結論から言うと、「自分がいないと回らない」という状態は、能力の問題ではなく仕事の分け方の問題です。
仕事を「塊」のまま見ている限り、「これは自分にしかできない」という錯覚が生まれます。でも実際には、その仕事の中に「自分じゃなくてもできる工程」が必ずある。それを切り出して手放せるかどうか、ただそれだけの話なんです。
僕自身、破産という最悪の状況から這い上がる過程で、この「工程に分ける」という考え方に出会いました。それまでは「全部自分でやった方が早い」と本気で思っていた。でも、その思い込みこそが、自分の時間と経営を縛っていたんだと気づいたとき、経営が変わり始めたんです。
この記事では、仕事を工程に分けて人に任せられる状態をつくるための、具体的な4つのポイントをお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 「自分にしかできない」という錯覚がなぜ生まれるのか、その構造
- 仕事を工程に分けるための具体的な4つのポイント
- 切り出した工程を「任せられる状態」にする手順
- 鉄板居酒屋オーナーが閉店後の残業を削減し月商25%増を実現した実例
こんな方におすすめ
- ✅ 毎日閉店後まで残業が続き、体力的に限界を感じている飲食店・美容室オーナー
- ✅ スタッフがいるのに「任せる」より「自分でやった方が早い」が口ぐせになっている方
- ✅ 仕事を任せたいが、何から任せればいいか分からない方
- ✅ 仕組み化に取り組んだが途中で止まってしまった方
- ✅ 忙しく働いているのに手元にお金も時間も残らないと感じている方

「自分にしかできない」の正体は、仕事を塊で見ていること
飲食店でも美容室でも、繁盛しているオーナーほど「全部自分でやらないと不安」という状態に陥りやすい。忙しい=大人気、という嬉しい状態なのに、時間と体力が全部そこに消えていく。
その根っこにあるのが、仕事を「塊」で認識しているという問題です。
たとえば「仕込み」という仕事を「自分にしかできない」と思っている料理人がいたとします。でも「仕込み」を工程に分解してみると——
- 食材を冷蔵庫から出して計量する
- 野菜を決められたサイズに切る
- タレを合わせる
- 火を入れて味を調える(←ここだけが本当に経験が要る)
- 保存容器に移して冷蔵保存する
こう分けると、「自分がやらなければいけないのは最後の一工程だけ」という実態が見えてくる。これが工程に分けるということです。
美容室なら「カラーリング」という施術を塊で見ると「自分にしかできない」になりますが、「お客様のお出迎え」「カウンセリングシートの記入補助」「薬剤の計量・混合」「塗布」「タイマー管理と声かけ」「シャンプー台への誘導」と分解すれば、スタイリストが担うべきは塗布とカウンセリングの判断部分だけ、ということが分かります。
「自分にしかできない仕事」は、分解すると全体の2〜3割程度というのが実態です。残りの7〜8割は、やり方さえ決めれば誰かに任せられる工程なんです。
「工程に分けてみよう」と思っても、何の仕事からどう分解すればいいか迷って手が止まる——それが一番よくあるパターンです。繁盛店ポータルに無料登録すると、AIと対話しながら経営の課題と優先順位を整理できる「増益繁盛プランナー(5ステップ無料)」が使えます。メールアドレス1つで登録でき、すぐに使い始められます。
仕事を工程に分ける4つのポイント
チェックポイント1:「動詞」で書き出す
工程分解で最もやりがちな失敗が、「仕込み」「接客」「発注」のような名詞(かたまり)のまま書いてしまうことです。工程に分けるには、必ず「〜する」という動詞で書き出すことが鉄則。「冷蔵庫から取り出す」「計量する」「切る」「火を入れる」——こう動詞で書くと、自然と一つひとつの作業に分かれます。この「動詞で書き出す」が、分解の出発点になります。
✅ ポイント:まず1つの仕事を選んで、10分間「動詞」だけで書き出してみてください。「〜の準備」ではなく「〇〇を〇〇する」という形にすることが重要です。
チェックポイント2:「判断が必要かどうか」で仕分ける
動詞で書き出した工程を、次の2つに仕分けます。
- 判断が必要な工程:経験や感覚が要るもの(味の最終調整、クレーム対応、デザイン提案など)
- 判断が不要な工程:手順さえ決まれば誰でもできるもの(計量、清掃、補充、記録など)
「判断が不要な工程」は即座に任せられる候補です。ここを洗い出すだけで、自分の仕事の3〜5割が「手放せる工程」として見えてきます。
✅ ポイント:「判断が必要か不要か」に迷ったときは、「新人スタッフが手順書を見ながらできるか?」と問いかけてみてください。YESなら手放せる工程です。
チェックポイント3:「頻度」と「時間」を数字で把握する
工程を洗い出したあと、それぞれに「週何回やるか」「1回何分かかるか」を書き加えます。これが大事で、感覚ではなく数字で把握することで、任せる優先順位が決まります。
たとえば「食器洗い:週6日・1回30分」なら、週に180分=3時間を使っている計算になります。これをスタッフに任せられれば、週3時間が経営に使える時間として戻ってくる。数字にすると「早く任せなきゃ」という気持ちになれます。
✅ ポイント:頻度×時間で合計時間を出し、上位3つの工程から任せていく順番を決めましょう。感覚で「大変だから任せたい」という選び方より、数字で優先順位をつける方が合理的かつ成果が出ます。
チェックポイント4:「6つの行動整理」で各工程の扱いを決める
工程を洗い出したら、それぞれを次の6つの選択肢で整理します。
- なくす:そもそもやる必要のない工程を捨てる
- 任せる:スタッフに渡す
- 外注する:専門業者やツールに渡す
- 変える:やり方を変えて効率化する
- 速める:同じやり方でスピードを上げる
- 集約する:まとめてやることでムダを減らす
「任せる」だけが手放す方法ではありません。「なくす」「外注する」という選択肢が見えると、手放せる幅が一気に広がります。たとえば「発注の電話」という工程は、FAXやWebフォームに「変える」ことで自分がやらなくてよくなるケースもある。
✅ ポイント:6つのどれにも当てはまらない工程が「本当に自分がやるべき仕事」です。それ以外は全部、手放す候補として考えてください。詳しい工程の任せ方については上手な仕事の任せ方、3つのポイントも参考にしてください。
✓ ここまでのポイント
- 「自分にしかできない」という錯覚は、仕事を塊で見ているから生まれる
- 動詞で書き出し→判断の要不要で仕分け→頻度×時間を数字化することで、手放せる工程が見えてくる
- 6つの行動整理(なくす・任せる・外注する・変える・速める・集約する)で各工程の扱いを決める
「動詞で書き出す・判断で仕分ける・数字で把握する・6つで整理する」という4つのポイントを読んで、「自分の店で実際にどう動かせばいいか」がまだぼんやりしている方もいると思います。動画講座「行動収益化法」では、1週間の行動をすべて書き出して利益に直結しない工程を特定し「やめる・任せる」判断をする具体的な手順を、ワークシート付きで学べます。視聴期限なし・スマホからでも繰り返し視聴できます。
任せるだけでなく「任せられる状態」をつくる
工程を切り出しても、手順が言語化されていなければ「任せる」は成立しません。ここで多くのオーナーが詰まる。
「仕事を任せるって言うのは簡単だけど、実際は任せっぱなしが一番怖かった。でも工程に分けてみたら、任せる部分がはっきり見えて、初めて踏み出せた気がします」
ジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所 代表)
任せるために必要なのは、「何を・どの順番で・どの基準まで」という3点を明示すること。いきなり完璧なマニュアルを作る必要はありません。まずはA4用紙1枚に「工程の順番」と「気をつけるポイント1つ」を書くだけで十分。それを実際にスタッフと一緒にやりながら精度を上げていく。
マニュアル化の具体的な作り方については、飲食店マニュアル作りの4つのポイントや仕事をマニュアル化する完全ガイドも合わせて読んでみてください。工程分解→手順書化という流れが、より具体的にイメージできます。
また、スタッフに工程を渡すときは「最初は一緒にやる→次は見ている→最後は任せてチェックだけする」という段階を踏むことが大事です。これをすっ飛ばして「はい、あとよろしく」にすると失敗する。この段階設計が、属人化を解消する仕組みの核心です。
鉄板居酒屋オーナーが閉店後の残業を削減し、月商25%増を実現した話
僕がご支援している40代の男性オーナーが運営する鉄板居酒屋の事例をお話しします。
このオーナーが最初に話してくれたのは、「閉店後も毎日1〜2時間は残業していて、体がもたない」ということでした。仕込み・仕入れ管理・レジ締め・翌日の段取り——これを全部自分でやっていた。スタッフはいるのに、「任せると品質が下がる」という不安で、結果的に自分が全部抱え込んでいた状態です。
そこでまず取り組んだのが、「1日の業務を動詞で全部書き出す」こと。書き出してみると、閉店後の作業の7割以上が「判断不要な工程」だと分かった。翌日分の食材チェック、保存容器の補充、テーブル備品の補充確認——これらはスタッフでも十分できる工程でした。
次に、その工程に「頻度×時間」を書き加えて数字化。閉店後に自分がやっていた「判断不要な工程」だけで、週に約5時間を使っていたことが判明しました。
手順書を作って、その5時間分の工程をスタッフ2人に分担。最初の2週間は一緒にやりながら手順を確認し、3週目から任せる。そうやって少しずつ現場の工程をスタッフに渡していった結果——
「閉店後の残業がほぼなくなりました。時間ができたら、今度は新しいメニューを考えたり、店の売り出し方を考えたりする時間が生まれて、気がついたら月商が25%増えていた。何より、店に立つのが待ち遠しくなりました」
鉄板居酒屋(男性・40代)
「待ち遠しくなった」という言葉が印象的でした。毎日疲弊して閉店を迎えていたのが、経営を楽しめるようになった。これが工程分解の本当の効果です。
工程に分けることで、経営者の仕事が変わる
仕事を工程に分けて任せていくと、手元に残るのは「判断が必要な工程」だけになります。それはつまり、「儲かるアイデアと儲かる仕組みをつくる」という本来の社長の仕事に、ようやく集中できる状態です。
現場の作業をやり続けていると、どうしても「今日の問題」しか見えなくなる。でも工程を手放してポジションが変わると、初めて「3ヶ月後・半年後の経営」を考える余白が生まれます。
属人化しない仕組みの全体像については、属人化しない仕組みの3つのポイントも参考にしてみてください。工程分解で任せた後、それを組織の「仕組み」として定着させるための考え方が分かります。
「任せると品質が下がる」という心配は、実は「任せ方の設計が足りない」から生まれています。工程を分けて、手順を明示して、段階を踏んで渡す——この順番を守れば、品質を落とさずに任せることができます。
今日からできる最初の一歩は、「1つの仕事を動詞で10個に分解してみること」。難しいことは何もありません。今夜の閉店後に5分だけ試してみてください。それだけで、明日の見え方が変わってくるはずです。
とっとやれ、です。
閉店後の残業がなくなり、月商が25%増えて「店に立つのが待ち遠しくなった」——この変化は、工程を分けて任せ始めたことから始まりました。同じ一歩を踏み出したい方には、「行動収益化法」で自分の行動を丸ごと見直す方法を体系的に学ぶことをおすすめします。全8本・約6時間17分の動画と実践ワークシートで、任せる仕組みをゼロから設計できます。