笑人塾代表 ハワードジョイマン メッセージ
笑人塾主宰 ハワードジョイマン
有限会社繁盛店研究所
中小企業診断士・経営コンサルタント
2005年3月31日。
黙って勤めていれば、退職まで安定した給与と生活を保障された市役所職員という地位を捨て、私は経営コンサルタントとして独立しました。
しかしながら、独立当時の私は、正直な話、自分自身がどうやって仕事をすればいいのか分からず、悩み模索していました。
『一体どうやったら、お店を経営する社長さん達の役に立てるのか?』
何から始めて良いか分からなかった私は、
・経営コンサルタントの役割とは何か?
・社長は、一体何を望んでいるのか?
・そして、私自身は、社長に何を提供することができるのか?
・商売のあり方とは?
こうした様々な答えを見つけようと、当時、人気を博していた経営コンサルタントのセミナーに足を運んだのでした・・・。
なぜなら、その経営コンサルタントの話を聞くことで、経営コンサルタントとしてのあるべき姿が分かり、そして、そこに参加している経営者と話すことで、経営者が求めていることが分かるのではないかと思ったのです・・・。
しかし、そこにいたのは、私が想像していた経営コンサルタントや社長像とは大きくかけ離れた方たちでした。
『お客は金だ。財布の中身がなくなるまで絞り取れるだけ搾り取れば良い』
『販促テクニックさえ学べば、商売なんて簡単だよ。先月は、このチラシのテンプレート(雛形)で1000万円儲かった。来月は1500万円を目指すよ。いや〜ボロイ商売だわ』
『市内の同業者を4社潰して市場を独占した。もうわが社の独壇場だ。』
『稼げないやつはクズだ』
セミナーの懇親会の場でこのような発言をしながら、ニコニコと酒を酌み交わす経営コンサルタントと社長さんたちの会話を聞いて、私は耳を疑いました。
・お客さんが札束(お金)にしか見えない人たち
・お店の価値は、稼いだ売上が全てだと考える人たち
・お金さえ儲かれば、方法なんて何でも良いと考える人たち
『自分たちの売上さえ上がれば、それで本当に良いのだろうか?』
強烈な違和感とこみあげる怒りを感じた私は、それ以来、その答えを見出すために、経営コンサルタントとして自ら店舗経営をしながら模索したのです。
『経営コンサルタントの役割とは何か?』
『商売とは一体何なのか?』
『私達の目指す商売のあり方や、その姿はどのようなものなのか?』
『自分たちの売上さえ上がれば、本当に幸せなのか?』
しかしながら、考えても早々に答えが見つかる訳でもなく、仕事が無い状態が続き、市役所在職中に節約して貯めていた資金も、見る見るうちに無くなっていったのです。
悔しい思いを抱きながら過ごす日々の中で、いつしか食欲もなくなり体調を壊した私は、病院に診察に行くことになりました。
薄暗い診療所の一室。医師が、先ほど撮影した2枚のレントゲン写真を照明版の上に差す。そして、それをじっとを見つめながら、医師は静かに私に語りかけました。
『ジョイマンさん、体に問題ありません。が・・・、ところでご商売はうまくいっていますか?』
医者に体のことではなく、自分の商売を心配される有様。しかも、それが図星であり、それに対し何の解決策も見いだせない状況の私は、帰りの道で人目をはばからず泣いたものでした。
しかし、私は泣きながら帰る道の途中で、ふと気付いたことがありました。
『初めて会った医師が、体の事ではなく、商売のことを聞く。これには何か理由があるはずだ』と・・・。
そして、気付いたことがあります。
きっと、私が自身の会社経営で悩んだように、世の中には同じようにお店の経営がうまくいかず悩み、体を壊して病院を訪れる社長がいるのではないか。
だからこそ、あの医師も私にあのような質問をしたのだと。
この一件から、私は単なる小手先販促テクニックを提供し、『売上が上がっただのどうだ』と声高にアピールするコンサルタントや、なりふり構わず他店を潰そうと考え自店の売上を伸ばす考えの店舗経営者とは一線を画し、社長さんが、そこで働くスタッフ、そして関わる全ての方たちと笑顔になれるようサポートをしていこうと決めたのでした。
それとほぼ時を同じくして、愛知県の某会社を訪問した際に、その社長から言われたことがありました。
『君は良いものを持っているのに、それが全く出てないね』
その言葉を聞いた瞬間、『自分自身に眠る良いものとは何か?』
その答えを得るため、自分自身のこれまでの人生を改めて振返ったのです。
帰りの新幹線のシートに座りながら、ひたすら考えていました。その時に浮かび上がってきた1つのこと。
それは、『お笑い芸人』として活動していた過去の経験です。
私が過去にお笑い芸人として活動していた理由。それは、「相手の笑顔を見るのが好き。人が喜ぶ姿をみるのが好き」という理由からでした。
お笑い芸人として活動していた時、正直な話、自分より面白い芸人は沢山居ました。私自身も、面白いギャグなんて中々浮かびませんでした。
でも、自分が面白いと思ったコトをどんどん実践し、楽しくイキイキしていたのです。
しかし、経営コンサルタントとして活動を始めていた時の、当時の私はどうだったでしょうか?
気付けば、経営コンサルタント像を勝手に決め付けて、枠にはめ込んでいたのです。自分らしさは見る影もなく、つまらない人間になっていたのです。
そこで私は、自分自身の価値である「お笑い芸人時代の経験」を活かそうと決めたのでした。ハワードジョイマン誕生の瞬間です。
その瞬間から私は、自分自身の仕事が楽しくて楽しくて仕方がなくなりました。
他のコンサルタントと自分を比べる必要も無いし、比べても意味が無い。すっと肩の重荷がとれて、自分の思う事をどんどん楽しく実践できるようになったのです。
そして、お店のチラシやPOP作りなど全ての場面で、ご縁を頂いた社長さんたちと、楽しく考え、楽しく実践するようになりました。こうした日々の中で私は、1つの答えにたどり着いたのです。
それは、『売上を上げることばかりに躍起になり、本当に大切なことを見失っていないか?お店の価値を、売上高の大小や、店舗数で測ることに何の意味があるのか』ということです。
『商売とは、商品を売ることではなく、自ら楽しみながらお店を運営し、お客さんに喜んでもらえる場を作る。そして、自分たちが提供する商品やサービスを通じて、お客さんの豊かで楽しい人生をサポートする』
私は、それが本来あるべき商売の姿だと考えています。
だからこそ、私たちの役割は、『商品を売る「商人」ではなく、自ら商売を楽しみお客さんを楽しませ、笑顔になってもらう「笑人」であるべきだ』という確固たる信念を持つようになったのです。
今の世の中には、お店の売上高や店舗数などの大小で、勝ち組や負け組などと表現し、数字で測れるものに絶対的価値があるとの風潮があります。
そして、そうした売上高、店舗数偏重主義が行きかう中で、『一夜にして億万長者になる方法』、『チラシで何千万儲かった方法』、『今まで公開して来なかった最強ノウハウ』などと称して、一部のコンサルタントが、アメリカの最新マーケティングテクニックや売れる文章雛形、他店の成功事例を提供していたりします。
もちろん、それを求める社長もいることは事実です。
しかし、売上を上げることしか商売に対する価値を見出せない方たちの発する言葉には、商売に対する美学や品性を全く感じられません。
もちろん、こうしたやり方で一時的に売上が上がるかもしれません。
しかし、肝心なお客さんを見ることなく、小手先テクニックにより得た売上を追い求めて、お店に真の幸せは訪れるでしょうか。本当に心から喜べるでしょうか。
『この順番で、ここにこういう風に書けば、この商品が売れる』
テンプレートを真似て作ったそのお店らしさが全く無いチラシやPOP。一方で、
『この商品は、肩こりで悩むお客さんの悩みが解決するから、それを教えてあげよう。きっと多くの方から喜ばれるぞ!』
このように考えて、店主の思いや考え、読み手に役立つ情報が書かれた個性が光るチラシやPOP。
これらを売上高という数字的尺度で測れば、どちらも同じお金かもしれません。
しかし、その売上がお客さんに喜んで欲しいという思いやりから生み出されたものでなければ、それは何のための商売でしょうか。 テクニックに頼ることで得られた売上など、遅かれ早かれ砂上の楼閣のごとく崩れ去るでしょう。
私たちが、お店作りを楽しむことで、そこに創意工夫やアイデアが生まれます。
『どうやったら、お客さんが喜んでくれるだろうか?』
『どうやったら、お客さんに自分達の思いや、商品の良さが伝わるだろうか?』
定型文章や型など、その場しのぎの小手先テクニックに頼ることなく、自分自身の言葉で思いや考えを伝える。創意工夫を重ね楽しんでお店を作るからこそ、独自の価値を持つお店に成長し、お店が活気で溢れるのです。
そこに人と人の心が通った営みが生まれるのです。
こうしたお店で織りなす人と人の悦びこそが、商売が持つ一番の醍醐味ではないでしょうか。
笑人塾で実践するチラシ、POP、HP、プレスリリースなどの販売促進活動では、誰が作っても同じになる金太郎飴のような定型パターンはありません。
お店の数だけ、方法はある。それを一緒に悩み考え、喜びを共有していくのが笑人塾です。
『とにかく他店を潰してでも、自店の売上高を伸ばしたいんだ』
あなたがそのように考えるならば、世の中にはそうした考えを助けるコンサルタントも沢山いるでしょう。
そのような方は、私とは縁がありませんので、他をあたってください。売上高こそ全てだと考える方には笑人塾は必要ないでしょう。
私は思います。商売とは、そこで暮らす人々の豊かな人生をサポートするための活動であると。
日本各地には、価値ある商品やサービスを有するお店が沢山あります。そうしたお店は、そこで暮らす多くのお客さんの拠り所となっています。しかし、売上高という尺度で測れば小さいかもしれない。
でも、こうしたお店は、地域の暮らしに根ざした、無くてはならないお店なのです。
こうしたお店が、自店の売上高しか考えない会社の出店論理に巻き込まれ、閉店を余儀なくされるのは絶対に許せない。
笑人塾は、地域に根差したお店の社長とそこで働くスタッフたちの持つ本来の才能が開花し、魅力あるお店の創造に役に立つ転機となるべく、これからもサポートを続けています。