先日、2店舗目を出したばかりの美容室オーナーさんからこんな相談をいただきました。
「ジョイマンさん、1号店と2号店でお客さんの満足度がぜんぜん違うんです。2号店に行ったお客さんから『なんか雰囲気違うね』って言われて……どうしたらいいですか?」
この悩み、多店舗展開を進めるオーナーさんにとって、本当によくある「壁」のひとつです。1店舗のときは自分が全部の接客を見ていたから品質を保てた。でも2店舗目、3店舗目になると、自分の目が届かないところで「なんとなくサービスが違う」という状況が生まれてしまう。
これを放置すると、せっかく増やした店舗がブランドの足を引っ張ることになります。お客さんの信頼は積み上げるのに時間がかかるのに、崩れるのは一瞬です。
この記事では、店舗ごとのサービスのバラつきをなくし、どのスタッフがどの店を担当しても一定水準の接客を維持できる仕組みの作り方を、基本から丁寧にお伝えしていきます。
📋 この記事でわかること
- なぜ多店舗展開でサービスのバラつきが生まれるのか、その根本原因
- 接客レベルを統一するための「仕組み化」の具体的な手順
- スタッフが自然に動ける仕組みの作り方と注意点
- ジョイマン流「社長が現場を離れても回る」組織づくりの考え方
こんな方におすすめ
- ✅ 2店舗目・3店舗目を出店したが、店舗間でサービス品質のばらつきが気になる方
- ✅ スタッフに任せると「なんか違う」と感じており、現場から離れられない方
- ✅ 将来的な多店舗展開を視野に入れ、今から仕組みを整えておきたい方
- ✅ スタッフ教育が属人化しており、採用のたびにゼロからやり直している方
- ✅ 自分がいなくても店が回る体制を作りたいと考えている美容室オーナーの方

そもそも、なぜ店舗ごとにバラつきが生まれるのか
「うちのスタッフは言ったことをやってくれない」という声をよく聞きます。でも多くの場合、問題はスタッフの意識ではなく、「言ったこと」が言葉の形でしか存在していないことにあります。
たとえば「笑顔で接客する」「丁寧な言葉遣いを心がける」という指示。オーナー自身の頭の中には具体的なイメージがあります。でもスタッフにとっては、「笑顔って、どのくらいの笑顔?」「丁寧な言葉って、どういう言い回しのこと?」が明確ではない。
この「頭の中のイメージ」と「スタッフに伝わっていること」のギャップが、店舗間のバラつきの正体です。
1店舗のとき、オーナーは毎日その場にいて、言葉ではなく姿を見せることで無意識に補完していました。でも多店舗になると、その「姿で補完する機能」が失われる。だから仕組みとして文字・映像・手順に落とし込む必要があるわけです。
「スタッフが動かないのは、スタッフのせいではなく、仕組みがないせいだとまず認識してほしい。経営者の仕事は、40点のスタッフでも70点の接客ができる仕組みを設計することです。」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
接客の「標準」を言語化する:サービスマニュアルの作り方
仕組みづくりの第一歩は、接客の「標準」を文字にすることです。でも「マニュアルを作る」と聞くと、分厚い冊子を想像して腰が引ける方も多い。最初はそんなに大げさなものでなくて大丈夫です。
接客マニュアル作成 STEP 1
「お客さんが来店してから退店するまで」の動きをすべて書き出す
入店時の挨拶→シャンプーへの案内→施術中の会話→お会計→お見送り、という流れを箇条書きで書き出します。「なんとなくやっていること」を全部文字にするイメージです。まず粗削りでいい。完璧を目指す必要はありません。
⚠️ よくある失敗:「うちの接客は感性だから文字にできない」と言って手を止めてしまうこと。感性の高い接客こそ、言語化して再現可能にすることに価値があります。
接客マニュアル作成 STEP 2
各シーンで「何をするか」だけでなく「なぜするか」を添える
たとえば「お客さんが来店したら30秒以内に声をかける」という項目に「なぜなら、30秒以上待たされると不安を感じるお客さんが多いから」という理由を付けます。理由があると、スタッフが応用を利かせやすくなります。
⚠️ よくある失敗:「こうしなさい」だけを羅列した指示書になってしまい、スタッフが意味を理解せず形だけこなすロボット状態になること。
接客マニュアル作成 STEP 3
動画で「見本」を残す
文字だけでは伝わらないニュアンスは、スマートフォンで動画を撮影して補います。「シャンプー台へのご案内の仕方」「次回提案の言い回し」などを実演した短い動画を作っておくだけで、新スタッフの習熟速度が大きく変わります。
⚠️ よくある失敗:動画を作りっぱなしにして、スタッフが見たかどうか確認していない。「見るように言った」は「見た」ではありません。
✓ ここまでのポイント
- 店舗間のバラつきは「スタッフの質」の問題ではなく、「仕組みがない」ことが原因
- マニュアルは「何をするか」+「なぜするか」をセットで書くことで、スタッフが応用できるようになる
- 文字だけでなく動画を使うことで、感性や雰囲気も再現しやすくなる
仕組みを「定着させる」ための仕掛けづくり
マニュアルを作っただけでは机上の空論になります。大切なのは、作ったものを現場に定着させるプロセスです。
ここで大切な考え方を一つ。
私がよくお伝えしているのは「守守守の法則」です。まず実証済みの手順を、そっくりそのまま真似てみる。アレンジや改善は、一度やってみてからで十分です。仕組みを作る段階でいきなりオリジナルを目指そうとすると、前に進めなくなります。
定着のための具体的な手段として有効なのが、以下の3つです。
❌ よくあるパターン:「覚えておくように」と口頭で伝えるだけ
- スタッフによって理解度がバラバラになる
- 時間が経つと薄れてしまい、形骸化する
- 「言った・言わない」のトラブルが起きやすい
✅ 推奨アプローチ:定期的な「振り返りの場」を仕組みとして設ける
- 週1回15分だけでもミーティングの場を確保し、マニュアルの項目を確認する習慣をつける
- 「できていた場面」を共有し、良い行動を強化する
- 改善点は責める場ではなく「どうすればよくなるか」を一緒に考える場にする
また、チェックリストをレジ横や休憩室に貼っておくだけでも、スタッフの意識は変わります。「見える場所にある」というのは、それだけで行動を促す力を持っています。
「店舗間の格差」を確認するための診断チェックポイント
仕組みが機能しているかどうかを定期的に確認する習慣も必要です。以下のチェックポイントを参考に、自店の状況を点検してみてください。
チェックポイント1:来店から退店まで、スタッフごとに動きが違っていないか
同じシーンで、スタッフによって対応がバラバラになっている場合、マニュアルの浸透が不十分です。
✅ ポイント:定期的に自分が客として入店し、接客の流れを体感してみる。または信頼できる知人に覆面客として入ってもらい、率直なフィードバックをもらう。
チェックポイント2:新スタッフが入ったとき、教育内容が店舗によって変わっていないか
「あの店長から教わった」「うちのやり方はこう」という個人伝授になっていると、必ず格差が生まれます。
✅ ポイント:教育の内容と順番をマニュアル化し、誰が教えても同じ内容になる状態を目指す。
チェックポイント3:お客さんのリピート率が店舗間で大きく違っていないか
リピート率の差は、接客品質の差の「結果」として現れることが多い。
✅ ポイント:月次で店舗別のリピート率・次回予約率を数値で把握する。感覚ではなく数字で管理することで、問題の発見が早くなる。
「ジョイマンさんに教わったチェックリストを導入してから、スタッフへの声かけの回数が減ったんです。以前は毎回注意していたことが、リストを見ればスタッフ自身が気づいてくれるようになって。私が現場にいなくても店が回る感覚が初めて持てました。」
美容室オーナー(40代・男性)
多店舗展開で「社長の役割」をどう変えるか
仕組みが整ってくると、次に大切になるのが「社長としての役割の再定義」です。
多店舗を持ちながらもすべての店の現場に立ち続けているオーナーさんは、実は仕組みを作る時間が取れていないケースがほとんどです。体力と時間には限りがある。自分が現場にいる時間を減らさない限り、4店舗目、5店舗目への道は閉ざされたままです。
私がコンサルティングを通じてお伝えしているのは、「社長は現場作業者ではなく、仕組みのデザイナーになる」という考え方です。
具体的には、まず「毎日1時間、社長の仕事をする時間」を意識的に確保することから始めます。その時間をマニュアルの整備、スタッフへの教育設計、販促の企画、数字の分析に使う。1時間でいい。それを積み重ねることで、現場から少しずつ手を離せる状態が作られていきます。
多店舗展開の最大のリスクは、「店を増やしたのに利益が増えなかった」ことです。売上は増えても、社長が全店舗を駆け回るだけになり、疲弊する。だからこそ、仕組みと利益の両輪を同時に考えることが大切です。
私はこれまで21年間にわたり、飲食店・美容室を中心に833件以上の店舗経営者を支援してきました。その中で見てきた「うまくいく多店舗展開」に共通しているのは、オーナーが早い段階で「仕組みを作る人」になっていることです。
まとめ:接客の統一は「仕組み」が9割
店舗ごとのサービスのバラつきは、スタッフの個性や能力の差よりも、仕組みの有無によってほぼ決まります。
まずは「来店から退店まで」の接客の流れを文字にしてみる。そこに「なぜそうするか」を添えて、動画で補完する。定期的に振り返る場を設け、チェックリストで自己確認できる状態を作る。この積み重ねが、どの店舗でも同じ体験をお客さんに届ける土台になります。
多店舗展開は、仕組みさえできれば社長の可能性を大きく広げます。逆に仕組みなしで広げると、疲弊だけが残る。今の段階から少しずつ「仕組みのデザイナー」として動き始めることが、着実な成長への近道です。
もし「うちの場合、どこから手をつければいいか分からない」という方は、まず無料レポートやLINEからお気軽にご相談ください。あなたの店舗の現状に合わせた、具体的な一歩をお伝えできます。