突然ですが、美容室経営者を対象にした調査では、スタッフとのコミュニケーションに課題を感じている経営者が約7割に上るとも言われています。毎月の売上目標を伝えているのに、スタッフがどこか他人事で動いてくれない。そんな経験、ありませんか。
実は、問題は「スタッフのやる気」ではなく、目標の設定方法そのものにあることがほとんどです。
私、ハワードジョイマンは静岡市清水区を拠点に、美容室を中心とした小規模店舗の経営支援を21年間続けてきました。これまで美容室だけで150件以上、飲食店・治療院・物販を含めると833件の指導をしてきた中で、繰り返し目の当たりにしてきたことがあります。
それは、「目標の立て方を少し変えただけで、スタッフとの会話の質が劇的に上がり、結果として売上と利益まで変わっていく」という事実です。
今日はその話を、具体的にお伝えします。
📋 この記事でわかること
- なぜ「売上目標」だけを掲げてもスタッフが動かないのか
- スタッフとの会話が変わる「目標設定の切り口」とは何か
- 目標を利益ベースに切り替えるための具体的なステップ
- 目標共有によってチームが動き出すための伝え方のコツ
こんな方におすすめ
- ✅ スタッフに目標を伝えても「うちには関係ない」という雰囲気になってしまう方
- ✅ 毎月の売上目標は設定しているのに、利益が残らないと感じている方
- ✅ スタッフとの朝礼や日常会話を経営の推進力につなげたい方
- ✅ 自分だけが頑張っていて、チームとして動けていないと感じている美容室オーナーの方
- ✅ 客単価アップや再来店につながる「仕組み」をスタッフ全員で作りたい方

「売上目標」だけを語り続けると、スタッフとの距離が広がる理由
多くの美容室オーナーが毎月やっていること——それが「今月の売上目標は○○万円です」という共有です。
もちろん、売上目標を持つこと自体は悪くありません。ただ、スタッフの立場からすると「売上を上げる=忙しくなる」としか聞こえないことが多いのです。
自分たちの給料にどう関係するのか。お客さんにとってどんな意味があるのか。そのつながりが見えないまま数字を言われても、行動のエネルギーには変換されません。これは、スタッフの意識が低いのではなく、目標の設計と伝え方に原因があると私は見ています。
❌ よくあるパターン:売上目標の「数字だけ」を共有する
- スタッフが目標を「オーナーの都合」として受け取ってしまう
- 達成しても「で、私には何かいいことあるの?」となりやすい
- 未達続きで「どうせ無理」という雰囲気が生まれる
✅ 推奨アプローチ:「利益ベース+お客さんへの価値」で目標を語る
- お店が利益を出す意味(スタッフの安定・設備投資・より良いサービス)がつながる
- 客単価アップやオプション提案が「押しつけ」でなく「お客さんへの提案」に変わる
- スタッフが「自分の行動が数字に影響する」と実感しやすくなる
目標設定を「売上」から「利益+体験」に切り替える
では具体的にどう変えればいいか。ポイントは2つあります。
①目標に「利益」の概念を入れる
売上が増えても、材料費・人件費・家賃が同じなら手元に残るお金は変わりません。美容室の席数と営業時間には物理的な上限があります。だからこそ、目標は「客数」よりも「客単価」と「利益率」で語るほうが、現場の行動に直結するのです。
たとえば「今月の目標は売上150万円」ではなく、「今月はトリートメントのオプション提案を全体の30%のお客さんに届けて、客単価を500円上げよう。それで利益が○円増える」という形にする。スタッフには「何をどうすればいいか」が見えるようになります。
②目標に「お客さんへの価値」を乗せる
人は「自分のため」よりも「誰かのため」のほうが動けることがあります。「お客さんの朝のセットが楽になるカットを提案できた件数」「次回来店を提案して喜んでもらえた数」——こういったお客さんへの価値を軸にした目標は、スタッフが積極的に関わりたいと感じやすい形です。
「売上目標は経営者の言葉。でも『お客さんの髪が綺麗に保たれた数』はスタッフの言葉。同じ行動でも、どちらの言葉で語るかで、チームの熱量がまったく変わります」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント・中小企業診断士)
✓ ここまでのポイント
- 売上目標だけを共有してもスタッフは動きにくい。原因は目標の設計と伝え方にある
- 目標を「利益ベース」に切り替えると、スタッフが具体的な行動を見つけやすくなる
- 「お客さんへの価値」を目標に乗せると、チームとして動き出す言葉に変わる
目標設定を変えるための3ステップ
目標再設計 STEP 1
今の売上と利益の構造を「分解」する
まず、現状の数字を「客数×客単価×来店頻度」に分解してみてください。どこが伸びしろで、どこがボトルネックかが明確になります。多くの場合、客単価が低い・来店頻度が長すぎる、という2つが利益を圧迫している主因です。
⚠️ よくある失敗:「まずは客数を増やそう」と新規集客に飛びつき、既存のお客さんが来なくなる隙間を放置してしまう。改善の優先順位は①客単価→②再来店→③新規集客の順が鉄則です。
目標再設計 STEP 2
スタッフが関われる「行動目標」に落とし込む
「月商200万円」は経営者の目標。「1日3人のお客さんにトリートメントを提案する」はスタッフの行動目標。この2つをセットで伝えることで、スタッフは自分の仕事が経営に直結していると感じられます。
⚠️ よくある失敗:行動目標を細かく設定したのに、週に一度も振り返らない。目標は「設定するだけ」では機能しません。短いミーティングで週1回、進捗を確認する習慣が必要です。
目標再設計 STEP 3
達成したときの「意味」を語る
目標が達成されたら何が変わるのか——設備が新しくなる、スタッフの研修費が出せるようになる、休みが取りやすくなる。この「意味」を日頃から語っていると、スタッフはお店の未来を自分ごととして考えるようになります。
⚠️ よくある失敗:「達成したら打ち上げをしよう」で終わり、次の目標に同じエネルギーが続かない。単発のご褒美より、「このお店が目指している方向性」を継続的に共有する姿勢が大切です。
実際にどう変わるか——スタッフとの会話の変化
目標の設定方法と伝え方を変えると、日常会話の中身が少しずつ変わっていきます。
以前は「今月の目標まだ達成できてないよ」という確認の会話だったものが、「昨日のお客さん、トリートメントを喜んでくれたね。来月も来てくれそう」という共有の会話に変わります。
この変化が大きい。スタッフが「経営の担い手」として動き始めると、次回予約の提案・POPの活用・オプションの提案が自然と増えるのです。結果として、客単価が上がり、再来店率が改善し、手元に利益が残り始めます。
支援実績833件の現場で繰り返し確認されてきたこの変化は、決して特別な才能を持つスタッフがいたからではありません。目標の設計と語り方が変わっただけで、ごく普通のチームが動き出した例ばかりです。
「スタッフ教育で一番大切なのは、技術の指導よりも『このお店がどこに向かっているか』を伝え続けることです。方向が共有されているチームは、細かい指示がなくても動きます」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント・中小企業診断士)
チェックポイント①:あなたの目標はスタッフに「行動」として伝わっているか
「今月の売上○○万円」という目標を伝えたとき、スタッフは具体的に「何をすればいいか」がわかっていますか。数字だけで伝わっていない場合、行動目標(提案件数・オプション率など)に分解できていない可能性があります。
✅ ポイント:目標を「客単価アップに直結する行動(1日○件の提案など)」に置き換えて、スタッフと共有する習慣を作りましょう。
チェックポイント②:目標の「達成後の意味」を語っているか
スタッフが目標を他人事と感じるとき、多くの場合「達成したらどう変わるのか」が見えていません。オーナーの頭の中にはビジョンがあっても、口に出して伝えていないことがよくあります。
✅ ポイント:月に一度、「このお店が1年後・3年後にどうなっていたいか」を5分でもスタッフと話す場を作ること。継続することで、チームの一体感が育まれます。
「以前は数字の話をしても、スタッフの反応がいまいちで悩んでいました。目標の伝え方を変えてから、スタッフのほうから『次回予約、取ってきました』と報告してくれるようになって。売上だけじゃなく、職場の雰囲気そのものが変わった気がします」
40代・美容室オーナー
まとめ:目標設定は「経営者からスタッフへの最初のメッセージ」
目標は設定するものではなく、伝えるものです。そしてその伝え方が、スタッフとの会話の質を決め、チームの動き方を決め、最終的には利益の残り方を決めます。
「売上を上げてください」という言葉より、「このお客さんにこの価値を届けよう」という言葉のほうが、スタッフは動きます。その積み重ねが、客単価を上げ、再来店を増やし、利益を手元に残すお店を作ります。
21年間・833件の現場を見てきた経験から言えば、目標設定の方法を変えることは、最もコストがかからず、最も早く職場の雰囲気を変えられる経営行動のひとつです。
「何から手をつければいいかわからない」という方は、まず目標の伝え方を今週から変えてみてください。その小さな一歩が、半年後・1年後のお店の形を変えます。
もし「自分のお店ではどうすればいいか」を具体的に知りたい方は、以下の無料レポートやLINE公式アカウントからご確認ください。スタッフとの関係づくり・客単価アップ・利益改善の具体的な手法を、現場ですぐ使える形でお届けしています。一人で抱え込まず、お気軽にご活用ください。