競合店より高くても選ばれる価格戦略
なぜ安売りしても儲からないのか?
美容室を経営していて、こんな経験はありませんか?
- 「近所に新しい美容室ができて、うちより1,000円安い…」
- 「お客様に『もう少し安くならない?』と言われて困った」
- 「価格を下げたら売上は増えたけど、利益が全然残らない」
実は、安くすることが必ずしも正解ではないのです。
むしろ、適正価格できちんと利益を確保する方が、
お店もお客様も幸せになれます。
価格競争の罠に落ちてはダメ!
安売りが招く3つの悪循環
1. 利益が消える悪循環
価格を下げる → 利益が減る → 材料を安いものに変える
→ 技術向上の時間が取れない → サービス品質が下がる
→ さらに価格を下げるしかない...
2. お客様の質が下がる
- 安さだけを求めるお客様が増える
- 少しでも高いと文句を言われる
- 技術やサービスを評価してもらえない
3. スタッフのやる気が下がる
- 給料が上げられない
- 良い材料や道具が買えない
- 「安い店」というイメージで誇りが持てない
「高くても選ばれる理由」を作ろう
成功している美容室の共通点
全国の成功している美容室を調べてみると、
ある共通点があります。
それは「お客様にとって特別な価値」を提供していることです。
例えば…
- 白髪染めが2ヶ月持つ技術
- くせ毛の悩みを根本から解決
- 忙しいママでも通いやすい託児サービス
- アレルギー肌でも安心のオーガニック専門
実践!価値を高める5つの戦略
戦略1:「専門店」になる
一般的な美容室(NG例)
「カット、パーマ、カラー、なんでもやります」
専門店(成功例)
「くせ毛専門美容室」 「白髪染め専門サロン」 「ダメージヘア救済サロン」
専門店の効果
- その分野の専門家として認識される
- 遠くからでもお客様が来てくれる
- 高い技術料を納得してもらえる
今すぐできること
- あなたの得意な技術を一つ選ぶ
- その技術について徹底的に勉強する
- 看板やホームページで「○○専門」をアピール
戦略2:「体験価値」を売る
技術だけ売る店(NG例)
「カットします」「パーマかけます」
体験を売る店(成功例)
「朝のスタイリングが10分短縮できるカット」
「2ヶ月間、白髪を気にしない生活」
「鏡を見るたびに気分が上がるヘアスタイル」
体験価値の作り方
- お客様の「困りごと」を深く聞く
- その困りごとが解決した未来を想像してもらう
- その未来を手に入れるための技術を提供
戦略3:「時間価値」を提供する
現代のお客様が最も欲しがるもの、それは「時間」です。
時間価値の例
- 予約時間ぴったりに始まり、時間通りに終わる
- 待ち時間ゼロのシステム
- スタイリングが簡単な髪型の提案
- 長持ちするカラーやパーマ
Bサロンの成功事例
【変更前】カット3,500円、待ち時間あり
【変更後】「時短カット」4,500円、完全予約制
→ 忙しいビジネスパーソンに大人気
→ 客単価29%アップ、満足度も向上
戦略4:「安心価値」を売る
安心価値とは?
- 失敗しない技術力
- アフターフォローの充実
- 相談しやすい雰囲気
具体的な安心価値
- 「イメージと違ったら無料でお直し」
- 「スタイリング方法を動画で送ります」
- 「何度でも相談無料」
戦略5:「関係価値」を大切にする
関係価値とは?
お客様との信頼関係そのものが価値になること
関係価値の作り方
- お客様の名前と好みを覚える
- 髪の履歴をしっかり管理
- プライベートな話も覚えておく
- 季節や行事に合わせた提案
値上げを成功させる実践ステップ
ステップ1:現在の価値を整理する
まずは棚卸しから
- [ ] あなたの得意技術は?
- [ ] 他店にない特徴は?
- [ ] お客様からよく褒められることは?
- [ ] どんな悩みを解決できる?
ステップ2:新しい価値を追加する
価値追加の例
- カウンセリング時間を長くする
- アフターケア商品をセットにする
- スタイリング方法を詳しく教える
- 次回予約特典をつける
ステップ3:価値を言葉で表現する
NG例「カット4,000円」
OK例「朝のスタイリングが楽になるカット4,000円」
NG例「カラー6,000円」
OK例「2ヶ月美髪が続くプレミアムカラー6,000円」
ステップ4:段階的に値上げする
いきなり大幅値上げはNG!
成功する値上げパターン
第1段階:メニュー名を価値重視に変更(価格据え置き)
↓(2ヶ月後)
第2段階:新サービス追加で500円アップ
↓(3ヶ月後)
第3段階:さらに価値追加で500円アップ
お客様への伝え方が重要!
値上げを伝える時のコツ
1. 理由を正直に説明する
「より良いサービスを提供するため」
「技術向上のための投資のため」
「お客様により満足いただくため」
2. 追加された価値を強調する
「今まで以上に丁寧にカウンセリングします」
「新しい薬剤で仕上がりが格段に良くなります」
3. 感謝の気持ちを伝える
「いつもありがとうございます」
「これからもよろしくお願いします」
実際の会話例
「○○様、いつもありがとうございます。
来月から、より良いサービスを提供するために、
カウンセリング時間を今まで以上に長く取らせていただき、
お一人お一人のご要望に丁寧にお応えできるよう
システムを変更いたします。
そのため料金を500円調整させていただくのですが、
今まで以上にご満足いただける自信があります。
これからもよろしくお願いいたします。」
競合店対策の考え方
価格競争以外で差別化する
競合店分析のポイント
- 相手の得意分野を把握
- 自分の得意分野で勝負
- お客様の層を変える
差別化戦略例
【競合店】安くて早い学生向け
【自分の店】丁寧で高品質な大人向け
【競合店】トレンド重視の20代向け
【自分の店】上品で落ち着いた40代向け
「安い店」と「価値ある店」の違い
安い店を選ぶお客様
- 価格だけで判断
- サービスにあまり期待しない
- 不満があるとすぐ他店へ
価値ある店を選ぶお客様
- 技術とサービスを重視
- 多少高くても満足度を求める
- 長く通い続けてくれる
どちらのお客様に来てほしいかを考えれば、答えは明らかですね。
よくある質問と解決法
Q: 「値上げしたらお客様が来なくなるのでは?」
A: 適正な値上げなら、
本当に価値を感じてくれるお客様は残ってくれます。
一時的に減っても、
客単価が上がるので売上は維持できることが多いです。
Q: 「近所に安い店があるから難しい…」
A: 安さで勝負する必要はありません。
あなたにしかできない価値で勝負しましょう。
Q: 「価値って具体的にどう作ればいい?」
A: お客様の「困った」「悩み」を解決することが最大の価値です。
まずはお客様の話をたくさん聞くことから始めましょう。
今日から始める価値向上計画
今週やること
月曜日
- [ ] 自分の得意技術を3つ書き出す
- [ ] 常連客が褒めてくれることを思い出す
火曜日
- [ ] お客様に「どんなことで困っているか」質問してみる
- [ ] その答えをメモする
水曜日
- [ ] 困りごとを解決する方法を考える
- [ ] 新しいサービスを一つ思いつく
木曜日
- [ ] そのサービスの価格を考える
- [ ] どう説明するか練習する
金曜日
- [ ] 信頼できるお客様一人に相談してみる
来月の目標
- 新しい価値あるメニューを1つ作る
- 平均客単価を10%アップさせる
- お客様満足度を向上させる
まとめ:価格競争から価値競争へ
安売りは一時的な効果しかありません。
本当の成功は、お客様に「この価格でも来たい」と
思ってもらえる価値を提供することです。
成功する美容室の法則
- 自分だけの得意分野を見つける
- お客様の困りごとを解決する
- 体験と結果に価値を感じてもらう
- 長期的な関係を大切にする
- 適正価格で堂々とサービスを提供する
今日からできること
- お客様との会話で「困りごと」を聞く
- 自分の技術の中で一番得意なものを磨く
- 「なぜその価格なのか」を説明できるようになる
競合店より高くても選ばれる美容室。
それは決して夢ではありません。
お客様に本当の価値を提供できれば、必ず実現できます。
まずは一人のお客様から。
その方に「また来たい」と心から
思ってもらえるサービスを考えることから始めてみませんか?
きっと半年後には「価格競争なんて馬鹿らしい」と思えるほど、
価値ある美容室になっているはずです!
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