月商100万円と月商200万円、どちらが儲かる?賢い経営判断

月商100万円と月商200万円、どちらが儲かる?賢い経営判断

「月商200万円の美容室の方が、月商100万円の美容室より儲かる」

そう思いませんか?でも実は、これは大きな間違いなんです!

売上が高くても利益が少ない美容室と、
売上は控えめでも利益がしっかり残る美容室。
実際にあった事例を比較しながら、
本当に「儲かる」美容室経営について考えてみましょう。

目次

驚きの事実:月商100万円の方が手取りが多い!?

実際にあった2つの美容室を比較

A美容室(月商200万円)

  • 立地:駅前の1階路面店
  • スタッフ:5名(オーナー含む)
  • 営業時間:10時〜21時(11時間)
  • 1日平均客数:25〜30人

B美容室(月商100万円)

  • 立地:住宅街の2階
  • スタッフ:2名(オーナー含む)
  • 営業時間:10時〜18時(8時間)
  • 1日平均客数:12〜15人

さて、どちらが儲かっていると思いますか?

驚きの結果発表!

A美容室の収支内訳

  • 月商:200万円
  • 家賃:35万円(立地が良い分高い)
  • 人件費:80万円(スタッフ4名分)
  • 材料費:25万円
  • 光熱費:12万円(営業時間が長い)
  • 広告費:15万円(集客に費用がかかる)
  • その他経費:18万円
  • 月利益:15万円(利益率7.5%)

B美容室の収支内訳

  • 月商:100万円
  • 家賃:12万円(住宅街で安い)
  • 人件費:25万円(アシスタント1名分)
  • 材料費:12万円
  • 光熱費:5万円(営業時間が短い)
  • 広告費:3万円(リピート客中心)
  • その他経費:8万円
  • 月利益:35万円(利益率35%)

結果:月商100万円のB美容室の方が20万円も儲かっている!

なぜこんなことが起きるの?3つの理由

理由1:固定費の違い

A美容室の固定費

  • 家賃35万円(駅前1階)
  • 人件費80万円(スタッフ4名)
  • 合計:115万円

B美容室の固定費

  • 家賃12万円(住宅街2階)
  • 人件費25万円(スタッフ1名)
  • 合計:37万円

固定費の差:78万円!

この78万円を売上で稼ぐためには、
A美容室はB美容室より相当多くのお客さんを集めなければいけません。

理由2:営業効率の違い

A美容室の営業効率

  • 営業時間:11時間
  • 月商:200万円
  • 1時間当たり売上:約6万円

B美容室の営業効率

  • 営業時間:8時間
  • 月商:100万円
  • 1時間当たり売上:約4万円

一見A美容室の方が効率が良さそうですが、利益で計算すると…

A美容室:月利益15万円 ÷ 営業時間330時間 = 時給454円
B美容室:月利益35万円 ÷ 営業時間240時間 = 時給1,458円

B美容室の方が3倍以上効率が良いんです!

理由3:お客さんの質の違い

A美容室のお客さん

  • 新規客の割合:40%(広告費がかかる)
  • 平均単価:4,500円(価格競争になりがち)
  • リピート率:55%(リピートしにくい環境)

B美容室のお客さん

  • 新規客の割合:15%(紹介中心)
  • 平均単価:6,200円(価値を理解してくれる)
  • リピート率:85%(地域密着で安定)

B美容室の方が、質の高いお客さんに支えられているんです。

月商の大きさに惑わされる5つの落とし穴

落とし穴1:「売上 = 成功」だと思い込む

多くの経営者が売上の大きさで成功を測りがちです。
でも本当に重要なのは「手元に残るお金」です。

売上自慢の危険性

  • 「月商○○万円達成!」に酔ってしまう
  • 利益率を見なくなる
  • 無駄な投資をしてしまう

落とし穴2:固定費が膨らみやすくなる

売上が大きくなると、ついつい固定費も大きくしてしまいがちです。

よくあるパターン

  • 良い立地に移転(家賃アップ)
  • スタッフを増やす(人件費アップ)
  • 高級な設備を導入(維持費アップ)

落とし穴3:価格競争に巻き込まれる

たくさんのお客さんを集めようとすると、価格を下げがちになります。

価格競争の悪循環

  1. 安い価格でお客さんを集める
  2. 利益率が下がる
  3. 売上を上げようとさらに安くする
  4. さらに利益率が下がる

落とし穴4:疲労とストレスが増える

売上を上げるために長時間労働になりがちです。

長時間労働の問題

  • 体力的に限界がある
  • 家族との時間が減る
  • 判断力が低下する
  • 従業員も疲弊する

落とし穴5:経営の質が下がる

忙しすぎて、経営の質を高める時間がなくなります。

質の低下例

  • お客さん一人一人への対応が雑になる
  • 新しい技術の習得時間がない
  • 経費管理がおろそかになる
  • 将来の計画が立てられない

賢い経営判断をするための5つのポイント

ポイント1:利益率を最重視する

売上ではなく、利益率で経営を判断しましょう。

利益率の目標設定

  • 最低ライン:15%
  • 安全ライン:25%
  • 理想ライン:35%以上

利益率計算の習慣化

  • 毎月必ず計算する
  • 前月との比較をする
  • 改善点を見つける

ポイント2:適正規模を見極める

あなたの美容室にとって「適正な規模」を見極めることが大切です。

適正規模の判断基準

  • オーナーが無理なく管理できるスタッフ数
  • 品質を保てる客数
  • 家族との時間も確保できる営業時間
  • 精神的にゆとりを持てる売上レベル

規模拡大の判断基準

  • 現在の利益率が25%以上
  • 管理能力に余裕がある
  • 明確な拡大戦略がある
  • リスクを取れる資金的余裕

ポイント3:効率性を追求する

同じ売上でも、より少ない時間と労力で達成できないか考えましょう。

効率化のアイデア

  • 予約管理システムの導入
  • 高単価メニューの開発
  • リピート客の増加
  • 無駄な作業の削減

時間効率の測定

  • 1時間あたりの売上
  • 1時間あたりの利益
  • 1人のお客さんにかける時間

ポイント4:お客さんの質を重視する

たくさんのお客さんより、質の高いお客さんを大切にしましょう。

質の高いお客さんの特徴

  • リピート率が高い
  • 適正価格を理解してくれる
  • 紹介をしてくれる
  • クレームが少ない

お客さんの質向上方法

  • ターゲットを明確にする
  • 専門性を高める
  • 丁寧なサービスを心がける
  • 価値に見合った価格設定

ポイント5:持続可能性を考える

短期的な売上より、長期的に続けられる経営を目指しましょう。

持続可能な経営の要素

  • 無理のない労働時間
  • 安定した利益確保
  • 継続的な技術向上
  • 健全な資金繰り

成功事例:月商を下げて利益を2倍にしたC美容室

改革前の状況

  • 月商:180万円
  • 月利益:18万円(利益率10%)
  • 営業時間:10時〜20時(10時間)
  • スタッフ:4名
  • 1日客数:22〜25人

改革の内容

  1. 営業時間短縮:10時〜18時(8時間)
  2. スタッフ削減:4名 → 2名
  3. 単価アップ:平均4,000円 → 6,500円
  4. リピート客重視:新規集客を減らしてリピート客に集中
  5. 立地変更:駅前 → 住宅街(家賃30%削減)

改革後の結果

  • 月商:130万円(50万円減少)
  • 月利益:42万円(24万円増加)
  • 利益率:32%(22%向上)
  • 営業時間:8時間(2時間短縮)
  • 1日客数:15〜18人(ゆとりある接客)

結果:売上は下がったが利益は2倍以上に!

オーナーの感想

「以前は忙しさに追われて、
なぜ美容師になったのか分からなくなっていました。
今は一人一人のお客さんとじっくり向き合える時間があり、
技術向上にも時間を使えます。
家族との時間も増えて、本当に良い決断でした。」

月商別の理想的な経営モデル

月商100万円モデル(効率重視型)

特徴

  • 1〜2人の少数精鋭
  • 住宅街立地で固定費抑制
  • リピート客中心
  • 高単価メニュー

メリット

  • 高い利益率(25〜35%)
  • ワークライフバランス良好
  • リスクが少ない
  • 個人の技術を活かせる

デメリット

  • 売上の上限がある
  • スタッフ教育機会が少ない
  • 認知度向上に時間がかかる

月商200万円モデル(バランス型)

特徴

  • 3〜4人のチーム運営
  • 駅近等のアクセス良い立地
  • 新規・リピート客のバランス
  • 多様なメニュー展開

メリット

  • 売上と利益のバランス
  • スタッフ教育機会あり
  • 事業拡大の選択肢
  • 地域での認知度向上

デメリット

  • 管理業務が増加
  • 固定費がかかる
  • 競合対策が必要

今日からできる賢い経営判断

チェック1:現在の時間効率を計算しよう

計算方法

  1. 月の営業時間を計算(営業時間 × 営業日数)
  2. 月利益 ÷ 営業時間 = 時間あたり利益
  3. 時給1,000円以下なら要改善

チェック2:固定費比率を確認しよう

固定費比率 = 固定費 ÷ 売上 × 100

理想的な固定費比率

  • 家賃:売上の10〜15%以下
  • 人件費:売上の30〜40%以下
  • 合計固定費:売上の50%以下

チェック3:お客さんの質を評価しよう

質の良いお客さんの割合

  • リピート客比率:70%以上が理想
  • 紹介客比率:30%以上が理想
  • 高単価メニュー利用率:50%以上が理想

よくある質問と答え

Q:月商を下げるのは後退ではありませんか?

A:月商を下げても利益が増えるなら、
それは確実に前進です。
経営の目的は売上を上げることではなく、
利益を確保することです。

Q:スタッフを減らすとサービス品質が下がりませんか?

A:適正な規模にすることで、
一人一人のお客さんにより丁寧な接客ができるようになります。
量より質の向上につながります。

Q:競合他店はどんどん規模を拡大しています

A:他店と自分の店は違います。
あなたの店に合った最適な規模を見つけることが一番大切です。

まとめ:本当に儲かる美容室経営とは

月商100万円と200万円、
どちらが儲かるかの答えは「利益率次第」でした。

賢い経営判断のポイント

  1. 売上より利益率を重視
  2. 適正規模を見極める
  3. 効率性を追求する
  4. お客さんの質を重視
  5. 持続可能性を考える

大切なこと

  • 他店との比較ではなく、自分の店の最適解を見つける
  • 短期的な売上より、長期的な利益を重視
  • 経営者としての幸せも考慮に入れる

あなたの美容室にとって、最適な月商はいくらでしょうか?

まずは現在の利益率と時間効率を計算してみてください。
そこから、あなたの理想の美容室経営が見えてくるはずです。

売上の大きさに惑わされず、
本当に「儲かる」美容室を目指していきましょう!

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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