■ 「無料メールマガジン」活用 − 鉄板厨房 広島焼き お多福(大阪府大阪市)
■ 鉄板厨房 広島焼き お多福について
― まずは鉄板厨房 広島焼き お多福が、どのようなお店なのかをお教えください。
今年の8月で8周年を迎えた、大阪では珍しい広島焼きの専門店です。妻が広島因島の出身ということもあって、大阪で広島焼きをオープンしました。看板商品の広島焼きのほか、鉄板料理などもご提供し、一杯、飲みながら広島焼きも楽しんでいただくというスタイルです。 なお広島焼きも、鉄板料理も、すべて店員が焼いてからご提供さし上げています。 席数は、カウンター、テーブルを含めて総数30席。テーブル席はそれぞれカーテンで4席ずつ区切ることも出来ますので、少人数様から団体様まで、人数に応じて柔軟に座席の構成を組むことが出来るのも特徴です。
■ 繁盛研究所(増益繁盛クラブ)を知ったきかっけ
― 繁盛研究所を知ったきかっけをお教えください。
店の売上が伸び悩んでいて、売上アップの方法を探していてインターネットを探していた時に、ジョイマンさんのホームページにたどり着いたのがきっかけです。約1年半くらい前だと思います。 ホームページを読んでみて、無料メールマガジンにも興味は持ったんですが、最初は登録には躊躇しましたね。 なにせ私は、これまでメルマガというものを登録したことがなかったものですから。 ― 躊躇していたのに、なぜ登録することに決めたのですか?
ホームページを読んでいると、納得できることがたくさん書いてあったことが、一番の理由ですね。メールマガジンを購読すれば、そこにもっと良い情報、私がするべき事が書かれているんだろうなと思ったんです。 それに、ホームページの記事やメールマガジンのバックナンバーを読んで、悪い人じゃなさそうというのも伝わってきたので、思い切って登録してみたんです。 ― 今まで、コンサルティングを受けたことはありましたか?
ありませんでした。というか、これを言っていいか分かりませんが、私は、コンサルティング、コンサルタントというものが大嫌いなんです(笑)。 勝手なイメージですけど、こっちがリスク抱えて頑張っているのに、リスクを抱える訳でもなく「ああしろ」、「こうしろ」と好きなように言ってくるじゃないですか。 料理も出来ないのに、なにを、どこをコンサルするの? と思ってしまうんです。 ― では経営の本などは読まれていたのですか?
いえ。読んでいませんでした。経営の本どころか、そもそも本自体が嫌いで、まったく読まないんです。 読んでも雑誌くらいでした。 でも、ジョイマンさんのメルマガを読むようになって、文字が面白くなってきて、今ではジャンルを問わずかなり本を読むようになったんですよ。 ― ジョイマンのメールマガジンは、毎回かなりの文章量があると思うのですが、本が嫌いだったのに、なぜメルマガを読み続けていたのでしょう?
先にも言ったように、ホームページの内容が面白かったのもありますが、潜在的には、経営の話にすごく興味を持っていたんだと思います。散々コンサルが嫌い、本が嫌いと言っていましたが、経営そのものを好きか嫌いかで言うと、きっと好きな部類に入るんでしょうね。 ■ ネットでの集客を図るも思うようにいかない日々
― メールマガジンを取る前には、どんな取り組みをしていたのでしょう?
ひとつは、食べログさん、ぐるなびさんの有料会員への登録です。最初は月1万円のプランから始めて、最終的には毎月6万円払っていました。 この時は、売上はそれなりには上がってくれたのですが、お客さんがどういう気持ちで来てくれたのか、なぜ来ようと思ったのか、まったく分からなかったんです。 そのため、食べログさんはまだ一応続けているのですが、ぐるなびさんの有料会員は止めてしまいました。 その他では、昨年、広島直送の牡蠣の食べ放題イベントをやってみたのですが、この時、集客のためにヤフーのリスティング広告を出してみました。 これも実施した時は、それなりのアクセス数があって、売上もそれに準じて上がっていきました。 ただし、牡蠣は季節モノ。数ヶ月だけしか売上には反映されませんでした。 そこで、これだけお客さんが呼べるなら、看板商品である広島焼きでもやってみることにしたんです。 でも、牡蠣の時はたまたまうまく行きましたが、リスティング広告の仕組みもそんなに分かっていなかったので、正しいやり方がまったく分かりませんでした。 何回もヤフーの担当者に聞いて、自分でも色々と試行錯誤していたのですが、なかなか思うほどの売上には繋がりません。 その時にジョイマンさんの存在を知ったんです。
■ ジョイマンから学んだのは「お客様の視点」
― ジョイマンのメールマガジンを読んで、リスティング広告に活かせたことはありましたか?
もちろん、ありました。リスティング広告をうまく使えるようになったんじゃないかなと思いますね。 具体的には、広告に表示される文章を、「福島区に広島焼きがあります」という店側の一方的な主張から、お客様の欲求に応えるような「本格広島焼きが食べれます」という言い回しに変えました。 これは、かなり大きな反響を得ることが出来ましたね。短い文章なのですが、本格的な味であることや、広島焼きを求めていたお客様の心に届く内容に出来たのではないでしょうか。 ここで学んだのは、お客さんがなにを求めているかを把握して、その求めているものに訴えるような取り組みをするということ。 例えば、「欲しいもの」や「悩んでいること」があるとして、それらがうちなら「手に入る」、または「解消出来る」ことを人に伝えることが大切だと気付いたんです。 これって、商売の原点なんじゃないかと思いますね。 ― それに気付いたことによって、他に取り組まれたことはありましたか?
広島から食材を仕入れいていることや、テレビで紹介されていることなど、お客様の信頼に繋がるようなことは、積極的に謳うようにしました。例えば、広島焼き専門の麺というものが、広島には売っているのですが、うちではそれをちゃんと仕入れて、関西でも本場の味が食べられますよと宣言しています。そうすることで、広島出身のお客様に、ちゃんとした広島焼きの店だということを分かっていただくことが出来たんじゃないかと思います。 あとは、ポップですね。 これを店内に貼ることで、大きな効果が得られました。 ■ ポップ効果で客単価が1000円もアップ!
― どのようなポップを貼られたのですか?
メガハイボール(大ジョッキのハイボール)のポップと、メニュー一式を全座席の壁の、見やすいところに貼りました。また、それと同時に、メニューの構成を変えたりと、色んな取り組みも同時に行なうことで、客単価が大きくアップしたんです。 ― どういった取り組みを行ったのでしょうか?
元々うちは、広島焼きだけをメインに売っていく商売のやり方をしていました。そのため客単価も1500円くらいしかなかったんです。でも、観光地や商業施設が近くにない福島駅近くという立地を考えると、そうそう人は回転しません。だったら客単価が高くないとダメだということに気付いて、居酒屋っぽく使ってもらうようなお店に変えようと思い立ちました。 そこで、アルコールをもっと売り込むことにしたんです。 まずは、中ジョッキだけではなく、大ジョッキを用意して、生ビールの大や、メガハイボールというメニューを新設しました。 また、生ビールとハイボールでは、原価率はハイボールのほうが低いので、よりハイボールに力を入れて売っていくようにしたんです。 ただ、私自身はお客様にセールス出来ますけど、アルバイトや従業員にはそれが出来ませんでした。 だったら、ポップという営業マンを作ろうと思って、サントリーさんにお願いしてハイボールのポップを制作してもらって、それを壁に貼ったんです。 また同時に、広島レモンハイボールという、広島のレモンシロップを使ったハイボールのオリジナル商品を作って、ウリのひとつにしました。 ポップで一番目立つようにメガハイボールを告知したこと、うちだけでしか飲めない特別なハイボールがあることで、一杯目にハイボールを注文されるお客様が、かなり増えました。 お客様心理として、一度ドリンクを頼んだら、半分以上の人がずっと最初に注文したものと同じドリンクを頼み続けてくださいます そのため、一度メガハイボールを注文されると、それ以降もメガハイボールが出ることが多いので、利益もアップしました。 その結果、具体的な数は言えませんが、うちではビール樽がひとつ減って、その代わりに角樽がひとつ増えました。 あと、ジョイマンさんの教えがあって価格も変えました。 当初は、原価が安いこともあって、ハイボールのレギュラーが350円で、メガサイズは550円だったのですが、ポップを作る時に、広島レモンハイボールなどのウリがあるなら大丈夫だろうと、レギュラーを450円、メガサイズを650円にしたんです。 通常の大阪の相場としては、少し高めかもしれません。でもポップの効果もあって、注文数は下がるどころか上がったんです。
― メニュー一式を壁に貼ったことでの効果はいかがでしたか?
一組様ごとの注文数が増えましたね。例えば、会社のメンバーで来られる場合、上司や先輩がメニューを独占したり、一番目下の方がメニューを常に持って勝手に頼むことが多いです。その場合、他のメンバーの方はメニューを見ることが出来ないので、なにを頼んでいいのか分からなくなっているようでした。
そうすることで、メニューブックを持っていない人も、「これください」とオーダー出来るようになりました。特に、団体客様に効果がありましたね。 また、鉄板モノのメニューも増やしました。 壁に貼ることと併せて、広島焼きだけでなく、鉄板モノもあるんだということが、お客様の意識に繋がったのか、広島焼き以外も注文されるお客様が増えました。 ポップと、それに付随する取り組みを行うことで、客単価が1500円から2500円と、約1000円もアップしました。 それで気がついたのですが、私は今まで、勝手に「福島は単価の高いお客さんが来ない場所なんだ」、「広島焼きを食べたら、他の店に行くもの」だと決めつけていました。 でもそれって、私が単価1500円のお客様にしてしまっていたんです。 それからは、「高い値段を取ったら、次は来てくれなくなる」ではなく、「たとえ価格は高くなっても、満足したらまた来てくださる」という考え方に変わりました。 実際、満足してくださったお客様は、3000円払っても4000円払っても「安い」と言ってくださるようにもなりました。 ― 単価が上がったことで売上も上がったのでしょうか?
上がりましたね。波はあるのですが、平均すると25%はアップしています。 ■ 利益の上がらないランチを止めて夜の営業に集中
― 他にメールマガジンからヒントを得たことはありましたか?
ジョイマンさんがよく言っていることで「自分の戦えるところ、強いところで勝負しなさい」という教えがあるのですが、これを自分なりに落としこんだ結果、思い切ってランチを止めました。広島焼きって、1回焼くのに20分はかかるので、ランチでは回転数が稼げません。そう考えると、お昼の休憩時間に出せる商材ではなかったんです。 そもそも広島焼き1枚の単価は安いので、なにをしても売上が上がらない状態でした。 一緒にランチをやっていた従業員も、しんどいと根を上げていたところでしたので、すっぱりと止めてしまいました。 ― ランチ分の売上が下がることで問題はありませんでしたか?
それは問題でしたよ(笑)。昨年8月にランチを止めた時は、ランチ分の売上20万円が丸々落ちてしまったので、大変でした。 しかし、ランチをなくした分、余裕が出来た時間を使って、店について、商売について、色々と考える時間が出来たというメリットもありました。 例えば夜の営業により力を入れたり、経費を見直してコストダウンをしたり、スタッフの体力、やる気をどう出させようか考えたりと、今まで忙しくて目をつぶっていた部分に、改めて力を入れて、お店の構造改革をすることで、1ヶ月後の9月には、ある程度、全体の売上を持ち直すことが出来ました。 また、考える時間が出来たことで、改めてジョイマンさんのメールマガジンの教えを、しっかりと学ぶことも出来たんじゃないかなと思います。 特に、人に伝えることと、その伝え方については、本当に勉強になりました。 ■ 今後はハガキDMにも注力!
― ジョイマンのメールマガジンで様々な取り組みをしたことで、現在はかなり順調に売上を伸ばしているということですね?
それが、今年の7月に台風、雨が振ったりして、売上がドンと下がってしまいました。あまりの落ち込みに、嫁さんが怒ってしまって、7月から晩御飯を作ってくれなくなりました(笑)。鉄板焼きは、基本的には夏場は売上が落ちるのですが、そんなことも言っていられないと、ちょうど新しい取り組みを行っていたところでした。
― どんな取り組みを行ったのですか?
ハガキDMです。でも、うちは今年で8周年を迎えるというのに、まったくお客さんの情報を持っていませんでした。 そこで、8年かけてたまにいただいていたお名刺をまとめると、70枚くらいになりましたので、取り急ぎその70名のお客様に、8周年記念クーポンとして「ビール大ジョッキ」の半額クーポンが付いたハガキDMを送ったんです。 そしたら2日後には、ハガキDMをお送りしたお客様からご予約のご連絡をいただいて、こんなに効果があるのかとビックリしました。 7月22日にハガキを投函して、8月6日現在で、ハガキDMによる売上が11万円、客数が31人、組数が7組です。クーポンは8月17日までですので、まだ集計途中ですが、すでに10%以上の返りがあったことになります。 お客様のお名前や、その方に向けた一言コメントを、手書きで付けたのも良かったのかもしれませんね。 せっかくお客様と距離感の近いタイプの店なのに、私はこれまで、お客様と人間関係を作ることをやっていませんでした。 でも、このハガキ効果もあったのか、8周年にして初めてお祝いの花をいただいたのです。これは売上関係なく嬉しかったですね。 お客様をお名前で呼べたりする、近く親しい人間関係を作れるのは、うちのような小さなお店の利点だと思いますので、これからは、そういうこともやっていこうと思いました。 また同時に、ジョイマンがずっとメルマガで言っていたことは、本当だったんだなと、改めて思わされました。 でもこれで味をしめましたので、毎月、ハガキDMはやっていこうかなと考えています。 そのためにも、これから何回か来てくださるお客様には、積極的に声をかけてお名刺をいただこうと思います。 ■ 無料メールマガジンの活用法
― 本日、ジョイマンとは初対面になると思いますが、実際に会ってみた率直な感想をお教えください。
アイドルに会えたという印象です(笑)。今回のインタビューの募集に応募した時も、ジョイマンさんから返事が来た時「AKBから返事がきた!」みたいなテンションになりました(笑)。 毎日のメールマガジンも本当に楽しみにしているんですよ。 毎朝、起きたらまず携帯を見て、ジョイマンさんのメールマガジンが届いていなかったら、イライラしてしまうほどです(笑)。 ― 無料メールマガジンの良さはどこにあると思いますか?
色々ありますが、一番は、お客様への伝え方の大切さ、そして正しく伝えることで、結果が変わるということを教えてもらえたことですね。あとは、飲食店ではない方がアドバイスをくれことでしょうか。 現場サイドの考えしか持っていないと、どうしてもお店目線でしかモノが考えられず、視野が狭くなってしまうんです。私自身もそういう部分がありました。 メルマガの冒頭などでは、ジョイマンさんの私生活などを見せてもらえるのですが、それが面白おかしく楽しめる点も、個人的には気に入っています。 文面から人柄が顕れていて、読んでいただけで「あ、この人は嘘ついていないんだな」とよく分かると思います。 最初に、私はコンサルタントが嫌いと言いましたが、ジョイマンさんは、そんな私の思いを変えてくれた人でもありますね。 ― 久志さんは、無料メールマガジンを活用して結果を残しました。ジョイマンのメールマガジンをこう活用すれば良いというコツのようなものがあればお教えください。
まずは、書いていることを信じることです。嘘は付いていませんし、覚えて損をすることも書いていませんから。 そして次に、その書いている内容を、自分の店に置き換えることです。 例えば、美容師さん、接骨院さんの例も、よくメールマガジンには出てきますが、どれも実は飲食に関わることが十分あります。 例えばアイデアで言えば、美容師さんがシャンプーなどのヘアケア商品を店頭で売っている話を置き換えて、うちで物販をやったらどうなるかと考えてみるんです。 例えば、オリジナルのソースなどでもいいですし、食品じゃなくても、フォークやスプーンなどの食器類や、お店のロゴを模したグッズなど、色々と考えられますよね。 また、そうしたグッズを売るとなった際は、別業種のお店の成功例を見て、その手法をうちで取り入れるにはどうすればいいか考える……といった具合です。 ただ、これはおべんちゃらではなく言うのですが、無料のメールマガジンの情報だけを使って、自分の店に置き換えて、結果まで残すとなると、非常に時間がかかりますし、大変です。 だから、本当に結果を残したいのなら、一番は有料会員になる方がいいんじゃないかなと思います。 私のやり方は、あんまりおすすめ出来ませんよ(笑)。 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
※ 取材日時 2015年8月 ※ 取材・執筆 桃谷自然 |