先日、増益繁盛クラブの会員さんとオンラインでお話ししていたとき、こんな一言が出てきました。
「ジョイマンさん、うちのお客さん、カットしか頼んでくれないんですよね。カラーやトリートメントのメニューもあるのに、全然売れなくて……」
その方は、美容師歴15年以上のベテランオーナーさんです。腕は確か。接客も丁寧。でも、客単価は5,000円前後で何年も止まったまま。忙しく働いているのに、月末になると手元にほとんどお金が残らない、という状況でした。
この「客単価が低い」という悩みは、私がこれまで指導してきた美容室150件以上のオーナーさんのほぼ全員が、一度は口にする言葉です。今日は、その根本にある「見落とし」と、具体的な見直しポイントをお伝えしていきます。
📋 この記事でわかること
- 客単価が低い本当の原因(メニュー構成・見せ方の問題)
- 「カット」「カラー」という表記をやめるだけで変わること
- POPと次回提案で客単価を自然に引き上げる仕組み
- 改善の優先順位と、今日からできる最初の一手
こんな方におすすめ
- ✅ 客単価が4,000〜6,000円で長年頭打ちになっている方
- ✅ メニューを増やしても追加注文がなかなかもらえない方
- ✅ カットのみのお客さんが多くて困っている方
- ✅ 値下げせずに売上を伸ばしたいと考えている方
- ✅ 忙しいのに利益が残らないと感じている経営者の方

「メニューが売れない」のは、メニュー名のせいかもしれない
冒頭の会員さんのケースに戻りましょう。私が最初に確認したのは、メニューブックでした。
そこには、こんな表記が並んでいました。
- カット 3,500円
- カラー 8,000円〜
- パーマ 9,000円〜
- トリートメント 2,000円〜
見た瞬間に、「あ、これは売れにくいですね」と思いました。
なぜか。この表記では、お客さんに「何が得られるのか」がまったく伝わらないからです。
「カット」は作業名です。「カラー」も同じ。お客さんの立場で考えれば、そのメニューを受けることで「どんないいことがあるのか」が見えなければ、安い方を選ぶのは自然な行動です。
私がよく使う言葉に「ご利益名」というものがあります。これは、メニュー名をお客さんにとってのメリット・恩恵が伝わる表現に変えることです。
たとえばこんなふうに変えるだけで、印象はガラッと変わります。
❌ よくあるメニュー名(作業名)
- カット 3,500円 → 価格で比較されやすく、安い店に流れる
- トリートメント → 「必要か?」と感じると省かれる
- カラー → 「うちもやってる普通のやつね」で終わる
✅ ご利益名に変えた例(推奨アプローチ)
- 「朝のセットが2分で決まるカット」→ 忙しいお客さんに刺さる
- 「翌朝の手触りが変わるうるおいトリートメント」→ 体験を想起させる
- 「白髪をおしゃれに活かす大人カラー」→ 悩みを持つ層に直接訴える
名前を変えるだけで、お客さんが自分ごととして考えてくれるようになります。これはお金を一切かけずにできる最初の見直しです。
メニューの「並び順」で客単価は変わる
名前の次に確認してほしいのが、メニューブックの並び順です。
多くの美容室のメニューブックを見ると、安いメニューが上に、高いメニューが下に並んでいます。これは「お客さんが読む順番」を考えると、実はもったいない構成です。
人は、最初に目に入ったものを基準として判断します。「カット3,500円」が最初に目に入れば、それが「この店の標準」になってしまう。カラーやトリートメントは、「追加料金がかかるもの」として見られやすくなります。
売りたいメニューを上位に配置する。これだけで、お客さんの目線と判断の基準点が変わります。
また、もう一つ重要なのが「高単価メニューを1つ作ること」です。
価格心理学でいう「松竹梅の法則」ですが、真ん中の価格帯が選ばれやすくなります。現在のメニューが「竹」しかなければ、意図的に「松」を作るだけで、相対的に選ばれやすいメニューの単価が上がります。
✓ ここまでのポイント
- メニュー名を「作業名」から「お客さんへの恩恵(ご利益名)」に変える
- 売りたいメニューをメニューブックの上位に配置する
- 高単価の「松」メニューを作ることで、選ばれる価格帯が変わる
POPが「無言の接客係」になる
メニューブックの見直しと並行して、ぜひ取り入れてほしいのがPOP(店頭掲示物)の活用です。
スタイリストが忙しく施術に集中しているとき、お客さんは鏡の前で何を見ているでしょうか。スマホを見ている方もいますが、待ち時間や仕上げの時間に、自然と目がいく場所があります。それが鏡まわり、トレイ、シャンプー台の前です。
ここにPOPを置くことで、スタッフが何も言わなくても、お客さんが自分から「これって何ですか?」と聞いてくれるようになります。
私は21年間、さまざまな業種の店舗をサポートしてきましたが、POPは「口下手なスタッフでも成果を出せる最強の販促ツール」だと感じています。
「POPは、あなたの代わりに24時間働いてくれる販促スタッフです。置くだけでお客さんが動く仕組みを作ることが、経営者の仕事です」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
POPで効果が出やすいのは、次のような内容です。
- 「この季節に多いお悩みベスト3」→ 共感を生む
- 「○○トリートメントを試したお客さんの声」→ 第三者の言葉で信頼を作る
- 「今月のおすすめ:髪のダメージが気になる方へ」→ 悩みを持つ人に刺さる
大切なのは「このメニューがあります」という告知ではなく、「あなたのその悩み、解決できます」という視点で書くことです。
「その日の施術」で終わらせない:次回提案が客単価を底上げする
客単価のお話をするとき、多くの経営者の方が見落としているのが「次回提案」との連動です。
たとえば、今日カットだけで来店したお客さんに、施術後にこう声をかけてみてください。
「今日はカットだけでしたが、毛先のパサつきが気になる季節になってきましたね。次回はトリートメントもあわせてみると、かなり変わりますよ。40日後くらいにまたご来店いただくと髪の状態がキープできますので、次回ご予約入れておきましょうか?」
この一言が、次回のメニューをカット+トリートメントに変える入口になります。次回予約を入れると来店間隔が縮まり、年間の来店回数も増える。さらに次回来るメニューが変わる。この2つが重なると、客単価と来店頻度の両方が改善されます。
チェックポイント1:今のメニューブックを見直す
メニュー名が「カット」「カラー」などの作業名になっていませんか?お客さんが「自分に関係がある」と感じる言葉に変わっているかどうかが判断基準です。
✅ ポイント:まずは1〜2つのメニューだけ「ご利益名」に変えて、お客さんの反応を観察してみましょう。全部一気に変えなくて大丈夫です。
チェックポイント2:高単価メニューが存在するか
現在のメニューラインナップに「一番高いメニュー」はありますか?それは今の客単価の何倍の価格ですか?
✅ ポイント:「松竹梅」の「松」となるプレミアムメニューを1つ設けることで、選ばれる価格帯の重心が自然と上がります。
チェックポイント3:POPが今のお客さんに届いているか
店内のPOPは、いつ作ったものですか?季節や悩みに合わせて定期的に差し替えていますか?
✅ ポイント:古いPOPはお客さんに「見飽きた」と感じさせます。月1回の更新を目安に、旬の悩みや季節感を取り入れましょう。
チェックポイント4:次回予約の提案をしているか
施術後に「次回はいつ来るといいですか」をお客さんに伝えていますか?来店タイミングをお客さん任せにしていませんか?
✅ ポイント:次回来店の適切な間隔を伝え、その場で予約まで取ることが「仕組み」になります。スタッフ全員が同じように伝えられるよう、スクリプトを用意しましょう。
「最初の1〜2ヶ月は、客単価アップに集中してほしいんです。新規集客より先に。なぜなら、今いるお客さんの単価が上がれば、同じ忙しさでも残るお金が変わってくるからです」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
改善の優先順位:「客単価→再来店→新規集客」の順で動く
ここまで読んでくださった方の中には、「新規のお客さんを増やすことも大事じゃないの?」と感じた方もいるかもしれません。
もちろん新規集客も重要です。ただ、私がコンサルティングの現場で一貫してお伝えしているのは、改善の順番として「①客単価アップ→②再来店対策→③新規集客」の優先順位で取り組んでほしい、ということです。
なぜか。席数も時間も有限な美容室では、新規のお客さんを増やしても、客単価が低いままでは収益が上がりにくい構造になっているからです。バケツに穴が開いたまま水を注いでも、底は上がりません。
まず、今いるお客さんに、もっと喜んでもらえるメニューを届ける。それが客単価アップの本質です。お客さんのためになるメニューを、ちゃんと伝えられていなかっただけ、というケースが大半です。
「客単価アップって、お客さんから無理やりお金をとることじゃないんですよ。そのお客さんの悩みを解決できるメニューがあるのに、伝えていなかった。それを伝えるようにしただけで、感謝されながら単価が上がるんです」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
支援実績833件以上の現場でこの考え方を実践してきた中で、客単価アップは「売り込み」ではなく「お客さんへの提案の質を上げること」だと、改めて確信しています。
「以前は、カットのみのお客さんが多くてどうしたものかと悩んでいました。でも、メニュー名を変えてPOPを置いたら、お客さんのほうから『これ気になっていたんですけど』と声をかけてくれることが増えて、自然に単価が上がっていきました」
(40代・美容室オーナー)
まとめ:今日から動ける最初の一手
客単価が上がらないとき、まず見直してほしいのはこの3つです。
- メニュー名を「ご利益名」に変える(作業名から恩恵の言葉へ)
- 売りたいメニューをメニューブックの上位に置く(目線の導線を設計する)
- POPと次回提案を仕組みとして組み込む(スタッフ全員が同じように動ける状態に)
どれも大きな投資は必要ありません。でも、「知っている」と「やっている」の間には大きな差があります。業界経験21年のコンサルタントとして言えるのは、成果を出す経営者は、学んだその日に小さくても動いている、ということです。
まずはメニューブックを1枚手元に出して、メニュー名を見直すところから始めてみてください。それが最初の一手です。
もっと具体的な客単価アップの手順や、販促の実例を知りたい方は、ぜひ以下の無料レポートをご覧ください。美容室の現場で使えるノウハウを詰め込んでいます。気軽に手に取っていただけると嬉しいです。
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静岡市清水区を拠点に、全国の美容室オーナーさんのサポートをしています。「自分のお店に当てはめたらどうなる?」という疑問があれば、LINEからでも遠慮なく聞いてください。お待ちしています。