Google口コミのガイドライン違反とペナルティ事例
はじめに
「業者に頼んで口コミを増やせば、すぐに上位表示できるのでは?」
「競合のネガティブキャンペーンで評価が下がっている。同じ手で対抗したい…」
「少しくらいガイドライン違反しても、バレないだろう」
その考えは、非常に危険です。
Googleは、口コミの信頼性を守るため、厳格なガイドラインを設けています。
違反が発覚すれば、アカウント停止、検索結果からの削除など、
ビジネスに致命的なダメージを与える可能性があります。
実際、「短期間で口コミ100件獲得!」と喜んでいた飲食店が、
翌月にはGoogleマップから完全に消えてしまった事例や、
不正な口コミ削除依頼で数百万円を失った企業の事例も存在します。
本記事では、Googleの口コミガイドラインの詳細、違反事例、ペナルティの実態、
そして万が一違反してしまった場合の対処法まで、実例を交えて徹底解説します。
Googleの口コミガイドライン【全体像】
ガイドラインの目的
【Googleの方針】
「ユーザーが信頼できる、
正確で役立つ情報を提供する」
【口コミの役割】
・実際の体験を共有
・他のユーザーの意思決定を助ける
・ビジネスの改善を促す
→ 虚偽、不正、悪意ある口コミは排除
3つの基本原則
【1. 関連性】
実際に体験したことのみを投稿
✓ 実際に来店した
✓ 実際にサービスを受けた
✓ 実際に商品を購入した
✗ 行ったことがない店の口コミ
✗ 想像や伝聞での投稿
【2. 正確性】
事実に基づいた内容
✓ 自分が体験した事実
✓ 客観的な情報
✗ 虚偽の情報
✗ 誇張された内容
【3. 公正性】
他者を尊重し、建設的な内容
✓ 冷静で客観的な表現
✓ 改善につながる指摘
✗ 誹謗中傷
✗ 差別的な表現
✗ ハラスメント
禁止されている行為【10のNG行為】
NG行為1:口コミの購入・依頼
最も深刻な違反
【具体例】
✗ 口コミ代行業者に依頼
「高評価の口コミを100件投稿します」
→ 完全にアウト
✗ 金銭と引き換えに口コミ依頼
「口コミ投稿で500円引き」
「★5つけてくれたら次回無料」
→ Googleが明確に禁止
✗ 従業員・知人に虚偽の口コミを依頼
「実際には来店していないけど、
★5の口コミを書いて」
→ なりすまし、詐欺行為
【ペナルティ】
・アカウント永久停止
・全ての口コミ削除
・ビジネスプロフィール削除
正しい口コミ依頼の方法
✓ 実際にサービスを受けた顧客に依頼
✓ 「正直な感想をお願いします」と伝える
✓ 良い評価を求めない
✓ 金銭的報酬を提供しない
【OK例】
「もしよろしければ、
Googleマップで感想を
書いていただけると嬉しいです。
正直なご意見をお聞かせください」
→ これならOK
NG行為2:自作自演の口コミ
【具体例】
✗ オーナー自身が高評価を投稿
✗ 従業員に自店の口コミを書かせる
✗ 家族・友人に頼んで投稿
(実際に来店していない場合)
【見破られるパターン】
・IPアドレスが同じ
・投稿時間が連続
・文体が似ている
・同じ端末からの投稿
・新規アカウントからの投稿が連続
→ Googleの AIが検知
実際のペナルティ事例
【事例】東京都内の美容室
状況:
オーナーと従業員5名で、
計6件の★5口コミを投稿
結果:
・1週間後、全ての口コミが削除
・Googleビジネスプロフィールが停止
・「このビジネスは閉業しました」と表示
・復旧まで3ヶ月を要した
損失:
・新規顧客の機会損失
・既存顧客の不信感
・ブランドイメージの毀損
NG行為3:競合へのネガティブキャンペーン
【具体例】
✗ 競合店に★1の低評価を大量投稿
✗ 虚偽の悪い口コミを投稿
✗ 従業員・業者を使って攻撃
【実際の手口】
・「食中毒になった」(虚偽)
・「不衛生」(事実無根)
・「詐欺」「ぼったくり」(誹謗中傷)
【ペナルティ】
・アカウント永久停止
・法的責任(名誉毀損、業務妨害)
・損害賠償請求のリスク
実際の事例
【事例】大阪のラーメン店
状況:
競合店Aが、ライバル店Bに対し、
業者を使って★1の口コミを50件投稿
経過:
・店Bのオーナーが不審に思い、Googleに報告
・Googleが調査、不正を確認
・店Aのアカウントが永久停止
・店Bは弁護士を通じて損害賠償請求
結果:
・店Aは500万円の損害賠償
・店Aのオーナーが廃業を検討
教訓:
不正は必ずバレる
リスクが大きすぎる
NG行為4:不適切なコンテンツ
【禁止コンテンツ】
✗ スパム・無関係な内容
「こちらのサイトへ→URL」
「出会い系サイトのリンク」
✗ 違法コンテンツ
違法行為の助長、危険な行為
✗ テロリストコンテンツ
暴力的な活動の促進
✗ 露骨な性的表現
ポルノ、性的サービスの宣伝
✗ 不快または下品な内容
冒涜的な言葉、侮辱的な表現
✗ 危険で中傷的なコンテンツ
脅迫、ハラスメント、差別
✗ なりすまし
他人や組織を装う
✗ 利害に関する問題
競合他社の従業員による投稿
自分が関係する場所への投稿
NG行為5:無関係な評価
【具体例】
✗ 行ったことがない店の口コミ
「まだ行ってないけど、
評判良いので★5です!」
✗ 配達員による評価
「配達で訪問しただけで、
サービスは受けていない」
✗ 過去の体験に基づかない評価
「10年前に行ったきり」
→ 現在の状況と異なる可能性
【Googleの方針】
最近の、実際の体験に基づく
評価のみを推奨
NG行為6:複数アカウントからの投稿
【禁止行為】
✗ 1人が複数のGoogleアカウントを作成
✗ 同じビジネスに複数回投稿
【検知される仕組み】
・IPアドレス
・デバイスID
・投稿パターン
・アカウント作成日
→ 簡単にバレる
NG行為7:口コミの交換・共謀
【禁止パターン】
✗ 「お互いに★5つけましょう」
✗ 口コミ交換グループへの参加
✗ 組織的な口コミ投稿
【事例】
SNSで「口コミ交換しませんか?」
というグループが存在
→ Googleは監視している
→ 参加者全員がペナルティのリスク
NG行為8:従業員・関係者による投稿
【禁止】
✗ 現在の従業員
✗ 元従業員
✗ オーナー自身
✗ 競合他社の従業員
【グレーゾーン】
顧客として実際にサービスを受けた場合
例:
美容師が、休日にお客として
別の美容室を訪問し、口コミ投稿
→ 事実に基づくならOK
→ ただし、利害関係は開示すべき
NG行為9:口コミの削除依頼(不正な方法)
【禁止行為】
✗ 金銭を払って悪い口コミを削除させる
✗ Googleを騙して削除依頼
✗ 圧力をかけて投稿者に削除させる
【正しい削除依頼】
✓ ガイドライン違反の口コミのみ
✓ Googleの正規手続きで報告
✓ 正当な理由がある場合のみ
NG行為10:口コミへの不適切な返信
【禁止される返信】
✗ 投稿者への誹謗中傷
「あなたは来店していない」
「嘘つき」「クレーマー」
✗ 個人情報の暴露
「〇〇さんは以前トラブルを起こした」
✗ 脅迫的な内容
「法的措置を取る」
「訴えます」
【正しい返信】
✓ 冷静で丁寧
✓ 事実に基づく説明
✓ 改善への姿勢を示す
ペナルティの種類と実例
ペナルティのレベル
【レベル1:警告】
・特定の口コミが削除される
・メールで警告が届く
【レベル2:一時停止】
・ビジネスプロフィールが一時停止
・検索結果に表示されなくなる
・期間:数週間〜数ヶ月
【レベル3:永久停止】
・アカウント永久削除
・全ての口コミが消える
・復旧不可能
・新規登録も拒否される可能性
実際のペナルティ事例
事例1:口コミ代行業者を利用した飲食店
【背景】
東京都渋谷区のイタリアンレストラン
開業3ヶ月、口コミ5件のみ
【違反行為】
口コミ代行業者に10万円を支払い
★5の口コミを100件依頼
【経過】
・2週間で口コミが5→105件に急増
・全て★5、似たような文章
・Googleのアルゴリズムが検知
【ペナルティ】
・3日後、全ての口コミが削除
・1週間後、ビジネスプロフィールが停止
・「このビジネスは閉業しました」と表示
【影響】
・Googleマップから完全に消失
・月間100名の新規顧客を失う
・既存顧客からも「潰れた?」と問い合わせ
【復旧】
・Googleに異議申し立て(却下)
・新規アカウント作成も拒否
・半年後、別の住所で再登録してようやく復活
【損失】
・代行費用:10万円
・機会損失:約500万円(半年間)
・ブランド毀損:計り知れない
事例2:競合へのネガティブ攻撃
【背景】
横浜市の歯科クリニックA vs B
至近距離に開業、顧客を奪い合う関係
【違反行為】
クリニックAのスタッフが、
クリニックBに★1の口コミを20件投稿
「不衛生」「誤診」等の虚偽内容
【発覚】
・クリニックBが不審に思い、IPアドレスを調査
・全て同一のネットワークから投稿
・弁護士を通じてGoogleに報告
【ペナルティ】
・クリニックAのGBPが永久停止
・全ての口コミ(良いものも)削除
・クリニックBの虚偽口コミも削除
【法的措置】
・クリニックBが名誉毀損で提訴
・業務妨害罪で刑事告訴も検討
・示談金300万円で和解
【結末】
・クリニックAのオーナーが引責辞任
・評判の悪化で患者が激減
・2年後に閉院
事例3:従業員による自作自演
【背景】
福岡市の美容室
開業1年、口コミ10件
【違反行為】
オーナーが従業員6名に指示
「各自のスマホから★5の口コミを投稿して」
【発覚の経緯】
・7件の口コミが同日に連続投稿
・全て★5、文章が似ている
・新規アカウントからの投稿
・店内のWi-Fiから投稿(IPが同じ)
【ペナルティ】
・1週間後、7件全てが削除
・「不正な口コミの疑い」で警告
・2週間後、ビジネスプロフィールが一時停止
【復旧プロセス】
・Googleに事情説明と謝罪
・「今後は正規の方法で運用する」と誓約
・2ヶ月後に停止解除
【教訓】
・簡単にバレる
・リスクが大きすぎる
・正攻法で地道にやるべきだった
事例4:金銭報酬での口コミ依頼
【背景】
大阪市の整骨院
【違反行為】
「Google口コミ投稿で、
次回施術500円引き」
とキャンペーンを実施
【発覚】
・患者の一人がGoogleに報告
・「金銭的報酬と引き換えの口コミ」と通報
【ペナルティ】
・キャンペーン期間中の口コミが全て削除
・警告メールが届く
・一時的に新規口コミの投稿が停止
【対応】
・即座にキャンペーン中止
・Googleに謝罪と改善策を提出
・1ヶ月後に機能回復
【学び】
・金銭的報酬は明確に禁止
・「割引」「ポイント」もNG
・善意の感想をもらう方法を考えるべき
Googleの検知システム
AIによる自動検知
【監視される要素】
1. 投稿パターン
・短期間の大量投稿
・連続した投稿時間
・評価の偏り(全て★5等)
2. アカウント情報
・作成日
・投稿履歴
・他の口コミの傾向
3. テキスト分析
・文章の類似性
・キーワードの偏り
・不自然な表現
4. 技術的情報
・IPアドレス
・デバイスID
・位置情報
5. 行動パターン
・口コミ投稿の頻度
・複数ビジネスへの同時投稿
・評価の一貫性
検知される典型的なパターン
【パターン1】
2日間で★5が20件
→ 不自然な急増、要注意
【パターン2】
全ての口コミが「最高!」「おすすめ!」
→ テンプレート的、疑わしい
【パターン3】
新規アカウントからの投稿が連続
→ 作られたアカウントの可能性
【パターン4】
同じIPアドレスから複数投稿
→ 同一人物または組織的行為
→ AIがこれらを総合的に判断
人間によるレビュー
【Googleのレビューチーム】
・ユーザーからの報告を確認
・AIが疑わしいと判断したものを精査
・複雑なケースを人間が判断
【レビュー基準】
・実際の体験に基づくか
・事実に即しているか
・ガイドラインに準拠しているか
→ 最終判断は人間が行う
違反してしまった場合の対処法
即座に取るべき行動
【Step 1】違反行為の停止
・口コミ代行業者との契約解除
・不正な依頼の中止
・キャンペーンの即時停止
【Step 2】状況の把握
・どの口コミが違反か特定
・ペナルティの内容を確認
・Googleからの通知を確認
【Step 3】証拠の保全
・メール、契約書等を保存
・スクリーンショットを撮る
・時系列を整理
Googleへの異議申し立て
【申し立ての条件】
・本当に不正をしていない場合
・誤認されていると確信できる場合
・正当な理由がある場合
【申し立て方法】
1. ビジネスプロフィールにログイン
2. 「サポート」→「お問い合わせ」
3. 状況を詳細に説明
4. 証拠を添付
5. 送信
【記載内容】
・何が起きたか
・なぜ誤解か
・証拠(あれば)
・今後の対策
【注意】
・正直に事実を伝える
・言い訳はしない
・改善の意思を示す
異議申し立て文例
件名:ビジネスプロフィール停止に関する異議申し立て
Google ビジネスプロフィール チーム様
[ビジネス名]のオーナーの[氏名]と申します。
2024年〇月〇日、当店のビジネスプロフィールが
停止されました。
【状況説明】
当店では、口コミ代行業者の利用や、
金銭的報酬と引き換えの口コミ依頼等、
ガイドライン違反行為は一切行っておりません。
しかし、〇月に開催したイベントで、
多くのお客様が来店され、その後、
複数の口コミをいただきました。
これが短期間の大量投稿と誤認された
可能性があると考えております。
【証拠】
・イベント開催の告知(チラシ)
・来店者リスト
・レジの売上記録
添付資料をご確認いただければ、
全て正当な口コミであることが
ご理解いただけると思います。
【今後の対策】
今後は、誤解を招かないよう、
口コミ依頼の方法を見直します。
何卒、ご確認の上、
プロフィールの復旧をお願い申し上げます。
[ビジネス名]
[氏名]
[連絡先]
復旧までの期間
【一般的なタイムライン】
申し立て送信
↓
1-3営業日:受領確認
↓
3-7営業日:審査
↓
結果通知
【審査結果】
承認:即座に復旧
却下:永久停止の可能性
【却下された場合】
・再度申し立て可能
・ただし、同じ内容では却下される
・新たな証拠、説明が必要
予防策
【二度と違反しないために】
1. ガイドラインを熟読
定期的に確認(変更される可能性)
2. スタッフ教育
全員がガイドラインを理解
3. 口コミ依頼方法の見直し
正規の方法のみ
4. 定期的な監視
不審な口コミがないかチェック
5. 誘惑に負けない
「ちょっとくらい」が命取り
まとめ
絶対にやってはいけないこと
✗ 口コミの購入・代行業者の利用
✗ 自作自演の口コミ
✗ 従業員・知人への虚偽口コミ依頼
✗ 金銭的報酬と引き換えの依頼
✗ 競合への攻撃
✗ 複数アカウントの使用
✗ 口コミの交換・共謀
→ どれも必ずバレる
→ リスクが大きすぎる
正しい口コミ獲得方法
✓ 実際のお客様に正直な感想を依頼
✓ サービスの質を高める
✓ お客様満足度を最大化
✓ 自然と口コミが生まれる環境作り
✓ 気長に、地道に、誠実に
→ 遠回りに見えて、これが最短ルート
最後のメッセージ
短期的な成果を求めて不正に走れば、
長期的に致命的なダメージを受けます。
正攻法で地道に取り組めば、
確実に成果は積み上がります。
誠実に、お客様第一で。
それが、唯一の成功への道です。

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