カラーのグレードアップを提案する適切なタイミング
なぜカラーのグレードアップが受け入れられないの?
「お客さんにはもっと良いカラーを使ってもらいたいのに、
いつも安いメニューを選ばれる…」
「プレミアムカラーの良さを分かってもらえない…」
こんな悩みを抱えている美容師さんは多いですよね。
実は、カラーのグレードアップが
受け入れられない理由は「違いが分からない」からなんです。
お客さんがグレードアップを選ばない理由:
- 通常カラーと高級カラーの違いが分からない
- なぜ値段が高いのか理由が納得できない
- 自分の髪にどんなメリットがあるか見えない
- いつ提案されるか分からず、心の準備ができていない
- 失敗のリスクを考えて無難な選択をしてしまう
でも、適切なタイミングで具体的な価値を伝えれば、
お客さんは自然にグレードアップを選んでくれるようになります。
カラーグレードアップ提案の基本戦略
「高い」から「価値がある」への意識転換
❌ 従来のアプローチ: 「プレミアムカラーもありますが、いかがですか?」 → 単なる選択肢として提示
⭕ 価値重視のアプローチ: 「○○さんの髪質と今回のご希望でしたら、こちらのカラーを使うことで、より美しい仕上がりになります」 → お客さんのための最適提案として位置づけ
お客さんの「成功体験」を作る
一度グレードアップを体験して満足してもらえれば、次回からは自然に選んでもらえるようになります。
最適な提案タイミング
タイミング1:カウンセリング時(来店直後)
効果的な流れ:
Step1:髪の状態確認 「○○さん、前回のカラーから時間が経ちましたが、色の持ちはいかがでしたか?」
Step2:悩みの発見 お客さん:「1ヶ月くらいで色が落ちてしまって…」 美容師:「そうでしたか。それは残念でしたね」
Step3:解決策の提示 「実は、色持ちを良くする方法があります。今日は特別なカラー剤を使って、3ヶ月は美しい色が続くようにできるんです」
Step4:価値の説明 「通常より価格は少し上がりますが、色持ちが3倍良くなるので、長期的にはむしろお得なんです」
タイミング2:髪質診断後
髪質に合わせた提案:
ダメージがある髪の場合: 「○○さんの髪を拝見すると、少しダメージが見られますね。今日は髪を傷めずに美しく染められる特別なカラーをおすすめします」
明るくしたい場合: 「今回明るくされたいということでしたが、普通のカラーだと髪への負担が心配です。ダメージを最小限に抑えながら、理想の明るさにできるカラーがあります」
白髪染めの場合: 「白髪染めも、ただ染めるだけでなく、艶やかで自然な仕上がりにする方法があります。年齢を重ねた髪こそ、上質なカラーで美しく染めてあげたいですね」
タイミング3:カラー選定時
色味決定の流れで提案:
「今日はこちらの色味でいきましょう。この色でしたら、発色をより美しくするプレミアムカラーがおすすめです」
「この色は通常のカラーでも染まりますが、プレミアムカラーを使うと、光の当たり方で様々な表情を見せる、とても上品な仕上がりになります」
タイミング4:過去の経験を踏まえた提案
前回の課題解決として:
色落ちが早かった場合: 「前回、1ヶ月で色が落ちてしまったとおっしゃっていましたね。今回は色持ちを重視したカラーにしましょう」
希望の色にならなかった場合: 「前回のカラー、イメージ通りになりませんでしたね。今回は発色の良いプレミアムカラーで、理想の色を実現しましょう」
ダメージが気になった場合: 「前回カラー後の髪の状態が気になるとおっしゃっていたので、今回は髪に優しいカラーを使いましょう」
お客さんタイプ別・提案方法
初回来店のお客さん
信頼関係構築重視:
「初めてお越しいただいたので、当店の技術を知っていただきたいと思います。今日は特別に、プレミアムカラーを体験価格でご提供させていただけますが、いかがでしょうか?」
リスク軽減: 「もし仕上がりにご満足いただけなければ、責任を持って調整いたします」
長年通ってくれているお客さん
関係性を活かした提案:
「○○さんには、いつも通常のカラーをさせていただいていますが、一度プレミアムカラーも体験していただきたいと思っていました」
「長年のお付き合いの感謝を込めて、今日は特別価格でプレミアムカラーはいかがでしょうか?」
美意識の高いお客さん
品質重視の提案:
「○○さんのように美しさにこだわりをお持ちの方でしたら、このプレミアムカラーをぜひ体験していただきたいです」
「最新の技術を使った、一般的なカラーとは全く別レベルの仕上がりになります」
価格を気にするお客さん
コストパフォーマンス重視:
「価格は通常より高くなりますが、色持ちが良いので、結果的に美容院に来る頻度を減らせます」
「1回あたりの単価は上がりますが、長期的には経済的です」
価値の伝え方・具体的説明法
技術的価値の説明
通常カラーとの違い: 「通常のカラーは髪を一度明るくしてから色を入れますが、プレミアムカラーは髪の構造を壊さずに色を入れる技術です」
成分の違い: 「プレミアムカラーには、髪を保護する成分と栄養成分が含まれているので、染めながらヘアケアもできるんです」
技術者の専門性: 「この技術は特別な研修を受けた者だけが扱えます。責任を持って美しく仕上げさせていただきます」
仕上がりの違いを具体化
色の深み: 「発色の深さが全然違います。光の当たり方で、様々な表情を見せる美しい色になります」
艶感: 「髪の艶が格段に向上します。まるで髪が若返ったような仕上がりになります」
手触り: 「染め上がりの手触りが、通常のカラーとは全く違います。しっとりと滑らかな感触になります」
持続性の価値
色持ちの比較: 「通常カラーが1〜1.5ヶ月の色持ちに対して、プレミアムカラーは3〜4ヶ月美しい色が続きます」
経済性の説明: 「年間で考えると、通常カラーを8回するのと、プレミアムカラーを3回するのが同じくらいの費用になります」
時間の節約: 「美容院に来る回数が減るので、時間の節約にもなります」
断られた時の上手な対応
「高いから…」と言われた場合
理解を示す: 「そうですね、価格だけ見ると高く感じられるかもしれませんね」
価値の再説明: 「でも、この技術の価値を考えていただくと、実はとてもお得なんです」
段階的提案: 「それでしたら、まずは部分的にプレミアムカラーを使ってみて、違いを実感していただくのはいかがでしょうか?」
「今度で…」と言われた場合
タイミングの重要性: 「そうですね。ただ、今日染める色でしたら、今がベストのタイミングなんです」
機会損失の説明: 「次回だと、また髪の状態が変わってしまうので、今日ほど効果的ではないかもしれません」
特別感の演出: 「実は今日だけの特別価格でご提供できるのですが…」
「違いが分からない」と言われた場合
体験提案: 「言葉で説明するより、実際に体験していただいた方が早いと思います」
部分体験: 「まずは目立たない部分で試してみて、違いを確認していただけますか?」
保証付き提案: 「もし違いを感じていただけなければ、次回調整いたします」
実際の会話例・ケーススタディ
ケース1:色落ちに悩むお客さん
カウンセリングでの会話: お客さん:「いつも1ヶ月くらいで色が落ちちゃうんです」 美容師:「そうでしたか。それはもったいないですね。せっかく美しく染めても、すぐ色が落ちてしまったら悲しいですよね」
問題の分析: 美容師:「実は、色落ちの原因は髪のダメージとカラー剤の種類にあることが多いんです」
解決策の提案: 美容師:「今日は色持ちを重視したプレミアムカラーをおすすめします。このカラーなら、3ヶ月は美しい色が続きますよ」
価値の説明: 美容師:「価格は通常より2,000円高くなりますが、3倍長持ちするので、1回あたりの単価は実質安くなります」
未来価値の提示: 美容師:「3ヶ月後も今日のような美しい色でいられるって、嬉しくないですか?」
ケース2:初回来店で信頼関係構築
第一印象での提案: 美容師:「初めてお越しいただいて、ありがとうございます。○○さんの美しい髪を、さらに魅力的にするお手伝いをさせていただきたいと思います」
髪質分析: 美容師:「髪質を拝見すると、とても美しい髪をお持ちですね。この髪質でしたら、プレミアムカラーで染めると、本当に見違えるような仕上がりになります」
特別提案: 美容師:「初回のお客様には、当店の技術を知っていただきたいので、プレミアムカラーを特別価格でご提供しています」
安心感の提供: 美容師:「仕上がりには絶対の自信があります。もしご満足いただけない部分があれば、責任を持って調整いたします」
ケース3:白髪染めのグレードアップ
年齢に合わせた提案: 美容師:「○○さんのような上品な方の白髪染めは、ただ染めるだけではもったいないです」
品質重視の説明: 美容師:「このプレミアム白髪染めは、白髪をしっかりカバーしながら、若々しい艶と上品な色味を実現します」
経験価値の提示: 美容師:「年齢を重ねた髪こそ、最高品質のカラーで美しく染めてあげたいですね」
カラーグレードアップの成功確率を上げるコツ
事前準備の重要性
Before写真の撮影: カラー前の状態を記録して、仕上がりとの違いを明確にする
カラー剤の説明資料: 成分や技術の違いを分かりやすく説明できる資料を準備
他のお客さんの成功事例: 「同じような髪質の方が、こんな風に美しくなりました」という実例を用意
段階的アプローチ
部分的体験から始める: 「まず前髪だけプレミアムカラーで染めて、違いを確認してみませんか?」
お試し価格の設定: 初回限定や特別価格で、心理的ハードルを下げる
効果保証の提示: 「効果を実感できなければ、差額を返金いたします」
継続的なグレードアップ顧客の育成
アフターフォロー
1週間後の確認: 「プレミアムカラーの調子はいかがですか?色の変化や手触りなど、何か気づいたことがあれば教えてください」
1ヶ月後の実感確認: 「通常のカラーだと、このタイミングで色落ちが気になり始めますが、いかがですか?」
次回予約時の提案: 「前回のプレミアムカラー、とても良い状態をキープできていますね。今回も同じようにしましょうか?」
実践的な改善ステップ
Week 1:現状分析と準備
- [ ] 現在のカラーメニューの選択率を確認
- [ ] お客さんがグレードアップを断る理由を分析
- [ ] プレミアムカラーの価値を整理
- [ ] 説明用の資料や写真を準備
Week 2:提案タイミングの練習
- [ ] カウンセリング時の質問方法を練習
- [ ] 髪質診断からの自然な提案練習
- [ ] 断られた時の対応練習
- [ ] 価値説明の練習
Week 3:実践とフィードバック
- [ ] 実際にお客さんに提案してみる
- [ ] お客さんの反応を記録・分析
- [ ] うまくいった事例を詳しく分析
- [ ] 改善点を見つけて修正
Week 4:システム化と継続改善
- [ ] 成功パターンをマニュアル化
- [ ] スタッフ間で事例共有
- [ ] お客さんデータに記録システム導入
- [ ] 継続的改善の仕組み作り
まとめ:グレードアップは「贅沢」ではなく「最適解」
カラーのグレードアップは、決してお客さんに「贅沢」をしてもらうことではありません。
**お客さんの髪質や希望に対する「最適解」**を提案することなのです。
適切なタイミングで、具体的な価値を伝えることができれば、お客さんは自然にグレードアップを選んでくれるようになります。
今日から始めてほしいこと:
- お客さんの髪質と悩みを詳しく分析する
- プレミアムカラーの真の価値を明確にする
- 最適なタイミングで自然に提案する
- 一度体験してもらって満足度を実感してもらう
お客さんが「プレミアムカラーにして本当に良かった!」
と心から思ってくれれば、次回からは迷わず選んでくれるはずです。
一人ひとりのお客さんに最適なカラーを提案して、
もっと美しい髪色を楽しんでもらいましょう!
お客さんに心から満足してもらいながら
売上も向上する美容室経営のノウハウは、まだまだたくさんあります。
もっと詳しく学んで、
お客さんに愛されて繁盛する美容室を一緒に作っていきませんか?
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