再来店しないお客様が教える、顧客満足度と再来店率の真実
【衝撃的な事実】顧客満足度と再来店率に因果関係はない
プロジェクト資料から明らかになる重要な真実があります:
「基本的に顧客満足度と再来店って因果関係ないんですね。
皆さん自身もすげー良かったからってじゃあ次も行ってるかって言われたら、
行ってないですよね。顧客満足度と再来店は因果関係ないんですよ」
この事実は多くの経営者にとって衝撃的ですが、
実際の顧客行動を観察すれば納得できるはずです。
【真の問題】アンケート調査が再来店率を下げる理由
1. 悪い点を聞くアンケートの弊害
多くの真面目な経営者が行っている
「当店を利用して悪かったこと・よくなかったことを教えてください」 というアンケートは、
実は再来店率を下げる原因になっています。
なぜ悪いことを聞いてはいけないのか
実例から学ぶ心理効果:
- 講師が参加者に「お昼に利用した店で悪かったこと」を聞く
- 参加者:「昼時なのに暗すぎて嫌だなと思った」
- 結果:悪い印象が意識に植え付けられる
心理メカニズム:
- 人は質問された瞬間から、その事柄に意識を向ける
- 「赤い色したもの何個あった?」と聞かれると、急に赤いものが目につくようになる
- 悪い点を意識させられた客は、その悪い印象を持って再来店DMを受け取る
2. お客様基準の危険性
重要な認識:
- お客様の「悪かった」基準は、お客様自身の価値観が基準
- その明るさがお店のコンセプトかもしれない
- その味の薄さがお店の美味しさのこだわりかもしれない
- コンセプトを理解しない人の意見で店を変えてしまう危険性
極端な例:
- うなぎ屋に「カレーが食いたい」という意見
- カレーを導入→「なにあの店カレー始めて、最近よくないよね」
- 本来のお客様すら捕まえられなくなる
【正しいアプローチ】良いことしか聞かない戦略
アンケートの改革
❌ 従来の質問: 「当店を利用して悪かったこと・よくなかったことを教えてください」
⭕ 推奨する質問: 「当店を利用して良かったことは何ですか?」
良いことを聞く効果
- 良い印象の植え付け
- 良かったことに意識を向けてくれる
- 良い印象が店に対するイメージとして残る
- 再来店への心理的効果
- 再来店時も良い印象を持った状態
- 再来店率向上に直接寄与
- 改善点の正しい把握
- 改善しようがない点(立地の狭さなど)に惑わされない
- 本当に重要な改善点が見えてくる
【真の再来店要因】事前期待値コントロールの重要性
期待値理論の実践
問題のメカニズム:
- 「東京一のオムライス」と宣伝
- お客様の期待値が過度に上昇
- 実際に食べても「まあまあ確かに美味しいけど、そこまでかな?」
- 期待値を下回ったため満足度低下
適正な期待値設定
効果的な伝え方の順序:
- 欠点を先に言う
- 長所を後から言う
実例:
- ❌「このホワイトボードはキャスターが付いています」
- ⭕「このホワイトボードは重いですが、キャスターが付いているので楽に動かせます」
同じ商品でも印象が変わる理由:
伝える順番によって印象は激変します。
欠点を先に言うことで、その欠点をカバーする長所が際立ちます。
【確実にリピートを生む】顧客関係構築法
1. 忘却対策の仕組み化
人間の本質的特徴:
- 一昨日の夕食すら思い出せないのが人間
- お客様に「覚えていてもらう」のは不可能
- 「思い出させる」仕組みが必要
2. 再来店の心理学的アプローチ
受動的再来店対策(店側からのアプローチ)
- LINE公式アカウント活用
- 季節関連情報(バレンタイン、節分など)
- 新商品・月替わりメニュー情報
- スタッフ個人情報(誕生、卒業など)
- ハガキDM戦略
- パーソナライズされた内容
- 良い印象を思い出させる内容
- 価格以外の価値提供
- 限定メニューの案内
- 特別な体験の提供
自発的再来店対策(客側からの行動促進)
- 3ステップポイントカード
- 統計的に3回来店で常連化
- 達成しやすい目標設定
- クーポン戦略の革新
- 今月・来月・再来月の3枚同時配布
- 再来店間隔の短縮効果
- 物理的つながりの創出
- 預かりサービス(ゴルフクラブ、タイヤなど)
- 他店利用の阻止効果
3. 来店間隔適正化の威力
驚異的な数値効果:
- 30日周期→40日周期(たった10日の延長)
- 年間来店回数:12回→9回(3回減少)
- 客単価5,000円×3回=15,000円減少/人
- 300人の顧客で450万円の売上減少
適正間隔の重要性:
- 美容室例:本来30日周期が適正なのに、お客様は40日周期
- 原因:次回来店時期を明確に伝えていない
- 解決策:プロとして適切な来店時期を提案
【実践的改善策】顧客関係構築の具体的手順
Phase 1: アンケート改革
- 悪い点を聞く質問の全廃
- 良い点のみに焦点を当てた質問設計
- 良い印象の意識的植え付け
Phase 2: 期待値コントロール
- 過度な宣伝文句の見直し
- 欠点→長所の順序での情報提供
- 適正な期待値設定
Phase 3: 接触頻度の最大化
- 定期的な情報配信システム構築
- 季節・イベントに合わせたアプローチ
- 個人的な情報の共有
Phase 4: 来店間隔の最適化
- 業種に応じた適正間隔の設定
- 次回来店時期の明確な提案
- タイミングを逃さないフォローアップ
【結論】真の顧客満足は関係構築にある
重要な認識転換:
- 顧客満足度の向上≠再来店率向上
- 忘れられない仕組み作りが最重要
- 適切な期待値管理が満足度を決定
- 継続的な関係構築が売上を安定化
真の顧客満足とは、
一回の体験の良さではなく、
長期的な関係性の中で育まれる信頼と愛着です。
この理解に基づいた戦略的アプローチこそが、
確実なリピート創出の鍵となります。
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