リピート率を70%にする美容室の共通点
はじめに:なぜリピート率70%が重要なの?
美容室を経営していて、こんな悩みを抱えていませんか?
「新規のお客さんは来るけど、なかなかリピートしてくれない…」
「一度来たお客さんが2回目を予約してくれない…」
「集客にお金をかけても、結局一見さんばかり…」
「安定した経営のために、リピート率を上げたい…」
実は、リピート率70%というのは、
美容室経営において非常に重要な数字です。
なぜなら、
- 新規客の獲得コストは既存客の5倍
- リピート率70%を超えると経営が安定する
- 口コミ・紹介の発生率が飛躍的に向上する
- スタッフのモチベーションも大幅にアップする
からです。
多くの美容室のリピート率は30~50%程度ですが、
成功している美容室の共通点を分析すると、
70%以上のリピート率を実現している店舗には明確な特徴があります。
「うちの店でも70%なんて無理…」
そう思われるかもしれませんが、
実は正しい方法を知れば、
どんな美容室でもリピート率70%は達成可能なのです。
今回は、リピート率70%を実現している美容室の共通点を詳しく分析し、
あなたの店舗でも今日から実践できる具体的な方法をお伝えします。
リピート率70%の基本知識
リピート率とは何か?
リピート率とは、
初回来店したお客さんが再度来店する割合のことです。
基本的な計算式
リピート率 = 再来店客数 ÷ 初回来店客数 × 100
測定期間による分類
- 1ヶ月リピート率:初回来店から1ヶ月以内の再来店率
- 3ヶ月リピート率:初回来店から3ヶ月以内の再来店率
- 6ヶ月リピート率:初回来店から6ヶ月以内の再来店率
美容室のリピート率の現実
業界平均と成功店舗の比較
業界全体の平均
1ヶ月リピート率:35%
3ヶ月リピート率:45%
6ヶ月リピート率:50%
成功している美容室
1ヶ月リピート率:60%
3ヶ月リピート率:70%
6ヶ月リピート率:75%
リピート率による経営への影響
リピート率30%の場合:
・月間新規客が必要:20人
・集客コスト:月20万円
・経営の不安定性:高
リピート率70%の場合:
・月間新規客が必要:8人
・集客コスト:月8万円
・経営の安定性:高
リピート率70%の経営効果
売上の安定化
予測可能な売上構造
【月間客数200人の場合】
リピート率50%:
・新規客:67人
・既存客:133人
・売上予測精度:60%
リピート率70%:
・新規客:29人
・既存客:171人
・売上予測精度:85%
集客コストの削減
新規集客費用の比較
客単価6,000円の場合:
リピート率50%:
・新規客獲得費用:1人3,000円
・月間集客コスト:20万円
・LTV(生涯価値):12,000円
リピート率70%:
・新規客獲得費用:1人3,000円
・月間集客コスト:9万円
・LTV(生涯価値):20,000円
スタッフのモチベーション向上
仕事のやりがい増加
・お客さんとの関係が深まる
・技術向上の実感が得られる
・指名客の増加による達成感
・安定した売上による安心感
・チームワークの向上
リピート率70%美容室の5つの共通点
共通点1:カウンセリングが圧倒的に丁寧
成功店舗では、カウンセリングに十分な時間をかけ、
お客さんの本当の要望を把握しています。
詳細なヒアリング体制
基本情報の徹底確認
・髪質(細い・太い・硬い・柔らかい)
・毛量(多い・普通・少ない)
・クセ(直毛・ゆるいクセ・強いクセ)
・ダメージレベル(健康・軽微・中程度・深刻)
・頭皮の状態(乾燥・脂性・敏感・普通)
ライフスタイルの確認
・職業と職場環境
・通勤手段と時間
・朝の準備時間
・休日の過ごし方
・アクティブさのレベル
過去の美容室体験
・以前の美容室での満足・不満
・失敗した経験とその理由
・気に入っていたスタイル
・避けたいスタイル
・ホームケアの経験
潜在ニーズの発見
質問技術の活用
表面的な要望:「髪を短くしたい」
↓
深掘り質問:「どんな場面で短い髪でいたいですか?」
↓
潜在ニーズ:「忙しい朝でも簡単にセットできるようにしたい」
具体的な質問例
・「理想の朝の準備時間はどのくらいですか?」
・「どんな印象を周りの人に与えたいですか?」
・「髪で困っていることがあれば教えてください」
・「今までで一番気に入った髪型はいつですか?」
・「美容室に来る前の気持ちを教えてください」
カウンセリングシートの活用
詳細な記録システム
【カウンセリングシート例】
基本情報:
・名前・年齢・職業
・連絡先・来店経路
・前回カット日・担当者
髪質情報:
・毛質・毛量・クセ・ダメージ
・頭皮状態・アレルギー
ライフスタイル:
・朝の準備時間・セット頻度
・運動習慣・ヘアアレンジ頻度
要望・悩み:
・今回の要望・避けたいこと
・普段の悩み・理想のイメージ
過去の履歴:
・施術内容・使用薬剤
・満足度・次回提案
共通点2:技術力が安定して高い
リピート率の高い美容室では、
誰が担当しても一定レベル以上の技術を提供できています。
技術力の標準化
基本技術の統一
・カット:基本的なフォルムの統一
・カラー:調合・塗布・時間管理の標準化
・パーマ:薬剤選定・ワインディング・時間管理
・ブロー:基本的な仕上げ技術の統一
品質管理システム
・定期的な技術チェック(月1回)
・ペア練習の実施(週1回)
・外部講習への参加(年4回)
・店内勉強会の開催(月2回)
・技術レベルの認定制度
継続的な技術向上
研修プログラム
新人スタッフ:
・基礎技術研修(3ヶ月)
・接客マナー研修(1ヶ月)
・店舗ルール研修(2週間)
中堅スタッフ:
・応用技術研修(継続)
・指導者研修(年1回)
・専門技術研修(年2回)
ベテランスタッフ:
・最新技術研修(年4回)
・マネジメント研修(年1回)
・外部セミナー参加(自由)
技術評価制度
評価項目:
・基本技術(40点)
・応用技術(30点)
・接客技術(20点)
・チームワーク(10点)
評価頻度:
・自己評価(月1回)
・同僚評価(3ヶ月に1回)
・上司評価(6ヶ月に1回)
・顧客評価(常時)
共通点3:アフターフォローが手厚い
成功店舗では、施術後のフォローアップを重視し、お客さんとの継続的な関係を築いています。
施術直後のフォロー
仕上がり確認の徹底
・360度からの確認
・自然光での色味チェック
・お客さんの表情・反応の観察
・細かな修正の実施
・満足度の直接確認
ホームケア指導
・スタイリングのコツ説明
・おすすめ商品の紹介
・お手入れ方法の指導
・注意点の説明
・質問への丁寧な回答
施術後のフォローアップ
タイミング別フォロー
当日夜:
・お疲れ様メッセージ
・スタイリングのコツ再確認
・質問受付の案内
3日後:
・調子の確認
・困ったことがないかチェック
・アドバイスの提供
1週間後:
・スタイルの持ち状況確認
・次回予約の提案
・感想のヒアリング
2週間後:
・根元の伸び具合確認
・色落ち状況チェック
・メンテナンス提案
1ヶ月後:
・総合的な満足度確認
・次回施術の提案
・新メニューの案内
フォロー方法の多様化
・LINE公式アカウント
・SMS(ショートメッセージ)
・電話
・メール
・DM(ダイレクトメール)
共通点4:居心地の良い空間作りが徹底されている
リピート率の高い美容室では、
お客さんが快適に過ごせる環境作りに力を入れています。
物理的な快適性
清潔感の徹底
・店内の日常清掃(営業前・営業後)
・細部の清掃(週1回)
・大掃除(月1回)
・換気・空気清浄の管理
・トイレの清潔管理
居心地の良い設備
・座り心地の良い椅子
・適切な温度・湿度管理
・心地よい音楽・照明
・プライバシーの確保
・リラックスできる香り
心理的な快適性
スタッフの接客態度
・笑顔での挨拶
・丁寧な言葉遣い
・適度な距離感
・お客さんのペースに合わせた会話
・緊張を和らげる配慮
待ち時間の工夫
・雑誌・書籍の充実
・Wi-Fi環境の提供
・ドリンクサービス
・待ち時間の事前説明
・飽きさせない工夫
個別対応の充実
お客さん情報の活用
・前回の施術内容確認
・好みの把握(音楽・雑誌・会話量)
・アレルギー・注意点の確認
・家族構成・職業等の記憶
・誕生日・記念日の把握
パーソナライズされたサービス
・個人の好みに合わせた提案
・体調・気分に応じた対応
・季節・イベントを考慮した提案
・ライフスタイルの変化への対応
・特別な日のための特別ケア
共通点5:次回予約の仕組みが確立されている
成功店舗では、次回予約を確実に取る仕組みが構築されています。
次回予約の重要性
数字で見る次回予約の効果
当日予約取得率とリピート率の関係:
当日予約なし:
・1ヶ月後のリピート率:25%
・3ヶ月後のリピート率:35%
当日予約あり:
・1ヶ月後のリピート率:85%
・3ヶ月後のリピート率:80%
予約取得の技術
自然な予約提案
・施術内容に基づいた提案
「カラーの持ちを考えると、1ヶ月半後がおすすめです」
・季節を考慮した提案
「春に向けて、2ヶ月後に明るくしませんか?」
・イベントを意識した提案
「お子さんの入学式前に、きれいにしておきましょう」
予約のメリット訴求
・希望日時の確保
・担当者の指名
・前回情報の活用
・計画的なヘアケア
・特別料金の適用
予約システムの工夫
柔軟な予約変更システム
・オンライン予約変更
・前日まで無料変更
・代替日程の複数提案
・キャンセル待ちシステム
・リマインド機能
予約特典の設定
・次回予約割引(10%オフ)
・指名料無料
・ドリンクサービス
・ホームケア商品プレゼント
・優先予約権の付与
実践的なリピート率向上テクニック
初回来店時の印象向上
ファーストインプレッションの重要性
出迎えから退店まで
1. 来店時(10秒で決まる第一印象)
・笑顔での挨拶
・清潔感ある身だしなみ
・温かい声かけ
2. 受付時(安心感の提供)
・丁寧な案内
・分かりやすい説明
・不安の解消
3. 施術中(信頼関係の構築)
・技術への集中
・適度な会話
・配慮の提供
4. 退店時(満足感の確認)
・仕上がりの確認
・感謝の表現
・次回への期待感
初回特典の活用
新規客限定サービス
・カウンセリング延長(+10分)
・トリートメント無料サービス
・ホームケアアドバイス
・写真撮影サービス
・次回予約特典の案内
顧客情報管理の強化
詳細な顧客データベース
記録すべき情報
基本情報:
・個人情報(名前、年齢、職業、連絡先)
・来店履歴(日時、担当者、施術内容)
・髪質情報(毛質、毛量、クセ、ダメージ)
好み・要望:
・スタイルの好み
・苦手なスタイル
・ライフスタイル
・要望の変化
満足度:
・施術への感想
・改善点
・リピート意向
・紹介意向
情報の活用方法
パーソナライズされた提案
・前回の施術を踏まえた改善提案
・季節やトレンドを考慮した提案
・ライフスタイルの変化に対応した提案
・個人の好みに合わせたカスタマイズ
コミュニケーション技術の向上
会話のテクニック
適切な会話量の調整
・お客さんのタイプの見極め
・会話好きなお客さん:積極的な会話
・静かに過ごしたいお客さん:必要最小限
・初回のお客さん:緊張をほぐす程度
質問スキルの向上
・オープン質問の活用
「どんなスタイルがお好みですか?」
・クローズド質問での確認
「前髪は作りますか?」
・仮定質問での提案
「もし明るくするなら、どのくらいがいいですか?」
信頼関係の構築
プロフェッショナルとしての姿勢
・技術に対する自信
・お客さんの髪への真剣な関心
・継続的な学習姿勢
・誠実な対応
・約束の厳守
リピート率測定と改善
効果的な測定方法
KPIの設定
基本指標
・1ヶ月リピート率:60%以上
・3ヶ月リピート率:70%以上
・6ヶ月リピート率:75%以上
・年間リピート率:80%以上
スタッフ別指標
・個人別リピート率
・経験年数別平均
・施術メニュー別リピート率
・時期別変動
測定システムの構築
データ収集方法
・POSシステムでの自動集計
・手動での記録・集計
・顧客アンケートの実施
・口コミ・評価の分析
定期的な分析
・週次レポート(速報値)
・月次レポート(詳細分析)
・四半期レポート(トレンド分析)
・年次レポート(総括・計画)
改善サイクルの実行
PDCAサイクルの活用
Plan(計画)
・目標設定(リピート率70%)
・施策の立案
・スケジュールの作成
・担当者の決定
Do(実行)
・施策の実施
・スタッフへの指導
・システムの運用
・データの記録
Check(確認)
・実績の測定
・目標との比較
・問題点の洗い出し
・成功要因の分析
Action(改善)
・施策の修正
・新たな取り組み
・システムの改善
・スタッフ教育の強化
成功事例とケーススタディ
事例1:地方の個人サロン
基本情報
・立地:地方都市の住宅街
・規模:スタッフ3名
・客数:月間200人
・改善前リピート率:45%
・改善後リピート率:72%
実施した施策
1. カウンセリング時間の延長(15分→25分)
2. 顧客カルテの詳細化
3. LINE公式アカウントでのフォロー
4. 次回予約の徹底
5. スタッフ研修の強化
結果
・リピート率:45%→72%(+27ポイント)
・客単価:5,500円→6,200円(+700円)
・月間売上:110万円→140万円(+30万円)
・新規集客費用:30%削減
事例2:都市部の中規模サロン
基本情報
・立地:東京都内の繁華街
・規模:スタッフ8名
・客数:月間500人
・改善前リピート率:40%
・改善後リピート率:75%
実施した施策
1. デジタル顧客管理システム導入
2. アフターフォロー自動化
3. 技術研修の体系化
4. 店内環境の改善
5. 個別対応の強化
結果
・リピート率:40%→75%(+35ポイント)
・スタッフ別ばらつき:30%→10%に改善
・顧客満足度:80%→95%
・口コミ紹介率:15%→30%
よくある失敗パターンと対策
失敗パターン1:技術偏重でサービス軽視
症状
- 技術は高いのにリピート率が低い
- お客さんからの指名が少ない
- 一回限りの来店が多い
原因
- カウンセリング不足
- アフターフォローの欠如
- コミュニケーション軽視
対策
・カウンセリング時間の確保
・接客研修の実施
・フォローアップシステムの構築
・コミュニケーションスキルの向上
失敗パターン2:一貫性のない対応
症状
- スタッフによって対応が違う
- 前回の情報が活用されない
- サービス品質のばらつき
原因
- 接客基準の未整備
- 情報共有不足
- 研修制度の不備
対策
・接客マニュアルの作成
・顧客情報の共有システム
・定期的な研修実施
・品質管理体制の構築
失敗パターン3:次回予約の軽視
症状
- 次回予約率が30%以下
- リピート率の向上が見込めない
- 売上の予測が困難
原因
- 予約の重要性理解不足
- 提案スキル不足
- システムの不備
対策
・予約の重要性教育
・提案話法の研修
・予約システムの改善
・インセンティブ制度の導入
まとめ:リピート率70%で安定経営を実現
リピート率70%は、美容室経営の安定と成長に欠かせない重要な指標です。
リピート率70%で得られる効果
✅ 経営の安定化 予測可能な売上により、安心して経営に集中できます
✅ 集客コストの削減 新規客への依存度が下がり、マーケティング費用を大幅削減
✅ 顧客満足度の向上 継続的な関係により、より深いニーズに応えられます
✅ スタッフのモチベーション向上 お客さんとの信頼関係により、仕事への満足度が向上
✅ 口コミ・紹介の増加 満足したお客さんからの自然な紹介が増加
リピート率向上の5つのポイント
1. 丁寧なカウンセリング お客さんの真のニーズを把握し、期待を超える提案
2. 安定した高い技術力 誰が担当しても満足できる技術レベルの維持
3. 手厚いアフターフォロー 施術後の継続的な関係性構築
4. 居心地の良い空間 物理的・心理的な快適性の追求
5. 確実な次回予約システム 継続来店への自然な流れの構築
今日から始められること
今週中にやること
- 現在のリピート率を正確に測定する
- カウンセリング時間を5分延長する
- 次回予約の提案を必ず行う
今月中にやること
- 顧客情報管理システムを見直す
- スタッフ向け接客研修を実施する
- アフターフォローの仕組みを構築する
3ヶ月以内にやること
- リピート率70%達成のための具体的計画を策定する
- 顧客満足度向上のための施策を体系化する
- 継続的な改善サイクルを確立する
あなたの美容室が、
リピート率70%を達成して安定した繁盛店になることを心から応援しています!
リピート率の向上は一朝一夕では実現できませんが、
正しい方法で継続的に取り組めば必ず結果は出ます。
お客さん一人ひとりを大切にし、
期待を超えるサービスを提供することで、
70%というリピート率は決して夢ではありません。
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