学生割引をやめて売上が増えた理由

学生割引をやめて売上が増えた理由

「学生割引をやめたら、お客さんが来なくなるのでは?」
「安い料金で集客しないと、競合に負けてしまう…」

多くの美容室が学生割引を「必要悪」だと思っています。
でも実は、学生割引をやめることで売上が増加し、
より健全な経営ができるようになった美容室がたくさんあるんです!

この記事では、学生割引を廃止して
売上を30%アップさせた美容室の実例とともに、
その理由と方法をお教えします。

目次

衝撃の実例:I美容室の学生割引廃止大作戦

廃止前:学生割引に依存した経営

I美容室の状況(学生割引実施時)

  • 立地:大学近くの学生街
  • 学生客比率:60%(月120人)
  • 学生割引:カット通常4000円 → 2800円
  • 一般客:40%(月80人)
  • 月商:85万円
  • 月利益:8万円(利益率9.4%)

学生割引の問題点

【収益面】
・学生客の利益率:わずか5%
・価格競争に巻き込まれる
・利益が全く残らない

【運営面】
・忙しいのに儲からない
・一般客が敬遠しがち
・店内が騒がしくなる
・ブランドイメージの低下

廃止後:驚きの売上・利益向上

I美容室の状況(学生割引廃止後)

  • 学生客比率:20%(月30人)
  • 学生も通常価格:4000円
  • 一般客:80%(月120人)
  • 月商:110万円(25万円アップ)
  • 月利益:35万円(27万円アップ)
  • 利益率:32%(22.6%向上)

結果:客数は減ったが売上・利益は大幅アップ

なぜこんな結果になったのか?

成功の5つの要因

  1. 利益率の劇的改善:低利益客が減り、高利益客が増加
  2. ブランドイメージの向上:「安い美容室」から「価値ある美容室」へ
  3. 一般客の増加:落ち着いた環境を求める客層の獲得
  4. 客単価の向上:追加メニュー利用率の大幅改善
  5. 口コミの質向上:満足度の高い客層による良質な紹介

学生割引がもたらす5つの問題

問題1:利益率の破綻

学生割引の収益構造

【学生客(割引価格2800円)】
売上:2800円
材料費:700円(25%)
人件費:840円(30%)
固定費:980円(35%)
利益:280円(利益率10%)

【一般客(通常価格4000円)】
売上:4000円
材料費:1000円(25%)
人件費:1200円(30%)
固定費:800円(20%)
利益:1000円(利益率25%)

1時間の労働で得られる利益

  • 学生客2人:560円
  • 一般客1人:1000円

一般客1人の方が効率的!

問題2:ブランドイメージの低下

「安い美容室」のイメージ定着

  • 価格重視の客層が集まる
  • 技術力への評価が下がる
  • 高単価メニューが売れない
  • プレミアム路線への転換が困難

実際の声

「あそこは学生が多い美容室だから...」
「安い美容室だと仕上がりが心配」
「騒がしそうで落ち着けない」

問題3:客層の悪循環

学生客が多いことによる影響

  • 一般客(特に30代以上)が敬遠
  • 店内が騒がしくなりがち
  • 高単価サービスが売れない
  • 口コミも価格重視になる

悪循環のメカニズム

学生割引実施
↓
学生客増加
↓
一般客減少
↓
客単価低下
↓
さらなる値下げ圧力
↓
利益悪化

問題4:価格競争の泥沼

学生割引競争の実態

  • 近隣店舗との値下げ合戦
  • 「もっと安い店がある」という価格比較
  • 利益率無視の価格設定
  • 技術やサービスでの差別化困難

問題5:スタッフのモチベーション低下

低利益経営の影響

  • 給与アップできない
  • 教育投資ができない
  • やりがいを感じにくい
  • 優秀なスタッフが辞める

学生割引廃止で売上が増える5つの理由

理由1:客層の質的向上

一般客の特徴

  • 高い支払い能力
  • 追加メニューへの積極性
  • 長期的なリピート
  • 口コミの質の高さ
  • 時間への余裕

客層変化の具体例

【廃止前】
学生:120人×2800円 = 33.6万円
一般:80人×5000円 = 40万円
合計:73.6万円

【廃止後】
学生:30人×4000円 = 12万円
一般:120人×7000円 = 84万円
合計:96万円(22.4万円アップ)

理由2:追加メニュー利用率の向上

メニュー利用率の変化

【学生客の場合】
・トリートメント利用率:15%
・ヘッドスパ利用率:5%
・物販購入率:2%

【一般客の場合】
・トリートメント利用率:60%
・ヘッドスパ利用率:35%
・物販購入率:25%

なぜ一般客は追加メニューを利用するのか?

  • 経済的余裕がある
  • 価値を理解している
  • 時間に余裕がある
  • 美容への関心が高い

理由3:リピート率・頻度の向上

リピート行動の違い

【学生客】
・リピート率:50%
・来店頻度:3ヶ月に1回
・生涯価値:約2.8万円

【一般客】
・リピート率:80%
・来店頻度:2ヶ月に1回
・生涯価値:約12万円

理由4:口コミ・紹介の質向上

紹介客の違い

【学生からの紹介】
・紹介先:同じ学生
・価格重視
・継続性低い

【一般客からの紹介】
・紹介先:社会人・主婦
・価値重視
・継続性高い

理由5:ブランド価値の向上

価格以外での差別化が可能

  • 技術力への評価向上
  • サービス品質での勝負
  • 専門性の確立
  • プレミアム戦略への転換

成功事例:J美容室の段階的廃止戦略

廃止前の準備(1〜2ヶ月)

市場調査の実施

・近隣美容室の価格・サービス調査
・既存一般客へのヒアリング
・学生以外のターゲット層分析
・競合店の学生割引状況調査

サービス品質の向上

・技術研修の強化
・接客レベルの向上
・店内環境の改善
・追加メニューの充実

段階的廃止の実行(3〜6ヶ月)

Phase1:新規学生客の割引停止

期間:3ヶ月目
対象:新規の学生客のみ
内容:新規学生客は通常料金
結果:新規学生客の減少、一般客の増加傾向

Phase2:既存学生客への段階的値上げ

期間:4〜5ヶ月目
対象:既存学生客
内容:2800円 → 3200円 → 3600円
結果:一部学生客の離脱、残った学生客の質向上

Phase3:完全廃止

期間:6ヶ月目
対象:全学生客
内容:全員通常料金4000円
結果:学生客大幅減、一般客大幅増

6ヶ月後の結果

数字の変化

【廃止前】
月客数:200人(学生120人、一般80人)
月商:73.6万円
月利益:6.8万円(9.2%)

【廃止後】
月客数:150人(学生30人、一般120人)
月商:96万円
月利益:32万円(33.3%)

効果

  • 売上:30%アップ
  • 利益:370%アップ
  • 労働時間:20%削減
  • 顧客満足度:大幅向上

学生割引廃止の具体的手順

ステップ1:現状分析(1週間)

分析項目

□ 学生客数と売上の正確な把握
□ 学生客の利益率計算
□ 一般客の増加可能性調査
□ 競合店の状況分析
□ 廃止によるリスク評価

ステップ2:代替戦略の準備(2〜3週間)

一般客獲得戦略

□ ターゲット層の明確化
□ 価値提案の強化
□ サービス品質の向上
□ 店内環境の改善
□ 新メニューの開発

ステップ3:段階的実行(2〜6ヶ月)

実行計画

Month1:新規学生の割引停止
Month2:既存学生への説明開始
Month3:段階的値上げ開始
Month4-5:継続的値上げ
Month6:完全廃止

ステップ4:効果測定・調整(継続)

測定項目

□ 客数・売上の変化
□ 利益率の改善
□ 客層の変化
□ 顧客満足度
□ 競合への影響

学生客への代替アプローチ

学生を完全に排除しない戦略

価値ある学生客の見極め

・価格以外の価値を理解する学生
・追加メニューも利用する学生
・長期的にリピートする学生
・将来性のある学生(就職後も継続)

学生向け特別サービス

【平日昼割】
・平日14時〜17時限定
・通常4000円 → 3500円
・時間限定で稼働率向上

【学生応援プラン】
・就活用スタイル提案
・面接対策カット
・社会人準備コース
・将来への投資として提案

学生以外のターゲット開拓

新ターゲット層

【20〜30代社会人】
・平日夜・土日利用
・高単価メニュー利用
・継続的リピート

【30〜40代主婦】
・平日昼間利用
・リラクゼーション重視
・口コミ拡散力高い

【40代以上男女】
・品質重視
・価格感度低い
・安定した利用

廃止時の注意点と対策

注意点1:既存学生客への配慮

円滑な移行方法

・事前の丁寧な説明
・段階的な価格変更
・代替サービスの提案
・感謝の気持ちを伝える

説明例

「いつもありがとうございます。
この度、サービス品質向上のため
料金体系を見直すことになりました。

○○さんには長くご愛顧いただいており
大変申し訳ございませんが、
より良いサービスを提供するための
決断ですので、ご理解いただければと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。」

注意点2:競合店の動向

競合対策

・価格以外での差別化強化
・サービス品質での勝負
・独自性の確立
・ブランド力の向上

注意点3:一時的な売上減少

対策

・段階的な実施で影響最小化
・一般客獲得の同時進行
・新サービスでの付加価値
・長期的視点での判断

廃止後の経営改善効果

財務面の改善

利益率の大幅向上

・低利益客の削減
・高利益客の増加
・追加メニュー売上増
・効率的な運営

投資余力の創出

・設備更新の資金確保
・技術研修への投資
・スタッフ待遇改善
・新サービス開発

運営面の改善

働きやすい環境

・適切な客数での運営
・質の高い接客時間
・スタッフのスキルアップ
・やりがいのある仕事

ブランド価値の向上

・高品質サービスの提供
・顧客満足度の向上
・口コミ評価の改善
・地域での評判向上

今日から始める学生割引見直し

今週やること

1. 現状の正確な把握

□ 学生客の売上・利益貢献度計算
□ 一般客との収益性比較
□ 学生割引のコスト分析
□ 改善ポテンシャルの評価

今月やること

1. 代替戦略の準備

□ 新ターゲット層の特定
□ サービス品質向上計画
□ 価値提案の強化
□ 実行計画の策定

3ヶ月後の目標

段階的廃止の開始

□ 新規学生への適用停止
□ 既存客への説明開始
□ 一般客獲得活動強化
□ 効果測定・調整

よくある質問と回答

Q:学生割引をやめると競合に客を取られませんか?

A:価格だけで選ぶお客さんは、
結果的に利益にならないお客さんです。
価値を理解してくれるお客さんに集中する方が、
長期的には成功します。

Q:学生街の立地では一般客を獲得できないのでは?

A:学生街でも社会人や地域住民は存在します。
また、少し遠くても価値を求めて
来店してくれるお客さんを獲得することが可能です。

Q:一時的に売上が下がるリスクが心配です

A:段階的に実施することでリスクを最小化できます。
また、短期的な売上減少よりも、
長期的な利益向上を重視することが重要です。

Q:学生から苦情が来ませんか?

A:丁寧な説明と段階的な移行で理解を得ることができます。
本当に価値を感じてくれる学生は、
適正価格でも継続してくれます。

まとめ:学生割引廃止で健全経営を実現

学生割引の廃止は、短期的には勇気のいる決断です。
しかし、長期的には必ず経営改善につながります。

廃止による効果

  • 利益率の大幅改善
  • 客層の質的向上
  • ブランド価値の向上
  • 持続可能な経営基盤
  • スタッフの働きがい向上

成功のポイント

  • 段階的な実施
  • 代替戦略の準備
  • 顧客への丁寧な説明
  • 価値提案の強化
  • 長期的視点での判断

重要なこと
学生割引の廃止は、学生を排除することではありません。
すべてのお客さんに等しく価値あるサービスを提供し、
適正な対価をいただく健全な経営への転換です。


あなたの美容室も、学生割引廃止で健全経営を目指してみませんか?

最初は不安かもしれませんが、
正しい方法で実行すれば必ず良い結果が出ます。
1年後には、今よりもっと安定した収益と、
やりがいのある美容室経営が実現しているはずです!

勇気を持って一歩を踏み出し、
本当の意味で成功する美容室を作り上げましょう。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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