お客さんが通いやすい回数券・コースメニューの作り方

お客さんが通いやすい回数券・コースメニューの作り方

目次

なぜ回数券・コースメニューが美容室経営の安定化に必要なのか?

「毎月の売上が不安定で、経営が不安…」
「お客さんがなかなかリピートしてくれない…」

こんな悩みを抱えている美容室経営者の皆さん、
回数券・コースメニューが解決の鍵なんです。

回数券・コースメニューの威力:

  • 売上の安定化(前払いによるキャッシュフロー改善)
  • リピート率向上(継続来店の仕組み化)
  • 客単価アップ(まとめ買いによる単価向上)
  • お客さんの定着率向上(他店への流出防止)
  • 予約管理の効率化(定期客の増加)

実際のデータ:

  • 回数券導入前:月間売上変動幅±30%
  • 回数券導入後:月間売上変動幅±10%
  • 売上の安定性が大幅に向上

お客さんが回数券を購入する心理

購入するメリット(お客さん視点)

経済的メリット

  • 1回あたりの料金が安くなる
  • まとめて支払うことで家計管理が楽
  • 特別価格での利用が可能

心理的メリット

  • 「お得に利用している」満足感
  • 美容室との継続的関係の安心感
  • 「いいものを安く買えた」という達成感

利便性のメリット

  • 毎回支払いの手間がない
  • 予約が取りやすくなる
  • 特典サービスを受けられる

購入を躊躇する理由

経済的不安

  • 一度に大きな支出になる
  • 使い切れるか心配
  • 途中で美容室を変えたくなったら…

心理的不安

  • 縛られている感じがする
  • 美容師との関係が悪くなったら…
  • サービスの質が落ちるかも…

利便性への懸念

  • 予約が取りにくくならないか
  • 有効期限内に使い切れるか
  • 引っ越しなどで通えなくなったら…

通いやすい回数券設計の基本原則

原則1:適切な回数設定

3回券(2ヶ月以内消費):

  • 初心者向け
  • お試し感覚
  • 心理的ハードル低

5回券(4ヶ月以内消費):

  • 最も人気の設定
  • バランスが良い
  • リピート習慣形成

10回券(10ヶ月以内消費):

  • 常連客向け
  • 大幅割引可能
  • 長期安定収入

原則2:魅力的な割引率

回数別推奨割引率

  • 3回券:5-8%割引
  • 5回券:10-15%割引
  • 10回券:15-20%割引

割引率の決め方

通常価格 × 回数 × (1 - 割引率) = 回数券価格

例:カット3,500円の5回券
3,500円 × 5回 × (1 - 0.12) = 15,400円
(通常17,500円 → 2,100円お得)

原則3:適切な有効期限

回数別推奨有効期限

  • 3回券:6ヶ月
  • 5回券:10ヶ月
  • 10回券:18ヶ月

有効期限の考え方

  • 1回につき1.5-2ヶ月の余裕を設定
  • 季節変化を考慮した期間設定
  • お客さんのライフスタイルに合わせた調整

原則4:柔軟性の確保

利用方法の柔軟性

  • 本人以外の家族も利用可能
  • 一部メニューへの変更可能
  • 他店舗での利用可能(チェーン店の場合)

緊急時の対応

  • 引っ越し時の返金制度
  • 長期入院などでの期限延長
  • 妊娠・出産時の特別配慮

人気の回数券・コースメニュー設計例

カット専門回数券

【カット5回券】15,000円

通常価格:3,500円 × 5回 = 17,500円
回数券価格:15,000円
お得額:2,500円(14%OFF)
有効期限:10ヶ月

特典:
・毎回ホームケアアドバイス
・1年以内の微調整無料
・次回予約優先案内

おすすめ対象:定期的にカットしたい常連客

美髪ケアコース

【美髪集中ケアコース(3ヶ月)】25,000円

内容:
1回目:カット + 髪質診断 + 集中トリートメント
2回目:メンテナンスカット + ヘッドスパ
3回目:カット + カラー + 保湿トリートメント

通常価格:30,000円相当
コース価格:25,000円
お得額:5,000円(17%OFF)

おすすめ対象:髪質改善を本気で考えているお客さん

季節限定コース

【春の新生活応援コース】18,000円

内容(3ヶ月間):
1回目:イメチェンカット + カラー
2回目:メンテナンス + UVケアトリートメント
3回目:夏向けスタイリング調整

期間:3-5月限定
通常価格:22,000円相当
お得額:4,000円(18%OFF)

ファミリーコース

【家族de美容コース】35,000円

内容:
・大人カット×4回
・お子様カット×4回
・家族全員が1年間利用可能

通常価格:42,000円相当
お得額:7,000円(17%OFF)
有効期限:12ヶ月

お客さんタイプ別・最適な回数券提案

新規のお客さん(様子見段階)

推奨:お試し3回券

【初回限定トライアルコース】8,500円
・カット3回分
・通常価格:10,500円 → 2,000円OFF
・有効期限:6ヶ月
・初回限定特価

提案トーク: 「初めてお越しいただいたので、まずは当店のサービスを知っていただきたいと思います。3回通っていただければ、必ず違いを実感していただけます」

定期的に通ってくれるお客さん

推奨:スタンダード5回券

【レギュラー会員コース】15,000円
・お好きなメニューを5回
・通常価格:17,500円 → 2,500円OFF
・有効期限:10ヶ月
・メンバー特典付き

提案トーク: 「○○さんにはいつもお世話になっているので、
お得な会員価格でご利用いただけるコースをご用意しました」

美容意識の高いお客さん

推奨:プレミアムコース

【美髪プレミアムコース】45,000円
・月1回、6ヶ月間の集中ケア
・カット・カラー・高級トリートメント・ヘッドスパ
・通常価格:54,000円 → 9,000円OFF
・専属美容師担当

提案トーク: 「○○さんのような美意識の高い方には、
本格的な美髪ケアコースをおすすめします。
半年間で見違えるような髪質に変わります」

忙しいワーキングマザー

推奨:時短・効率重視コース

【ママ応援コース】20,000円
・時短メニュー×5回
・平日昼間限定
・お子様同伴OK
・通常価格:23,000円 → 3,000円OFF

提案トーク: 「お忙しいママさんのために、
効率よく美しくなれるコースをご用意しました。
お子様連れでも安心です」

回数券販売の自然な提案テクニック

タイミング別提案方法

初回来店時: 「当店を気に入っていただけましたら、お得な回数券もございます」

2-3回目来店時: 「○○さんには定期的に通っていただいているので、回数券をご利用いただくともっとお得になります」

満足度が高い時: 「今日の仕上がりはいかがですか?この調子で継続ケアしていけば、もっと美しくなりますよ」

提案時の会話例

美容師:「○○さん、今日もありがとうございました。仕上がりはいかがですか?」

お客さん:「とても満足です。ありがとうございます」

美容師:「そう言っていただけて嬉しいです。実は、○○さんのような定期的に通ってくださる方には、お得な回数券をご用意しています」

お客さん:「回数券ですか?」

美容師:「はい。5回分まとめてご購入いただくと、通常より2,500円もお得になります。しかも10ヶ月の有効期限なので、ゆっくりご利用いただけますよ」

お客さん:「どのようなメニューが対象ですか?」

美容師:「カット、カラー、トリートメント、どのメニューでもご利用いただけます。○○さんの場合、いつものカット+カラーでも、カットだけでも、その時の気分で自由に選んでいただけます」

回数券利用客への特別サービス

基本特典

優先予約サービス

  • 人気の時間帯も優先予約
  • キャンセル待ちの優先案内
  • 予約変更の柔軟対応

特別価格サービス

  • 追加メニューの会員価格
  • 商品購入時の割引
  • 季節限定メニューの特価

プレミアム特典

専属サービス

  • 担当美容師の指名無料
  • 個別カウンセリング時間の延長
  • パーソナルスタイルブックの作成

限定サービス

  • 新商品の優先体験
  • 限定イベントへの招待
  • 誕生日月の特別サービス

アフターケアサービス

継続サポート

  • ホームケアアドバイスの定期配信
  • スタイリング方法の動画配信
  • 季節に応じたケア方法の案内

緊急対応

  • 急なスタイル修正の優先対応
  • イベント前の駆け込み対応
  • 旅行前のメンテナンス対応

回数券システムの運用方法

販売・管理システム

回数券台帳

お客様名:○○様
購入日:2024年1月15日
回数券種類:カット5回券
購入価格:15,000円
有効期限:2024年11月15日
残回数:□□□□□(使用済みはマーク)

デジタル管理

  • 顧客管理システムでの一元管理
  • 自動リマインド機能
  • 使用状況の一覧表示

お客さんへの情報提供

回数券カード

  • 利用回数を記録できるカード
  • 有効期限の明記
  • 緊急連絡先の記載

定期的な連絡

  • 残り回数のお知らせ
  • 有効期限の1ヶ月前アラート
  • 次回予約のご案内

よくある失敗パターンと改善策

失敗パターン1:割引率が低すぎる

問題:5%程度の割引では購入動機が弱い 改善策:最低10%以上の割引率に設定

失敗パターン2:有効期限が短すぎる

問題:使い切れずにお客さんが損をする 改善策:1回につき2ヶ月程度の余裕を持った期限設定

失敗パターン3:利用条件が厳しすぎる

問題:「本人のみ」「変更不可」などの制限 改善策:柔軟性のある利用条件に変更

失敗パターン4:アフターフォローがない

問題:売りっぱなしで放置 改善策:定期的な利用状況確認と提案

回数券の効果的な販促方法

店内告知

POPの活用

💰 お得な回数券のご案内 💰

カット5回券 15,000円
(通常17,500円 → 2,500円OFF!)

✓ 10ヶ月の有効期限
✓ 家族でも利用OK
✓ メニュー変更可能
✓ 優先予約サービス

カウンターでの案内

  • 会計時のさりげない提案
  • パンフレット・チラシの設置
  • 他のお客さんの利用状況を紹介

デジタル販促

LINE配信: 「今月末まで!回数券購入で1回分無料プレゼント」

ホームページ

  • 回数券専用ページの作成
  • お客様の声・体験談の掲載
  • よくある質問の回答

キャンペーン活用

期間限定キャンペーン

  • 年度末の「新生活応援キャンペーン」
  • 夏前の「美髪準備キャンペーン」
  • 年末の「来年分先取りキャンペーン」

紹介キャンペーン

  • 回数券利用客が友人を紹介した場合の特典
  • 紹介された友人への回数券特価
  • 双方にメリットのある仕組み

今日から始められる実践ステップ

Week 1:回数券設計

  • [ ] 現在のメニュー価格から適切な回数券を3種類設計
  • [ ] 割引率と有効期限を決定
  • [ ] 利用条件と特典内容を整理
  • [ ] 管理システム(台帳等)を準備

Week 2:販促準備

  • [ ] 回数券の説明資料・POP作成
  • [ ] スタッフへの商品説明・提案方法指導
  • [ ] お客さんへの提案トーク練習
  • [ ] 販売開始の告知準備

Week 3:実践開始

  • [ ] 既存のお客さんへの提案開始
  • [ ] 提案時の反応・質問を記録
  • [ ] 初回購入客への丁寧なサポート
  • [ ] 問題点の洗い出し

Week 4:改善・システム化

  • [ ] 提案方法の改善
  • [ ] 回数券内容の微調整
  • [ ] 管理システムの効率化
  • [ ] 来月の目標設定

まとめ:回数券は信頼関係の証

回数券・コースメニューは、単なる前払いシステムではありません。

お客さんと美容室の間の信頼関係の証なのです。

お客さん側:「この美容室を信頼して、継続して通います」
美容室側:「責任を持って、継続的に満足していただきます」

この相互の信頼関係があってこそ、回数券システムは成功します。

今日から始めてほしいこと

  1. お客さんのメリットを最優先に考えた回数券を設計する
  2. 押し売りではなく、価値提案として自然に提案する
  3. 購入後のアフターフォローを充実させる
  4. 継続的な改善でより良いシステムに育てる

回数券・コースメニューで安定した経営基盤を作り、
お客さんとの長期的な信頼関係を築いていきましょう!


お客さんとの信頼関係を深めながら
安定経営を実現する美容室のノウハウは、
まだまだたくさんあります。
もっと詳しく学んで、
持続的に愛される美容室を一緒に作っていきませんか?

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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