2店舗目・3店舗目への挑戦

美容室の2店舗目の場所の選び方。立地選定で後悔しないための5つのポイント

先日、関東在住の美容室オーナーさんからこんな相談をいただきました。

「ジョイマンさん、2店舗目の物件をようやく見つけたんですが、決める前に相談させてください」

話を聞いてみると、現在の1店舗目から車で20分ほどの場所。家賃は月22万円。内装費用は500万円を見込んでいる。見た目には申し分のない物件でした。でも、私はいくつかの数字を確認した瞬間に「ちょっと待ってください」とお伝えしました。

立地選定は、美容室の2店舗目経営において最初の、そして最も大きな意思決定です。ここで方向性を誤ると、開業後にどれだけ販促を頑張っても、どれだけスタッフが腕を磨いても、構造的に利益が出にくい状態が続きます。

この記事では、私がこれまで美容室150件以上の経営支援に携わってきた経験をもとに、2店舗目の立地選定で後悔しないための5つのポイントを比較形式でお伝えします。

📋 この記事でわかること

  1. 2店舗目の立地選定で多くのオーナーが陥りがちな判断ミスのパターン
  2. 商圏・競合・家賃の3つの数字をどう読めばよいか
  3. 1店舗目との距離感・配置のベストな考え方
  4. 立地タイプ別(駅前・住宅街・ロードサイド)のメリット・デメリット比較

こんな方におすすめ

  • ✅ 2店舗目・3店舗目への出店を検討している美容室オーナーの方
  • ✅ 物件を見つけたが決断できずにいる方
  • ✅ 出店後に「こんなはずじゃなかった」と後悔したくない方
  • ✅ 立地ごとのリスクとリターンを整理したい方
  • ✅ 利益の出る多店舗展開の仕組みを知りたい方
美容室の2店舗目の場所の選び方。立地選定で後悔しないための5つのポイント | 月商200万円から年商1億円を実現する美容室経営術

なぜ「雰囲気のいい物件」が危険なのか

2店舗目を探しているオーナーさんと話すと、「なんとなく良さそうな感じがした」「人通りがあって活気を感じた」という理由で物件を選ぼうとしているケースが少なくありません。

気持ちはよくわかります。初めての多店舗展開は気分が高揚しますし、いい物件が見つかったときの「決めたい」という衝動は自然なものです。でも、感覚と数字は別物です。

❌ よくある判断パターン(感覚ベース)

  • 「あの通りは人が多い」→ 実際には通過客が多いだけで来店に結びつきにくい
  • 「内装が気に入った」→ 内装費は後から変えられるが、立地は変えられない
  • 「家賃が相場より少し安い」→ 安い理由が「集客しにくい立地」にある場合がある

✅ 数字で判断するアプローチ

  • 商圏内の想定世帯数・ターゲット人口を事前に確認する
  • 競合店の数と客単価帯を調べてから家賃の妥当性を判断する
  • 売上予測から家賃比率を逆算し、利益が出る構造かを確認する

「立地は後から変えられない唯一の経営要素です。だからこそ、ここだけは感覚より数字に従ってほしい」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

5つのポイントを比較で整理する

チェックポイント1:家賃比率は売上の10%以内に収まるか

美容室の家賃比率の目安は、売上の8〜10%以内です。月商100万円を目標にするなら、家賃の上限は10万円が一つの基準になります。「でも、いいエリアはそれじゃ借りられない」という声も聞きます。その場合は、目標月商をその家賃に見合う水準まで引き上げる計画が立てられるかどうかを先に考えます。

✅ ポイント:物件を見る前に「この家賃なら月商いくら必要か」を計算しておくこと。物件ありきで計画を立てると、家賃に引きずられた無理な目標設定になりやすい。

チェックポイント2:商圏内にターゲット客は十分にいるか

美容室の商圏は一般的に半径1〜2kmと言われますが、立地タイプによって変わります。住宅街なら徒歩・自転車圏の世帯数、ロードサイドなら車での来店可能な範囲の人口を確認します。国勢調査のデータや地図サービスを活用すれば、ある程度の推計は自分でできます。

✅ ポイント:「人が多い場所」と「ターゲット客が多い場所」は別物。30〜50代の女性が主なターゲットなら、その世帯比率が高いエリアを優先する。

チェックポイント3:競合の数と質を正確に把握できているか

出店予定エリアで実際に歩いて競合店を調べている方は意外と少ないです。Googleマップで検索するだけでなく、実際に近隣の美容室に足を運んで価格帯・雰囲気・混み具合を確認することをお勧めします。

❌ よくある競合調査の落とし穴

  • 「近くに美容室が少ない=チャンス」と思い込む(需要自体が少い可能性がある)
  • 価格が安い競合が多いエリアで高単価路線を狙う(価格帯のギャップを埋める説明が必要になる)

✅ 競合調査の正しいアプローチ

  • 競合が多くても、明確に差別化できるポジションがあれば参入余地はある
  • 「どんな悩みを持ったお客さんを、どんなメニューで解決するか」が他店と違えば、同じエリアでも戦える

✅ ポイント:競合の数より「競合が拾えていない顧客層」がいるかどうかを見る。

チェックポイント4:1店舗目との距離と役割分担は整理できているか

これは見落とされがちですが、非常に重要なポイントです。1店舗目と2店舗目が近すぎると、自社競合(カニバリゼーション)が起きます。逆に遠すぎると、オーナーが両店を行き来する管理コスト・移動時間がのしかかります。

❌ 近すぎる場合の問題

  • 既存客が2店舗目に流れるだけで、売上の総量が変わらない
  • スタッフ間で「どちらのお客さんか」という混乱が生じる

✅ 距離・役割の考え方

  • 車で15〜25分程度の距離が一つの目安(商圏が重ならない)
  • 1店舗目と2店舗目でターゲット層やコンセプトに差をつけると、両店が補完関係になる

✅ ポイント:「2店舗目は1店舗目の延長」ではなく、独立した収益単位として設計すること。

チェックポイント5:立地タイプ別のメリット・デメリットを理解しているか

立地には大きく3つのタイプがあります。それぞれに向き・不向きがあります。

駅前・商業立地

❌ デメリット

  • 家賃が高く、損益分岐点が上がりやすい
  • 通過客は多いが、美容室への来店動機がある客は限られる
  • 競合も集中しやすく、価格競争に巻き込まれるリスクがある

✅ メリット

  • 認知を得やすく、新規客の流入が期待できる
  • 高単価メニューを訴求できるコンセプト設計と相性がいい

住宅街・路地立地

❌ デメリット

  • 初期の認知獲得に時間がかかる(チラシ・POPなどの販促投資が必要)
  • 通りがかりの新規来店は期待しにくい

✅ メリット

  • 家賃が抑えやすく、利益率を確保しやすい
  • 地域密着でリピーターが育ちやすい
  • 競合が少ないエリアなら、固定客が安定しやすい

ロードサイド・郊外立地

❌ デメリット

  • 車での来店が前提になるため、駐車場確保が必須
  • 徒歩・自転車圏のお客さんは取り込みにくい

✅ メリット

  • 広い商圏から集客でき、リピーターの来店頻度が安定しやすい
  • スペースを確保しやすく、席数・内装の自由度が高い
  • 家族連れや郊外在住のターゲット層と親和性が高い

✅ ポイント:「どこに出すか」より「どんなお客さんに来てほしいか」を先に決めると、自然と立地タイプが絞られる。

✓ ここまでのポイント

  • 家賃は売上の10%以内を基準に、逆算で許容家賃を決める
  • 競合の「数」より「拾えていない顧客層」があるかを見る
  • 立地タイプはターゲット客のライフスタイルに合わせて選ぶ

「あのオーナーさん」のその後

冒頭でご紹介した関東のオーナーさんの話に戻ります。私が「ちょっと待ってください」とお伝えした理由は、家賃22万円に対して現実的な月商予測が立てられていなかったからです。

その物件で利益を出すには月商220万円以上が必要でした。でも、1店舗目の現状の月商や客単価・来店頻度のデータを確認すると、2店舗目単独でそこへ到達するには最低でも1年半〜2年かかる計算になります。その間の赤字補填をどこから出すか、まったく計画されていませんでした。

その後、エリアを少し広げて検討し直した結果、家賃14万円・商圏内の競合が少ないエリアで再度物件探しをすることになりました。感情ではなく数字で判断を変えられたことが、大きな後悔を防ぎました。

「2店舗目出店の失敗の多くは、立地ではなく『立地を決めるプロセス』にあります。気分が上がっているときほど、数字に立ち返ることが大切です」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

「最初は自分の感覚を信じて進もうとしていたんですが、数字で整理してもらったら全然違う景色が見えました。あのまま進んでいたら、今頃どうなっていたか…」

40代・男性(美容室オーナー)

立地選定と並行して整えておくべきこと

立地を決めることは出発点に過ぎません。場所が決まったら、次に必要なのは「2店舗目が単独で利益を出す仕組み」の設計です。

特に、1店舗目のオーナーが2店舗目に入り浸ってしまい、結果的に両店がうまく回らなくなるケースは非常に多い。2店舗目を軌道に乗せるには、スタッフへの業務移管・メニュー設計・販促の仕組みを先に整えておく必要があります。

多店舗展開 STEP 1

2店舗目のコンセプトとターゲット客を明文化する

1店舗目と何が同じで、何が違うのかを言葉にしておきます。「なんとなく同じ感じで」は、2店舗目独自の価値が伝わらず埋没します。

⚠️ よくある失敗:「1店舗目の延長でいけるだろう」と思い、コンセプト設計を後回しにしてオープンしてしまう。

多店舗展開 STEP 2

2店舗目単独の損益計算書(P/L)を作る

開業前に、月ごとの売上・原価・人件費・家賃・その他経費・利益の見込みを12ヶ月分試算します。赤字期間の補填計画も含めて数字にしておくことが重要です。

⚠️ よくある失敗:「なんとかなる」という楽観的な見込みで進み、半年後にキャッシュフローが詰まる。

多店舗展開 STEP 3

2店舗目の立ち上げ販促計画を先に立てる

認知ゼロからのスタートになる2店舗目では、開業前から広告投資の計画が必要です。「お金をかけずに口コミで広がる」という考えは、時間と機会を無駄にします。チラシ・LINE・Googleビジネスプロフィールなど、複数の接点を開業と同時に展開できるよう準備します。

⚠️ よくある失敗:オープン後に「お客さんが来てから販促を考えよう」と後回しにし、開業後の静けさに焦りだす。

まとめ:立地は「感覚」より「設計」で選ぶ

2店舗目の立地選定は、経営者として最初の大きな投資判断です。感覚や縁起で決めることを否定するわけではありませんが、その前に数字と設計の検討を必ず挟んでほしいと思います。

今回お伝えした5つのポイントをおさらいします。

  1. 家賃比率は売上の10%以内を基準に逆算する
  2. 商圏内のターゲット客数を人口データで確認する
  3. 競合の数より「未対応の顧客層」があるかを見る
  4. 1店舗目との距離・役割分担を明確にする
  5. 立地タイプ別のメリット・デメリットをターゲット像に照らして判断する

2店舗目・3店舗目への挑戦は、正しい順序と設計があれば現実的な目標です。私自身、これまで美容室150件以上・総支援実績833件の経営支援の中で、多店舗展開を実現したオーナーさんを何人もそばで見てきました。共通していたのは、感情ではなく「仕組みの設計」から入ったことです。

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2店舗目が、1店舗目の負担を分散する装置ではなく、独立した利益の柱になること。その設計のお手伝いができれば幸いです。

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