美容師の苦手分野を克服させる個別指導テクニック

美容師の苦手分野を克服させる個別指導テクニック

〜一人ひとりの弱点を見つけて、確実にレベルアップさせる指導法〜

目次

なぜ個別指導が重要なのか?

「同じように教えているのに、覚えの早いスタッフと遅いスタッフがいる…」
「苦手な技術があると、そのメニューを避けてしまう…」
「何度教えても、同じミスを繰り返してしまう…」

こんな悩みはありませんか?

美容師は一人ひとり得意・不得意が全く違います
全員に同じ指導をしても、効果的ではありません。

個人の特性を理解した個別指導こそが、
全スタッフの底上げと売上向上
つながる最も効率的な方法なのです。

【重要】苦手分野を放置する3つのリスク

リスク1:売上機会の損失

起こること:

  • 苦手メニューの提案回避
  • 客単価の低下
  • 指名客の減少

具体例:
カラーが苦手な美容師がカラー提案を避ける
→ 月20万円の売上機会を逃す

リスク2:自信の低下と悪循環

起こること:

  • 苦手意識の増大
  • 挑戦する意欲の低下
  • 全体的なパフォーマンス悪化

リスク3:お客様満足度の低下

起こること:

  • 仕上がりのムラ
  • 施術時間の延長
  • リピート率の低下

【基礎知識】美容師によくある苦手分野パターン

パターン1:技術系の苦手分野

A. カット系

よくある苦手ポイント:

  • レイヤーの長さ調整
  • 左右のバランス
  • 毛量調整
  • スピード不足

原因:

  • 基本的な切り方の理解不足
  • 練習量の不足
  • 手の動きの癖

B. カラー系

よくある苦手ポイント:

  • 色の調合
  • 塗布ムラ
  • 時間管理
  • 色落ち予測

原因:

  • 色彩理論の理解不足
  • 髪質による違いの把握不足
  • 経験値の不足

C. パーマ系

よくある苦手ポイント:

  • ロッドの巻き方
  • 薬剤選択
  • 仕上がり予測
  • 持ちの悪さ

原因:

  • 髪質診断能力の不足
  • 薬剤知識の不足
  • 練習機会の不足

パターン2:接客系の苦手分野

A. カウンセリング

よくある苦手ポイント:

  • お客様のニーズ把握
  • 適切な質問ができない
  • 提案力不足

B. 会話・コミュニケーション

よくある苦手ポイント:

  • 沈黙が怖い
  • 話題が見つからない
  • 年上のお客様との会話

C. 販売・提案

よくある苦手ポイント:

  • 商品の説明
  • 断られるのが怖い
  • 価格の話ができない

【実践編】個別指導の具体的テクニック

ステップ1:苦手分野の正確な診断

A. 観察による発見

観察ポイント:

  • 施術時の手の動き
  • 表情・態度の変化
  • 時間のかかり方
  • 仕上がりの品質

チェック方法:

□ 特定の技術で時間がかかる
□ 同じミスを繰り返す
□ その技術を避けたがる
□ 施術中に不安そうな表情
□ お客様の反応が良くない

B. 本人からのヒアリング

質問例:

  • 「どの技術が一番苦手だと思う?」
  • 「お客様にやりにくいなと思われる場面は?」
  • 「自信を持ってできない技術はある?」
  • 「練習したいけど、時間が取れない技術は?」

C. お客様の反応から判断

確認ポイント:

  • 仕上がりへの満足度
  • 再来店率
  • 指名率
  • 口コミ・評判

ステップ2:苦手の原因分析

原因パターン別の対応

【知識不足タイプ】
特徴:

  • 理論が分からない
  • なぜそうするのか理解していない
  • 応用が利かない

対応法:

  • 基礎理論の説明
  • 図解・動画での学習
  • 段階的な理解の確認

【経験不足タイプ】
特徴:

  • 頭では分かっているが手が動かない
  • 練習量が足りない
  • 慣れていない

対応法:

  • 反復練習の機会提供
  • 簡単なレベルから開始
  • 成功体験の積み重ね

【苦手意識タイプ】
特徴:

  • 過去の失敗がトラウマ
  • 自信がない
  • 挑戦を避ける

対応法:

  • 段階的な目標設定
  • 小さな成功の積み重ね
  • ポジティブなフィードバック

【癖・習慣タイプ】
特徴:

  • 間違った方法が身についている
  • 無意識の動作
  • 修正が困難

対応法:

  • 意識的な動作確認
  • 反復による正しい習慣形成
  • 定期的なチェック

ステップ3:個人別指導計画の作成

計画作成のフレームワーク

1. 現状把握

苦手分野:カラーの塗布ムラ
原因:塗布スピードが遅く、時間差でムラになる
目標:30分以内でムラなく塗布完了
期限:2ヶ月以内

2. 段階的目標設定

第1段階(2週間):基本動作の習得
- 正しい塗布方法の理解
- ウィッグでの練習
- 速度は気にせず正確性重視

第2段階(3週間):スピードアップ
- 時間を測っての練習
- 手の動きの効率化
- 40分以内での完了を目指す

第3段階(3週間):実践・完成
- お客様での実践
- 30分以内での完了
- ムラのない仕上がり確認

3. 具体的な練習方法

毎日の練習:
- 朝15分のウィッグ練習
- 正しい手の動きの確認
- 時間測定記録

週1回の確認:
- 指導者による技術チェック
- 改善点の指摘
- 次週の課題設定

ステップ4:効果的な指導テクニック

A. スモールステップ法

やり方:

  1. 技術を細かく分解
  2. 一つずつ確実に習得
  3. 段階的に組み合わせ
  4. 最終的に完成形へ

カット指導の例:

ステップ1:正しい立ち位置
ステップ2:ハサミの持ち方
ステップ3:髪の取り方
ステップ4:切る角度
ステップ5:全体の流れ

B. 模倣学習法

やり方:

  1. 上手な人の技術を観察
  2. 同じ動きを真似する
  3. 違いを意識的に修正
  4. 自分の技術として定着

効果的な観察ポイント:

  • 手の位置・角度
  • 動くスピード
  • 力の入れ方
  • 視線の向け方

C. 言語化学習法

やり方:

  1. 技術を言葉で説明させる
  2. 手順を口に出して確認
  3. 理由も含めて説明
  4. 人に教える練習

効果:

  • 理解度の深化
  • 記憶の定着
  • 応用力の向上

D. 成功体験積み重ね法

やり方:

  1. 必ず成功できるレベルから開始
  2. 少しずつ難易度を上げる
  3. 成功のたびに褒める
  4. 自信を段階的に構築

ステップ5:継続的なフォローアップ

定期チェックシステム

週次チェック(毎週金曜日)

□ 今週の練習時間
□ 技術の習得度(5段階評価)
□ 困ったこと・疑問点
□ 来週の目標設定

月次評価(月末)

□ 目標達成度
□ お客様の反応
□ 自信度の変化
□ 次月の課題設定

フィードバックの効果的な方法

良いフィードバックの例:

  • 「カラーの塗布スピードが先週より30秒早くなりましたね」
  • 「今日の仕上がりは、ムラが全くありませんでした」
  • 「お客様が『綺麗に染まった』と喜んでおられました」

避けるべきフィードバック:

  • 「まだまだですね」
  • 「もっと頑張って」
  • 「他の人はできているのに」

【成功事例】個別指導で変わった美容師たち

事例1:カット苦手のAさん(入社2年目)

苦手内容: レイヤーカットの長さ調整

指導内容:

  • 基本的な角度の理解
  • ウィッグでの反復練習(毎日30分)
  • 段階的な難易度アップ

結果(3ヶ月後):

  • レイヤーカット習得
  • カット時間20%短縮
  • お客様満足度向上

Aさんの感想:
「最初は絶対無理だと思ったけど、小さな目標を一つずつクリアしていくうちに、気づいたらできるようになっていました」

事例2:接客苦手のBさん(入社1年目)

苦手内容: お客様との会話・カウンセリング

指導内容:

  • 基本的な質問パターンの習得
  • ロールプレイング練習
  • 話題のストック作成

結果(2ヶ月後):

  • 自然な会話ができるように
  • カウンセリング時間短縮
  • リピート率30%向上

Bさんの感想:
「話すことが苦手でしたが、
パターンを覚えることで自然に話せるようになりました」

事例3:パーマ苦手のCさん(入社3年目)

苦手内容: パーマのかかりムラ・持ちの悪さ

指導内容:

  • 髪質診断の勉強
  • 薬剤選択の基準作成
  • 巻き方の基本練習

結果(4ヶ月後):

  • パーマ技術大幅向上
  • お客様からの指名増加
  • パーマメニューの売上20%アップ

Cさんの感想:
「理論を理解してから実践することで、なぜうまくいかなかったのかが分かりました」

【注意点】個別指導で失敗しないために

失敗パターン1:一度に多くを教えすぎる

問題:

  • 情報過多で混乱
  • 何から手をつけていいか分からない
  • 結果的に何も身につかない

対策:

  • 1つの技術に集中
  • 段階的な指導
  • 確実な習得を確認してから次へ

失敗パターン2:個人の特性を無視した指導

問題:

  • 理論派に感覚的指導
  • 感覚派に理論詰め込み
  • 効果が出ない

対策:

  • 個人の学習スタイル把握
  • その人に合った指導方法選択
  • 柔軟な対応

失敗パターン3:継続的フォローの不足

問題:

  • 一時的な向上で終わる
  • 元の状態に戻ってしまう
  • 定着しない

対策:

  • 定期的なチェック
  • 継続的な練習機会提供
  • 長期的な視点での指導

よくある質問と解決法

Q1. 時間がなくて個別指導ができない

A. 営業時間の隙間時間や閉店後の15分を活用しましょう。
短時間でも継続すれば効果は出ます。
また、動画での予習・復習も効果的です。

Q2. 何度教えても覚えてくれない

A. 教え方を変えてみましょう。
理論的説明、実演、一緒に練習など、
その人に合った方法を見つけることが大切です。

Q3. 苦手意識が強すぎて挑戦してくれない

A. まずは必ず成功できる簡単なレベルから始めましょう。
小さな成功体験を積み重ねることで、
自信を回復させることができます。

まとめ:一人ひとりを大切にする指導で全体レベルアップ

効果的な個別指導のポイントは:

1. 正確な現状把握

  • 苦手分野の特定
  • 原因の分析
  • 個人特性の理解

2. 個人に合わせた指導法

  • 段階的目標設定
  • その人に合った練習方法
  • 適切なフィードバック

3. 継続的なサポート

  • 定期的なチェック
  • 長期的な視点
  • 成功まで諦めない姿勢

今日からできることを始めましょう:

  1. スタッフ一人ひとりの苦手分野を書き出す
  2. 一番簡単に改善できそうな人から個別指導開始
  3. 小さな成功を見つけて褒める

個別指導は手間がかかりますが、
一人ひとりの成長が店舗全体の大きな力になります。

スタッフの可能性を信じて、
粘り強く個別指導を続けることで、
必ず全員のレベルアップと売上向上を実現できます。

あなたの美容室のスタッフ全員が輝ける指導を、
今日から始めていきましょう!


美容師の個別指導テクニック習得を全力でサポートします。
まずは一人のスタッフから、一緒に始めてみませんか?

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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