先日、イタリアンを経営している40代の女性オーナーからこんな相談をいただきました。「ジョイマンさん、毎日やることが山積みで、何から手をつければいいのかもう分からなくて……。頭の中がずっとぐるぐるしているんです」と。
この状態、あなたにも心当たりはありませんか? SNS投稿、メニュー開発、スタッフのシフト調整、仕入れの見直し、予約対応、売上の集計……全部「やらなきゃいけないこと」として頭の中に同じ重さで存在している。これが、時間が足りないと感じる最大の原因です。
結論から言います。やることを増やすのをやめることが、時間をやりくりする最初の一手です。
📋 この記事でわかること
- 「やることが多すぎる」の本当の原因はどこにあるか
- 社長の仕事とそれ以外の仕事を分ける具体的な方法
- 何から手をつけるかを決める優先順位のつけ方
- 時間をやりくりして成果に直結させるための実践ステップ
こんな方におすすめ
- ✅ 毎日バタバタしているのに手元にお金が残らないと感じている方
- ✅ やることが多すぎて何から手をつければいいか分からない飲食店・美容室オーナーの方
- ✅ 「忙しい」が口癖になっていて、経営の時間が取れていない方
- ✅ 目標を立てても日々の業務に流されてしまうと悩んでいる方
- ✅ 自分がいないと店が回らないという状況から抜け出したい方

「やることが多すぎる」のは、本当に仕事が多いせい?
率直に言うと、多くの場合、仕事の量そのものが問題ではありません。問題は、すべてのタスクを「同じ重さ」で抱えていることです。
インスタの投稿も、スタッフへの声かけも、売上分析も、電話対応も、仕入れ業者へのメールも——全部「今日やること」として頭の中に混在している。この状態では、どれから手をつけても「他にもやることがある」という圧迫感が消えません。
経営歴2〜3年以上のオーナーによく見られるのが、この「全部自分がやらなきゃ」という思い込みの積み重ねです。最初は規模が小さいから自分でやるしかなかった。でも気づいたら、業務の総量が増えても全部自分が抱えたままになっている。
これは能力の問題でも、頑張りが足りないせいでもありません。「何を止めるか」「何を任せるか」を決める仕組みがなかっただけです。
そもそも「社長の仕事」って何?
ここをはっきりさせないまま動き続けると、一生バタバタは終わりません。
社長の仕事は、ひと言で言えば「儲かるアイデアと儲かる仕組みをつくること」です。それ以外——現場作業、電話対応、日々のルーティン——は原則として「止める・任せる・外注する」対象です。
先ほどのイタリアンのオーナーの話に戻ると、彼女が特に疲弊していたのが電話対応でした。予約の確認電話、問い合わせ対応、キャンセルの連絡……それぞれは数分でも、1日に積み上がると相当な時間と精神エネルギーを奪っていた。
「社長がやらなくても成立する仕事に、社長の時間を使い続けている」——これが時間不足の正体です。
「忙しいのは大人気の証拠。でも、その忙しさが儲かることに向いていないなら、それはただの消耗です。社長の仕事は現場を回すことじゃなくて、現場が回る仕組みをつくること。そこに時間を使えているか、一度立ち止まって確認してほしい」
ハワードジョイマン(繁盛店研究所 主宰・中小企業診断士)
何から手をつけるかは、どうやって決める?
優先順位が分からなくなる理由は、「重要度」と「緊急度」をごちゃまぜにしているからです。緊急なものは目立つので、ついそっちから手をつけてしまう。でも緊急なものの多くは、実は「重要ではない」ことが多い。
まず、1週間の自分の行動をすべて書き出してみてください。頭の中で整理しようとしても限界があります。紙でもメモアプリでも何でもいい。とにかく全部出す。
チェックポイント①:この作業は「売上に直結しているか」
書き出したタスクの一つひとつに問いかけてみてください。「これをやることで、直接売上や利益につながるか?」と。もしNoなら、それは社長がやる必要のない仕事の候補です。
✅ ポイント:「関係ない仕事をやめる」ことへの罪悪感を捨てる。やめることは怠けることではなく、社長として正しい判断です。
チェックポイント②:「自分がやらなくてもできるか」
仕事を「大きな塊」で見ると「自分にしかできない」と感じやすいですが、工程に分解してみると意外と任せられる部分が出てきます。たとえば電話対応なら、よくある質問への返答はスタッフにルール化して渡せます。予約受付はネット予約に切り替えられます。
✅ ポイント:「自分がやった方が早い」は思い込みです。一度手順を作って渡せば、中長期では圧倒的に時間が生まれます。
チェックポイント③:「今の自分の時間の使い方は、3ヶ月後の売上につながっているか」
今日1日の行動が、3ヶ月後の自分の店にどう影響するかを意識してみてください。目の前の緊急タスクをこなすだけでは、3ヶ月後も同じ状況が続きます。
✅ ポイント:「未来から今を見る」視点を持つ。3ヶ月後に実現したい状態を先に決め、そこから逆算して今日やることを選ぶ。
✓ ここまでのポイント
- 「やることが多すぎる」の原因は、全部を同じ重さで抱えていること
- 社長の仕事は「儲かるアイデアと仕組みをつくること」に絞る
- タスクを書き出し、売上直結か・自分以外でもできるかを基準に仕分けする
実際にどう動けばいい? 時間やりくりの具体的なステップは?
時間やりくり STEP 1
1週間の行動をすべて書き出す
まず「見える化」から始めます。月曜から日曜まで、自分が実際にやっていることをすべてリストアップしてください。「なんとなく忙しい」を「具体的に何に時間を使っているか」に変換する作業です。
⚠️ よくある失敗:「だいたい分かっている」と思って書き出しをサボること。頭の中で整理しようとすると、必ず見落としと思い込みが混在します。必ず書き出すこと。
時間やりくり STEP 2
「止める・任せる・外注する」に仕分けする
書き出したタスクを3つの箱に分けます。①自分でやるべき社長の仕事、②スタッフに任せられる仕事、③外注・ツール化できる仕事。①以外はとっとと手放す準備を始める。
⚠️ よくある失敗:「今は人がいないから」「仕組みができてから」と先送りにすること。仕組みは完璧でなくてもいい。まず粗くても手順を作って渡してみることが大事です。
時間やりくり STEP 3
捻出した時間を「社長の仕事」に使う時間として確保する
手放せた時間を、すぐ別の作業で埋めないことが重要です。その時間を「メニュー構成の見直し」「客単価アップの仕組みを考える」「リピート導線の設計」など、売上に直結する思考の時間に使う。週に数時間でも、これを積み上げると経営は確実に変わり始めます。
⚠️ よくある失敗:捻出した時間を「他の現場作業」で埋めてしまうこと。時間が生まれたらすぐ「社長の仕事」を当て込む、という段取りを先に決めておく。
「時間がないから考えられない、考えられないからまた時間がない——この悪循環を断ち切る唯一の方法は、まず何かをやめることです。全部抱えたまま効率化しようとしても限界があります。手放す勇気が、経営を変える入り口になります」
ハワードジョイマン(繁盛店研究所 主宰・中小企業診断士)
実際に変わったオーナーの話——「漠然とした不安」が「やることが見える安心」に変わった
「以前は頭の中が常にごちゃごちゃしていて、何から手をつければいいか全然分からない状態でした。電話対応だけでも地味に時間を取られていて、それが毎日のストレスになっていたんです。でも、やることを書き出して仕分けしてみたら、自分がやらなくてよかったことがたくさんあって。客単価も18%上がって、漠然とした不安が『やることが見える』安心に変わりました」
イタリアン経営・女性・40代
この方が変わるきっかけになったのは、「やることを増やす」ことではなく「何を止めるかを決めた」ことでした。電話対応の負担を仕組みで軽減し、浮いた時間と頭のスペースを客単価アップのための接客設計に使い始めた。それだけで、数字も気持ちも変わったんです。
同じように、全国500名以上の飲食店・美容室オーナーが「増益繁盛クラブ」で同じ変化を経験しています。「何から手をつければいいか分からない」という状態は、仕組みと視点が変われば必ず抜け出せます。
まとめ:「やりくり」は頑張りでなく、仕組みで解決する
やることが多すぎる時に必要なのは、もっと頑張ることでも、もっと早起きすることでもありません。
大切なのはこの3つです。
- 全部を同じ重さで抱えるのをやめる(書き出して仕分けする)
- 社長の仕事に集中し、それ以外は止める・任せる・外注する
- 捻出した時間を「儲かる仕組みづくり」に使う
「原因は100%自分」——今の状況は自分がつくり出しているし、変えられるのも自分だけです。「漠然とした不安」を「やることが見える安心」に変えることは、必ずできます。
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