美容室の固定費を見直して利益を2倍にする方法
「毎月同じようにかかる固定費、どうにかならないかな…」
「家賃や人件費って削れないものだと思っていたけど、本当?」
美容室経営で最も重くのしかかる固定費。
実は、この固定費を賢く見直すだけで、
利益を2倍にすることは十分可能なんです!
今回は、実際に固定費見直しで利益を2倍にした美容室の事例をもとに、
具体的な方法をお教えします。
固定費って何?美容室の固定費一覧
固定費の定義
固定費とは、売上に関係なく毎月決まってかかる費用のことです。
お客さんが来ても来なくても、
必ず支払わなければいけないお金ですね。
美容室の主な固定費リスト
1. 家賃・地代
- 店舗の賃貸料
- 駐車場代
- 共益費・管理費
2. 人件費(基本給部分)
- スタッフの基本給
- 社会保険料
- 雇用保険料
3. 設備関連費
- 設備リース料
- 設備ローン返済
- 保守・メンテナンス費
4. 保険料
- 火災保険
- 損害保険
- 生命保険
5. 通信費
- 電話代基本料金
- インターネット料金
- 携帯電話料金
6. その他
- 税理士顧問料
- 各種ライセンス料
- 定期購読料
固定費の危険性
固定費が高いと、以下のリスクがあります:
- 売上が下がっても支払いは変わらない
- 赤字になりやすい
- 資金繰りが苦しくなる
- 新しい投資ができない
逆に、固定費を下げると:
- 少ない売上でも利益が出る
- 経営が安定する
- 投資の余裕が生まれる
- ストレスが激減する
実例:固定費見直しで利益2倍を実現したJ美容室
見直し前の状況
J美容室の概要
- 立地:地方都市の商店街
- 規模:オーナー+スタッフ2名
- 営業:月26日、1日7時間
売上・利益の状況
- 月売上:110万円
- 月固定費:85万円
- 月変動費:15万円
- 月利益:10万円(利益率9.1%)
固定費の詳細
- 家賃:28万円(1階路面店)
- 人件費:40万円(スタッフ2名)
- 設備リース:8万円
- 保険料:3万円
- 通信費:2万円
- その他:4万円
オーナーの悩み
「忙しく働いているのに、手元に10万円しか残らない。
このままでは将来が不安…」
固定費見直しの実施内容
見直し1:家賃の大幅削減(28万円 → 15万円)
移転の決断
- 商店街1階 → 住宅街2階に移転
- 立地は少し悪くなるが、家賃が半額近くに
- 既存客の90%が付いてきてくれた
移転成功の理由
- 事前に既存客に丁寧に説明
- 移転先でもアクセスを分かりやすく案内
- 移転記念で特別サービスを実施
- リピート客中心の経営だったため影響最小
見直し2:人件費の最適化(40万円 → 25万円)
スタッフ構成の変更
- 常勤スタッフ2名 → 常勤1名+パート1名
- 繁忙時間帯のみパートで対応
- 一人当たりの技術力向上でカバー
効率的なシフト管理
- 予約状況に応じた柔軟なシフト
- 技術研修でスタッフの多能化
- 無駄な待機時間の削減
見直し3:設備費用の削減(8万円 → 4万円)
リース契約の見直し
- 不要な設備のリース解約
- 購入に切り替えられるものは購入
- 中古設備の活用
見直し4:保険料の最適化(3万円 → 1.5万円)
保険内容の精査
- 重複している保険の整理
- 必要最小限の補償に調整
- 共済への一部切り替え
見直し5:通信費の削減(2万円 → 1万円)
契約プランの最適化
- 使っていないオプションの解約
- 格安SIMへの切り替え
- インターネット回線の見直し
見直し後の結果(6ヶ月後)
固定費削減の効果
- 月固定費:85万円 → 46.5万円(38.5万円削減)
- 月変動費:15万円 → 13万円(効率化で2万円削減)
売上・利益の変化
- 月売上:110万円 → 105万円(移転で5万円減)
- 月固定費:46.5万円
- 月変動費:13万円
- 月利益:45.5万円(利益率43.3%)
結果:利益が4.5倍(10万円 → 45.5万円)に!
オーナーの感想
「最初は移転が不安でしたが、
固定費が下がったおかげで精神的にすごく楽になりました。
利益が増えたので、スタッフの給料も上げることができたし、
新しい技術習得にも投資できます。
何より、売上に一喜一憂しなくなったのが一番大きな変化です。」
固定費見直しの具体的な方法
方法1:家賃・地代の見直し
現在の家賃が適正かチェック
以下の場合は家賃が高すぎる可能性があります:
- 家賃が売上の20%以上
- 近隣の同規模物件より明らかに高い
- 立地のメリットを活かしきれていない
家賃削減の選択肢
選択肢1:家賃交渉
- 長期契約での割引交渉
- 設備改修の代わりに家賃減額
- 近隣相場を調べて交渉材料に
選択肢2:移転
- 少し郊外で家賃半額の物件探し
- 2階以上で家賃30%削減
- 住宅街で地域密着型に転換
選択肢3:シェア・間借り
- 他業種との店舗シェア
- 美容室の一部を他業種に貸す
- 複数の美容師でシェア
移転成功の3つのポイント
- 既存客への丁寧な説明
- 移転の理由を正直に話す
- サービス向上につながることをアピール
- 移転先のメリットを伝える
- アクセス情報の徹底周知
- 地図付きの案内状送付
- SNSでの継続的な案内
- 電話での個別フォロー
- 移転記念サービス
- 特別割引の実施
- 新規客紹介キャンペーン
- 記念品のプレゼント
方法2:人件費の最適化
人件費が適正かチェック
以下の場合は人件費が高すぎる可能性があります:
- 人件費が売上の50%以上
- 明らかに暇な時間帯がある
- スタッフ一人当たりの売上が低い
人件費最適化の方法
方法1:シフト制の導入
【改善前】常勤2名
月〜土:10時〜19時(2名体制)
人件費:40万円
【改善後】常勤1名+パート1名
平日:10時〜19時(1名体制)
土日:10時〜19時(2名体制)
人件費:25万円(15万円削減)
方法2:業務効率化による人員最適化
- 予約管理システム導入
- 作業動線の改善
- 同時施術の技術向上
- 無駄な業務の削減
方法3:スタッフの多能化
- 一人で複数の技術を習得
- 受付業務も技術者が兼任
- 清掃・準備も効率的に分担
方法3:設備関連費の削減
設備費が適正かチェック
以下の場合は設備費が高すぎる可能性があります:
- 設備費が売上の10%以上
- 使っていない設備がある
- 過剰にスペックの高い設備
設備費削減の方法
リース契約の見直し
- 不要な設備の解約
- 購入への切り替え検討
- より安いリース会社への変更
中古設備の活用
- 中古市場での設備購入
- メンテナンス済み中古品の選択
- 新品の半額以下で購入可能
設備の有効活用
- 使っていない設備の売却
- 他店との設備シェア
- レンタル設備の活用
方法4:保険料の最適化
保険の見直しポイント
火災保険
- 補償内容が過剰でないかチェック
- 地震保険の必要性を検討
- 共済への切り替え検討
損害保険
- 重複している補償の整理
- 免責金額の見直し
- 複数年契約での割引活用
生命保険
- 事業保障として本当に必要な金額か
- 定期保険への切り替え
- 共済商品の検討
方法5:その他固定費の削減
通信費の削減
- 格安SIMへの切り替え
- 不要なオプション解約
- 複数回線の統合
税理士費用の見直し
- 会計ソフト導入で依頼業務を減らす
- 複数の税理士で見積もり比較
- 本当に必要なサービスの精査
その他の定期支払いの見直し
- 使っていない月額サービス
- 効果の薄い広告契約
- 不要な定期購読
固定費削減で注意すべきポイント
注意点1:お客さんサービスに影響させない
削ってはいけない固定費
- お客さんの安全に関わる保険
- 清潔感に影響する清掃費
- 技術向上のための研修費
- 必要最小限のスタッフ
注意点2:急激な変化は避ける
段階的な削減がおすすめ
- 一度に全てを変更しない
- 効果を確認しながら進める
- スタッフやお客さんの理解を得る
注意点3:削減効果を測定する
測定すべき数字
- 削減前後の固定費比較
- 利益率の変化
- お客さんの満足度
- スタッフのモチベーション
固定費削減の効果を最大化する3つのコツ
コツ1:固定費率を目標設定する
理想的な固定費率
- 新規開業:売上の60%以下
- 安定期:売上の50%以下
- 優良店:売上の40%以下
目標設定例
現在:固定費85万円、売上110万円(77%)
目標:固定費55万円、売上110万円(50%)
削減額:30万円
コツ2:変動費化できないか検討する
固定費を変動費に変える例
- 基本給 → 歩合給の比率を上げる
- 設備購入 → 必要時レンタル
- 常勤スタッフ → パート・業務委託
コツ3:定期的な見直しを習慣化する
見直しのタイミング
- 3ヶ月ごとの効果確認
- 年1回の契約更新時
- 売上が大きく変動したとき
- 新しいサービス導入時
固定費削減の成功パターン・失敗パターン
✅ 成功パターン
パターン1:段階的削減
- 影響の少ないものから開始
- 効果を確認しながら進める
- 関係者の理解を得ながら実施
パターン2:代替案の準備
- 削減する前に代替案を用意
- 品質を保つ工夫を考える
- バックアップ体制を整える
パターン3:プラス効果も狙う
- 削減と同時に効率化も図る
- スタッフのスキルアップも実現
- お客さんへのメリットも創出
❌ 失敗パターン
パターン1:行き過ぎた削減
- サービス品質の低下
- スタッフのモチベーション低下
- 安全性の軽視
パターン2:説明不足
- スタッフの理解が得られない
- お客さんへの説明不足
- 急激な変更による混乱
パターン3:効果測定なし
- 削減効果を確認しない
- 問題の早期発見ができない
- 改善のチャンスを逃す
業種別固定費削減の目安
一人美容室の場合
削減しやすい固定費
- 家賃(自宅兼用や小規模物件)
- 人件費(本人のみで運営)
- 設備費(必要最小限に絞る)
目標固定費率:売上の30〜40%
2〜3名規模の美容室の場合
削減しやすい固定費
- 家賃(立地とのバランス見直し)
- 人件費(効率的なシフト制)
- 設備費(共用設備の活用)
目標固定費率:売上の40〜50%
4名以上の美容室の場合
削減しやすい固定費
- 管理費(システム化による効率化)
- 設備費(スケールメリット活用)
- 外注費(内製化の検討)
目標固定費率:売上の45〜55%
今日からできる固定費削減3ステップ
ステップ1:現状把握(今日)
やること
- 先月の固定費を全て書き出す
- 売上に対する固定費率を計算
- 最も大きな固定費を特定
計算例
家賃:25万円
人件費:35万円
その他:10万円
固定費合計:70万円
売上:100万円
固定費率:70%
ステップ2:削減計画作成(今週中)
やること
- 削減可能な固定費をリストアップ
- 削減額の目標設定
- 削減方法の具体的計画
計画例
家賃:25万円 → 18万円(移転検討)
人件費:35万円 → 28万円(シフト見直し)
その他:10万円 → 8万円(契約見直し)
目標:70万円 → 54万円(16万円削減)
ステップ3:実行と効果測定(来月から)
やること
- 影響の少ないものから実行開始
- 1ヶ月ごとに効果を測定
- 問題があれば即座に修正
よくある質問と回答
Q:固定費を削減すると、サービスの質が下がりませんか?
A:固定費削減の目的は「無駄をなくすこと」です。
お客さんへのサービスに直接関わらない部分での効率化なので、
適切に行えばサービス品質は保てます。
Q:スタッフを減らすと、忙しくなりすぎませんか?
A:人員削減ではなく「効率化」が重要です。
シフト制導入や業務効率化で、
必要な時に必要な人数を配置することで解決できます。
Q:移転はリスクが高いのでは?
A:確かにリスクはありますが、
家賃削減効果は非常に大きいです。
既存客への丁寧な説明と、
移転先でのサービス向上で成功率を高められます。
まとめ:固定費見直しで経営革命を起こそう
固定費の見直しは、美容室経営の根本的な改革です。
固定費削減の効果
- 利益率の大幅改善
- 経営の安定化
- 投資余力の創出
- ストレスの軽減
成功のポイント
- 現状の正確な把握
- 段階的な削減実行
- サービス品質の維持
- 定期的な効果測定
重要なこと
固定費削減は「我慢」ではなく「効率化」です。
同じサービスをより効率的に提供することで、
お客さんもスタッフも、
そして経営者も皆が幸せになれる方法なんです。
あなたの美容室も、固定費見直しで利益2倍を実現してみませんか?
まずは現在の固定費率を計算して、
削減目標を設定してみてください。
1年後には、今よりもっと安定した美容室経営ができているはずです!
固定費が下がれば、売上の波に一喜一憂することなく、
本当にやりたい美容師の仕事に集中できるようになりますよ。
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