14.新規客よりも既存客への投資が圧倒的に効率的である理由

目次

新規客よりも既存客への投資が圧倒的に効率的である理由

【核心的な比較データ】投資対効果の科学的証明

プロジェクト資料から明らかになる驚異的な数値差を見てみましょう:

新規客開拓(チラシ)の効果

  • 投資額:1万枚配布で6万円
  • 反応率:1%(100人反応)
  • 来店率:220人(1人につき2.2人来店)
  • 売上:22万円(客単価1,000円)
  • 利益:16万円
  • 1人当たり利益16円(16万円÷1万人)

既存客アプローチ(ハガキDM)の効果

  • 投資額:1万枚郵送で64万円
  • 反応率:20%(2,000人反応)
  • 来店者数:4,400人(1人につき2.2人来店)
  • 売上:440万円(客単価1,000円)
  • 利益:376万円
  • 1人当たり利益376円(376万円÷1万人)

【結論】既存客は新規客の23.5倍効率的

376円 ÷ 16円 = 23.5倍

同じ販促費用でも、
既存客へのアプローチが新規開拓より23.5倍も高い成果を生みます。


【穴の空いたバケツ理論】なぜ新規客から始めてはいけないのか

経営者が陥りがちな罠

「だいたい多くの人が新規客を集めることからスタートしますけど、
それだと再来店の仕組みが整ってないと集めたそばからどんどん流出しちゃうからですね」

穴の空いたバケツの現実

  1. 新規客を大量投入(水を注ぐ)
  2. 再来店対策なし(バケツに穴が空いている)
  3. 顧客がどんどん流出(水が漏れ続ける)
  4. 売上が安定しない(水が溜まらない)

正しい順序

  1. まず穴を塞ぐ(再来店対策)
  2. 利益が取れる仕組み作り(適正単価設定)
  3. その後に水を注ぐ(新規客獲得)

【人間心理の活用】既存客が圧倒的に有利な理由

1. 行動特性の科学

重要な事実

  • 行ったことのないお店より、行ったことがあるお店の方が行きやすい
  • 食べたことのない料理より、食べたことがある料理の方が注文しやすい
  • 人は慣れ親しんだものを選ぶ傾向がある

2. 信頼関係の威力

  • 既存客:すでに信頼関係が構築済み
  • 新規客:ゼロから信頼関係を築く必要がある
  • 結果:同じメッセージでも受け取り方が全く違う

3. 購買決定の速度

  • 既存客:迷いが少なく、決断が早い
  • 新規客:比較検討に時間がかかる

【コスト効率の詳細分析】LINE公式 vs ハガキDM vs チラシ

LINE公式アカウントの圧倒的優位性

投資効率の比較

  1. LINE公式:15,000円で45,000人にアプローチ可能
  2. ハガキDM:65,000円で1,000人にアプローチ
  3. チラシ:60,000円で10,000人にアプローチ

接触頻度の違い

  • ハガキDM:月1回程度(印刷・郵送期間が必要)
  • チラシ:月1回程度
  • LINE公式3日に1回でも定額(即座に配信可能)

到達率と確実性

  • LINE公式:ブロックされやすいが、配信は確実
  • ハガキDM引越しがないため到達率100%、顧客情報明確
  • チラシ:配布地域の全戸だが、見てもらえるかは不明

【実践的な効率化戦略】段階別アプローチ法

Phase 1: 基盤構築(既存客重視)

  1. 適正単価設定
    • 利益が取れる価格への調整
    • 集客商品と収益商品の明確な区別
  2. 顧客リスト構築
    • 来店客の半分がリスト登録することを目標
    • LINE、ハガキ、メール等の複数チャネル確保

Phase 2: 再来店システム化

  1. 自動化された接触
    • 季節情報の定期配信
    • 新商品・限定メニューの案内
    • スタッフの個人的情報共有
  2. 来店間隔の最適化
    • 業種別適正間隔の設定と提案
    • タイミングを逃さないフォローアップ

Phase 3: 新規客獲得(土台完成後)

  1. 再来店しやすい人を集客
    • 商圏内での認知拡大
    • 口コミが生まれやすい仕組み
  2. 費用対効果の最大化
    • 既存客の紹介制度活用
    • プレスリリースによる無料露出

【業種別実践事例】預かりサービスの威力

ゴルフ練習場の成功事例

問題:客の流出、他店利用 解決策:ゴルフクラブ預かりサービス 効果

  • 他店利用の完全阻止
  • 奥さんからの嫌味回避(手ぶらで外出可能)
  • 売上2倍達成
  • 置き場所が即座に満杯

美容室での応用例

  • シャンプー・トリートメント預かり
  • 季節用品預かり(夏用・冬用ケア用品)
  • お気に入りアクセサリー預かり

飲食店での応用例

  • 瓶キープ制度
  • 専用食器預かり
  • 調味料カスタマイズ預かり

【数値目標設定】逆算による戦略立案

目標売上達成に必要な顧客リスト数の計算

計算式

  1. 1日来店客数 × リスト取得率50% = 月間リスト増加数
  2. リスト総数 × 反応率20% = 月間来店者数
  3. 来店者数 × 客単価 = 月間売上

実践的な目標設定例

  • 目標月商:100万円
  • 客単価:2,000円
  • 必要来店者数:500人
  • 反応率:20%
  • 必要リスト数:2,500人
  • 月間リスト増加目標:200人
  • 1日来店客数:20人(リスト取得率50%で10人/日の増加)

【継続的成長のメカニズム】複利効果の活用

既存客投資の複利効果

  1. 初期効果:来店頻度向上
  2. 二次効果:客単価向上(慣れ親しんだ店での追加注文)
  3. 三次効果:口コミによる新規客紹介
  4. 四次効果:長期顧客化による生涯価値最大化

新規客獲得の単利効果

  • 一回限りの投資効果
  • 再来店保証なし
  • 口コミ効果も限定的

【結論】投資戦略の最適化

黄金比率:既存客80% vs 新規客20%

  • **販促予算の80%**を既存客への投資に配分
  • **残り20%**で新規客獲得
  • この比率が最も効率的な成長を実現

成功する経営者の共通点

「同じお金なんですよ。だったら来てもらいやすい人に来てもらった方がいいわけですよね」

既存客への投資が新規開拓より圧倒的に効率的である理由は、
人間の心理特性、信頼関係の力、
そして数値で証明された費用対効果にあります。
成功する店舗経営の秘訣は、
この事実を理解し、
既存客を大切にする仕組み作りに注力することです。

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この記事を書いた人

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役

・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表
・コピーライター
・中小企業診断士(経済産業省 登録番号402345)

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、
親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。
活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。
急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。
昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。

そして、週末は現場経験を積むため
無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。

6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。
取得を契機に7年目で市役所退職。

退職後、有限会社繁盛店研究所
(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

コンサルタントとして独立後、全く仕事がなく日々思い悩む日々を送る。
食欲もなくなり病気の心配から医者の診察を受けると、
「体に問題はありませんが、商売はうまくいっていますか?」と
医者に商売の心配をされ、帰り道に号泣。

更に、独立以前に毎月ためていた全財産が底をつく。

こうした経験から、店舗経営者でも同じように
資金繰りや集客で悩んでいる方も多いことに気付く。

こうした方達のサポートを通じて、業績の改善、
魅力ある店舗作りのサポートにまい進することを誓う。

お笑い芸人として活動していた経験から、
小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や
店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル
漫才の手法などを取り入れることで、
クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。

独自のジョイマン式増益繁盛店メソッドの考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万7800人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブゴールド」を運営。

人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。


これまで北は北海道から南は沖縄、そして、海を渡りアメリカ、カナダ、オーストラリア
などの海外からも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

実践的で分かりやすく、すぐに店舗売上のアップに繋がると評判であることから、飲食店や美容室の店舗経営者からの評価も高い。

また、こうしたことから飲食店コンサルタントや美容室コンサルタントが、販促情報や販促アイデアのネタ元(発信源)としてそれらの内容をこっそり真似しているのは、つとに有名な話。

「真の情報を学びたかったらジョイマンの門をたたけ」
と言われるほど、飲食店経営者、美容室経営者の間で口コミになるグル中のグルでもある。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)にも、コンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

コンサルタント育成での実績も多数。

現在は、パートナーコンサルタントが所属し、全国の店舗経営者のサポートを行なっているコンサルティングファームの代表としても活動している。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。
家族を愛するマーケッター。

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