顧客1人当たりの累計利益を最大化する経営者の思考法
プロジェクト知識の内容を基に、
小規模でも高収益を実現する
利益構造の作り方について詳しく解説いたします。
経営者の思考転換:売上思考から利益思考へ
基本概念の転換
従来の思考:
売上 = 客数 × 客単価
利益最大化思考:
累計利益 = 1回あたり利益 × 継続来店回数
この思考転換により、
小規模でも高収益な店舗経営が可能になります。
1. 顧客1人当たり累計利益最大化の戦略思考
① 時間軸を延ばした顧客価値の考え方
- 短期思考:1回の来店でいくら売るか
- 長期思考:1人の顧客から生涯でいくら利益を得るか
実例:美容室の場合
- 適正周期(2ヶ月)でのご案内をしない場合:
- 年6回来店 → 年4回来店に減少
- 1人当たり年間6万円 → 4万5千円(1万5千円の損失)
- 20年通ってくれる場合:年間1万5千円×20年 = 30万円の機会損失
② 人口減少時代の必然的戦略
- 新規客は今後確実に減少(人口減少)
- 既存客も減少(高齢化による外出人口減)
- 将来の顧客層も減少(少子化)
- 外出しない購買の増加(インターネット発達)
データに基づく現実認識:
- 10年後:約27%減少
- 20年後:約40%減少
- これは顧客数の減少であり、売上減少に直結
2. 累計利益最大化の具体的構造
① 適正客単価の設定思考
黄金比率:粗利率70-80%の確保
重要な考え方:
- 集客商品:原価率高めでも話題性・集客力重視
- 収益商品:利益率高めで実際の収益源
- 話題商品:注文されなくても良い、価格の相対性を活用
価格の相対性活用例:
- 500円のプリン単体では「高い」
- 1,000円のプリンと並べると500円が「安く」感じる
- 1万円のプリンがあると500円が「お手頃」に感じる
② 適正間隔での来店促進思考
焼畑農業を避ける長期思考:
- 客単価を上げすぎて顧客を失わない絶妙なライン
- 10年20年の長期経営を見据えた価格戦略
- 継続来店してもらえる価格帯の維持
3. 継続来店を実現する仕組み化思考
① バケツの穴を塞ぐ思考
バケツ理論:
- いくら新規客を集めても(水を入れても)
- 再来店対策ができていないと(穴が空いていると)
- どんどん顧客が流出してしまう(水が漏れる)
優先順位:
- まず適正客単価で利益確保
- 次に再来店対策で流出防止
- 最後に新規集客で拡大
② 接触頻度を高める思考
87.5%は衝動買いという消費行動特性を活用:
店外での接触頻度(客数に影響):
- LINE公式アカウント
- ハガキDM
- メールマガジン
- 店前看板・POP
店内での接触頻度(客単価に影響):
- メニューブックの配置
- テーブルPOP
- 会計時の案内
- トイレでの情報提供
4. 小規模高収益を実現する利益構造の作り方
① 粗利益向上の4つのアプローチ
- 見せ方の改善:形、見た目、盛り付け方の変更
- ネーミングの変更:用途提案による価値向上
- 伝え方の改良:商品自体ではなく「得られるご利益」を伝える
- セット化・絞り込み:ライザップ方式の応用
② ライザップ方式の応用思考
従来:
- 食事管理(単品3万円)
- パーソナルトレーニング(単品3万円)
セット化・コンセプト化後:
- 「60日で理想の体」(60万円)
応用のポイント:
- 既存要素の新しい組み合わせ
- コンセプト化による高付加価値化
- 形のないもの(ノウハウ・体験)の付加
③ 成長戦略の6つの方向性
- 商圏内売上の徹底強化
- 自宅需要の開拓(高齢化対応)
- 提供方法の多様化
- 商圏内新商品・サービス導入
- 商圏外新規顧客開拓
- 複数収益源の構築
5. 実践的な経営者思考法
① 数値に基づく意思決定
- 国勢調査データの活用で将来予測
- VIP顧客20-50人の居住地分析
- 効果測定による改善サイクル
② 販促活動の戦略的思考
販促の本質:販促 = 時間を買う行為
- 1万人への個別説明は現実的でない
- 販促により一瞬で大勢にアプローチ可能
- お金をかけて時間を短縮する効率的手法
③ 顧客心理に基づく仕組み設計
- 顧客満足度と再来店は別問題
- 期待値を高めすぎない
- 感情の変化を意識した働きかけ
まとめ:累計利益最大化の成功公式
累計利益最大化 =
【適正客単価】×【継続来店回数】×【接触頻度】×【価値提供力】
この公式を実現する経営者思考:
- 長期視点:1回の取引ではなく、顧客生涯価値で考える
- 仕組み化思考:偶然ではなく、必然的に利益が生まれる構造を作る
- 数値管理:感覚ではなく、データに基づいた意思決定
- 顧客中心:商品起点ではなく、顧客の課題解決起点
- 継続改善:一度作って終わりではなく、常に最適化する
人口減少時代において、
顧客1人当たりの累計利益最大化こそが、
小規模でも高収益を実現する唯一の道筋なのです。
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