6.割引せずに売れる店になる「適正客単価」設定の黄金法則

目次

割引せずに売れる店になる「適正客単価」設定の黄金法則

黄金法則の核心原理

適正客単価とは、
「利益が取れる価格設定」と
「手頃感の維持」の絶妙なバランスを指します。
これは単なる価格決定ではなく、
10年20年の長期経営を見据えた戦略的価格設定なのです。

1. 適正客単価の3つの条件

① 存続に必要な利益確保

  • 粗利率70-80%の確保が基本指標
  • 店舗運営費、人件費、設備投資を考慮した利益設定
  • 「薄利多売の罠」から脱却:
    大手のように仕入先を叩けない個人店は、付加価値で勝負

② 手頃感の維持(焼畑農業の回避)

  • 客単価を上げすぎて顧客を失わない絶妙なライン
  • 継続来店してもらえる価格帯の設定
  • 一時的な売上より長期的な関係性を重視

③ 1人当たりの累計利益最大化

  • 1回あたりの利益額 × 継続来店回数 = 顧客生涯価値
  • 年間での総利益貢献度を最大化する視点

2. 価格設定の戦略的アプローチ

集客商品と収益商品の使い分け

価格は絶対的なものではないという重要原則:

  • 集客商品:原価率高めでも話題性・集客力重視
  • 収益商品:利益率高めで実際の収益源
  • 話題商品:注文されなくても良い、マスコミ注目商品(1万円のプリン等)

実例:プリンの価格心理

  • 500円のプリン単体では「高い」
  • 隣に1,000円のプリンがあると500円が「安く」感じる
  • さらに1万円のプリンがあると500円が「お手頃」に感じる

3. 粗利益向上の4つの実践方法

① 見せ方の改善

  • 形、見た目、盛り付け方の変更で価値向上
  • 五感を刺激する演出(鉄板の「ジュージュー」音など)
  • わざと見せる演出(蕎麦打ちを客席から見えるように)

② ネーミングの変更

  • 「お絵かきボード」→「筆談ボード」で用途提案
  • 商品名・サービス名の最適化で価値認識向上

③ 伝え方の改良

  • 商品自体の説明ではなく「得られるご利益」を伝える
  • 「だから何がいいのか」を明確に表現

④ セット化・絞り込み

ライザップ方式の応用:

  • 食事管理(単品3万円)+ パーソナルトレーニング(単品3万円)
  • ↓ セット化・コンセプト化
  • 「60日で理想の体」(60万円)

4. メニュー配置の戦略

目線誘導による客単価向上

  • 人の目線は上から下、左から右
  • 安い商品を最上段に配置するのは逆効果
  • 頼んでもらいたい商品を一番目立つ位置に

改善例:マグロ丼専門店

  • 【改善前】最上段:ワンコインマグロ丼500円(目立つ位置)
  • 【改善後】最上段:天然マグロ丼1,800円(本当に食べて欲しいもの)

おすすめ商品の示し方

  1. 全て一律に掲載しない
  2. 注文してほしい商品を目立たせる
  3. おすすめする理由を伝える
  4. セット商品を作る

5. 価格競争から脱却する仕組み

割引に頼らない集客の実現

  • 商品自体の価値向上で適正価格を維持
  • リピート客との関係性構築で価格以外の価値提供
  • 独自性・専門性で競合との差別化

適正間隔での来店促進

美容室の例:

  • 適正周期(2ヶ月)でのご案内をしない場合
  • 年6回来店 → 年4回来店に減少
  • 1人当たり年間6万円 → 4万5千円(1万5千円の損失)

6. 長期継続のための価格戦略

10年20年を見据えた価格設定

  • 一時的な値下げ競争に巻き込まれない
  • ブランド価値の維持・向上
  • 顧客との信頼関係構築を最優先

商品構成の最適化

  • ものだけでなく、ノウハウ・サービスを付加
  • 形のないものと組み合わせて粗利率向上
  • コンセプト化による高付加価値化

まとめ:適正客単価設定の成功公式

適正客単価 =
【必要利益を確保できる価格】×【継続来店してもらえるバランス】×【顧客が感じる価値】

この公式を実現するには:

  1. 財務面:粗利率70-80%確保
  2. 心理面:価格の相対性を活用した戦略的メニュー構成
  3. 関係面:価格以外の価値(サービス、関係性、体験)の充実
  4. 時間面:長期的視点での顧客生涯価値最大化

割引に頼らず、
お客様にも喜ばれる適正価格
持続可能な経営を実現することこそが、
真の「適正客単価設定の黄金法則」なのです。

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この記事を書いた人

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役

・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表
・コピーライター
・中小企業診断士(経済産業省 登録番号402345)

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、
親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。
活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。
急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。
昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。

そして、週末は現場経験を積むため
無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。

6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。
取得を契機に7年目で市役所退職。

退職後、有限会社繁盛店研究所
(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

コンサルタントとして独立後、全く仕事がなく日々思い悩む日々を送る。
食欲もなくなり病気の心配から医者の診察を受けると、
「体に問題はありませんが、商売はうまくいっていますか?」と
医者に商売の心配をされ、帰り道に号泣。

更に、独立以前に毎月ためていた全財産が底をつく。

こうした経験から、店舗経営者でも同じように
資金繰りや集客で悩んでいる方も多いことに気付く。

こうした方達のサポートを通じて、業績の改善、
魅力ある店舗作りのサポートにまい進することを誓う。

お笑い芸人として活動していた経験から、
小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や
店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル
漫才の手法などを取り入れることで、
クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。

独自のジョイマン式増益繁盛店メソッドの考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万7800人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブゴールド」を運営。

人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。


これまで北は北海道から南は沖縄、そして、海を渡りアメリカ、カナダ、オーストラリア
などの海外からも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

実践的で分かりやすく、すぐに店舗売上のアップに繋がると評判であることから、飲食店や美容室の店舗経営者からの評価も高い。

また、こうしたことから飲食店コンサルタントや美容室コンサルタントが、販促情報や販促アイデアのネタ元(発信源)としてそれらの内容をこっそり真似しているのは、つとに有名な話。

「真の情報を学びたかったらジョイマンの門をたたけ」
と言われるほど、飲食店経営者、美容室経営者の間で口コミになるグル中のグルでもある。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)にも、コンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

コンサルタント育成での実績も多数。

現在は、パートナーコンサルタントが所属し、全国の店舗経営者のサポートを行なっているコンサルティングファームの代表としても活動している。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。
家族を愛するマーケッター。

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