4.組織化と仕組み構築

仕事の振り分け方|経営者向け手順

毎日こなすことが山積みで、気づいたら夜中になっている。

「もっと経営のことを考えたいのに、現場に追われて頭が回らない」

「スタッフに任せたいけど、どこをどう任せればいいかわからない」

「とにかく自分が一番速いから、結局自分でやってしまう」

こういう悩みを抱えたまま、何年も走り続けているオーナーがたくさんいます。忙しさの正体は、仕事の「振り分け」ができていないことです。何を自分がやるべきで、何を手放すべきか。この境界線を一度ちゃんと引くだけで、毎日の景色はガラッと変わります。

この記事では、経営者が自分の時間を取り戻すための仕事の振り分け方を、5つのステップで具体的にお伝えします。

📋 この記事でわかること

  1. なぜ忙しい経営者ほど仕事の振り分けが苦手なのか
  2. 仕事を工程に分解して「任せられる部分」を見つける方法
  3. 手放す順番とスタッフへの渡し方の具体的なステップ
  4. 振り分け後に自分の時間をどう使えばよいか

こんな方におすすめ

  • ✅ 毎日現場に入り続けていて、経営に使う時間がまったくない方
  • ✅ スタッフに任せたいのに「自分がやった方が早い」と思ってしまう方
  • ✅ 休みを取りたいのに、取れる仕組みができていない方
  • ✅ 忙しく働いているのに手元にお金と時間が残らないと感じている方
  • ✅ 売上を伸ばしながら、働く時間を減らしたいと考えている飲食店・美容室オーナー
仕事の振り分け方|経営者向け手順 | 有限会社繁盛店研究所

「自分でやった方が早い」は罠です

振り分けができない経営者に共通しているのは、仕事を「塊」で見ていることです。「接客」「仕込み」「施術」「SNS発信」……これらをひとかたまりの仕事として認識しているから、「これは私にしかできない」という結論になる。

でも実際は、どんな仕事も細かい工程の集まりです。たとえば「仕込み」という仕事一つとっても、食材の確認・カット・下味・保存・補充チェックと、いくつもの工程に分かれます。そのすべてをオーナーがやらなければならない理由はどこにもない。

仕事を塊のまま見ていると「全部自分でやるか、全部任せるか」の二択になってしまいます。でも工程に分解すれば「この工程だけ任せる」という第三の選択肢が生まれる。これが振り分けの出発点です。

「原因は100%自分にある。忙しいのも、任せられないのも、現場から離れられないのも、すべて自分の認識と行動が作り出しています。だからこそ、自分が変われば現実は変わる。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所 主宰)

仕事の振り分け方|5つのステップ

振り分け STEP 1

1週間の行動をすべて書き出す

まず、自分が1週間でやっていることを紙に全部書き出します。「開店前の掃除」「発注メール」「SNS投稿」「レジ締め」……小さなことも含めて全部です。頭の中にあるうちは整理できません。見える化することで初めて「これ、自分じゃなくてよかったな」という発見が生まれます。

⚠️ よくある失敗:「だいたいこんな感じ」で頭の中だけで済ませてしまう。実際に書き出してみると、自分でも気づいていなかった小さな作業が30〜40個以上出てくることもざらにあります。

振り分け STEP 2

「社長の仕事」と「そうでない仕事」を仕分けする

書き出したリストを、2つに分けます。儲かるアイデアを考えること、仕組みをつくること、売上を生む判断をすること——これが社長の仕事です。それ以外は原則、手放す候補です。

「でも、うちにはスタッフがいないから……」という声もよく聞きます。でもまず「手放す候補」を明確にしないことには、何も変わりません。仕分けをしてから、手放す方法を考える順番が大切です。

⚠️ よくある失敗:最初から「うちでは無理」と判断して、仕分け自体を諦めてしまう。まず全部を「手放せるか」の視点で見直すことが重要です。

振り分け STEP 3

工程に分解して「任せられる部分」を切り出す

社長以外がやれる仕事として挙がったものを、さらに工程に分解します。たとえば「SNS投稿」なら、写真を撮る・文章を考える・投稿する・コメントに返信する、と分解できます。このうち「投稿する」「コメントに返信する」だけでも任せられれば、オーナーが使う時間はぐっと減ります。

美容室なら、受付・予約管理・シャンプー・仕上げの確認・次回予約の案内……施術以外にも任せられる工程は必ずあります。

⚠️ よくある失敗:工程に分解せず「一連の流れ」のまま渡そうとして、スタッフが動けずに結局戻ってくる。渡す前に手順書レベルまで落とし込むことが、うまくいく鍵です。

振り分け STEP 4

「止める・任せる・外注する」の三択で処理する

切り出した工程は、この3択で処理します。①やらなくてもよいなら止める、②スタッフに渡せるなら任せる、③社外のリソースを使えるなら外注する。この判断を一つひとつ下していきます。

「止める」が一番効果が大きいのに、一番やりにくいのが現実です。「やってきたことをやめる」は怖い。でも成果に直結していない行動をやめることが、時間捻出の最短ルートです。

⚠️ よくある失敗:「止める」を選ばずに「任せる」だけに頼ると、オーナーの仕事量はたいして変わらない。まずやめることから始めましょう。

振り分け STEP 5

捻出した時間を「社長の仕事」に充てる

時間ができたら、その時間を使って何をするか決めます。新しいメニューや企画を考える、客単価アップの仕組みをつくる、スタッフの育成に使う。これを決めておかないと、空いた時間がまた別の雑務で埋まります。

捻出した時間の「使い道」を先に決めてしまうこと。これが振り分けを「やって終わり」にしない唯一の方法です。

⚠️ よくある失敗:時間ができても「なんとなく忙しくなる」。手放した仕事の代わりに何をするかを決めていないと、忙しさの構造は変わりません。

✓ ここまでのポイント

  • 仕事を「塊」で見るのをやめ、工程に分解することで「任せられる部分」が見えてくる
  • 「止める・任せる・外注する」の三択で処理することが、時間捻出の基本
  • 捻出した時間の使い道を先に決めておかないと、また別の忙しさで埋まってしまう

振り分けが変えた、あるサロンオーナーの話

静岡を拠点に全国の店舗支援をしてきた中で、印象的な変化を見せてくれた方がいます。大人女性をターゲットにした美容サロンを経営する50代の女性オーナーです。

もともと施術のすべてを自分一人で担っていた方で、体力的な限界を感じながらも「自分がやらなければ」という意識が強く、休みも取れない状態が続いていました。「このままでは続かない」という危機感が、変化のきっかけでした。

まず1週間の行動を書き出し、施術の工程を細かく分解。「この部分はアシスタントでも対応できる」「この確認は自分がやらなくていい」と一つひとつ整理していく中で、施術時間を大幅に短縮することができました。結果として、手元に残る利益が増え、月商は260万円から340万円へ。何より、お客様から「ありがとう」と言っていただきながら単価が上がっていく手応えが、大きな喜びになったとおっしゃっていました。

「施術時間を短縮したことで、月商が260万円から340万円に増えました。感謝されながら単価が上がっていく実感が、こんなに嬉しいとは思っていませんでした。」

大人女性向けサロン オーナー(女性・50代)

この方が最初に変えたのは、施術のスキルでも設備でもありません。「自分がやること」と「任せること」の境界線を引いたこと。それだけで現実が変わりました。

振り分けは「弱さ」ではなく「経営の技術」です

「人に任せると品質が下がる」「自分がやらないと不安」——この感覚は、決して間違いではありません。でも、それを理由に何年も抱え込み続けることは、経営者としての成長を止めることでもあります。

仕事を振り分けることは、手を抜くことでも逃げることでもない。儲かるアイデアと儲かる仕組みをつくることに集中するための、経営者にとって最も大切な仕事です。

❌ よくあるパターン:「全部自分でやる」を続ける

  • オーナーが現場に張り付いたまま、経営の視点がなくなる
  • 疲弊が続き、新しいアイデアが生まれる余白がなくなる
  • スタッフが育たず、いつまでも属人依存が続く

✅ 推奨アプローチ:工程分解→振り分け→社長業に集中

  • 任せる仕組みができることで、スタッフの自主性が育ちやすくなる
  • オーナーが経営に使う時間が生まれ、売上・利益の改善策を考えられる
  • 休んでも回る店になり、体力・精神的な余裕が戻ってくる

「私自身、役所を辞めて独立し、開業2年半で全財産を失った経験があります。その後に気づいたのは『今の現実は100%自分が作り出している』ということ。任せられないのも、時間がないのも、自分の認識と行動の結果です。だからこそ、変えられる。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所 主宰)

まとめ|振り分けから始まる、時間を取り戻す経営

仕事の振り分け方は、難しい理論ではありません。1週間の行動を書き出し、工程に分解し、止める・任せる・外注するの三択で処理する。このステップを一度丁寧にやり切ることで、毎日の忙しさの構造は必ず変わります。

繁盛店研究所では、21年・全国500名以上の経営者支援の実績をもとに、飲食店・美容室オーナーが自分の時間を取り戻し、売上も伸ばせる経営の仕組みづくりをサポートしています。

今の状態を変えたいと思っているなら、まず動いてみてください。変わった人たちは全員、「行動した人」です。

振り分けの具体的な手順や、時間を捻出してから何をするかまでを一気通貫で学びたい方は、動画講座をのぞいてみてください。未来デザインマップや行動整理のワークも収録しています。

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