13.再来店しないお客様が教えてくれる、顧客満足度と再来店率の真実

目次

再来店しないお客様が教える、顧客満足度と再来店率の真実

【衝撃的な事実】顧客満足度と再来店率に因果関係はない

プロジェクト資料から明らかになる重要な真実があります:

「基本的に顧客満足度と再来店って因果関係ないんですね。
皆さん自身もすげー良かったからってじゃあ次も行ってるかって言われたら、
行ってないですよね。顧客満足度と再来店は因果関係ないんですよ」

この事実は多くの経営者にとって衝撃的ですが、
実際の顧客行動を観察すれば納得できるはずです。


【真の問題】アンケート調査が再来店率を下げる理由

1. 悪い点を聞くアンケートの弊害

多くの真面目な経営者が行っている
「当店を利用して悪かったこと・よくなかったことを教えてください」 というアンケートは、
実は再来店率を下げる原因になっています。

なぜ悪いことを聞いてはいけないのか

実例から学ぶ心理効果

  • 講師が参加者に「お昼に利用した店で悪かったこと」を聞く
  • 参加者:「昼時なのに暗すぎて嫌だなと思った」
  • 結果:悪い印象が意識に植え付けられる

心理メカニズム

  • 人は質問された瞬間から、その事柄に意識を向ける
  • 「赤い色したもの何個あった?」と聞かれると、急に赤いものが目につくようになる
  • 悪い点を意識させられた客は、その悪い印象を持って再来店DMを受け取る

2. お客様基準の危険性

重要な認識

  • お客様の「悪かった」基準は、お客様自身の価値観が基準
  • その明るさがお店のコンセプトかもしれない
  • その味の薄さがお店の美味しさのこだわりかもしれない
  • コンセプトを理解しない人の意見で店を変えてしまう危険性

極端な例

  • うなぎ屋に「カレーが食いたい」という意見
  • カレーを導入→「なにあの店カレー始めて、最近よくないよね」
  • 本来のお客様すら捕まえられなくなる

【正しいアプローチ】良いことしか聞かない戦略

アンケートの改革

❌ 従来の質問: 「当店を利用して悪かったこと・よくなかったことを教えてください」

⭕ 推奨する質問: 「当店を利用して良かったことは何ですか?」

良いことを聞く効果

  1. 良い印象の植え付け
    • 良かったことに意識を向けてくれる
    • 良い印象が店に対するイメージとして残る
  2. 再来店への心理的効果
    • 再来店時も良い印象を持った状態
    • 再来店率向上に直接寄与
  3. 改善点の正しい把握
    • 改善しようがない点(立地の狭さなど)に惑わされない
    • 本当に重要な改善点が見えてくる

【真の再来店要因】事前期待値コントロールの重要性

期待値理論の実践

問題のメカニズム

  1. 「東京一のオムライス」と宣伝
  2. お客様の期待値が過度に上昇
  3. 実際に食べても「まあまあ確かに美味しいけど、そこまでかな?」
  4. 期待値を下回ったため満足度低下

適正な期待値設定

効果的な伝え方の順序

  1. 欠点を先に言う
  2. 長所を後から言う

実例

  • ❌「このホワイトボードはキャスターが付いています」
  • ⭕「このホワイトボードは重いですが、キャスターが付いているので楽に動かせます」

同じ商品でも印象が変わる理由
伝える順番によって印象は激変します。
欠点を先に言うことで、その欠点をカバーする長所が際立ちます。


【確実にリピートを生む】顧客関係構築法

1. 忘却対策の仕組み化

人間の本質的特徴

  • 一昨日の夕食すら思い出せないのが人間
  • お客様に「覚えていてもらう」のは不可能
  • 「思い出させる」仕組みが必要

2. 再来店の心理学的アプローチ

受動的再来店対策(店側からのアプローチ)

  1. LINE公式アカウント活用
    • 季節関連情報(バレンタイン、節分など)
    • 新商品・月替わりメニュー情報
    • スタッフ個人情報(誕生、卒業など)
  2. ハガキDM戦略
    • パーソナライズされた内容
    • 良い印象を思い出させる内容
  3. 価格以外の価値提供
    • 限定メニューの案内
    • 特別な体験の提供

自発的再来店対策(客側からの行動促進)

  1. 3ステップポイントカード
    • 統計的に3回来店で常連化
    • 達成しやすい目標設定
  2. クーポン戦略の革新
    • 今月・来月・再来月の3枚同時配布
    • 再来店間隔の短縮効果
  3. 物理的つながりの創出
    • 預かりサービス(ゴルフクラブ、タイヤなど)
    • 他店利用の阻止効果

3. 来店間隔適正化の威力

驚異的な数値効果

  • 30日周期→40日周期(たった10日の延長)
  • 年間来店回数:12回→9回(3回減少)
  • 客単価5,000円×3回=15,000円減少/人
  • 300人の顧客で450万円の売上減少

適正間隔の重要性

  • 美容室例:本来30日周期が適正なのに、お客様は40日周期
  • 原因:次回来店時期を明確に伝えていない
  • 解決策:プロとして適切な来店時期を提案

【実践的改善策】顧客関係構築の具体的手順

Phase 1: アンケート改革

  1. 悪い点を聞く質問の全廃
  2. 良い点のみに焦点を当てた質問設計
  3. 良い印象の意識的植え付け

Phase 2: 期待値コントロール

  1. 過度な宣伝文句の見直し
  2. 欠点→長所の順序での情報提供
  3. 適正な期待値設定

Phase 3: 接触頻度の最大化

  1. 定期的な情報配信システム構築
  2. 季節・イベントに合わせたアプローチ
  3. 個人的な情報の共有

Phase 4: 来店間隔の最適化

  1. 業種に応じた適正間隔の設定
  2. 次回来店時期の明確な提案
  3. タイミングを逃さないフォローアップ

【結論】真の顧客満足は関係構築にある

重要な認識転換

  • 顧客満足度の向上≠再来店率向上
  • 忘れられない仕組み作りが最重要
  • 適切な期待値管理が満足度を決定
  • 継続的な関係構築が売上を安定化

真の顧客満足とは、
一回の体験の良さではなく、
長期的な関係性の中で育まれる信頼と愛着です。
この理解に基づいた戦略的アプローチこそが、
確実なリピート創出の鍵となります。

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この記事を書いた人

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役

・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表
・コピーライター
・中小企業診断士(経済産業省 登録番号402345)

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、
親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。
活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。
急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。
昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。

そして、週末は現場経験を積むため
無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。

6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。
取得を契機に7年目で市役所退職。

退職後、有限会社繁盛店研究所
(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

コンサルタントとして独立後、全く仕事がなく日々思い悩む日々を送る。
食欲もなくなり病気の心配から医者の診察を受けると、
「体に問題はありませんが、商売はうまくいっていますか?」と
医者に商売の心配をされ、帰り道に号泣。

更に、独立以前に毎月ためていた全財産が底をつく。

こうした経験から、店舗経営者でも同じように
資金繰りや集客で悩んでいる方も多いことに気付く。

こうした方達のサポートを通じて、業績の改善、
魅力ある店舗作りのサポートにまい進することを誓う。

お笑い芸人として活動していた経験から、
小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や
店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル
漫才の手法などを取り入れることで、
クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。

独自のジョイマン式増益繁盛店メソッドの考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万7800人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブゴールド」を運営。

人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。


これまで北は北海道から南は沖縄、そして、海を渡りアメリカ、カナダ、オーストラリア
などの海外からも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

実践的で分かりやすく、すぐに店舗売上のアップに繋がると評判であることから、飲食店や美容室の店舗経営者からの評価も高い。

また、こうしたことから飲食店コンサルタントや美容室コンサルタントが、販促情報や販促アイデアのネタ元(発信源)としてそれらの内容をこっそり真似しているのは、つとに有名な話。

「真の情報を学びたかったらジョイマンの門をたたけ」
と言われるほど、飲食店経営者、美容室経営者の間で口コミになるグル中のグルでもある。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)にも、コンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

コンサルタント育成での実績も多数。

現在は、パートナーコンサルタントが所属し、全国の店舗経営者のサポートを行なっているコンサルティングファームの代表としても活動している。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。
家族を愛するマーケッター。

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