シャンプー・トリートメントの原価を下げる仕入れ方法
シャンプー代が高すぎて利益が出ない…そんな悩みありませんか?
美容室を経営している斉藤さん(仮名)から、こんな相談を受けました。
「先生、うちのシャンプー・トリートメント代が
月15万円もかかってるんです。
有名ブランドの良いものを使いたいけど、
原価が高すぎて…でも品質を下げるわけにもいかないし、
どうしたらいいでしょうか?」
実は、品質を保ちながら仕入れ原価を大幅に下げる方法があります。
斉藤さんのお店では、私のアドバイスで仕入れ方法を変更し、
品質は変えずに月のシャンプー代を9万円まで削減しました。
40%のコストダウンです!
今日は、その具体的な方法をお教えします。
なぜシャンプー・トリートメントの原価は高いのか?
高コストの5つの原因
1. ブランド料に騙されている
- 有名ブランド名だけで選んでいる
- 広告費や営業コストが価格に上乗せ
- 実際の製造コストは販売価格の30-40%程度
2. 小ロット購入による単価高
- 1本ずつの購入で単価が高い
- まとめ買い割引を活用していない
- 配送費が商品代に上乗せされている
3. 中間マージンの重複
- メーカー → 卸業者 → 美容商社 → 美容室
- 各段階で20-30%のマージンが発生
- 最終価格は製造コストの3-4倍
4. 営業マンの言いなり購入
- 営業トークに乗せられて高額商品を購入
- 必要以上のグレードの商品を選択
- 他社比較をせずに決定
5. 無駄な機能への課金
- 美容室に不要な機能付き商品
- パッケージデザイン料の上乗せ
- 過剰な成分配合による高コスト化
あなたのお店の原価率、適正ですか?
シャンプー・トリートメント原価率の目安
理想的:売上の3-5%
許容範囲:売上の5-8%
要改善:売上の8%以上
計算例 月売上100万円の場合
- 理想的:3-5万円
- 許容範囲:5-8万円
- 要改善:8万円以上
もし8万円を超えている場合は、今すぐ改善が必要です!
今すぐできる!原価削減テクニック
テクニック1:OEM商品への切り替え
OEM商品とは? 有名ブランドと同じ工場で製造される、ノーブランド商品
品質は同じ、価格は半額以下
有名ブランドシャンプー:4,500円/L
OEM同等品:2,200円/L
→ 51%のコストダウン!
有名ブランドトリートメント:6,000円/L
OEM同等品:2,800円/L
→ 53%のコストダウン!
OEM商品の見つけ方
- 美容商社への相談 「○○ブランドと同等品質のOEM商品はありますか?」
- 製造元の直接確認 同じ工場で作られている別ブランドを探す
- 成分表示の比較 主要成分が同じ商品を見つける
お客様への伝え方
「当店オリジナルの高品質シャンプーです」
「サロン専用に特別調合したものです」
「厳選した成分で作った当店こだわりの商品です」
テクニック2:業務用大容量商品の活用
容量別価格比較の実例
【Aブランドシャンプーの場合】
300ml:2,400円 → 1mlあたり8円
1L:4,500円 → 1mlあたり4.5円
4L:15,000円 → 1mlあたり3.75円
10L:30,000円 → 1mlあたり3円
→ 大容量にするほど62.5%もお得!
大容量商品のメリット
- 単価が圧倒的に安い
- 発注頻度が減って手間も削減
- 配送費の節約効果
- 在庫切れリスクの軽減
使いやすくする工夫
- 小分け用ボトルに移し替え
- ポンプ式ディスペンサーの活用
- 計量カップでの正確な分量管理
テクニック3:希釈活用システム
意外と知らない希釈の効果
多くのサロン用シャンプー・トリートメントは濃縮タイプです。
適切に希釈することで、使用感を損なわずにコストを削減できます。
希釈可能な商品例
【シャンプー】
業務用濃縮タイプ:2-3倍希釈可能
効果:原価を33-50%削減
【トリートメント】
多くの製品:2倍希釈可能
効果:原価を50%削減
正しい希釈方法
【シャンプー2倍希釈の場合】
原液500ml + 精製水500ml = 1L
よく混ぜて24時間以内に使用
泡立ちは原液とほぼ同等
注意点
- メーカー推奨の希釈率を守る
- 精製水を使用(水道水は避ける)
- 希釈後は早めに使い切る
- 希釈前に少量でテストする
中級編:仕入れルート改革
直接取引への切り替え
従来の仕入れルート
メーカー → 総代理店 → 地域卸 → 美容商社 → 美容室
各段階で20-30%マージン発生
改善後の仕入れルート
メーカー → 美容室(直接取引)
中間マージンを大幅カット
直接取引のメリット
- 中間マージンの排除
- メーカーとの直接交渉可能
- 新商品情報の早期入手
- 技術サポートの充実
直接取引を始める方法
- メーカーへの問い合わせ 「直接取引は可能ですか?」
- 最小発注量の確認 「どのくらいから直接取引できますか?」
- 条件交渉 「年間発注量による割引はありますか?」
共同購入システムの構築
近隣サロンとの連携購入
単独購入vs共同購入の比較
【単独購入の場合】
シャンプー1L:4,500円
月間使用量:5L
月額費用:22,500円
【4店舗共同購入の場合】
シャンプー20L:72,000円(20%割引)
1L単価:3,600円
月額費用:18,000円
→ 20%削減!
共同購入の実施手順
- 参加サロンの募集 信頼できる近隣サロン2-3店舗
- 商品・発注量の決定 各店の使用量を合算
- 費用分担方法の決定 使用量比例での支払い
- 発注・受け取り方法の決定 代表店での一括受け取り
成功のポイント
- 信頼関係のある店舗との連携
- 明確なルール作り
- 定期的な見直し
年間契約による大幅割引
年間契約のメリット
通常購入vs年間契約の比較
【通常購入】
都度発注:1L/4,500円
年間60L使用:270,000円
【年間契約】
年間60L契約:216,000円(20%割引)
→ 54,000円の削減効果!
年間契約の交渉ポイント
- 年間使用量の正確な予測
- 複数商品のセット契約
- 支払い条件の交渉
- 途中解約条件の確認
上級編:戦略的商品選定
成分分析による同等品発見
成分表示の読み方
主要成分の理解
【洗浄成分】
ラウレス硫酸Na:安価だが刺激強
ココイルグルタミン酸Na:高価だが低刺激
コカミドプロピルベタイン:中価格、バランス良
【保湿成分】
ヒアルロン酸Na:高保湿、高価格
グリセリン:基本的保湿、安価
セラミド:高機能、高価格
同等品の見つけ方
- 現在使用商品の成分表をチェック
- 上位5成分が同じ商品を探す
- 価格比較で最適商品を選定
プライベートブランド開発
オリジナル商品の企画
PB商品開発のメリット
- 製造コスト+α程度の価格設定
- 他店との完全差別化
- お客様へのブランド訴求効果
- 高い利益率の確保
開発の進め方
1. OEMメーカーへの相談
2. 既存処方の活用(コスト削減)
3. 容器・ラベルデザインの決定
4. 最小ロット(通常1000本程度)での製造
5. 段階的な販売拡大
投資回収の計算例
開発費用:50万円
製造コスト:1,500円/L
販売価格:3,000円/L(従来品4,500円相当)
粗利:1,500円/L
投資回収:334本販売で回収完了
年間使用量:60L → 8.5ヶ月で回収
実際の成功事例
Jサロンの原価改革
改革前の状況
- 月間シャンプー・トリートメント費:18万円
- 使用商品:有名ブランドA社製品
- 仕入れ先:地元美容商社
- 原価率:売上の12%(要改善レベル)
実施した対策
- OEM商品への段階的切り替え
- シャンプーを同等OEM品に変更
- 3ヶ月後にトリートメントも変更
- 大容量商品への移行
- 1Lボトルから10Lタンクに変更
- 近隣2店舗との共同購入開始
- 配送費の削減効果
- 適切な希釈システム導入
- トリートメントを2倍希釈で使用
改革後の結果(6ヶ月後)
- 月間シャンプー・トリートメント費:9万円(50%削減)
- お客様満足度:変化なし(むしろ向上)
- 原価率:売上の6%(適正レベル)
- 年間削減効果:108万円
オーナーのコメント
「最初は品質が心配でしたが、
お客様からは『前より髪の調子が良い』と言われることも。
浮いたお金で新しいトリートメント機器を導入でき、
サービスレベルがさらに向上しました!」
Kサロンの事例
基本情報
- 規模:3席の小型サロン
- 立地:住宅街
- 客層:30-50代女性中心
取り組み内容
- プライベートブランド商品の開発
- 近隣4店舗での共同開発
- 年間契約による大量仕入れ
成果
- 原価60%削減達成
- 他店との差別化成功
- お客様からの評価向上
品質を保つための注意点
絶対に下げてはいけない品質基準
1. 洗浄力
- 汚れをしっかり落とす能力
- 泡立ちの良さ
- すすぎの良さ
2. 安全性
- アレルギーテスト済み
- 刺激性の低い成分使用
- pH値の適正性
3. 仕上がり
- 髪のまとまり
- 手触りの良さ
- ツヤの向上効果
品質チェック体制
段階的品質確認
【導入前】
1. 成分分析
2. スタッフでのテスト使用
3. 少数のお客様での試用
4. フィードバック収集
【導入後】
1. 定期的な品質チェック
2. お客様満足度調査
3. 問題発生時の迅速対応
4. 継続使用の判断
品質問題発生時の対応
- 即座に使用中止
- お客様への謝罪と再施術
- 代替品への緊急切り替え
- 原因分析と再発防止
今すぐ始められる原価削減アクションプラン
今週やること
月曜日
- [ ] 現在のシャンプー・トリートメント費を計算
- [ ] 原価率をチェック
火曜日
- [ ] 使用中商品の成分表を確認
- [ ] OEM商品の情報収集開始
水曜日
- [ ] 大容量商品の価格調査
- [ ] 希釈可能性の確認
木曜日
- [ ] 近隣サロンに共同購入を相談
- [ ] メーカーに直接取引を問い合わせ
金曜日
- [ ] 1週間の調査結果をまとめ
- [ ] 改善計画を立案
1ヶ月後の目標設定
短期目標(1ヶ月)
- 原価率の現状把握完了
- OEM商品のテスト使用開始
- 改善案の具体化
中期目標(3ヶ月)
- 主力商品のOEMへの切り替え完了
- 20%以上の原価削減達成
- 品質レベルの維持確認
長期目標(6ヶ月)
- 40%以上の原価削減達成
- 年間100万円以上の経費削減
- 浮いた資金での設備投資実行
よくある質問と解決法
Q: 「OEM商品って本当に品質は同じですか?」
A: 同じ工場で同じ製造ラインで作られるため、
品質は同等です。
違いはブランド名とパッケージだけ。
むしろ余計な添加物が少ない場合もあります。
Q: 「お客様にOEM商品だとバレませんか?」
A: 「当店オリジナル商品」として堂々と提供すれば問題ありません。
実際に品質が良ければ、お客様は満足してくれます。
Q: 「希釈して効果が落ちませんか?」
A: メーカー推奨の希釈率であれば効果は変わりません。
多くの業務用商品は希釈前提で濃縮して作られています。
Q: 「安い商品で売上に影響しませんか?」
A: 原価削減は利益率改善の直接的効果があります。
浮いたお金でサービス向上や技術研修に投資すれば、
むしろ売上アップにつながります。
まとめ:シャンプー原価削減は利益率改善の特効薬
シャンプー・トリートメントの原価削減は、
品質を保ちながら確実に利益を増やせる方法です。
原価削減の5つのメリット
- 即座に利益改善:削減した分がそのまま利益増加
- 継続的効果:一度改善すれば毎月効果が続く
- 品質向上の可能性:余計な添加物の少ない商品選択
- 差別化効果:オリジナル商品による特色作り
- 再投資原資:浮いたお金で更なる改善投資
成功する原価削減の3つのポイント
- 段階的アプローチ:いきなり全商品変更せず、一つずつテスト
- 品質の絶対維持:コスト削減を優先して品質を下げない
- 継続的改善:市場調査と商品見直しを定期的に実施
原価削減の効果試算
月5万円の削減 → 年間60万円の効果
月10万円の削減 → 年間120万円の効果
この資金で可能になること:
- 新しい技術研修への参加
- 設備のグレードアップ
- スタッフ待遇の改善
- 新サービスの開発
年間100万円を超える原価削減も決して夢ではありません。
浮いた資金で更なるサービス向上に投資すれば、
お客様満足度も売上も向上する好循環が生まれます。
今日からできること
- 現在の原価率を正確に計算する
- 使用商品の成分表をチェックする
- OEM商品の情報収集を始める
品質を保ちながら賢くコストを下げる。
それが真のプロフェッショナルです。
まずは一つの商品から、原価削減への第一歩を踏み出してみませんか?
3ヶ月後、きっとあなたも
「原価を見直して本当に良かった!」と実感しているはずです。
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