美容室の評判を地域で高める信頼関係の築き方

美容室の評判を地域で高める信頼関係の築き方

~地域に愛される美容室になるための実践的ステップ~

目次

なぜ地域での評判が美容室経営に重要なの?

「美容室は技術さえ良ければお客さんは来てくれる」

そう思っている経営者さんは多いかもしれません。
でも実は、地域での評判こそが美容室経営の成否を分ける最大の要因なんです。

なぜなら、美容室は「近所のお店」だから。お客さんは:

  • 近くて通いやすいお店を選ぶ
  • 地域の人の評判を参考にする
  • 知り合いがいるお店の方が安心
  • 長期的な関係を求めている

つまり、地域での信頼関係 = 安定した経営基盤なんです。

地域で評判の良いお店は:

  • 新規客が自然と来店する
  • 口コミで勝手に宣伝される
  • 価格競争に巻き込まれにくい
  • 長期的に安定した経営ができる

地域で信頼される美容室の特徴

まず、地域で愛されている美容室が
どんな特徴を持っているか見てみましょう。

1. 「人」で選ばれているお店

  • スタッフの人柄が良い
  • お客さんの名前や好みを覚えている
  • 家族のように親しみやすい
  • 相談しやすい雰囲気がある

2. 「安心感」があるお店

  • 技術が安定している
  • 清潔で居心地が良い
  • 無理な営業をしない
  • 約束を必ず守る

3. 「地域密着」を実践しているお店

  • 地域のイベントに参加している
  • 近隣店舗との関係が良い
  • 地域の情報に詳しい
  • 地域の発展を応援している

地域信頼関係構築の5段階

地域での信頼関係は、段階的に築いていく必要があります。

第1段階:認知してもらう(開店~3ヶ月)

第2段階:試してもらう(3ヶ月~6ヶ月)

第3段階:継続してもらう(6ヶ月~1年)

第4段階:推薦してもらう(1年~2年)

第5段階:地域の一部になる(2年以降)

それぞれの段階で必要な取り組みを詳しく見ていきましょう。

第1段階:認知してもらう(開店~3ヶ月)

目標:「あそこに美容室ができたんだ」と知ってもらう

取り組み1:地域への挨拶回り

挨拶する相手

  • 近隣の店舗(商店、薬局、コンビニなど)
  • 住宅地の自治会・町内会
  • 地域の公共施設(公民館、図書館など)
  • 同業他店(敵対ではなく共存の姿勢で)

挨拶の仕方

「初めまして。○○に美容室を開店いたします△△と申します。
地域の一員として、皆様のお役に立てるよう頑張りますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
何かお手伝いできることがございましたら、
いつでもお声かけください。」

取り組み2:地域情報の収集

収集すべき情報

  • 地域の年齢層・家族構成
  • 地域のイベントや行事
  • 近隣店舗の営業時間・定休日
  • 地域の課題や要望
  • 交通の便や駐車場情報

取り組み3:看板・外観で親しみやすさをアピール

ポイント

  • 明るく清潔な外観
  • 営業時間・電話番号が分かりやすい
  • 「初回割引」「相談無料」など敷居を下げる表示
  • スタッフの写真や笑顔の表示

第2段階:試してもらう(3ヶ月~6ヶ月)

目標:「一度行ってみようかな」と思ってもらう

取り組み1:地域限定の特別サービス

  • 「ご近所様限定!平日割引」
  • 「○○町にお住まいの方へ感謝キャンペーン」
  • 「徒歩でお越しの方限定サービス」
  • 「地域のお子様カット特別価格」

取り組み2:地域の困りごと解決

美容室ができること

  • 高齢者の訪問カット
  • 子育てママの託児サービス
  • 成人式・卒業式の出張ヘアセット
  • 地域イベント時のボランティア美容師

実例

「近所のおばあちゃんが足が不自由で美容室に来れない」
→ 月1回の訪問カットサービスを開始

「保育園のママたちが美容室に行く時間がない」
→ 平日午前中の託児サービス付きメニューを作成

取り組み3:「試しやすい」環境づくり

具体的な方法

  • 入りやすい店構え
  • 気軽に相談できるカウンセリング
  • プレッシャーのない接客
  • 明確な料金表示
  • 所要時間の明示

第3段階:継続してもらう(6ヶ月~1年)

目標:「いつものお店」になる

取り組み1:お客さん一人ひとりとの関係深化

具体的な方法

  • 前回の施術内容を覚えている
  • 家族の話や趣味の話を覚えている
  • 季節や行事に合わせた提案
  • 髪質や好みの変化への対応
  • 定期的なメンテナンスの提案

会話例

「お疲れさまです!先月お話しされていた
お嬢さんの入学式、いかがでしたか?
今日は卒業式のときより少し軽めにしましょうか?」

取り組み2:地域情報の発信基地になる

情報発信の内容

  • 近隣のおすすめ店舗情報
  • 地域イベントのお知らせ
  • 季節の美容・健康情報
  • 地域の安全情報
  • 子育て・教育情報

発信方法

  • 店内掲示板
  • LINE配信
  • 会話の中で自然に
  • 地域情報誌への寄稿

取り組み3:常連さん同士のつながり作り

方法

  • 「○○さんと同じ髪質の方がいらして…」
  • 共通の趣味の方同士の紹介
  • 地域イベント参加の呼びかけ
  • 同世代ママ同士の情報交換の場提供

第4段階:推薦してもらう(1年~2年)

目標:「あそこの美容室、良いよ」と言ってもらう

取り組み1:「語りたくなる」体験の提供

語りたくなる体験例

  • 「まさか私がこんなに若く見えるなんて!」
  • 「髪の悩みを真剣に聞いてくれて感動した」
  • 「子供が人見知りなのに、すごく上手に対応してくれた」
  • 「忙しいのに時間を作ってくれて助かった」

取り組み2:地域イベントへの積極参加

参加できるイベント

  • 地域のお祭り(ヘアセットボランティア)
  • 商店街のイベント(美容相談コーナー)
  • 学校行事のサポート
  • 高齢者施設でのボランティア
  • 子育てサークルでの美容講座

取り組み3:地域メディアでの露出

活用できるメディア

  • 地域の広報誌
  • ケーブルテレビ
  • 地域情報サイト
  • 商工会議所の会報
  • 地域新聞

露出のきっかけ

  • 地域貢献活動の紹介
  • 技術者としての専門知識提供
  • 地域イベントへの協賛
  • 新しいサービスの開始

第5段階:地域の一部になる(2年以降)

目標:「○○地区の美容室といえば△△」と言われる

取り組み1:地域のキーパーソンとの関係構築

キーパーソンの例

  • 自治会長・町内会長
  • 商店街の会長
  • 地元企業の経営者
  • 学校の先生・PTA役員
  • 医療関係者

取り組み2:地域の「美容コンサルタント」的存在になる

具体的な役割

  • 結婚式・成人式などの特別な日の美容相談
  • 就職活動時のヘアスタイル提案
  • 介護施設での美容ケア指導
  • 地域の美容・健康セミナー講師

取り組み3:次世代への橋渡し役

方法

  • 地域の若い美容師の育成
  • 美容業界への就職サポート
  • 地域の子供たちへの職業体験提供
  • 伝統的な美容技術の継承

信頼関係を深める日常の接客術

1. 名前を呼ぶ効果を最大活用

基本ルール

  • 必ずお名前で呼ぶ
  • 家族の名前も覚える
  • ニックネームがあれば使い分ける

「田中さん、お疲れさまです!
先月お話しされていた息子さんの野球、
その後どうですか?」

2. 地域密着の会話術

地域の話題を自然に取り入れる

  • 「昨日の商店街のセール、すごい人でしたね」
  • 「来月の小学校の運動会、楽しみですね」
  • 「新しくできたパン屋さん、行かれましたか?」

3. 「覚えてくれている」感動の演出

覚えておくべき情報

  • 前回の施術内容
  • 好みや苦手なスタイル
  • 家族構成
  • 趣味や関心事
  • 大切な予定や行事

地域評判向上のための年間計画

春(4月~6月)

  • 新生活応援キャンペーン
  • 入学式・入社式ヘアセット
  • 地域の春祭りへの参加
  • 母の日特別サービス

夏(7月~9月)

  • 夏休み親子ヘアケア講座
  • 地域夏祭りでのボランティア
  • 浴衣ヘアセット出張サービス
  • 学生向け夏休み特別価格

秋(10月~12月)

  • 成人式前撮り・準備サービス
  • 地域文化祭への参加
  • 七五三ヘアセット
  • 年末美容相談会

冬(1月~3月)

  • 成人式当日サービス
  • 卒業式・入学式準備
  • 地域のボランティア活動参加
  • 春の新生活準備相談

よくある失敗パターンと改善策

失敗パターン1:技術だけにこだわりすぎる

改善策:技術×人間関係のバランスを重視

失敗パターン2:営業色が強すぎる

改善策:まずは地域貢献、利益は後からついてくると考える

失敗パターン3:一方的な情報発信

改善策:地域の人の話をしっかり聞く姿勢を持つ

失敗パターン4:継続性がない

改善策:年間計画を立てて着実に実行する

失敗パターン5:同業他店を敵視する

改善策:共存共栄の精神で業界全体の発展を目指す

地域信頼度を測る指標

定量的指標

  • 紹介来店の割合
  • リピート率
  • 地域イベント参加回数
  • 地域メディア露出回数
  • 地域限定キャンペーンの効果

定性的指標

  • お客さんとの会話の内容の変化
  • 地域の人からの相談事の増加
  • 他店からの紹介や連携の申し出
  • 地域イベントでの反応
  • 口コミの内容の変化

まとめ:地域に愛される美容室になるために

地域で評判を高め、信頼関係を築くには:

  1. 段階的なアプローチで着実に関係を深める
  2. 地域貢献の姿勢を常に持ち続ける
  3. お客さん一人ひとりとの関係を大切にする
  4. 継続的な取り組みで信頼を積み重ねる
  5. 地域の一員として責任を持って行動する

地域での評判は一朝一夕では築けませんが、
一度築けば強固な経営基盤になります。

今週からできること

  • 近隣店舗への挨拶回り
  • 地域情報の収集開始
  • お客さんとの会話で地域の話題を取り入れる
  • 地域イベント情報のチェック

地域の人々に愛され、信頼される美容室を目指して、
今日から一歩ずつ取り組んでいきましょう!

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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