8.「焼畑農業」から「米作り経営」へ転換する利益戦略

目次

「焼畑農業」から「米作り経営」へ転換する利益戦略

プロジェクト知識の内容を基に、
目先の利益を追い求める経営から
持続可能な利益構造への転換方法について詳しく解説いたします。

経営手法の根本的な違い

焼畑農業型経営の特徴

  • 短期的利益追求:その年しか作物が育たない
  • 顧客を「焼いてしまう」経営:高い客単価で一度きりの収益
  • 持続性がない:翌年以降は別の「畑」を探す必要
  • 資源の枯渇:顧客基盤の消耗と流出

米作り経営の特徴

  • 長期的利益創出:木を育てれば毎年毎年収穫できる
  • 顧客を「育てる」経営:適正価格で継続的な関係構築
  • 持続可能性:10年20年の長期経営が可能
  • 資源の循環:顧客が成長し、紹介も生まれる

転換の核心:適正客単価の設定

焼畑農業を避ける価格戦略

重要原則
「その場所で10年20年と経営していくため、
客単価をむやみやたらに上げすぎると中長期には経営しづらくなる」

適正客単価の黄金バランス

  • 利益が取れないと店舗存続できない(下限の設定)
  • 利益を取り過ぎると顧客を殺すことになる(上限の設定)
  • このバランス(さじ加減)を意識する

持続可能な利益構造の構築方法

1. 顧客育成の仕組み化

累計利益の最大化思考

  • 1回あたりの利益額 × 継続来店回数 = 顧客生涯価値
  • 短期的な高額取引よりも、長期的な関係性を重視
  • VIP顧客20-50人の顔と名前を一致させ、名前で呼ぶ

顧客との関係性深化

  • 商品だけのつながりから、人と人とのコミュニケーション
  • 趣味を分かち合えるような関係性の構築
  • 家族3代で通ってもらえる店づくり

2. 粗利益向上の4つの持続可能な方法

従来の「高級素材・高技術」によるコストアップではなく:

  1. 見せ方の改善:形、見た目、盛り付け方の変更
  2. ネーミングの変更:用途提案による価値向上
  3. 伝え方の改良:商品自体ではなく「得られるご利益」を伝える
  4. セット化・絞り込み:専門性を活かした高付加価値化

3. 再来店促進の仕組み構築

バケツ理論の実践

  • 新規集客(水を入れる)前に
  • 再来店対策(穴を塞ぐ)を優先
  • 利益が溜まる構造を先に作る

具体的な再来店促進策

  • LINE公式アカウントでの定期的な接触
  • ハガキDMによるパーソナライズ
  • 3枚同時クーポン配布(今月・来月・再来月)
  • 3ステップポイントカードの活用

長期経営を支える成長戦略

6つの持続可能な成長方向性

  1. 商圏内売上の徹底強化
    • 既存客への販促強化
    • 商圏内未来店客の開拓
  2. 自宅需要の開拓
    • 高齢化対応のデリバリー
    • 一人暮らし世帯増加への対応
  3. 提供方法の多様化
    • テイクアウト・デリバリーの充実
    • 店内飲食以外の選択肢
  4. 商圏内新商品・サービス導入
    • 既存客の来店機会増加
    • 利用きっかけの多様化
  5. 商圏外新規顧客開拓
    • 通販・EC展開
    • 近隣への2号店出店(リスク分散)
  6. 複数収益源の構築
    • 教室ビジネス
    • ノウハウ販売(経験の商品化)
    • ヤドカリ大家方式(不動産収入)

人口減少時代の現実的対応

データに基づく長期戦略

国勢調査データの活用

  • 10年後:約27%の人口減少
  • 20年後:約40%の人口減少
  • 45歳から49歳:418人 → 20年後25歳から29歳:241人(42%減)

対応策

  • 40歳から70歳の元気な中高年をメインターゲット化
  • この年代が末永く通ってくれることを前提とした店づくり
  • 単に商品だけのつながりではなく、趣味を分かち合える関係

米作り経営の実践ステップ

Phase 1:基盤構築(土作り)

  1. 適正客単価の設定(粗利率70-80%確保)
  2. VIP顧客の特定と関係深化
  3. 再来店促進システムの構築

Phase 2:育成・成長(種まき・水やり)

  1. 商圏内売上の徹底強化
  2. 自宅需要・提供方法多様化
  3. 新商品・サービスの段階的導入

Phase 3:収穫・拡大(実りの時期)

  1. 商圏外展開
  2. 複数収益源の構築
  3. 次世代への継承準備

成功の指標:米作り経営への転換度チェック

焼畑農業から脱却できているか

  • 客単価を無理に上げすぎていない
  • 顧客の継続来店率が向上している
  • 1回限りの顧客ではなく、常連客が増えている
  • 価格競争に巻き込まれていない

米作り経営が機能しているか

  • 10年20年の長期視点で経営計画を立てている
  • 顧客との関係が商品を超えた人間関係になっている
  • 複数の収益源が育ち始めている
  • 地域になくてはならない存在になっている

まとめ:持続可能な利益構造の本質

米作り経営の成功公式持続可能利益 =
【適正客単価】×【継続来店年数】×【関係性の深さ】×【複数収益源】

焼畑農業型経営は、
目先の利益は大きく見えても、
「お客さんを焼いてしまう」ため持続性がありません
。一方、米作り経営は、「お客さんを育てる」ことで、
毎年安定した収穫(利益)を得ることができます。

人口減少時代において、
新規顧客獲得コストが高騰する中、
既存顧客との長期的な関係性を軸とした米作り経営こそが、
小規模でも高収益を実現し、
10年20年と続く持続可能な店舗経営の唯一の道なのです。

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この記事を書いた人

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役

・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表
・コピーライター
・中小企業診断士(経済産業省 登録番号402345)

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、
親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。
活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。
急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。
昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。

そして、週末は現場経験を積むため
無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。

6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。
取得を契機に7年目で市役所退職。

退職後、有限会社繁盛店研究所
(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

コンサルタントとして独立後、全く仕事がなく日々思い悩む日々を送る。
食欲もなくなり病気の心配から医者の診察を受けると、
「体に問題はありませんが、商売はうまくいっていますか?」と
医者に商売の心配をされ、帰り道に号泣。

更に、独立以前に毎月ためていた全財産が底をつく。

こうした経験から、店舗経営者でも同じように
資金繰りや集客で悩んでいる方も多いことに気付く。

こうした方達のサポートを通じて、業績の改善、
魅力ある店舗作りのサポートにまい進することを誓う。

お笑い芸人として活動していた経験から、
小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や
店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル
漫才の手法などを取り入れることで、
クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。

独自のジョイマン式増益繁盛店メソッドの考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万7800人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブゴールド」を運営。

人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。


これまで北は北海道から南は沖縄、そして、海を渡りアメリカ、カナダ、オーストラリア
などの海外からも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

実践的で分かりやすく、すぐに店舗売上のアップに繋がると評判であることから、飲食店や美容室の店舗経営者からの評価も高い。

また、こうしたことから飲食店コンサルタントや美容室コンサルタントが、販促情報や販促アイデアのネタ元(発信源)としてそれらの内容をこっそり真似しているのは、つとに有名な話。

「真の情報を学びたかったらジョイマンの門をたたけ」
と言われるほど、飲食店経営者、美容室経営者の間で口コミになるグル中のグルでもある。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)にも、コンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

コンサルタント育成での実績も多数。

現在は、パートナーコンサルタントが所属し、全国の店舗経営者のサポートを行なっているコンサルティングファームの代表としても活動している。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。
家族を愛するマーケッター。

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