「紹介だけに頼っていたら、ある年いきなり新規案件がゼロになった」
「住宅展示場やSUUMOへの掲載費が重くて、もう少し案件の柱を増やしたい」
「法人・店舗案件に興味はあるけれど、どこにアプローチすればいいかまったくわからない」
こういった声を、工務店の社長からよく聞きます。注文住宅の個人客(BtoC)を主軸にしてきた工務店が、法人・店舗リフォームや新築テナントといったBtoB案件に目を向けるのは、経営を安定させる上でとても自然な流れです。でも「やってみたい」と思っても、何から手をつければいいかわからない——それが現実です。
この記事では、私ハワードジョイマンが18年・1,000社以上の中小事業者を支援してきた経験をもとに、工務店がBtoB案件を獲得するための具体的な手順と注意点をお伝えします。住宅専門で培った施工力を、法人・店舗案件でもしっかり収益に変えていきましょう。
📋 この記事でわかること
- 工務店がBtoB案件を狙うべき理由と市場の特徴
- 法人・店舗案件を獲得するための具体的な5つのステップ
- ホームページをBtoBの窓口として活用する方法
- BtoB集客でよくある失敗と正しい対処法
こんな方におすすめ
- ✅ 紹介・口コミ頼みの受注体制を変えたい社長
- ✅ BtoB(法人・店舗)案件への参入を検討している工務店経営者
- ✅ ホームページはあるのに法人からの問い合わせが一件も来ない方
- ✅ 年間の受注棟数・案件数を安定的に増やしたい方
- ✅ 住宅案件以外の収益の柱をつくりたいと考えている方

なぜ今、工務店がBtoB案件に目を向けるべきなのか
国土交通省の建築着工統計(2023年度)によると、新設住宅着工戸数は約82万戸と、ピーク時の半数以下の水準が続いています。個人向け(BtoC)の注文住宅マーケットは縮小傾向にある一方、店舗・オフィス・福祉施設などの非住宅建築は一定の需要が維持されています。
BtoB案件には、BtoCとは異なる3つの特徴があります。
- 意思決定のスピードが速い:法人の場合、予算が確定していれば発注判断が早い。個人住宅のように1〜2年かけて検討するケースは少ない。
- 継続発注・リピートが期待できる:飲食チェーンやクリニックなど複数店舗を持つ法人は、1社との関係を築けば継続案件につながる。
- 紹介連鎖が起きやすい:法人の担当者は横のつながりが強く、「あの工務店は対応が早かった」という評判が業界内で広がりやすい。
つまり、住宅案件と並行してBtoBの窓口を作ることは、受注の安定化と利益の底上げに直結するわけです。
BtoB案件獲得の5ステップ
集客STEP 1
狙うターゲット業種を1〜2つに絞る
「法人なら何でも」という姿勢では、見込み客に刺さるメッセージが書けません。まず「どの業種の店舗・施設に強みがあるか」を明確にしましょう。たとえば、木の質感にこだわる工務店なら「美容室・ネイルサロン」、バリアフリーの実績があるなら「クリニック・デイサービス」など、自社の施工事例と親和性の高い業種を選ぶのが基本です。
⚠️ よくある失敗:「飲食店も、オフィスも、何でもできます」と書いてしまうと、かえってどの業種の担当者にも刺さらず、問い合わせがゼロになります。
集客STEP 2
BtoB向けの施工実績ページをホームページに作る
工務店のホームページの多くは「住宅のお客様」を前提に設計されています。法人担当者がアクセスしても「自分たちが依頼できる会社かどうか」がわからないまま離脱するケースがほとんどです。BtoB案件を獲得したいなら、専用の施工事例ページを作ることが最優先です。掲載すべき情報は次の通りです。
- 業種・用途(例:美容室・クリニック・テナントビル)
- 工事面積・工期・予算帯(ざっくりでも掲載するだけで信頼度が上がる)
- 法人担当者が気にするポイント(工事中の営業継続可否、工期の厳守実績など)
⚠️ よくある失敗:「施工事例が1件もない」という理由でページを作ることを先延ばしにする社長がいますが、まず1件の実績でも丁寧に見せることで、次の問い合わせへとつながります。
集客STEP 3
Googleビジネスプロフィール(MEO)でBtoB案件も受け付けていることを明示する
「工務店=住宅」というイメージが強いため、地元の法人担当者がGoogleマップで工務店を検索しても、店舗・法人工事を受けているかどうかわからないケースがほとんどです。Googleビジネスプロフィールの「サービス」欄や「投稿機能」を使って、「店舗内装工事・テナント工事も対応しています」と明確に記載するだけで、近隣法人からの問い合わせが入るケースがあります。
⚠️ よくある失敗:Googleビジネスプロフィールを住宅写真だけで埋めてしまい、法人向けの情報がどこにも掲載されていない状態が続いている。
集客STEP 4
地元の商工会・異業種交流会・不動産業者との関係を作る
BtoB案件の発注経路として、「知り合いの紹介」「不動産オーナーからの依頼」は今でも有効なルートです。地元の商工会議所や異業種交流会に年1〜2回顔を出すだけでも、「地元に工務店を探している法人」との接点が生まれます。また、テナント物件を管理する不動産業者と関係を作っておくと、入居者から「内装工事を頼みたい」という相談が不動産業者経由で来ることがあります。
⚠️ よくある失敗:交流会に参加しても名刺交換だけで終わり、フォローアップをしない。名刺の裏にホームページのURLと「店舗・テナント工事承ります」の一文を入れておくだけでも違います。
集客STEP 5
BtoB向けのホームページ問い合わせ経路を整備する
ホームページからBtoBの問い合わせを受け付けるには、「法人・店舗の方はこちら」という専用の導線が必要です。一般的な住宅向けの問い合わせフォームだけでは、法人担当者は「ここに連絡していいのか」と迷い、離脱します。フォームに「工事の種別(住宅新築・店舗内装・テナント改修など)」を選択肢として加えるだけでも、問い合わせのハードルが下がります。
⚠️ よくある失敗:問い合わせフォームの選択肢が「新築」「リフォーム」「その他」だけで、法人担当者が「その他」を選ぶ気になれず離脱する。
✓ ここまでのポイント
- BtoB案件は「どの業種に絞るか」を先に決めることで、ホームページや営業メッセージに一貫性が生まれる
- ホームページとGoogleビジネスプロフィールに「法人・店舗工事対応」を明記するだけで問い合わせ経路が開く
- オフラインの人脈(不動産業者・商工会)とオンライン集客の両輪で動かすことが大切
「法人は紹介でしか取れない」は思い込みだった
BtoB案件と聞くと「営業力が必要」「コネがないと無理」と思う社長が多いのですが、実はホームページ経由で法人の問い合わせが入るケースは確実に存在します。
「HPからの問い合わせが月0件から5件以上になった」
工務店経営者(40代・男性)
これは私が支援した工務店の社長の実際の声です。BtoC(個人住宅)向けのホームページ改善が主目的でしたが、施工事例ページを業種別に整理し、問い合わせフォームを改善したところ、法人の担当者からの問い合わせも同時に入り始めたというケースでした。
法人の担当者も、最初はGoogleで「◯◯市 店舗内装 工務店」などと検索します。その検索に引っかかるホームページが整備されているかどうか——それだけで、問い合わせが来るかどうかが変わります。
「工務店の社長の多くは、『いい仕事をしていれば口コミが来る』と信じています。それは正しいんですが、今の時代はGoogleで見つかるかどうかも同じくらい重要です。ホームページが整備されていなければ、どんなに腕がよくても存在しないのと同じになってしまう。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・工務店専門経営コンサルタント)
BtoB集客における「価格競争に巻き込まれない」ための考え方
BtoB案件で注意したいのが、価格だけで競合と比較されるリスクです。特に飲食店・クリニックなどの店舗案件は、複数社から見積もりを取るのが通例。ここで「安さで取りに行く」戦略は長期的に利益を圧迫します。
❌ よくある間違ったアプローチ
- 「どこよりも安くします」で法人案件を取りに行く
- 単価を下げた結果、利益が残らない工事ばかりになる
- 職人の手配コストが住宅と変わらないのに、単価だけが低い
✅ 正しいアプローチ
- 「工期厳守」「営業しながらの工事対応」「アフターフォローの速さ」など、法人が重視するポイントで差別化する
- 施工事例で「似た業種・用途の実績」を見せ、「この会社なら任せられる」という安心感を作る
- 価格交渉が来たときに「なぜこの価格なのか」を説明できる根拠を用意しておく
法人担当者が本当に怖いのは「工事が予定通り終わらないこと」「施工ミスが出たときに対応が遅いこと」です。それらのリスクを減らしてくれる工務店に対しては、多少価格が高くても発注する判断をします。自社の強みをそこに据えることが、脱・価格競争への第一歩です。
「BtoB案件を取りたいなら、価格より『信頼の証拠』をどれだけホームページに載せられるかが勝負です。口コミ・施工事例・対応事例——これを積み上げることが、紹介ゼロでも法人から問い合わせが来る状態をつくります。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・工務店専門経営コンサルタント)
まとめ:BtoB案件は「仕組み」を作れば自然と入ってくる
工務店がBtoB(法人・店舗)案件を獲得するためにやるべきことを整理すると、次の通りです。
- 狙う業種を1〜2つに絞り、ターゲットを明確にする
- ホームページにBtoB向けの施工事例ページ・問い合わせ導線を整備する
- Googleビジネスプロフィールに法人工事対応の情報を明記する
- 地元の不動産業者・商工会との関係を作る(オフラインルート)
- 「安さ」ではなく「信頼の証拠」で差別化する
私が支援してきた1,000社以上の工務店・中小事業者の事例を見ると、BtoB案件は「営業力のある会社が取るもの」ではなく、「ホームページと口コミの仕組みが整っている会社に自然と集まってくるもの」に変わりつつあります。
年間1棟・1件の法人案件が増えるだけで、粗利にして500万円以上の上乗せになるケースも珍しくありません。「紹介だけに頼らない集客の仕組みをつくる」——その一歩を、ぜひ今日から始めてみてください。
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