基本講座

工務店が資材高騰時に利益を守る価格設定の考え方

「また木材が上がった」「断熱材の納期が読めない」「見積もりを出すたびに利益が削られていく……」

2024年に入っても資材価格の高止まりが続き、静岡県内をはじめ全国の工務店経営者から、こういった声を毎週のように耳にしています。私、ハワードジョイマンは18年・1,000社以上の中小事業者の売上・利益改善を支援してきましたが、ここ数年で「資材高騰をどう価格に転嫁すればいいか」という相談の頻度が明らかに増えました。

今回は、その相談の中から一つのリアルな事例を取り上げます。年商約4億円・年間新築8棟という、まさに「中堅の注文住宅工務店」のケースです。価格転嫁に踏み切れず利益が圧迫されていた状態から、どのような施策を打って利益率を回復させたか。その過程を詳しく解説します。読者の皆さんが「自社でも同じことができる」と感じてもらえるよう、再現性のあるポイントを中心にまとめました。

📋 この記事でわかること

  1. 資材高騰期に工務店が陥りやすい「価格設定の罠」
  2. 実際のクライアントが価格転嫁に成功した施策のステップ
  3. 値引きしなくても選ばれるための「価値の見せ方」
  4. 利益を守る逆算経営の考え方と実践ポイント

こんな方におすすめ

  • ✅ 資材高騰分を見積もりに上乗せすることに躊躇している社長
  • ✅ 値引き要求に応じてしまい、利益が年々薄くなっていると感じている方
  • ✅ 「いい家を建てているのに、なぜ価格で負けるのか」と悩んでいる工務店経営者
  • ✅ 紹介・口コミ中心で経営してきたが、新規客の獲得にも課題がある方
  • ✅ Web集客の仕組みをつくって、安定した受注体制を整えたい方
工務店が資材高騰時に利益を守る価格設定の考え方 | 工務店の集客支援サポート

事例の背景:「値上げしたら客が逃げる」という恐怖

今回ご紹介するのは、東海地方で注文住宅を手がける工務店(年商4億円・新築年間8棟)の社長Aさん(50代男性)です。創業20年以上、地元での施工実績と口コミで順調に経営してきましたが、2022年ごろから状況が変わり始めました。

木材・断熱材・設備機器の価格が次々と上がる中で、Aさんが抱えていた一番の課題は「価格転嫁への心理的ブロック」でした。

  • 「値上げしたら、お客さんに嫌われる」
  • 「SUUMOで比較されたとき、高いと思われたら終わり」
  • 「紹介でつないできた信頼関係が壊れる気がする」

こうした不安から、資材高騰分を価格に転嫁できないまま、実質的に利益を削って受注を続けていました。その結果、年商は横ばいなのに手元に残るお金が年々減っていく、という典型的な「売上があるのに苦しい」状態に陥っていたのです。

「売上よりも利益を見てください。年商が同じでも、利益率が2%変わるだけで、8棟の会社なら手残りが800万円以上変わることがある。値上げを怖がる前に、まず今の原価構造を直視することが先です」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・増益繁盛メソッド提唱者)

初期診断でわかった「価格設定の構造的な問題」

Aさんとの最初のセッションで、私はまず現在の価格設定の根拠を確認しました。すると、次のような実態が浮かび上がりました。

チェックポイント1:坪単価の根拠はあるか

多くの工務店は「地域相場」や「競合他社の価格」を参考に坪単価を決めています。Aさんも例外ではなく、「このエリアで坪◯◯万円が相場」という感覚で価格を設定していました。しかし原価計算を遡ると、資材高騰前の単価がベースになっており、現状の仕入れコストと大きくズレが生じていました。

✅ ポイント:価格設定は「相場起点」ではなく「原価逆算起点」に切り替えること。目標粗利率を先に決め、そこから逆算して販売価格を導く習慣を持つ。

チェックポイント2:見積もり提示のタイミングと方法

Aさんの会社では、商談の早い段階でざっくりとした概算金額を口頭で伝えていました。その後に正式見積もりを出すと、お客様が「最初より高い」と感じてしまい、値引き要求につながるケースが多発していました。

✅ ポイント:概算を伝える場合は「幅」で伝え、必ず「詳細はプラン確定後」と明示する。早い段階での価格提示は値引き交渉のトリガーになりやすい。

チェックポイント3:価格の「根拠」をお客様に伝えているか

Aさんの会社では、見積書に金額は書いてあっても「なぜこの価格なのか」という説明が不足していました。特に資材高騰の状況について、お客様に丁寧に伝えていなかったため、「なんか高い気がする」という漠然とした不信感を持たれやすい状態でした。

✅ ポイント:価格の背景(国産木材の使用、断熱等級への対応、施工品質)を言語化して伝えることで、「高いなりの理由」を納得してもらいやすくなる。

✓ ここまでのポイント

  • 価格設定を「相場感覚」ではなく「原価逆算」に切り替えることが利益確保の第一歩
  • 見積もりの提示方法・タイミングが値引き要求の発生率に直結している
  • 価格の根拠を言語化して伝えることが、価格転嫁の鍵になる

実施した施策:3つのステップで利益構造を立て直す

価格設定 STEP 1

「目標粗利率」から逆算した価格テーブルの再構築

まずAさんに取り組んでもらったのが、粗利率の目標設定です。年間8棟の受注で、社長の労働負荷・固定費・役員報酬を賄いながら内部留保を積むために必要な粗利額を計算し、そこから1棟あたりの目標粗利を導きました。その数字を基準に、坪単価・オプション単価を見直すことで「売ると赤字になる価格帯」を排除しました。

⚠️ よくある失敗:「他社が坪〇〇万円だから自分もそれに合わせる」という相場追従型の価格設定は、自社のコスト構造と合わない価格で受注し続ける原因になります。競合との比較より、まず自社の利益目標を先に決めること。

価格設定 STEP 2

「価値の見える化」でホームページとSNSを再整備

次に取り組んだのが、ホームページのコンテンツ改善です。Aさんの会社は「施工事例がほぼない・家づくりの考え方が伝わっていない・スタッフの顔が見えない」という状態でした。ここを集中的に改善しました。

具体的には、施工事例を5件追加し、それぞれに「断熱等級への対応」「使用している国産木材の産地」「現場監督のこだわりポイント」を文章で載せました。また、社長のブログで「なぜ今の資材を使うのか」「なぜこの価格になるのか」を正直に書いてもらいました。これが結果的に「価格の根拠の言語化」になり、商談でも使えるコンテンツになりました。

⚠️ よくある失敗:「綺麗な写真を載せれば集客できる」という思い込みがあります。写真は必要ですが、それ以上に「なぜこの家をこの価格で建てるのか」という思想・こだわりを言葉で伝えることが、価格競争から抜け出す上で重要です。

価格設定 STEP 3

MEO対策とHP導線の整備で「共感してくれるお客様」を集める

ホームページのコンテンツを整えた後、Googleビジネスプロフィール(MEO対策)を強化しました。口コミ投稿を既存OB客にお願いし、施工事例の投稿も定期的に行うことで、「地域で検索したときに上位に表示される状態」を作りました。

結果として、HPからの問い合わせが月0〜1件から月5件前後に増加。しかも、「ホームページを見て考え方に共感した」という問い合わせが増えたため、価格の話になっても「なぜこの価格なのか」をすでに理解したうえで来てくれるお客様が増えました。

⚠️ よくある失敗:「広告だけかけて問い合わせを増やそうとする」パターンです。ホームページ自体の質が低いまま広告費をかけても、価格だけで選ぼうとする問い合わせが増えるだけで、値引き要求が絶えません。まずコンテンツを整えることが先です。

結果:1年後に現れた数字の変化

施策を開始して約1年後、Aさんの会社では以下の変化が起きました。

  • HPからの月間問い合わせ:0〜1件 → 月5件以上
  • 成約単価:前年比約8%アップ(資材高騰分の転嫁が実現)
  • 年間受注棟数:8棟 → 9棟(1棟増)
  • 粗利率:前年比約3ポイント改善

「1棟増えただけ」に見えるかもしれませんが、注文住宅1棟の粗利は500万円を超えることも珍しくありません。年間1棟の増加は、経営インパクトとして非常に大きい。

「HPからの問い合わせが月0件から5件以上になった」

東海地方・注文住宅工務店(50代・男性経営者)

「年間1棟増えただけでコンサル費用の6倍以上が回収できた」

年商4億円・年間8棟規模の工務店経営者

Aさんが特に実感されていたのは「値引きしなくても選ばれるようになった」という変化です。価格転嫁に踏み切れた背景には、ホームページで価値をきちんと伝えられるようになったことで、「この会社に頼みたい」と思ってから問い合わせてくれるお客様が増えたことがあります。

再現性のあるポイント:どの工務店でも使える考え方

Aさんの事例から抽出できる、再現性の高いポイントをまとめます。

❌ 資材高騰時によくあるパターン

  • 相場を見ながら価格を決める→原価が上がっても価格に転嫁できない
  • 「値上げしたら逃げられる」という恐怖から値引きで対応する
  • HPやSNSで価値を伝えられていないため、価格でしか比較されない
  • 広告費はかけているが、問い合わせの質が低く成約につながらない

✅ 利益を守るための推奨アプローチ

  • 目標粗利率を先に決め、そこから逆算した価格テーブルを設計する
  • ホームページで「価格の根拠=こだわり・品質・思想」を言語化して伝える
  • MEO対策・施工事例の充実で「共感してくれるお客様」を集める仕組みをつくる
  • 「月5件以上のHP問い合わせ」を目標に、集客の仕組みを段階的に整備する

大切なのは、価格転嫁は「お客様に負担を押しつけること」ではなく、「正当な対価を堂々ともらえる会社になること」だという意識の転換です。そのためには、Web上で自社の価値をきちんと伝えられる状態を先につくる必要があります。

「いい家を建てているのに選ばれない、という状況は、技術の問題ではなく情報発信の問題です。価値が伝わっていなければ、価格でしか判断されない。まず伝える仕組みを整えることが、資材高騰時代に利益を守る最短ルートです」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・増益繁盛メソッド提唱者)

まとめ:資材高騰に負けない工務店経営をつくるために

資材価格の上昇は、工務店にとってコントロールできない外部要因です。しかし、それに対してどう価格設定し、どうお客様に伝え、どんな集客の仕組みをつくるかは、社長の判断で変えられる内部要因です。

今回ご紹介したAさんの事例は、特別なことをやったわけではありません。「原価逆算の価格設定」「価値の言語化」「HP・MEO対策による集客の仕組み化」——この3つを順番に実行しただけです。

私のコンサルティングでは、18年・1,000社以上の支援経験と、飲食・美容業界で体系化した増益繁盛メソッドを工務店向けに特化させた独自の手法で、一社一社に深く関わります。同時に対応できるのは5社限定ですが、その分、しっかりと伴走します。

「紹介だけに頼らない集客の仕組みをつくりたい」「資材高騰分をきちんと価格に転嫁できる体制にしたい」という社長は、まず無料のガイドブックからご覧ください。年間5棟多く受注するための集客の考え方を、具体的にまとめています。

【無料】年間5棟多く受注するための集客ガイドブックはこちらから

また、すでにWeb集客の仕組み化に本腰を入れたいとお考えの社長は、こちらのサポートメニューも合わせてご覧いただけます。月額66,000円・6ヶ月契約で、HPからの問い合わせ獲得を一緒に実現していきます。

年間5棟以上上乗せするネット集客構築サポート

資材高騰の波に飲まれるのではなく、それを乗り越える経営の仕組みをつくりましょう。静岡から全国の工務店経営者を、ハワードジョイマンが全力でサポートします。

-基本講座