美容室の物販で利益率を上げる商品選びと陳列方法

美容室の物販で利益率を上げる商品選びと陳列方法

目次

なぜ美容室に物販が必要なのか?

「技術料だけでは利益が思うように上がらない…」
「安定した収入源を作りたいけど、何を売ればいいか分からない…」

そんな悩みを抱えている美容室経営者の皆さん、
物販が解決の鍵なんです。

美容室物販のメリット:

  • 高い利益率(40-60%の利益率が可能)
  • 安定収入(リピート購入による継続売上)
  • 客単価アップ(技術料+商品代)
  • お客さんとの接点増加(商品相談・購入後フォロー)
  • 差別化要素(他店にない商品ラインナップ)
  • 専門性のアピール(プロが選んだ商品への信頼)

実際に、月間50万円の物販売上で25万円の利益を出すことも十分可能です。

利益率の高い商品選びの基本原則

利益率計算の基本

利益率の計算式

利益率 = (販売価格 - 原価) ÷ 販売価格 × 100

目標利益率の設定

  • 最低目標:40%以上
  • 理想目標:50-60%
  • 超高利益商品:70%以上

具体例

  • 原価2,000円で販売価格4,000円 → 利益率50%
  • 原価1,500円で販売価格3,000円 → 利益率50%
  • 原価1,000円で販売価格3,000円 → 利益率67%

商品カテゴリー別・利益率の特徴

ヘアケア商品(利益率:40-55%)

  • シャンプー・コンディショナー
  • トリートメント・ヘアマスク
  • スタイリング剤
  • ヘアオイル・美容液

美容機器・ツール(利益率:45-65%)

  • ドライヤー・ヘアアイロン
  • ブラシ・コーム
  • 美顔器・頭皮ケア機器
  • アクセサリー

スキンケア商品(利益率:50-70%)

  • 洗顔料・クレンジング
  • 化粧水・美容液
  • 日焼け止め・ベースメイク
  • 特別ケア商品

サプリメント・インナーケア(利益率:60-80%)

  • 美髪サプリメント
  • 美肌サプリメント
  • デトックス系商品
  • 健康管理商品

売れる商品の選び方・5つの基準

基準1:お客さんの悩みと直結している

ヘアケア悩み Top5

  1. 乾燥・パサつき → 保湿系シャンプー・トリートメント
  2. ダメージ・切れ毛 → 補修系ケア商品
  3. くせ毛・まとまらない → ストレート系商品
  4. ボリューム不足 → ボリュームアップ商品
  5. カラー・白髪 → カラーケア専用商品

スキンケア悩み Top5

  1. 乾燥肌 → 高保湿スキンケア
  2. シミ・くすみ → 美白・ブライトニング商品
  3. 毛穴・ニキビ → クレンジング・洗顔
  4. エイジング → アンチエイジング美容液
  5. 敏感肌 → 無添加・低刺激商品

基準2:サロン専売品としての価値がある

市販品との差別化ポイント

  • 美容室でしか買えない特別感
  • プロ仕様の高品質成分
  • 美容師の推奨という安心感
  • アフターサポート付き

避けるべき商品

  • ドラッグストアで安く買える商品
  • ネット通販で簡単に入手できる商品
  • ブランド力の弱い商品

基準3:価格帯が適切

価格帯別の戦略

エントリー価格帯(1,000-2,000円)

  • 初回購入のハードルを下げる
  • お試し・トライアル商品
  • リピート購入しやすい価格

メイン価格帯(2,000-4,000円)

  • 最も売れるボリュームゾーン
  • 品質と価格のバランスが良い
  • 継続購入可能な価格設定

プレミアム価格帯(4,000円以上)

  • 高い効果・品質を求める顧客向け
  • 特別感・贅沢感のある商品
  • 利益率が特に高い

基準4:回転率が良い(消費期間が短い)

理想的な消費期間

  • 1ヶ月以内:スタイリング剤、マスク類
  • 2ヶ月以内:シャンプー・コンディショナー
  • 3ヶ月以内:美容液、クリーム類

回転率の計算

年間販売可能回数 = 12ヶ月 ÷ 消費期間(月)

:2ヶ月で消費する商品なら年6回販売可能

基準5:美容師が自信を持って勧められる

重要な要素

  • 実際に使用して効果を実感している
  • 商品知識が豊富
  • メーカーサポートがしっかりしている
  • お客さんの質問に答えられる

商品カテゴリー別・おすすめ戦略

ヘアケア商品(基本中の基本)

必須ラインナップ

【ダメージケアライン】
・シャンプー:3,000円(原価1,500円・利益率50%)
・トリートメント:3,500円(原価1,750円・利益率50%)
・ヘアオイル:2,500円(原価1,000円・利益率60%)

【エイジングケアライン】
・シャンプー:4,000円(原価2,000円・利益率50%)
・美容液:5,000円(原価2,000円・利益率60%)

【スタイリングライン】
・ワックス:2,000円(原価800円・利益率60%)
・スプレー:1,800円(原価720円・利益率60%)

販売戦略

  • カウンセリングで髪質診断
  • 施術中に商品の効果を実演
  • 使用方法を丁寧に指導

美容機器・ツール(高利益率商品)

おすすめ商品

【ドライヤー】
・高級ドライヤー:25,000円(原価12,500円・利益率50%)
・コンパクトドライヤー:8,000円(原価3,200円・利益率60%)

【ヘアアイロン】
・ストレートアイロン:15,000円(原価6,000円・利益率60%)
・カールアイロン:12,000円(原価4,800円・利益率60%)

【ブラシ類】
・高級ブラシ:5,000円(原価1,500円・利益率70%)
・デタングルブラシ:3,000円(原価900円・利益率70%)

販売戦略

  • 実際に使って効果を体験してもらう
  • プロ仕様の特別感をアピール
  • 長期使用による価値を説明

スキンケア商品(高利益率+専門性)

戦略的ラインナップ

【洗顔・クレンジング】
・クレンジングバーム:4,000円(原価1,600円・利益率60%)
・洗顔フォーム:3,000円(原価1,200円・利益率60%)

【基礎化粧品】
・美容液:8,000円(原価2,400円・利益率70%)
・クリーム:6,000円(原価2,400円・利益率60%)

【特別ケア】
・フェイスマスク:500円/枚(原価150円・利益率70%)
・美顔器:50,000円(原価20,000円・利益率60%)

販売戦略

  • 肌質診断サービスの提供
  • 季節に合わせた提案
  • スキンケアアドバイスとセット販売

サプリメント・インナーケア(超高利益率)

高利益商品例

【美髪サプリ】
・髪質改善サプリ:6,000円/月(原価1,800円・利益率70%)
・育毛サプリ:8,000円/月(原価2,400円・利益率70%)

【美肌サプリ】
・コラーゲンサプリ:5,000円/月(原価1,500円・利益率70%)
・美白サプリ:7,000円/月(原価2,100円・利益率70%)

【健康管理】
・デトックス茶:3,000円/月(原価900円・利益率70%)
・酵素ドリンク:8,000円/月(原価2,000円・利益率75%)

販売戦略

  • 内面からの美容の重要性を説明
  • 継続使用による効果を強調
  • 定期購入システムの導入

売上を最大化する陳列方法

基本的な陳列原則

ゴールデンゾーンの活用

  • 目線の高さ(140-160cm):主力商品
  • 手に取りやすい高さ(100-120cm):売りたい商品
  • 低い位置(60-100cm):お得商品・大容量商品

商品の流れを作る

入口 → 待合室 → 施術エリア → 会計エリア
  ↓      ↓       ↓       ↓
新商品  人気商品  関連商品  まとめ買い

エリア別陳列戦略

入口エリア

  • 新商品・話題商品を配置
  • 季節限定商品でフレッシュ感を演出
  • 価格よりもインパクトを重視

待合室

  • 人気商品・おすすめ商品をメイン展示
  • 商品説明POPを充実
  • 手に取って確認できる配置

施術エリア

  • 使用中の商品を見えるように配置
  • 「今日使った商品です」として提案
  • コンパクトなディスプレイ

会計エリア

  • 小物・プチプラ商品でついで買いを狙う
  • ポイントカードとの連動商品
  • ギフト商品の提案

視覚的インパクトを高める陳列技術

カラーコーディネート

  • 同系色でまとめて統一感を演出
  • アクセントカラーで注目度アップ
  • 白や黒を基調として清潔感を表現

高さのメリハリ

  • 商品の高さに変化をつける
  • 階段状の陳列で立体感を演出
  • 背の高い商品を後ろに配置

グルーピング

  • 用途別にグループ化
  • ブランド別にまとめる
  • 価格帯別の陳列

余白の活用

  • 商品同士の間隔を適切に
  • 圧迫感を与えない配置
  • 高級感を演出する余白

POPとディスプレイで売上2倍アップ

効果的なPOP作成法

基本構成

【キャッチコピー】
 ↓
【商品名・価格】
 ↓
【効果・特徴】
 ↓
【お客様の声】
 ↓
【使用方法】

成功するPOPの例

✨ 朝のセット時間が半分に! ✨

【プレミアムヘアオイル】3,500円

✓ 髪の内部から補修する最新成分配合
✓ ドライヤー前に使うだけで艶髪実現
✓ べたつかないのにしっとりまとまる

「こんなに髪が変わるなんて!」
(40代 会社員の方)

《使い方》タオルドライ後、毛先中心に
2-3プッシュなじませてからドライ

季節・イベント別ディスプレイ

春(3-5月)

  • 新生活応援セット
  • UV対策商品
  • 花粉症対策スキンケア
  • パステルカラーの装飾

夏(6-8月)

  • 汗・湿気対策商品
  • 日焼け止め・アフターケア
  • さっぱり系商品
  • 涼しげなブルー系装飾

秋(9-11月)

  • 乾燥対策商品
  • 秋色ヘアケア
  • エイジングケア強化
  • 落ち着いたブラウン系装飾

冬(12-2月)

  • 保湿・乾燥対策商品
  • ギフトセット
  • 年末年始特別企画
  • 温かみのあるレッド系装飾

体験型ディスプレイの活用

香り体験コーナー

  • テスター商品を豊富に配置
  • 「香りを確かめてください」の表示
  • 手軽に試せる環境作り

Before & After展示

  • 実際の使用前後の写真
  • お客さんの了承を得た実例
  • 効果の視覚的な証明

使い方デモンストレーション

  • 動画での使用方法紹介
  • タブレットでの商品説明
  • QRコードでの詳細情報

売上データで見る成功事例

月間物販売上50万円達成の内訳例

【ヘアケア商品】売上25万円(利益12.5万円)
・シャンプー・コンディショナー:15万円
・トリートメント・ヘアオイル:10万円

【美容機器】売上15万円(利益9万円)
・ドライヤー:8万円
・ヘアアイロン・ブラシ:7万円

【スキンケア】売上7万円(利益4.2万円)
・基礎化粧品:5万円
・特別ケア商品:2万円

【サプリメント】売上3万円(利益2.1万円)
・美髪サプリ:2万円
・美肌サプリ:1万円

合計売上:50万円
合計利益:27.8万円(利益率55.6%)

商品別売上ランキングと戦略

第1位:シャンプー・コンディショナーセット

  • 月間30セット × 4,000円 = 12万円
  • 利益率50% = 6万円利益
  • 戦略:カウンセリング時の必須提案

第2位:ヘアドライヤー

  • 月間4台 × 20,000円 = 8万円
  • 利益率55% = 4.4万円利益
  • 戦略:実演による効果体験

第3位:ヘアオイル

  • 月間20本 × 3,000円 = 6万円
  • 利益率60% = 3.6万円利益
  • 戦略:施術中の使用でアピール

お客さんタイプ別・商品提案戦略

美意識の高いOL(20-30代)

おすすめ商品

  • 最新成分配合のスキンケア
  • トレンドのヘアケア商品
  • 美容機器・ツール

提案方法: 「○○さんみたいに美意識の高い方には、最新の○○がおすすめです」

忙しいワーキングマザー(30-40代)

おすすめ商品

  • 時短ケア商品
  • オールインワン系
  • 持続効果の高い商品

提案方法: 「忙しい朝でも簡単に使えて、効果が長続きする商品です」

年配の上品な女性(50代以上)

おすすめ商品

  • 高品質なエイジングケア商品
  • 天然成分系商品
  • 丁寧なケア商品

提案方法: 「年齢を重ねた髪・肌には、より丁寧なケアが大切です」

物販売上を継続的に伸ばす仕組み作り

月次目標管理システム

個人目標の設定

  • 月間物販売上目標
  • 商品カテゴリー別目標
  • 新規顧客への販売目標

チーム目標の設定

  • サロン全体の月間目標
  • 前年同月比での成長目標
  • 利益率向上目標

顧客管理システムの活用

購入履歴の管理

  • いつ何を購入したか
  • 使用期間と再購入タイミング
  • 好みの商品傾向

自動リマインド機能

  • 商品がなくなる頃にLINE通知
  • 季節商品のおすすめ時期
  • 誕生日月の特別商品提案

スタッフ教育・モチベーション管理

商品知識研修

  • 月1回の商品勉強会
  • 新商品の効果体験
  • お客さんへの説明練習

販売インセンティブ

  • 月間売上に応じた歩合制
  • 目標達成時のボーナス
  • 年間表彰制度

実践的な改善ステップ

Week 1:現状分析と商品選定

  • [ ] 現在の物販売上・利益率を確認
  • [ ] お客さんの悩み・ニーズを分析
  • [ ] 利益率の高い商品を3カテゴリー選定
  • [ ] 仕入れ先・価格交渉

Week 2:陳列・ディスプレイ改善

  • [ ] 店内の陳列エリアを見直し
  • [ ] ゴールデンゾーンに主力商品配置
  • [ ] POP・説明資料の作成
  • [ ] 季節感のあるディスプレイ設置

Week 3:販売スキル向上

  • [ ] 商品知識のスタッフ研修
  • [ ] お客さんタイプ別提案方法練習
  • [ ] 実際の販売練習・ロールプレイ
  • [ ] 成功事例の共有

Week 4:システム化と継続改善

  • [ ] 売上管理システムの導入
  • [ ] 顧客購入履歴の記録開始
  • [ ] 月間目標設定と追跡方法確立
  • [ ] 継続的改善の仕組み作り

まとめ:物販は美容室経営の安定化戦略

美容室の物販は、単なる「追加収入」ではありません。

経営の安定化と顧客満足度向上を同時に実現する重要な戦略なのです。

成功のポイント:

  1. 利益率の高い商品を厳選する
  2. お客さんの悩みに直結した商品を選ぶ
  3. 効果的な陳列で購買意欲を高める
  4. 継続的な顧客フォローでリピート購入を促進

今日から始めてほしいこと

  1. 現在の物販売上と利益率を正確に把握する
  2. お客さんの悩み・ニーズを詳しく分析する
  3. 利益率50%以上の商品を3つ選定する
  4. 店内の陳列を見直して改善する

物販で安定した利益を確保できれば、
価格競争に巻き込まれることなく、
お客さんにより良いサービスを提供し続けることができます。

お客さんに本当に価値のある商品を提案して、
美容室経営をより安定させていきましょう!


お客さんに愛され続けながら
持続可能な美容室経営を実現するノウハウは、
まだまだたくさんあります。
もっと詳しく学んで、
安定して繁盛する美容室を一緒に作っていきませんか?

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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