「ジョイマンさん、うちの社長、最近また連絡が取れなくて」
先日、ある焼肉店のオーナーさんから相談を受けたとき、最初に出てきた言葉がこれでした。「社長」というのはオーナー本人のことで、つまり自分のことを「最近また連絡が取れなくて」と言っていた。聞いてみると、毎日ランチから深夜まで仕込みと接客に追われ、スマホを見る時間すら確保できていないという状況でした。
この話を聞いて、私は「あ、これは昔の自分だ」と思いました。
私自身、役所を辞めて独立し、一度全財産を失って再起した経験があります。その再起の途中でずっと「忙しい、忙しい」と言い続けていた時期があった。でも、忙しさから抜け出せたのは、特別なスキルを身につけたからでも、スタッフが増えたからでもなかった。「忙しさの正体」に気づいて、手放す判断をしたからです。
今日はその話を、具体的な体験とともに書いていきます。
📋 この記事でわかること
- 「忙しい」が解消されない本当の理由(能力の問題ではない)
- 時間を奪っている「直結しない行動」の見つけ方
- 忙しさを手放した焼肉店オーナーに実際に起きた変化
- 今日から動き出せる、時間捻出の具体的な最初の一歩
こんな方におすすめ
- ✅ 毎日忙しいのに、手元にお金も時間も残らないと感じている飲食店・美容室オーナー
- ✅ 「休みを増やしたい」と思いながら、何年も変えられずにいる方
- ✅ 自分がいないと店が回らない状況を、どこから変えればいいか分からない方
- ✅ 仕事を手放したいが、何を手放せばいいのかが見えていない方
- ✅ 「忙しさ」が美徳だと、どこかで信じてきた経営者の方

「忙しい」は状態ではなく、構造の問題だった
正直に言います。私がかつて「忙しい」から抜け出せなかった一番の理由は、忙しさを「仕方ない現実」として受け入れていたことです。
「お客さんが来てくれているんだから、忙しいのは当たり前」「規模が小さいんだから、自分が動くしかない」——こういう前提を疑わずに持っていた。でも、それはただの思い込みで、構造の問題を能力や環境のせいにしていた言い訳でした。
「原因は100%自分」というのが私の基本的な考え方です。これは自分を責めることではなく、自分が変えられるということを意味する。忙しさの構造を自分がつくっているなら、自分が変えられる。そこに気づけたとき、初めて動けるようになりました。
では、忙しさの「構造」とは何か。ひと言で言うと、利益に直結しない行動が、1日の大半を占めている状態です。
飲食店のオーナーさんで多いのは、仕込みの全工程を自分でやる、仕入れの問い合わせ対応を自分でする、SNSの投稿文を毎回ゼロから考える、クレーム対応は必ず自分が出る——こういった「誰でもできる(または任せられる)行動」を、全部自分で抱えているパターンです。
これは能力がないからではない。「自分がやらないと不安」という認識が、手放す選択肢を消してしまっているんです。
「行動を書き出す」と言われても、何をどう整理すればいいか分からないまま手が止まることがある。繁盛店ポータルでは、AIと対話しながらお店の目標や行動の優先順位を整理できる「増益繁盛プランナー」が無料で使えます。メールアドレスだけで今すぐ登録できます。
週2日の休みを手に入れた焼肉店オーナーが、最初にやったこと
先ほどご紹介した焼肉店のオーナー(40代・男性)は、私と一緒に取り組みを始めたとき、月商420万円ありながら休みがほぼゼロという状態でした。「繁盛しているのに、なぜか疲弊している」という典型的なパターンです。
最初に取り組んだのは、1週間の行動を全部書き出すことでした。何に時間を使っているかを「見える化」する作業です。
書き出してみると、彼の1日には「これ、本当に自分がやる必要があるか?」という行動がいくつも並んでいた。仕入れ業者への折り返し電話、スタッフのシフト調整の最終確認、テーブルのセッティングチェック、レジ締めの最終確認……。どれも「社長でなくてもできる作業」でした。
彼はこの中からまず「なくせるもの」「任せられるもの」を選んで、少しずつ手放していきました。最初は不安だったと言っていました。「任せて大丈夫かな」という気持ちが何度もよぎった、と。
でも、任せてみると案外うまく回る。それが積み重なって、気づいたら週2日の休みが確保できていた。そして、休みができたことで新しいメニューを考える時間が生まれ、値引きに頼らなくても「この焼肉を食べに来たい」と言ってもらえる提供価値を磨けるようになっていった。
最終的には月商560万円に。でも彼が一番嬉しかったのは数字ではなく、「自分の料理に自信を取り戻した」ことだったと話してくれました。
「値引き競争から抜け出して、料理への自信を取り戻せた。週2日の休みができたことで、考える時間が生まれたんだと思います」
焼肉店オーナー(40代・男性)月商420万→560万円
忙しさを手放したことが、経営の質そのものを変えていたんです。
✓ ここまでのポイント
- 「忙しい」は能力の問題ではなく、利益に直結しない行動を抱え込む「構造」の問題
- 1週間の行動を書き出して「見える化」することが、手放す第一歩になる
- 忙しさを手放すことで、価値を磨く時間が生まれ、経営の質が変わる
「直結しない行動をなくす・任せる」という判断は、やり方がわかっていないと実行できない。動画講座「行動収益化法」では、1週間の行動分析から「6つの仕分け」「作業の委譲手順」まで、今日から使える形で体系的に学べます。視聴期限なし、スマホからいつでも見返せます。
手放せない本当の理由は「認識」にある
ここで少し深い話をします。
なぜ多くの経営者が、頭では「手放すべきだ」とわかっていながら、手放せないのか。理由はシンプルで、「自分がやらないといけない」という認識が書き変わっていないからです。
「行動を変えようとする前に、認識を変えないといけない。行動は認識の出力でしかないから、認識が古いまま行動だけ変えようとしても、必ず元に戻る。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所)
私が「形状記憶ラバー」と呼んでいる現象があります。ゴムを引っ張っても、手を離すと元の形に戻る。経営者の行動も同じで、認識(思い込み)が変わっていないと、一時的に手放しても気づけばまた抱え込んでいる。
では、認識をどう変えるか。私がよくやる方法のひとつは、言葉を変えることです。
「忙しい」という言葉は、ネガティブな状態を固定化します。でも「大人気」と言い換えると、同じ状況でも意味が変わる。「これだけお客さんが来てくれているなら、仕組みをつくる価値がある」という前向きな思考が動き始めます。
これは単なる言葉遊びではなくて、認識が変わると判断が変わり、行動が変わるという実際の仕組みです。21年間、飲食店・美容室オーナーの支援をしてきた中で、この順番を外したままうまくいった人を私は見たことがない。
「直結しない行動」を手放すための、具体的な3ステップ
時間捻出 STEP 1
1週間の行動を全部書き出す(行動分析)
まず7日間、自分が何に時間を使っているかをリストアップします。「何時間、何をやったか」を記録するだけでいい。この作業で初めて、どこに時間が消えているかが見えます。書き出してみると、自分でも驚くほど「これ、自分がやる必要ないな」という行動が出てきます。
⚠️ よくある失敗:「だいたいわかってる」と思って書き出しをやらない。頭の中だけで整理しようとすると、必ず見落としがある。紙かスマホのメモに、実際に書き出すことが必須です。
時間捻出 STEP 2
行動を6つの視点で仕分ける
書き出した行動を、①なくす ②任せる ③外注する ④やり方を変える ⑤速める ⑥集約する——この6つの視点で仕分けていきます。全部に当てはめようとしなくていい。まず「なくせるもの」と「任せられるもの」だけに集中するのが最初の一歩として現実的です。
⚠️ よくある失敗:「これは自分しかできない」と最初から決めつけること。「本当に自分でないとダメか?」という問いを必ずセットで持つこと。
時間捻出 STEP 3
捻出した時間を「利益に直結する行動」に使う
時間を捻出しても、何に使うかが決まっていないと、また別の雑務で埋まります。捻出した時間の使い道を先に決めておくことが重要です。新メニューの開発、リピーター向けの手紙を書く、次回予約の仕組みをつくる——「これをやるために時間を空ける」という目的を先に持つと、手放す判断がずっとしやすくなります。
⚠️ よくある失敗:捻出した時間を「少し休む」で終わらせてしまい、経営が変わらないまま「やっぱり忙しい」に戻る。
仕事を手放すプロセスについては、経営者が現場を手放す5ステップでより体系的に解説しています。あわせて読んでみてください。
「忙しさを手放す」は逃げではなく、経営者としての本来の仕事だ
ここまで読んでくれたあなたは、きっと「手放したい」という気持ちはある。でも「手放すのは甘えじゃないか」「自分が頑張らないと、スタッフに申し訳ない」という感覚がどこかにあるかもしれない。
私はこう思っています。経営者が現場の細かな作業に縛られていることのほうが、むしろスタッフにとって損失です。社長が経営を考える時間を持てないと、方向性が見えない、新しい価値が生まれない、売上が伸びないまま給料も増えない——という状況が続く。
「儲かるアイデアと儲かる仕組みをつくるのが社長の仕事」というのが私の考えです。現場作業は、その仕組みに組み込まれるべきもの。社長がそれを全部やっていたら、仕組みをつくる時間が永遠に生まれない。
忙しさを手放すことは、逃げではない。経営者として本来の仕事に戻ることです。
なぜ手放す「決断」が難しいのかについては、仕事を手放す決断に踏み切れた理由という記事に、私自身の経験を詳しく書いています。「頭ではわかっているのに動けない」という方に特に読んでほしい内容です。
まとめ:忙しさは「手放す判断」で終わらせられる
今日の話を整理します。
「忙しい」から抜け出せないのは、能力不足でも、規模が小さいからでもない。利益に直結しない行動を抱え込む構造と、「自分がやらないといけない」という古い認識が原因です。
まず認識を変える。次に行動を書き出して見える化する。そして「なくす・任せる」から手放し始める。捻出した時間を、価値を磨く行動に使う。この順番で動いた焼肉店オーナーは、月商420万円から560万円になり、週2日の休みを手に入れ、値引き競争から抜け出して料理への自信を取り戻した。
同じことが、今の忙しさに追われているあなたにも起こり得ます。
「時間がない」という状態は、現実が変わることで解消されるのではなく、あなたが先に判断を変えることで、現実が変わっていく。それが私の21年間の経験から言えることです。
手放すことに迷っているなら、まず今週の行動を書き出すことから始めてみてください。それだけで、見える景色が変わります。
また、手放すことへの不安の正体と、それをどう乗り越えたかについては、抱えていた仕事を手放せた本音の理由にも書いています。こちらも参考にしてみてください。
忙しさの正体は構造にあり、認識を変えて行動を仕分ければ時間は捻出できる——ここまで読んで、次にやるべきことは「仕組みとしての行動設計」を手に入れることです。「行動収益化法」では、未来デザインマップと曼荼羅シートを使って望む経営を逆算設計し、週単位で動き出せるメソッドを全8本の動画で学べます。