的な動きを減らして経営者の時間を生み出す仕組みとも直結しています。

⚠️ よくある失敗:値上げとリピートの仕組みを別々の話と考えること。値上げした後こそ、次に来る理由をその場で渡すタイミングです。

「値上げ後に客単価が900円アップした。価格を変えても離れなかったお客様は、むしろ店への信頼が深まった。」

焼鳥居酒屋オーナー(50代・男性)

値上げは「望む未来」への第一歩——逆算して動く

ここまで手順を解説してきましたが、最後に一つ大事なことを話させてください。

値上げを決断できないオーナーの多くは、「怖い」という感情のまま止まっています。でも、もう少し視点を上げてみてください。あなたが今から1年後、2年後にどんな状態でいたいか——その姿を先に決めて、そこから逆算して今の行動を選ぶ。これが「未来から今を見る」という発想です。

たとえば「2年後に週5日のフル稼働をやめて、週4日で同じ売上を出せている状態にしたい」という未来があるなら、今の客単価では数字が合わないことはすぐにわかります。目標が先にあれば、値上げは「怖い選択」ではなく「必要な行動」に変わる。

日々に追われて「来月の売上」しか見えていないと、こういう視点は持ちにくい。でも、少し立ち止まって望む未来を完了形で描いてみると、今やるべきことが自然と見えてきます。「値上げができている」「常連さんとの関係がより深まっている」「手元にお金が残っている」——そういう未来を先に決めることが、最初の一歩です。

美容室の経営が不安なときこそ知っておきたい、考え方の転換とその手順にも、この「認識を変える」というテーマを詳しく書いています。あわせて読んでみてください。

まとめ:値上げは「言い方」より「順番」が全て

今回お伝えした手順をまとめます。

  1. 価値の棚卸しをして、お客様に伝わる強みを3つに絞る
  2. 謝罪ではなく「コミットメント」を伝える言葉で、常連客に直接話す
  3. 値上げ後の最初の来店で感謝を伝え、次回予約をセットにして渡す
  4. 望む未来を先に決めて、そこから逆算して今の行動(値上げ)を選ぶ

値上げは、お客様との関係を壊すものではなく、正しく進めれば関係をより深めるきっかけになります。怖いのはわかります。でも、毎年同じ価格のまま「このままではまずい」と感じ続けることの方が、もっと怖いはずです。

「原因は100%自分」という視点で見れば、今の単価も、今の収益も、今の忙しさも、全部自分が選んできた結果です。だとすれば、変えられるのも自分だけです。値上げの決断は、その第一歩になります。

「値上げができている」「常連さんとの関係がより深まっている」という未来を完了形で描いて、そこから今日の行動を逆算する——この記事で一番伝えたかったのはこの視点です。動画講座「行動収益化法」は、その逆算の地図(未来デザインマップ)と88の行動を整理するシートを使って、今日から動き出せる形に落とし込むプログラムです。客単価アップや仕組み化に取り組んだオーナーたちの変化が、案内ページで詳しく紹介されています。

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