消耗品費を管理して無駄遣いをなくす方法
消耗品、気づいたらこんなにお金をかけてた!
美容室を経営している藤田さん(仮名)から、こんな相談を受けました。
「先生、消耗品費が月12万円もかかってるんです。
手袋、アルミホイル、コットン、カップ、コーム…
細かいものばかりなのに、積み重なるとすごい金額で。
でも毎日使うものだから削れないし…
スタッフも『足りなくなったら困る』って言って、
ついつい多めに注文しちゃうんです」
消耗品は一つ一つは安いですが、
積み重なると大きな経費になりますよね。
でも実は、適切な管理で消耗品費を30-50%削減することは十分可能なんです。
藤田さんのお店では、6ヶ月間で月の消耗品費を7万円まで削減しました。
年間60万円の経費削減です!
今日は、その具体的な方法をお教えします。
なぜ美容室の消耗品費は膨らむのか?
消耗品費が高くなる5つの原因
1. 使用量の把握不足
- 実際の使用量を測定していない
- 「なんとなく」で発注量を決定
- 季節変動や客数変動を考慮していない
- スタッフ個人の使用量がバラバラ
2. 在庫管理の甘さ
- 在庫があるのに重複発注
- 期限切れによる廃棄
- 保管状態の悪化による品質劣化
- 在庫の場所がバラバラで把握困難
3. 発注システムの非効率
- 必要になってから慌てて発注
- 小ロット購入による単価高
- 複数業者からの分散発注
- 送料を考慮しない発注
4. スタッフの意識不足
- 「会社のお金」という意識の薄さ
- 使いすぎても注意されない環境
- 節約の必要性を理解していない
- 代替品や効率的使用法を知らない
5. 商品選択の最適化不足
- ブランドや見た目だけで選択
- 品質と価格のバランス無視
- 同等品・代替品の検討不足
- 大容量商品の活用不足
あなたのお店の消耗品費、適正ですか?
美容室の消耗品費目安(月額)
【小規模サロン(1-2席)】
手袋・コットン等:2-3万円
薬剤関連用品:1-2万円
清掃・衛生用品:0.5-1万円
合計:3.5-6万円
【中規模サロン(3-5席)】
手袋・コットン等:4-6万円
薬剤関連用品:2-3万円
清掃・衛生用品:1-2万円
合計:7-11万円
【大規模サロン(6席以上)】
手袋・コットン等:6-10万円
薬剤関連用品:3-5万円
清掃・衛生用品:2-3万円
合計:11-18万円
売上に対する比率目安
- 理想的:2-4%
- 許容範囲:4-6%
- 要改善:6%以上
今すぐできる!無駄削減テクニック
テクニック1:使用量の見える化
使用量測定システムの導入
1週間使用量調査の実施
【調査項目】
・手袋:1日何枚使用?
・コットン:1人あたり何枚?
・アルミホイル:1回あたり何cm?
・カラーカップ:1回あたり何個?
・ティッシュ:1日何箱?
【記録方法】
各スタッフが使用の都度記録
→ 1週間の平均使用量を算出
→ 月間・年間使用量を予測
実際の調査結果例(Tサロンの場合)
【手袋】
想定使用量:1日50枚
実際使用量:1日78枚(56%過剰)
【コットン】
想定使用量:1人5枚
実際使用量:1人8枚(60%過剰)
【アルミホイル】
想定使用量:1回30cm
実際使用量:1回48cm(60%過剰)
テクニック2:適正使用量の標準化
使用量ガイドラインの策定
手袋の適正使用
【改善前】
・カラー1回:手袋6枚使用
・理由:作業中に何度も交換
【改善後】
・カラー1回:手袋2枚使用
・改善点:
- 事前準備の徹底
- 中間洗浄の活用
- 適切なタイミングでの交換
削減効果:67%削減
月額削減:8,000円
コットンの効率使用
【改善前】
・カラー除去:コットン10枚
・理由:十分な除去ができているか不安
【改善後】
・カラー除去:コットン6枚
・改善点:
- 適切なサイズのコットン選択
- 効率的な拭き取り手順
- 必要最小限での確実な除去
削減効果:40%削減
月額削減:5,000円
テクニック3:商品選択の最適化
コストパフォーマンス重視の商品選択
手袋の商品比較
【高級品】ニトリル手袋(粉なし)
価格:15円/枚
特徴:肌に優しい、破れにくい
【標準品】ラテックス手袋(粉なし)
価格:8円/枚
特徴:一般的品質、コスパ良好
【エコノミー品】ビニール手袋
価格:3円/枚
特徴:薄手、清掃作業向け
選択指針:
用途に応じた使い分けで平均単価40%削減
大容量商品の活用
【小容量】コットン100枚入り
単価:200円 → 1枚2円
【大容量】コットン1000枚入り
単価:1,200円 → 1枚1.2円
削減効果:40%削減
年間削減:24,000円(月2,000枚使用の場合)
テクニック4:在庫管理の効率化
適正在庫量の設定
在庫管理の基本ルール
【安全在庫】
Aランク商品(毎日使用):1週間分
Bランク商品(週2-3回):2週間分
Cランク商品(月数回):1ヶ月分
【最大在庫】
安全在庫の3倍まで
【発注タイミング】
安全在庫量を下回った時点
【発注量】
月間使用量の1-2ヶ月分
在庫管理表の活用
商品名:ラテックス手袋Mサイズ
月間使用量:1,500枚
安全在庫:375枚(1週間分)
最大在庫:1,125枚
現在在庫:450枚
発注タイミング:OK(安全在庫以上)
中級編:システム化による効率向上
発注システムの最適化
定期発注システムの導入
月次発注計画の策定
【第1週】基本消耗品の発注
手袋、コットン、アルミホイル等
【第2週】薬剤関連用品の発注
カップ、ブラシ、計量器等
【第3週】清掃・衛生用品の発注
タオル、除菌剤、洗剤等
【第4週】特殊・季節商品の発注
限定品、イベント用品等
効果:
・発注忘れの防止
・送料の最適化
・業者との関係強化
まとめ買い戦略
【単独発注】
手袋:1,500枚×8円=12,000円
送料:500円
合計:12,500円
【まとめ発注】
手袋:6,000枚×7円=42,000円
コットン:4,000枚×1円=4,000円
アルミホイル:10本×800円=8,000円
送料:無料
合計:54,000円
効果:
単価削減+送料削減で15%コストダウン
デジタル在庫管理システム
スマホアプリ活用法
無料在庫管理アプリの活用
【基本機能】
・商品マスタ登録
・入出庫記録
・在庫残高確認
・発注タイミング通知
【活用効果】
・リアルタイム在庫把握
・重複発注の防止
・適正在庫の維持
・発注業務の効率化
QRコード活用システム
【運用方法】
1. 商品にQRコードを貼付
2. 使用時にスマホで読み取り
3. 自動で使用量記録
4. 在庫残高を自動更新
【効果】
・正確な使用量把握
・手間のかからない記録
・データに基づく改善
上級編:コスト構造の抜本改革
調達ルートの最適化
業者との戦略的関係構築
優良業者の選定基準
✓ 品質の安定性
✓ 価格の競争力
✓ 配送の信頼性
✓ 支払い条件の柔軟性
✓ 緊急対応の可能性
年間契約による大幅削減
【従来の都度発注】
手袋:年間18,000枚×8円=144,000円
【年間契約】
手袋:年間18,000枚×6.5円=117,000円
削減効果:27,000円(18.7%削減)
【複数商品の包括契約】
基本消耗品セット:年間契約
削減効果:全体で25%削減
代替品・ジェネリック商品の活用
同等品質・低価格商品の発掘
代替品の例
【ブランド品】有名メーカーコットン
価格:2.5円/枚
【ジェネリック品】同等品質コットン
価格:1.5円/枚
削減効果:40%
品質確認:
・吸水性テスト:同等
・毛羽立ちテスト:同等
・使用感:ほぼ同等
プライベートブランド商品の活用
【美容商社のPB商品】
・製造元は有名メーカーと同じ
・パッケージ簡素化でコストダウン
・品質は同等、価格は30-40%安
実際の成功事例
Uサロンの消耗品改革
改革前の状況
月間消耗品費:118,000円
内訳:
・手袋類:35,000円
・コットン・タオル:28,000円
・アルミホイル・カップ:22,000円
・清掃用品:18,000円
・その他:15,000円
問題点:
・使用量の把握なし
・在庫管理がずさん
・高品質商品への偏重
・発注の計画性なし
実施した改革
- 1ヶ月間の使用量詳細調査
- 全スタッフで使用量記録
- 無駄の洗い出し
- 適正使用量の設定
- 商品の全面見直し
- 10社からの見積もり取得
- 品質テストの実施
- コスパ重視の商品選択
- 在庫管理システム導入
- スマホアプリでの在庫管理
- 発注タイミングの自動通知
- 重複発注の防止
- 年間契約への移行
- 主要業者との包括契約
- まとめ買いによる単価削減
- 配送コストの最適化
改革後の結果(6ヶ月後)
月間消耗品費:72,000円(39%削減)
内訳:
・手袋類:20,000円(43%削減)
・コットン・タオル:18,000円(36%削減)
・アルミホイル・カップ:15,000円(32%削減)
・清掃用品:12,000円(33%削減)
・その他:7,000円(53%削減)
年間削減効果:552,000円
品質レベル:維持(一部向上)
オーナーのコメント
「最初は『安い商品で大丈夫?』と心配でしたが、
きちんと選べば品質も問題なし。
むしろ使用量を意識するようになって、
スタッフの無駄遣いがなくなりました。
浮いたお金で新しいサービスも始められました!」
Vサロンの事例
基本情報
- 規模:3席の中規模サロン
- 立地:住宅街
- スタッフ4名
重点対策
- デジタル在庫管理の徹底
- スタッフ教育システム
- 使用量インセンティブ制度
成果
- 月額削減:32,000円
- 年間削減:384,000円
- 在庫回転率:2倍改善
- スタッフ意識:大幅向上
スタッフ教育と意識改革
節約意識の共有
スタッフ向け教育プログラム
月次ミーティングでの共有
【共有内容】
1. 前月の消耗品費実績
2. 目標達成状況
3. 無駄遣いの事例紹介
4. 節約アイデアの共有
5. 来月の目標設定
【効果】
・コスト意識の向上
・チーム一体感の醸成
・改善アイデアの創出
節約成果の見える化
【掲示物の例】
「今月の節約効果:28,000円
→ 新しいドライヤー1台分!」
「年間削減目標:50万円
現在達成率:68%」
【効果】
・具体的な成果の実感
・継続的な動機維持
インセンティブ制度
節約成果の還元システム
成果連動型ボーナス
【基本制度】
月間削減目標達成時:
削減額の20%をスタッフ全員で分配
【計算例】
目標削減:20,000円
実際削減:28,000円
超過達成:8,000円
スタッフ還元:1,600円(8,000円×20%)
改善提案制度
【提案内容例】
・新しい節約アイデア
・効率的な使用方法
・代替商品の提案
・在庫管理の改善案
【報奨金】
採用提案:5,000円
効果大の提案:10,000円
年間最優秀提案:30,000円
今すぐ始められる削減アクションプラン
今週やること
月曜日
- [ ] 過去3ヶ月の消耗品費を集計
- [ ] 主要商品の使用量記録開始
火曜日
- [ ] 現在の在庫を全て棚卸し
- [ ] 期限切れ・劣化商品をチェック
水曜日
- [ ] 使用量の多い商品を特定
- [ ] スタッフに適正使用をレクチャー
木曜日
- [ ] 複数業者から見積もり取得
- [ ] 同等品・代替品を調査
金曜日
- [ ] 1週間のデータを分析
- [ ] 削減計画を立案
1ヶ月後の目標設定
短期目標(1ヶ月)
- 使用量の詳細把握完了
- 明らかな無駄遣いの排除
- 15%以上のコスト削減達成
中期目標(3ヶ月)
- 在庫管理システム稼働
- 商品選択の最適化完了
- 30%以上のコスト削減達成
長期目標(6ヶ月)
- 年間契約による調達最適化
- スタッフ意識の完全改革
- 40%以上のコスト削減実現
よくある質問と解決法
Q: 「安い商品で品質は大丈夫ですか?」
A: 品質テストを行って選定すれば問題ありません。
同じ製造元で作られているケースも多く、
ブランド料の差だけの場合がほとんどです。
Q: 「スタッフが節約を嫌がりませんか?」
A: 節約の理由と効果を説明し、
成果を還元すれば協力的になります。
「お店の成長のため」という共通目標を共有することが重要です。
Q: 「在庫管理が面倒そう…」
A: 最初は簡単なチェックリストから始めましょう。
慣れてきたらデジタル化すれば、むしろ楽になります。
Q: 「まとめ買いで在庫が増えすぎませんか?」
A: 適正在庫量を設定し、保管場所も確保してから実施します。
無理なまとめ買いは逆効果なので、段階的に進めましょう。
まとめ:消耗品管理で持続的な経費削減を実現
消耗品費の管理は、
地味ですが確実に利益を改善できる重要な施策です。
消耗品管理の5つのメリット
- 確実な経費削減:改善すれば必ず効果が出る
- 継続的効果:一度システム化すれば毎月効果が続く
- スタッフ意識向上:コスト意識とプロ意識の醸成
- 業務効率化:在庫管理による作業効率の向上
- 投資原資確保:浮いた資金で更なる改善投資
成功する消耗品管理の3つのポイント
- 使用量の見える化:正確なデータに基づく改善
- システム化の推進:属人的管理からの脱却
- 継続的な見直し:定期的な効果測定と改善
年間50万円削減の活用例
削減効果を投資に回すと:
・新しい美容機器の導入
・店舗環境の改善投資
・スタッフの技術研修費用
・マーケティング活動の強化
・非常時の運転資金確保
消耗品は「小さな支出」の積み重ねですが、
適切に管理すれば「大きな削減効果」を生み出します。
今日からできること
- 現在の消耗品費を正確に把握する
- 主要商品の使用量を記録し始める
- スタッフと節約目標を共有する
コツコツとした改善の積み重ねが、
大きな成果につながります。
まずは今日から、消耗品の使用量チェックを始めてみませんか?
半年後、きっとあなたも
「消耗品を見直して本当に良かった!」と実感しているはずです。
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