「メニューを増やしたのに客単価が全然変わらない」「カットだけで終わってしまうお客さんが多い」「高単価メニューをどう売ればいいか分からない」――そんな悩みを抱えている美容室オーナーの方、実はとても多いんです。
松竹梅方式(3段階メニュー設定)は、こうした客単価の壁を突き破るための、シンプルで実証済みの方法です。価格帯を3つに分けてメニューを設計することで、お客さんが自然と中〜高単価のコースを選びやすくなります。難しいセールストークは要りません。メニュー表の「構造」を変えるだけで、現場の空気が変わります。
📋 この記事でわかること
- 松竹梅方式とは何か、なぜ客単価アップに効くのか
- 3段階メニューの正しい価格設計と比率の考え方
- メニュー名を「ご利益型」に変える具体的な方法
- よくある失敗パターンと、実際の改善ステップ
こんな方におすすめ
- ✅ カットのみのお客さんが多く、客単価が4,000〜6,000円で頭打ちになっている方
- ✅ メニュー表を作り直したいが、どう設計すればいいか分からない方
- ✅ 高単価メニューを作ったのに全く売れていない方
- ✅ 値引きせずに自然と単価を上げたいと考えている方
- ✅ 施術の質は高いのに、その価値がお客さんに伝わっていないと感じている方

松竹梅方式とは?なぜ美容室の客単価アップに効くのか?
松竹梅方式とは、メニューを「梅(低価格)」「竹(中価格)」「松(高価格)」の3段階に分けて提示する価格設計の手法です。行動経済学でいう「極端回避性」と「妥協効果」を活用しており、選択肢を3つ並べると人は自然と真ん中(竹)を選びやすくなるという心理的特性を利用しています。
美容室に置き換えると、こういうことです。カットのみ・カット+カラー・カット+カラー+トリートメントという3段階を「梅・竹・松」として提示すると、多くのお客さんは「真ん中くらいでいいかな」と判断します。一方、カットとカラーの2択しかない場合、お客さんはどちらにするかで迷い、安い方を選びがちです。選択肢が3つあると、比較の基準軸が生まれ、中間を「ちょうどいい選択」と感じてもらえるわけです。
私が21年間で美容室150件以上を指導してきた経験の中でも、この3段階設計を導入することで客単価が数百〜数千円単位で上がったケースは数多くあります。「値上げ」をしているわけではなく、「選ばれ方の設計」を変えているだけです。そこが大事なポイントです。
「メニューは商品カタログではなく、お客さんへの提案状です。どんな順番で、どんな言葉で並べるかで、お客さんの選択は変わります」
ハワードジョイマン(繁盛店グループ総代表/店舗利益最大化コンサルタント)
3段階メニューの価格設定はどう決めればいいのか?
価格帯の設計に悩む方が非常に多いのですが、基本的な考え方はシンプルです。「竹(中間)に一番売りたいメニューを置く」ことを起点にして、梅と松を逆算します。
具体的な比率の目安としては、梅:竹:松 = 1:1.5〜2:3前後が使いやすいラインです。たとえば、
- 梅:カットのみ 6,000円
- 竹:カット+カラー 11,000円(←ここをメインに売りたい)
- 松:カット+カラー+トリートメント 16,500円
この設計のポイントは、「松」の存在感です。松があることで竹が「お得感のある選択」に見えてきます。松を見た後に竹を選ぶお客さんは「賢い買い物をした」と感じます。これが妥協効果の核心で、松は売るためだけでなく「竹を選びやすくする」役割も担っています。
よくある失敗は、梅と竹の価格差が小さすぎること。差が1,000円以下だと竹を選ぶ意味がお客さんに伝わりにくくなります。竹と松の差もあまり開きすぎると松が非現実的に見えてしまうので、全体のバランスを意識してください。
チェックポイント1:今のメニューは「梅から始まっていない」か確認する
多くの美容室のメニュー表は、一番安いメニューを上に、高いメニューを下に並べています。この順番では、お客さんは上から見ていくうちに「安いので十分かな」と判断を止めてしまいます。
✅ ポイント:売りたいメニュー(竹)を上部か目立つ位置に配置し、松はその隣か直上に置くことで、視線の流れをコントロールする。
チェックポイント2:「カット」「カラー」という作業名のままになっていないか
「トリートメント 3,300円」と書いてあっても、トリートメントをしたことがないお客さんには価値が伝わりません。なぜそのメニューが必要なのかが伝わって初めて、お客さんは検討してくれます。
✅ ポイント:メニュー名を「ご利益型」に変える。例:「うねり・広がりが気になる方のトリートメント」「次の日の朝のスタイリングが5分になるカット」など。
✓ ここまでのポイント
- 松竹梅方式は「売りたいメニュー(竹)を真ん中に置き、自然に選んでもらう」設計手法
- 価格差は梅→竹→松で段階的に開き、松は「竹をお得に見せる」役割も兼ねる
- メニュー名は作業名ではなく、お客さんが得られる「変化・恩恵」で表現する
メニュー名を「ご利益型」に変えるにはどうすればいいのか?
価格設計と同じくらい重要なのが、メニューの「名前」です。ここが変わるだけで、説明なしにお客さんが自分から興味を持ってくれるようになります。
ご利益型メニュー名とは、施術の内容(作業)ではなく、そのメニューを受けた後にお客さんが手に入れる状態や感情を表現したものです。
❌ よくあるパターン(作業名メニュー)
- カット+トリートメント 9,900円
- カラー(フルカラー)11,000円
- 縮毛矯正 22,000円〜
✅ 推奨アプローチ(ご利益型メニュー)
- 「朝のセットが楽になるカット+まとまりトリートメント」9,900円
- 「白髪が気にならない自然なカラー(全体染め)」11,000円
- 「雨の日もまっすぐキープ。くせ毛・広がりの根本対策コース」22,000円〜
「朝のセットが楽になる」「雨の日もまっすぐ」という言葉は、お客さんが日常生活で感じているリアルな悩みに直接刺さります。施術名だけを見せても行動は変わりませんが、「これを受けたら自分のあの悩みが解決するかも」と想像させることができれば、自然と関心を持ってもらえます。
この作業は難しいように見えて、コツをつかめばシンプルです。「このメニューを受けたら、お客さんの日常のどんな場面が変わるか?」をひとつ思い浮かべてそのまま書く。それだけです。
「お客さんはカラーが欲しいんじゃなくて、白髪が気にならない自分になりたいんです。そこに気づくだけでメニューの見え方が180度変わります」
ハワードジョイマン(繁盛店グループ総代表/店舗利益最大化コンサルタント)
実際にどんな手順で3段階メニューを作ればいいのか?
考え方はわかったけど、実際どこから手をつけるの?という方のために、具体的な作業ステップをお伝えします。
客単価アップ STEP 1
「一番売りたいメニュー」を1つ決める
まず竹に入れるメニューを決めます。現状の来店客に一番提案しやすく、かつ利益率の高いものが理想です。カット客が多いなら「カット+カラー」または「カット+トリートメント」が定番の竹候補です。
⚠️ よくある失敗:「全メニューをリニューアルしよう」と欲張りすぎて手が止まること。まず竹だけ決めることに集中してください。
客単価アップ STEP 2
竹を軸に、梅と松を設計する
竹が決まったら、竹より1〜2工程少ない梅と、1〜2工程多い松を作ります。梅は「入口」として機能し、松は「比較軸」として機能します。竹の価格を起点に、梅は6〜7割、松は1.4〜1.6倍程度を目安にするとバランスが取りやすいです。
⚠️ よくある失敗:梅と竹の差が小さすぎて「どうせなら安い方でいい」という判断をされてしまうこと。梅→竹の差は少なくとも2,000〜3,000円以上開けることをお勧めします。
客単価アップ STEP 3
メニュー名をご利益型に書き換える
3つのメニューが決まったら、それぞれの名前を「お客さんが得る変化」で表現し直します。特に竹は最も目を引く位置に置き、ご利益名を明確にします。POPや店頭のメニュー表にそのまま反映してください。
⚠️ よくある失敗:完璧な言葉を探しすぎて行動が止まること。まず40点の言葉で出してみて、反応を見ながら少しずつ改善する方が実際に変化が生まれます。
「ジョイマン先生のアドバイスでメニュー名を変えてから、トリートメントを追加するお客さんが増えました。説明を頑張らなくてもメニュー表が代わりに話してくれる感じで、現場がとても楽になりました」
40代・女性(美容室オーナー)
松竹梅方式を導入するうえでよくある疑問は?
導入前後でよく受ける質問をいくつかまとめておきます。
Q:松(高価格帯)のメニューが売れなくても問題ないの?
松は「竹をお得に見せるための比較軸」でもあるので、松が売れなくても竹の成約率が上がれば目的は達成されています。松が売れたらそれはさらなる利益増です。
Q:既存のお客さんへの説明はどうすればいい?
大げさに説明しなくて大丈夫です。新しいメニュー表を渡す際に「最近メニューを整理しました」と一言添えるだけで自然に受け入れてもらえます。お客さんはメニュー改定自体よりも、自分にとっての価値が伝わるかどうかに関心があります。
Q:価格を上げることへの罪悪感があるが?
これは非常に多くのオーナーが感じることです。ただ、今回の話は「値上げ」ではなく「より価値のある提案を届ける仕組みを作ること」です。お客さんにとって本当に良い選択肢を適切な形で提示することは、むしろサービスの向上といえます。
Q:スタッフがいる場合、教育はどうする?
まずオーナー自身がメニュー設計の意図を理解すること。その後、メニュー表が自動的に提案してくれる設計にすることで、スタッフのトーク力に依存しない仕組みが生まれます。
まとめ:客単価アップの第一歩は「見せ方の設計」から
松竹梅方式は、特別なトークスキルも、大きな設備投資も必要ありません。「何を」「どんな名前で」「どんな順番で」見せるか。この3つを整えるだけで、同じ技術・同じ場所・同じ時間でも、お客さんが選ぶメニューは変わります。
私がこれまで指導してきた833件以上の店舗で共通して言えることは、「動いた人だけ変わる」ということです。完璧なメニュー表を目指して動けないより、60点の状態で今週中に出してみることの方が、はるかに意味があります。
まずは「一番売りたいメニュー(竹)を1つ決める」ことから始めてみてください。それだけで、経営の見え方が少し変わるはずです。
もっと具体的な実例やメニュー設計の詳細を知りたい方、スタイリスト1人でも月商を大きく伸ばすための仕組みを学びたい方は、こちらの無料レポートをご覧ください。
また、日々の集客・販促に関する情報はLINEでも発信しています。気軽に覗いてみてください。