押し売りしないで客単価を2倍にする方法

押し売りしないで客単価を2倍にする方法

目次

なぜ「押し売り」では客単価が上がらないの?

「もっと売上を上げたいけど、押し売りはしたくない…」
「お客さんに嫌がられずに客単価を上げる方法はないの?」

こんな悩みを抱えている美容室経営者は多いですよね。

実は、押し売りをすればするほど、お客さんは離れていきます
なぜなら:

  • お客さんは「売りつけられる」と警戒する
  • 信頼関係が壊れてしまう
  • 一度警戒されると、次回から来なくなる
  • 口コミで「押し売りする美容室」と広まる

でも安心してください。
お客さんに心から喜んでもらいながら、
自然に客単価を2倍にする方法があるんです。

その秘訣は「お客さんの悩みを解決する提案」をすることです。

客単価2倍の基本的な考え方

現在の客単価を分析する

まず、現在の状況を把握しましょう。

例:現在の客単価が5,000円の場合

  • カット:3,500円
  • シャンプー・ブロー:1,500円
  • 合計:5,000円

目標:客単価10,000円にするには

  • カット:3,500円
  • カラー:4,000円
  • トリートメント:2,500円
  • 合計:10,000円

「売る」から「提案する」への発想転換

従来の考え方(売る)
「トリートメントを追加しませんか?」
「カラーはいかがですか?」
→ お客さんは「売りつけられている」と感じる

新しい考え方(提案する)
「髪の乾燥が気になるとおっしゃっていましたが、
この時期にぴったりのケア方法があります」
「お肌の色がとてもきれいなので、
この色を入れると更に美しく見えますよ」
→ お客さんは「私のことを考えてくれている」と感じる

お客さんの悩みを引き出すカウンセリング術

悩みを聞き出す魔法の質問

表面的な質問(NG例)
「今日はどうしますか?」 「いつものカットですか?」

悩みを引き出す質問(Good例)
「最近、髪のことで気になることはありませんか?」
「朝のスタイリングで困っていることはありますか?」
「お仕事の時の髪型で、何かお悩みはありますか?」
「理想の髪型があれば教えてください」

深く掘り下げる質問テクニック

一次質問で悩みを発見
美容師:「最近、髪のことで気になることはありませんか?」
お客さん:「なんだか髪がパサついて…」

二次質問で具体化
美容師:「パサつきはいつ頃から気になり始めましたか?」
お客さん:「2ヶ月前くらいからでしょうか」

三次質問で影響を確認
美容師:「それで困っていることはありますか?」
お客さん:「朝セットしても夕方にはボサボサになって、
人に会うのが恥ずかしくて…」

解決策の提案
美容師:「それでしたら、
髪の内部から潤いを補給するトリートメントがおすすめです。
このトリートメントをすると、夕方まで艶やかな髪が続きますよ」

悩み別の自然な提案方法

髪質の悩み

お客さんの悩み:「髪が細くてボリュームが出ない」

❌ 押し売りパターン
「ボリュームアップのパーマはいかがですか?」

⭕ 自然な提案パターン
「髪が細い方は、実はとても美しい髪質なんです。
この特徴を活かして、
根元からふんわりとしたボリュームを作る方法があります。
パーマをかけることで、朝のセットも楽になって、
一日中ボリュームが続きますよ」

スタイリングの悩み

お客さんの悩み:「朝のセットに時間がかかる」

❌ 押し売りパターン
「ストレートパーマをかけませんか?」

⭕ 自然な提案パターン
「忙しい朝の時間は貴重ですよね。
髪質を見させていただくと、軽いストレートをかけることで、
朝のセット時間を半分に短縮できます。
それに、夕方まで髪型が崩れにくくなるので、お仕事中も安心ですよ」

ダメージの悩み

お客さんの悩み:「カラーを続けていたら髪が傷んだ」

❌ 押し売りパターン: 「トリートメントをしましょう」

⭕ 自然な提案パターン
「カラーを楽しんでいらっしゃる分、
髪への負担が心配ですね。
今日は髪の内部構造を整えるトリートメントで、
ダメージをしっかり補修しましょう。
これをすることで、次回のカラーもより美しく発色しますし、
髪の手触りも改善されます」

メニューの組み合わせ提案術

相乗効果を説明する

単体提案(効果が薄い)
「カラーはいかがですか?」 「トリートメントはいかがですか?」

組み合わせ提案(効果大)
「今日カラーをされるということでしたら、
一緒にトリートメントをすることをおすすめします。
カラー後にトリートメントをすると、
色持ちが3倍長くなりますし、髪の艶も格段に美しくなります」

段階的な提案方法

ステップ1:基本メニューの確認 「今日はカットをご希望ですね」

ステップ2:悩みの確認 「最近、髪のことで気になることはありませんか?」

ステップ3:解決策の提案 「でしたら、カットと一緒に○○をすることで、その悩みを解決できます」

ステップ4:効果の説明 「こうすることで、○○な効果があります」

ステップ5:選択肢の提示 「今日やるか、次回にするか、どちらがよろしいですか?」

価格に対する心理的ハードルを下げる方法

効果を具体的に伝える

悪い例: 「トリートメントは3,000円です」 → 値段だけ伝えても価値が分からない

良い例
「このトリートメントをすることで、
朝のセット時間が10分短縮されて、髪の艶が2週間続きます。
毎朝10分×14日で140分、
つまり2時間以上の時間が節約できますので、
とてもお得だと思います」

分割して考えてもらう

例:5,000円のカラー+トリートメント

悪い提案: 「カラーとトリートメントで5,000円です」

良い提案
「このカラーとトリートメントの効果は約2ヶ月持続します。
ということは、1日あたり約83円で、
美しい髪色と艶を保てることになります。
コーヒー1杯分以下の価格で、毎日美しい髪でいられるんです」

比較を使った価値の伝え方

時間の価値で比較
「市販のトリートメントを毎日使う手間と時間を考えると、
2ヶ月に1回サロンでしっかりケアした方が効率的ですよ」

効果の比較
「ホームケアだけでは限界がありますが、
サロンのトリートメントなら髪の芯から補修できます」

断られた時の上手な対応方法

押し付けずに種まきをする

お客さんが「今日はカットだけで」と言った場合

❌ 悪い対応: 「本当におすすめなんですけど…」 → しつこく感じられる

⭕ 良い対応
「分かりました。今日はカットできれいにしますね。
もし今度、髪の悩みで何か困ったことがあれば、
いつでもご相談ください。きっとお役に立てると思います」
→ 次回につながる種まき

情報提供で信頼を築く

断られても価値ある情報を提供
「今日はカットだけとのことですが、
冬の時期の髪の乾燥対策として、
ご自宅でできる簡単なケア方法をお教えしますね」

ホームケアアドバイス
「この時期は静電気が起きやすいので、
ブラッシングの前にこのようにすると良いですよ」

客単価アップの具体的なロードマップ

現状客単価3,000円→6,000円への道のり

第1段階:信頼関係の構築(1ヶ月目)

  • カウンセリングの充実
  • 悩みを聞き出すスキル向上
  • ホームケアアドバイス
  • 次回予約時期の提案

第2段階:小さな提案から始める(2ヶ月目)

  • ヘッドスパ(+1,000円)
  • 簡単なトリートメント(+1,500円)
  • スタイリング剤の提案(+2,000円)

第3段階:本格的な提案(3ヶ月目以降)

  • カラーリング(+3,000円)
  • 本格トリートメント(+3,000円)
  • パーマ(+4,000円)

現状客単価5,000円→10,000円への道のり

カット+カラーのお客さんの場合

  • 現状:カット3,000円+カラー2,000円=5,000円
  • 目標:カット3,000円+プレミアムカラー4,000円+トリートメント3,000円=10,000円

段階的アプローチ

  1. カラーの品質アップ提案(+1,000円)
  2. 色持ち向上のためのトリートメント提案(+2,000円)
  3. ホームケア商品の提案(+2,000円)

季節・イベント別の提案アイデア

春(3-5月)

季節の悩み:紫外線対策、新生活
「新しい季節に向けて、紫外線から髪を守るトリートメントはいかがですか?」 「新しい職場での第一印象を良くする、きちんと感のあるスタイルをご提案します」

夏(6-8月)

季節の悩み:湿気、海・プール
「湿気で髪が広がりやすい季節ですね。
湿気に負けないストレートトリートメントがおすすめです」
「海やプールに行かれるなら、
事前にダメージ予防のトリートメントをしておきましょう」

秋(9-11月)

季節の悩み:乾燥、夏のダメージ
「夏の紫外線でダメージを受けた髪を、しっかりケアしてあげましょう」
「乾燥する季節に向けて、保湿力の高いトリートメントをおすすめします」

冬(12-2月)

季節の悩み:乾燥、静電気、年末年始
「静電気で髪が広がりやすい季節ですね。
静電気防止のトリートメントがあります」
「年末年始のお食事会や新年会に向けて、
華やかなスタイルをご提案します」

よくある失敗パターンと改善策

失敗パターン1:いきなり高額メニューを提案

❌ 悪い例: 初回のお客さんに「10,000円のプレミアムコースはいかがですか?」

⭕ 改善策: まずは信頼関係を築いてから、小さな提案から始める

失敗パターン2:お客さんの話を聞かずに提案

❌ 悪い例: 「今日はパーマはいかがですか?」(悩みを聞かずに提案)

⭕ 改善策: まずお客さんの悩みや希望をしっかり聞いてから提案

失敗パターン3:断られたら諦める

❌ 悪い例: 「今日はやめておきます」→「そうですか」(そこで終了)

⭕ 改善策: 「分かりました。もし今度機会があれば、ぜひご検討ください」(種まき)

今日から始められる実践法

Week 1:カウンセリング力向上

  • [ ] お客さん一人につき3つの質問をする
  • [ ] 悩みを引き出す質問を練習する
  • [ ] お客さんの話を最後まで聞く
  • [ ] メモを取りながら話を聞く

Week 2:提案スキル向上

  • [ ] 悩みに対応した解決策を提案する
  • [ ] 効果を具体的に説明する
  • [ ] 複数の選択肢を用意する
  • [ ] 断られても情報提供を続ける

Week 3:価値の伝え方練習

  • [ ] 価格ではなく価値で説明する
  • [ ] 日割り計算で価値を伝える
  • [ ] 時間短縮効果を説明する
  • [ ] 比較を使って価値を表現する

Week 4:継続的関係構築

  • [ ] アフターフォローを行う
  • [ ] 次回の提案につながる種まき
  • [ ] ホームケアアドバイスの提供
  • [ ] 信頼関係の深化

まとめ:お客さんに愛されながら売上2倍を実現

客単価を2倍にする秘訣は、お客さんの悩みを解決することです。

押し売りではなく、
心からお客さんのためを思って提案すれば、
お客さんは必ず応えてくれます。

今日から始めてほしいこと

  1. お客さんの悩みを聞き出すカウンセリングを充実させる
  2. 悩みに対する解決策を具体的に提案する
  3. 価格ではなく価値で説明する
  4. 断られても信頼関係を継続する

お客さんが心から満足して、
「お金を払ってよかった」と思ってもらえる美容室になれば、
客単価は自然に上がっていきます。

押し売りしない、愛される美容室を目指して、今日から実践してみてくださいね!


お客さんに喜ばれながら売上を上げる美容室経営のコツは、
まだまだたくさんあります。
もっと詳しく学んで、
お客さんに愛されて繁盛する美容室を一緒に作っていきませんか?

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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