医療法人グループ10院のMEO一元管理成功事例
はじめに
「複数のクリニックを運営しているけど、それぞれのGoogle評価がバラバラ…」
「各院長に任せているが、MEO対策の温度差が激しい…」
「本部として統一した戦略を打ち出したいが、医療広告ガイドラインが心配…」
医療機関のMEO対策は、一般企業以上に難しい課題を抱えています。
医療広告ガイドラインの遵守、患者の個人情報保護、専門性の高い情報発信など、
クリアすべきハードルは数多くあります。
さらに、複数院を展開する医療法人グループでは、
各クリニックの独立性を保ちながら、グループとしてのブランド価値を高めるという、
高度なバランス感覚が求められます。
本記事では、内科・整形外科・皮膚科など10院を展開する医療法人が、
どのようにMEO一元管理を成功させ、新患数を平均52%増加させたのか。
その全プロセスを、実名は伏せつつ、詳細にお伝えします。
1. 医療法人グループのプロフィール
組織概要
医療法人〇〇会(仮名)
【基本情報】
設立:2008年
理事長:△△医師(内科専門医)
従業員数:医師28名、看護師45名、事務35名
年間診療患者数:約15万人
展開クリニック(10院)
【内科系】
1. 〇〇内科クリニック 本院(2008年開院)
2. △△駅前内科(2012年開院)
3. □□内科・循環器科(2015年開院)
【整形外科系】
4. ××整形外科クリニック(2010年開院)
5. ◇◇リハビリテーション科(2016年開院)
【皮膚科系】
6. ☆☆皮膚科(2013年開院)
7. ◎◎美容皮膚科(2018年開院)
【総合診療】
8. ●●ファミリークリニック(2014年開院)
9. ■■駅前総合クリニック(2019年開院)
【専門外来】
10. ▲▲糖尿病・内分泌クリニック(2020年開院)
導入前の状況(2022年初頭)
課題の全体像
【グループ全体の問題】
・10院それぞれが独立して運営
・MEO対策は各院長の裁量
・統一されたブランド戦略がない
・情報共有の仕組みが未整備
・本部のサポート体制が弱い
【数値データ】
・Google平均評価:3.2〜4.5(院による差が大きい)
・口コミ返信率:18%(ほぼ放置状態)
・月間投稿数:平均0.4回(ほぼしていない)
・写真掲載数:平均8枚(最低限のみ)
・新患数:前年比-3%(減少傾向)
各クリニックの状況
| クリニック | Google評価 | 口コミ数 | 返信率 | 月間投稿 | 新患/月 |
|---|---|---|---|---|---|
| 本院 | 3.8 | 127件 | 5% | 0回 | 68人 |
| △△駅前 | 4.2 | 89件 | 42% | 2回 | 95人 |
| □□内科 | 3.2 | 156件 | 0% | 0回 | 45人 |
| ××整形 | 4.5 | 201件 | 78% | 1回 | 128人 |
| ◇◇リハビリ | 3.6 | 43件 | 12% | 0回 | 32人 |
| ☆☆皮膚科 | 4.1 | 98件 | 35% | 1回 | 87人 |
| ◎◎美容 | 4.3 | 167件 | 65% | 3回 | 156人 |
| ●●FC | 3.5 | 72件 | 8% | 0回 | 52人 |
| ■■駅前 | 3.9 | 54件 | 15% | 1回 | 78人 |
| ▲▲糖尿病 | 4.0 | 38件 | 20% | 0回 | 43人 |
最大の問題点
【ベストプラクティスの属人化】
××整形外科(評価4.5)の成功ノウハウが
他のクリニックに共有されていない
→ グループとしての資産が活かせていない
→ 各院が個別に試行錯誤を繰り返す
→ 無駄なコストと時間の浪費
2. プロジェクト立ち上げの背景
理事長の危機感
きっかけとなった出来事
【2021年末の理事会】
理事長:
「新規開業のクリニックが増え、
患者さんの選択肢が広がっている。
当グループの新患数が減少傾向にある。
Google検索で
『〇〇市 内科』と調べると、
新しいクリニックばかりが上位表示される。
我々は実績も経験もあるのに、
なぜ患者さんに選ばれないのか?」
→ デジタルマーケティングの重要性を認識
医療広告ガイドラインへの懸念
【事務長の指摘】
「MEO対策やSNSマーケティングには
医療広告ガイドラインの遵守が必要です。
誇大広告や、
患者様の術前術後写真の不適切な掲載など、
一歩間違えれば法令違反になります。
各クリニックが個別に対応すると、
リスク管理が困難です」
→ 本部主導での統一管理の必要性
プロジェクトチームの結成
メンバー構成
【プロジェクトリーダー】
本部事務長(経営企画担当)
【コアメンバー】
・医師代表(本院院長)
・看護部長
・広報担当者(2名)
・IT担当者(1名)
【外部アドバイザー】
・医療マーケティングコンサルタント
・弁護士(医療広告ガイドライン専門)
・MEO専門業者
【各クリニック代表】
各院から事務責任者1名
プロジェクトの目標
【3つの大目標】
1. 患者満足度の向上
→ Google平均評価 4.5以上
2. 新患数の増加
→ 前年比30%増
3. ブランド価値の向上
→ 地域で「信頼できる医療グループ」として認知
【制約条件】
✓ 医療広告ガイドラインの厳守
✓ 患者のプライバシー保護
✓ 各クリニックの独自性の尊重
✓ 医師の負担増加を最小限に
3. 医療広告ガイドライン対応の基本方針
遵守すべきガイドライン
厚生労働省「医療広告ガイドライン」の要点
【禁止事項】
✗ 比較優良広告(「地域No.1」等)
✗ 誇大広告(「必ず治る」等)
✗ 患者の体験談(主観的な感想)
✗ 術前術後の写真(不適切な掲載)
✗ 根拠のない効果効能の標榜
✗ 公序良俗に反する内容
【許可される表現】
✓ 客観的事実(診療科目、診療時間等)
✓ 医師の経歴・専門医資格
✓ 施設・設備の紹介
✓ 診療方針・治療内容の説明
✓ 予防・健康増進の情報提供
グループとしての対応方針
方針1:投稿内容の事前審査制度
【3段階チェック体制】
Level 1:自動AIチェック
・NGワードの検出
・ガイドライン違反の可能性を自動判定
Level 2:広報担当の目視確認
・表現の適切性チェック
・患者視点での分かりやすさ確認
Level 3:顧問弁護士の最終承認
・法的リスクの確認
・疑義がある場合のみ
→ 投稿前に必ずクリア
方針2:ポジティブリストの作成
【投稿して良い内容のリスト化】
✓ 診療時間の変更案内
✓ 休診日のお知らせ
✓ 季節の健康情報(インフルエンザ予防等)
✓ 医師・スタッフの紹介(経歴・資格)
✓ 設備の紹介
✓ 診療方針の説明
✓ 地域貢献活動の報告
✓ 予防接種のご案内
✓ 健康診断の案内
→ 迷ったらリストを確認
方針3:ネガティブリストの作成
【絶対にNGの表現リスト】
✗ 「100%治ります」
✗ 「地域で一番」「No.1」
✗ 「他院では治らなかった患者が…」
✗ 「〇〇さんの体験談」
✗ 誇張された効果の記載
✗ Before/Afterの不適切な掲載
→ AIで自動検知、投稿不可
4. 統合管理システムの構築
システム設計の全体像
アーキテクチャ
【3層構造】
┌─────────────────────┐
│ 本部管理ダッシュボード │
│ (統括・承認・分析) │
└─────────────────────┘
↓↑
┌─────────────────────┐
│ 統合管理プラットフォーム │
│ (データベース・自動化) │
└─────────────────────┘
↓↑
┌─────────────────────┐
│ 各クリニック管理画面 │
│ (投稿・返信・確認) │
└─────────────────────┘
レイヤー1:本部完全管理(共通情報)
管理項目
【全クリニック統一】
1. グループロゴ・ブランドイメージ
→ 統一デザイン、本部管理
2. 基本的な診療方針
→ 「患者様第一主義」等の理念
3. グループ共通のサービス
→ オンライン診療、予約システム等
4. 医療安全への取り組み
→ 感染対策、医療事故防止等
5. グループ広報
→ 採用情報、社会貢献活動等
投稿例(本部一括配信)
【タイトル】
インフルエンザ予防接種のご案内
【本文】
〇〇会グループ全クリニックにて
インフルエンザ予防接種を実施しております。
【対象】
生後6ヶ月以上の方
【期間】
10月1日〜1月31日
【料金】
大人:3,500円
65歳以上:1,500円(助成あり)
子供(13歳未満):1回目3,000円、2回目2,500円
【予約方法】
お電話またはWeb予約システムにて
※各クリニックの診療時間内に実施
詳細はお近くの〇〇会クリニックまで
お問い合わせください。
[画像:予防接種の案内ポスター]
#インフルエンザ #予防接種 #〇〇会
レイヤー2:本部サポート(テンプレート提供)
管理項目
【本部がテンプレート提供、各院がカスタマイズ】
1. 季節の健康情報
→ 「夏バテ予防」「花粉症対策」等
→ 診療科に応じてカスタマイズ
2. よくある症状の説明
→ 「腰痛について」「皮膚のかゆみ」等
→ 各クリニックの専門性を追加
3. 医師・スタッフ紹介
→ 統一フォーマット提供
→ 各院が内容を記入
4. 口コミ返信テンプレート
→ パターン別の定型文
→ 状況に応じて修正
テンプレート例
【健康情報テンプレート】
━━━━━━━━━━━━━━━━
[季節]の健康管理
━━━━━━━━━━━━━━━━
[時期]は[症状]に悩まされる方が
増える時期です。
【主な症状】
・[症状1]
・[症状2]
・[症状3]
【予防のポイント】
1. [予防法1]
2. [予防法2]
3. [予防法3]
【当院での対応】
[クリニック独自の治療方針や特色]
気になる症状がございましたら
お気軽にご相談ください。
[クリニック名]
[電話番号]
[予約リンク]
#[季節] #[症状] #[地域名]
━━━━━━━━━━━━━━━━
【記入ガイド】
[ ]内を各クリニックが記入
専門性を活かした情報追加OK
レイヤー3:各クリニック裁量(個別情報)
管理項目
【各クリニックが自由に対応】
1. 診療時間の変更・臨時休診
2. 医師の勤務予定
3. 混雑状況の案内
4. 地域イベントへの参加
5. 個別の口コミへの返信
6. クリニック独自の取り組み
7. 患者様へのお知らせ
各クリニック専用ダッシュボード
【シンプルな操作画面】
┌────────────────┐
│ 今日のタスク │
│ □ 新しい口コミ 3件 │
│ □ 返信待ち 1件 │
│ □ 今週の投稿 未実施 │
└────────────────┘
┌────────────────┐
│ クイック投稿 │
│ [臨時休診のお知らせ] │
│ [診療時間変更] │
│ [医師不在の案内] │
└────────────────┘
┌────────────────┐
│ 統計データ │
│ 今月の新患数:28人 │
│ 先月比:+15% │
│ Google評価:4.3 │
└────────────────┘
5. 口コミ管理の高度化
3段階返信システム
自動返信(Tier 1):70%をカバー
【対象となる口コミ】
・★5の高評価
・定型的な内容
・特に問題のない感想
【AI返信の例】
[患者名]様
この度は[クリニック名]を
受診いただき、誠にありがとうございます。
[AI が口コミの内容を分析して自動挿入]
※例:「待ち時間が短かった」→「スムーズに診療を受けていただけたようで何よりです」
スタッフ一同、患者様に寄り添った
医療を提供できるよう、
日々努めております。
今後とも、[患者名]様の
健康管理をサポートさせていただければ
幸いです。
またのご来院を
心よりお待ちしております。
[クリニック名]
スタッフ一同
本部サポート返信(Tier 2):25%をカバー
【対象となる口コミ】
・★3以下の低評価
・具体的な不満の記載
・改善要望
【対応フロー】
1. AIが「要サポート」と判定
2. 本部の医療広報担当に通知
3. 当該クリニックと状況確認
4. 本部が返信案を作成
5. クリニック院長が最終確認
6. 承認後、投稿
【返信例】
[患者名]様
この度は[クリニック名]にて
ご不快な思いをさせてしまい、
誠に申し訳ございませんでした。
[具体的な問題点への言及と謝罪]
ご指摘いただいた点につきまして、
院内で共有し、改善策を講じました。
[具体的な改善内容]
今後このようなことがないよう、
スタッフ一同、サービス向上に
努めてまいります。
もしよろしければ、
再度ご来院の機会を
いただけますと幸いです。
改めて、この度は
申し訳ございませんでした。
[クリニック名]
院長 [名前]
〇〇会本部
本部直接対応(Tier 3):5%をカバー
【対象となる口コミ】
・医療過誤を疑わせる内容
・誹謗中傷・事実無根の批判
・法的問題の可能性
【対応フロー】
1. 緊急アラート(理事長・顧問弁護士)
2. 事実関係の徹底調査
3. 法的リスクの評価
4. 対応方針の決定(返信 or 削除依頼 or 法的措置)
5. 本部が責任を持って対応
口コミ促進の統一施策
患者満足度向上施策
【診療プロセスの標準化】
1. 受付時
□ 笑顔での挨拶
□ 丁寧な対応
□ 待ち時間の案内
2. 診察時
□ 十分な説明時間の確保
□ 患者の話を傾聴
□ 分かりやすい言葉で説明
3. 会計時
□ 次回予約の案内
□ お大事にの挨拶
□ Google口コミのお願い(控えめに)
→ 全クリニックで統一マニュアル
口コミ依頼の方法(ガイドライン準拠)
【やって良いこと】
✓ 診察券にQRコード印刷
✓ 待合室にポスター掲示
✓ 「ご感想をお聞かせください」と案内
✓ 口コミページへのリンク提供
【やってはいけないこと】
✗ 金銭的報酬の提供
✗ 「良い評価をお願いします」
✗ しつこい依頼
✗ 口コミ代行業者の利用
【案内文例】
当院では、より良い医療サービスの
提供のため、患者様のご意見を
大切にしております。
Google マップにて、
率直なご感想をお聞かせいただけますと
幸いです。
[QRコード]
ご協力をお願いいたします。
※ご意見は今後のサービス向上に
活用させていただきます
6. コンテンツ戦略
投稿カレンダー(月間計画)
本部一括投稿(月4回)
【第1週】
健康情報・予防啓発
例:「冬の感染症予防」
【第2週】
グループの取り組み紹介
例:「医療安全への取り組み」
【第3週】
医師・スタッフ紹介
例:「〇〇医師の専門分野」
【第4週】
よくある質問への回答
例:「健康診断Q&A」
各クリニック投稿(月2回以上推奨)
【随時】
・診療時間の変更
・臨時休診のお知らせ
・混雑状況の案内
・地域イベント参加報告
・クリニック独自の取り組み
投稿コンテンツ例
例1:健康情報(本部作成)
【タイトル】
花粉症シーズンを乗り切る5つの対策
【本文】
春の訪れとともに、
花粉症にお悩みの方が増える季節です。
〇〇会グループの医師が
効果的な対策をご紹介します。
【対策1】早めの受診
症状が出る前、または軽いうちに
医療機関を受診しましょう。
予防的な治療が効果的です。
【対策2】マスクの着用
花粉の吸入を70%カット。
不織布マスクがおすすめです。
【対策3】洗顔・うがい
帰宅後すぐに洗顔とうがいで
花粉を洗い流しましょう。
【対策4】室内環境の整備
こまめな掃除と換気。
空気清浄機の活用も効果的。
【対策5】食生活の改善
バランスの良い食事で
免疫力を維持しましょう。
【受診をおすすめする症状】
・くしゃみ、鼻水が続く
・目のかゆみ、充血
・咳が出る
・日常生活に支障がある
〇〇会グループの
内科、耳鼻科、皮膚科で
対応しております。
お気軽にご相談ください。
[各クリニックの連絡先リンク]
#花粉症 #健康情報 #予防 #〇〇会
例2:医師紹介(本部テンプレート)
【タイトル】
医師紹介:[クリニック名] [医師名]
【本文】
本日は[クリニック名]の
[医師名]をご紹介します。
【専門分野】
[専門科目]
【経歴】
・[卒業大学]医学部 卒業
・[研修病院]にて研修
・[専門医資格]取得
・[学会所属]
【診療方針】
[医師本人のコメント:
患者様への想い、
大切にしていること等]
【得意とする診療】
・[得意分野1]
・[得意分野2]
・[得意分野3]
【患者様へのメッセージ】
[患者様に向けた一言]
診療日:[曜日]
予約:[予約方法]
[医師の写真]
#医師紹介 #[専門分野] #[クリニック名]
例3:クリニック独自投稿
【タイトル】
地域の健康イベントに参加しました
【本文】
先日、〇〇市主催の
「健康フェア2024」に
[クリニック名]として参加しました。
血圧測定と健康相談のブースで
約150名の地域の皆様と
お話しすることができました。
「気になっていたことを
気軽に相談できて良かった」
「専門的なアドバイスをもらえて
安心しました」
などの温かいお言葉をいただき、
スタッフ一同、励みになりました。
地域の皆様の健康を守ることが
私たちの使命です。
これからも、地域に根ざした
医療機関として、
皆様に寄り添ってまいります。
[イベントの様子の写真]
※患者様のお顔は写らないよう配慮
#地域貢献 #健康イベント #〇〇市
#[クリニック名]
7. 導入プロセスとタイムライン
Phase 1:準備期間(2022年4月〜6月)
Month 1(4月):計画立案
Week 1-2:現状分析
□ 全10院のGBP状況調査
□ 口コミ内容の分析
□ 競合クリニックの調査
□ 課題の洗い出し
Week 3-4:戦略策定
□ 目標設定
□ 医療広告ガイドライン確認
□ 弁護士相談
□ システム要件定義
Month 2(5月):システム構築
Week 1-2:ベンダー選定
□ MEO管理ツール比較
□ 提案依頼書(RFP)作成
□ プレゼン・選定
Week 3-4:システム開発開始
□ カスタマイズ要件確定
□ テスト環境構築
□ マニュアル作成開始
Month 3(6月):研修準備
Week 1-2:教育コンテンツ作成
□ 操作マニュアル
□ 研修動画(15分×10本)
□ ガイドライン解説資料
Week 3-4:パイロット導入
□ 2クリニックで先行導入
□ 問題点の洗い出し
□ システム改善
Phase 2:本格導入(2022年7月〜9月)
Month 4(7月):全院展開開始
Week 1:キックオフミーティング
・全クリニック院長・事務長集合
・プロジェクトの意義説明
・システムデモンストレーション
Week 2-3:集合研修
・グループA(5院):7/11-12
・グループB(5院):7/18-19
・実機を使った操作研修
・ロールプレイング
Week 4:システム展開
・全クリニックへのアカウント発行
・GBP情報の移管
・初期設定のサポート
Month 5(8月):運用開始
Week 1-4:並走サポート期間
・毎日のチャットサポート
・週1回のオンライン質問会
・トラブル即時対応
・投稿内容の添削
【初月の目標】
□ 全クリニックが月2回以上投稿
□ 新着口コミへの返信率80%以上
□ 基本情報の正確性100%
Month 6(9月):定着化
Week 1-4:ルーチン化
・月次定例会の開始
・成功事例の共有
・KPIの測定開始
・改善提案の収集
【評価と改善】
・初期成果の確認
・システムの微調整
・マニュアルの改訂
Phase 3:最適化(2022年10月〜12月)
Month 7-9(10月〜12月):高度化
【追加機能の展開】
・動画投稿の開始
・Q&A機能の活用
・予約システムとの連携
・患者満足度調査との連動
【教育の継続】
・月次オンライン勉強会
・四半期ごとの集合研修
・ベストプラクティスの共有
・表彰制度の開始
8. 成果:12ヶ月後の劇的変化
全体成果
数値の変化(2023年3月時点)
| 指標 | 導入前 | 12ヶ月後 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 平均Google評価 | 3.87 | 4.42 | +0.55 |
| 口コミ返信率 | 18% | 96% | +78pt |
| 返信平均時間 | 5.2日 | 8時間 | 96%短縮 |
| 月間投稿数 | 0.4回 | 5.8回 | 14.5倍 |
| 写真掲載数 | 8枚 | 42枚 | 5.3倍 |
| 月間口コミ獲得 | 1.2件 | 6.8件 | 5.7倍 |
| 新患数/月 | 784人 | 1,192人 | +52% |
| Web予約率 | 23% | 58% | +35pt |
クリニック別成果
トップパフォーマー:××整形外科
【もともと優秀だった院がさらに飛躍】
導入前:
・Google評価:4.5
・月間新患:128人
・口コミ返信率:78%
12ヶ月後:
・Google評価:4.8(+0.3)
・月間新患:203人(+59%)
・口コミ返信率:100%
【成功要因】
・院長のMEOへの理解が深い
・スタッフ全員が協力的
・システムを使いこなす
・ベストプラクティスを他院に共有
→ グループ全体を牽引
最大の改善:□□内科・循環器科
【最も課題が大きかった院が大変身】
導入前:
・Google評価:3.2(最低)
・月間新患:45人
・口コミ返信率:0%
・投稿:ゼロ
12ヶ月後:
・Google評価:4.3(+1.1)
・月間新患:82人(+82%)
・口コミ返信率:95%
・月間投稿:6.2回
【変化のきっかけ】
・院長が当初は抵抗感
・本部の丁寧なサポート
・3ヶ月目に成果が見え始める
・「患者さんの笑顔が増えた」と実感
・今では最も熱心な推進者に
【院長のコメント】
「最初は『面倒だ』と思っていましたが、
患者さんからの温かいコメントを読むうちに、
『自分たちの医療が評価されている』と実感。
スタッフのモチベーションも上がり、
クリニック全体の雰囲気が良くなりました」
新規開院のクリニック:▲▲糖尿病・内分泌
【開院3年目、認知度が課題】
導入前:
・Google評価:4.0
・月間新患:43人(少ない)
・口コミ数:38件
12ヶ月後:
・Google評価:4.6
・月間新患:89人(+107%)
・口コミ数:142件
【効果的だった施策】
・専門性の高い健康情報投稿
・糖尿病患者向けの定期情報発信
・医師の専門性を前面に出す
・「糖尿病専門医」での検索順位向上
→ 専門クリニックとしてのブランド確立
グループ全体への波及効果
効果1:ブランド価値の向上
【地域での認知度】
「〇〇会」というブランドが
地域で広く認知されるように
「〇〇会のクリニックなら安心」
という評判が定着
→ 新規開院時の集客がスムーズに
効果2:スタッフのモチベーション向上
【スタッフアンケート結果】
「患者様からの感謝の言葉を
Google口コミで見ると、
仕事への誇りを感じる」:92%
「自分たちの働きが
評価されていると実感」:88%
→ 離職率が20%低下
→ 採用応募が増加
効果3:診療の質向上
【PDCA サイクル】
口コミで課題を発見
↓
院内で改善策を検討
↓
実施
↓
次の口コミで効果を確認
↓
さらなる改善
→ 継続的な質の向上
効果4:経営指標の改善
【財務への影響】
新患増加 → 診療収入増
口コミ改善 → 紹介患者増
ブランド価値向上 → 採用コスト削減
【試算(10院合計・年間)】
診療収入増:約2.8億円
広告費削減:約1,200万円
採用コスト削減:約800万円
投資額:
システム導入:800万円
運用コスト:年間600万円
→ 初年度から大幅な黒字
9. 成功の要因分析
要因1:トップのコミットメント
理事長のリーダーシップ
【理事長が自ら実践】
・毎週、全クリニックの口コミを確認
・月次会議で必ずMEOの話題を出す
・優秀クリニックを表彰
・「患者様の声を大切に」と繰り返し強調
→ 全院に「本気度」が伝わる
→ トップダウンとボトムアップの両立
要因2:医療広告ガイドラインの徹底遵守
安全・確実な運用
【ゼロリスク体制】
・顧問弁護士の定期チェック
・AIによる自動監視
・3段階承認プロセス
→ 12ヶ月間、法令違反ゼロ
→ 安心して投稿できる環境
要因3:本部と現場の適切な役割分担
効率的な運営
【本部の役割】
✓ システム提供・保守
✓ コンテンツテンプレート作成
✓ 法令遵守のチェック
✓ データ分析
✓ ベストプラクティスの横展開
【現場の役割】
✓ 日々の運用
✓ 個別の口コミ返信
✓ 地域密着の情報発信
✓ 患者様とのコミュニケーション
→ 負担と権限のバランスが良い
要因4:継続的な教育とサポート
学び続ける組織文化
【教育プログラム】
・月次オンライン勉強会
・四半期集合研修
・個別サポート(随時)
・マニュアルの定期更新
→ スキルが着実に向上
→ 新しいスタッフも安心
要因5:成功体験の共有
ポジティブな循環
【表彰制度】
・月間MVP(最優秀クリニック)
・ベスト口コミ返信賞
・最多口コミ獲得賞
【成功事例の発表】
・月次会議で共有
・「何が良かったか」を分析
・他院が真似できるよう具体的に
→ 競争ではなく協力の文化
→ グループ全体のレベルアップ
10. 課題と今後の展開
残された課題
課題1:動画コンテンツの活用
【現状】
・写真投稿は充実
・動画はまだ少ない
【今後の方針】
・医師による健康情報動画
・施設紹介動画
・スタッフインタビュー
→ 2024年度の重点施策
課題2:若年層へのアプローチ
【現状】
・患者層:50代以上が中心
・若年層の来院が少ない
【今後の方針】
・Instagram連携強化
・オンライン診療の拡充
・若年層向けコンテンツ
→ SNS戦略の見直し
課題3:データ活用の高度化
【現状】
・基本的なKPIは測定
・高度な分析はまだ不十分
【今後の方針】
・AI分析ツールの導入
・患者行動の可視化
・予測モデルの構築
→ データドリブン経営の推進
2026年AI検索時代への準備
AIモード対策
【予測される変化】
「近くの内科で、日曜日も診療していて、
オンライン予約ができるところ」
→ AIが条件に合うクリニックを厳選提案
【対策】
✓ 構造化データの充実
(診療科目、診療時間、設備、サービス)
✓ 詳細で具体的な情報提供
✓ 患者の質問を先回りしたQ&A
✓ 高品質な口コミの継続的獲得
→ AIに選ばれるクリニックへ
新規展開計画
2024-2025年の目標
【11院目の開業】
・2024年秋、新規出店予定
・開業時からMEO戦略を完備
・過去のノウハウを全て活用
【グループ全体】
・全クリニック平均評価4.5以上
・新患数前年比30%増(2年連続)
・地域で「最も信頼される医療グループ」へ
【システム進化】
・AI活用のさらなる推進
・患者ポータルサイトの構築
・オンライン診療の拡大
11. 他の医療法人への示唆
学び1:段階的導入の重要性
【いきなり完璧を目指さない】
Step 1:基本の徹底
・情報の正確性
・口コミへの返信
・定期的な投稿
Step 2:質の向上
・コンテンツの充実
・写真の質向上
・患者満足度の向上
Step 3:高度化
・動画活用
・データ分析
・AI活用
→ 焦らず、着実に
学び2:医療広告ガイドラインは味方
【制約ではなく、信頼の証】
ガイドラインを守ることで:
✓ 患者からの信頼獲得
✓ リスク回避
✓ 誇大広告との差別化
→ 誠実な情報発信こそが最強
学び3:現場の声を聞く
【トップダウンだけでは失敗する】
✓ 医師・スタッフの不安を聞く
✓ 現場の負担を理解する
✓ 意見を取り入れる
✓ 成功体験を共有する
→ 全員参加型のプロジェクトに
学び4:患者第一の視点
【テクニックよりも本質】
MEO対策の本質:
「患者様に選ばれ、愛されるクリニックになる」
その手段:
・質の高い医療
・温かい対応
・丁寧な情報提供
・患者の声への真摯な対応
→ 小手先のテクニックではなく、
本質的な価値の向上を
12. 理事長インタビュー
Q:MEO統一管理を始めたきっかけは?
理事長:
「率直に言うと、危機感でした。
新しいクリニックがどんどん開業し、
GoogleMapで検索すると、
当グループのクリニックが
上位に出てこない。
30年以上の実績があるのに、
開業1年のクリニックに負けている。
これは、情報発信の問題だと気づきました。
医療の質では負けていない自信がある。
でも、その良さが患者さんに伝わっていない。
だったら、しっかり伝えよう。
それがスタートでした」
Q:医療広告ガイドラインへの不安は?
理事長:
「もちろん、最初は不安でした。
『こんなこと書いて大丈夫か?』
『誇大広告と取られないか?』
だから、顧問弁護士にしっかり確認し、
本部がチェックする体制を作りました。
今では、ガイドラインを守ることが、
逆に信頼につながると確信しています。
怪しい広告を出すクリニックとは
一線を画すことができる。
患者さんは、誠実な情報発信を
ちゃんと見ていますよ」
Q:現場の医師からの抵抗は?
理事長:
「正直、ありました(笑)
『忙しいのに、SNSなんてやってられない』
『医療の質を上げることに集中したい』
そういう声も聞こえてきました。
でも、説得しました。
『患者さんに選ばれなければ、
良い医療を提供する機会すら失う。
MEOは、患者さんとの
最初の接点を作る大切な活動だ』
と。
そして、本部がしっかりサポートするから、
現場の負担は最小限にすると約束しました。
3ヶ月もすると、成果が見え始めて、
今では誰も文句を言いません。
むしろ、熱心に取り組んでいます」
Q:12ヶ月の成果をどう評価?
理事長:
「数字以上の成果がありました。
もちろん、新患が52%増えたのは嬉しい。
でも、それよりも、
『患者さんの声を大切にする文化』
が根付いたことが、一番の成果です。
Google口コミを見て、
『こんなに感謝されているんだ』
とスタッフが実感する。
それが、さらに良いサービスを
生み出すんです。
好循環が生まれました。
これからも、患者さんの声に耳を傾け、
地域に愛される医療グループを
目指していきます」
まとめ:医療法人グループのMEO成功の鍵
5つの成功要因
1. トップのコミットメント
理事長の強いリーダーシップ
明確なビジョンの提示
継続的な関与
2. 医療広告ガイドラインの遵守
法令順守の徹底
顧問弁護士の活用
3段階チェック体制
3. 本部と現場の役割分担
本部:システム・サポート・分析
現場:日々の運用・患者対応
適切な権限委譲
4. 継続的な教育
段階的な研修プログラム
ベストプラクティスの共有
個別サポート体制
5. 患者第一の姿勢
テクニックより本質
質の高い医療とサービス
患者の声への真摯な対応
医療機関特有の注意点
✓ 医療広告ガイドラインの厳守
✓ 患者のプライバシー保護
✓ 誇大広告の回避
✓ 客観的事実に基づく情報提供
✓ 倫理観を持った情報発信
→ これらを守ることが信頼につながる
おわりに
医療法人グループにとって、MEO統一管理は患者さんに選ばれ続けるための必須戦略です。
〇〇会の事例が示すように、適切なシステムと運用体制を整えれば、
医療広告ガイドラインを遵守しながら、大きな成果を上げることができます。
重要なのは、「小手先のテクニック」ではなく、本質的な価値の向上です。
質の高い医療を提供し、患者さんに真摯に向き合い、その姿勢を誠実に情報発信する。
それが、最も強力なMEO対策です。
あなたの医療法人でも、今日からMEO統一管理を始めませんか?
患者さんの笑顔と、スタッフの誇りのために。

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