1週間行動分析シートの作成と活用方法
はじめに:あなたの168時間は今、何に使われているのか?
「時間がない、時間がない」が口癖になっていませんか?でも実際に、あなたの1週間168時間が何に使われているかを正確に把握していますか?
多くの経営者は「忙しい」と言いながら、実際には時間の使い方を客観視できていません。その結果、重要でない作業に膨大な時間を割き、本当に重要な「売上アップ」「利益向上」の時間を確保できずにいるのです。
今日は、あなたの時間の使い方を完全に「見える化」し、劇的に改善する「1週間行動分析シート」の作成と活用方法をお伝えします。
なぜ1週間の記録が必要なのか?
1日だけでは見えないパターン
月曜日と土曜日、平日と休日では行動パターンが全く違います。1日だけの記録では、本当の時間の使い方は見えてきません。
無意識の行動を意識化する
私たちは1日の70%を無意識で行動しています。スマホをチェックする、何となくネットを見る、同じ作業を繰り返す…これらの「無意識時間」を意識化することが改善の第一歩です。
現実と認識のギャップを発見する
「販促活動に時間を使っている」と思っていても、実際に記録してみると週に30分しかやっていなかった、というケースは非常に多いのです。
1週間行動分析シートの作成方法
基本フォーマット
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
-----|----|----|----|----|----|----|----|
5:00 | | | | | | | |
5:30 | | | | | | | |
6:00 | | | | | | | |
6:30 | | | | | | | |
... | | | | | | | |
24:00| | | | | | | |
記録の詳細度
粗すぎる記録例:
- 9:00-18:00「店舗業務」
適切な記録例:
- 9:00-9:30「開店準備・清掃」
- 9:30-11:00「仕込み作業」
- 11:00-11:15「メールチェック・返信」
- 11:15-12:00「接客・レジ対応」
30分単位で、具体的に何をしていたかを記録します。
記録すべき主要カテゴリ
- 売上直結活動:接客、調理、施術など
- 集客活動:チラシ作成、POP作成、SNS更新など
- 管理業務:売上管理、スタッフ管理、仕入れなど
- 学習・企画:セミナー参加、新メニュー考案など
- 移動・待機:通勤、待ち時間など
- プライベート:食事、休憩、家族時間など
- その他:スマホチェック、ネット閲覧など
効果的な記録のコツ
リアルタイム記録のススメ
夜にまとめて記録しようとすると、必ず「何をしていたか忘れる」事態が発生します。30分ごとにスマホのメモ機能で記録するか、小さなノートを持ち歩きましょう。
「移動時間」も見逃すな
仕入れ先への往復30分、銀行への移動20分…これらの細切れ時間を合計すると、週に数時間になることがあります。
「ながら作業」の記録
テレビを見ながらの作業、音楽を聴きながらの清掃など、「ながら作業」も正確に記録してください。集中度が落ちている可能性があります。
分析の5つの視点
視点1:目標達成に直結する時間の割合
**質問:**あなたの主要目標(売上アップ、利益向上)に直結する活動は、週168時間のうち何時間ありましたか?
**目安:**最低でも週20時間(1日約3時間)は確保したいところです。
視点2:無駄時間の特定
典型的な無駄時間:
- 何となくのスマホチェック
- 目的のないネット閲覧
- 長すぎる休憩時間
- 非効率な移動や作業
視点3:細切れ時間の分析
10分、15分の細切れ時間がどの程度あるかを分析します。これらを集約すれば、まとまった作業時間を作れます。
視点4:繰り返し作業の効率性
同じような作業を何度も繰り返していないかチェックします。集約化や自動化の余地があるかもしれません。
視点5:エネルギーレベルとの相関
あなたが最もエネルギッシュな時間帯(多くの人は午前中)に、最も重要な作業をしているかを確認します。
実際の改善事例
事例1:美容室オーナーAさん
記録結果:
- 技術・接客:週45時間
- 事務作業:週15時間
- 清掃・雑務:週12時間
- 学習・企画:週2時間←ここが問題!
改善策:
- 清掃の一部をスタッフに移譲(-8時間)
- 事務作業の効率化(-5時間)
- 創出した13時間を学習・企画時間に転換
結果: 3ヶ月後に新メニュー開発と単価アップを実現し、月商が20%向上。
事例2:居酒屋オーナーBさん
記録結果:
- スマホ・ネット:週8時間(!)
- 無目的な移動:週6時間
- 仕込み作業:週30時間
- 販促活動:週1時間←ここが問題!
改善策:
- スマホチェック時間を朝・昼・夕の3回に限定(-6時間)
- 仕入れ・移動の効率化(-4時間)
- 創出した10時間を販促活動に投入
結果: SNS発信とチラシ配布により新規客が30%増加。
継続的改善のためのPDCAサイクル
Plan(計画):改善ポイントの設定
分析結果から改善ポイントを3つに絞り込みます。
- 削減すべき無駄時間
- 効率化すべき作業
- 増やすべき重要活動
Do(実行):1週間の改善実験
改善策を1週間実行し、再び行動記録を取ります。
Check(評価):ビフォーアフターの比較
改善前後で時間配分がどう変わったかを数値で確認します。
Act(改善):さらなる最適化
うまくいった改善は継続し、効果が薄かったものは別の方法を試します。
デジタルツールの活用
おすすめアプリ
- Toggl:作業時間を自動記録
- RescueTime:PC・スマホの使用時間を分析
- Google Calendar:時間ブロッキングで計画的に行動
アナログ vs デジタル
アナログ(紙・ペン)の方が記録しやすい人は、無理にデジタル化する必要はありません。大切なのは継続することです。
よくある失敗パターンと対策
失敗パターン1:完璧主義
「5分も漏らさず記録しなければ」と完璧を求めすぎて挫折するパターン。
**対策:**80%の精度でOKとする。
失敗パターン2:記録だけで満足
記録を取っただけで改善した気になるパターン。
**対策:**必ず改善アクションを設定する。
失敗パターン3:一回きりで終了
1週間記録して終わりにするパターン。
**対策:**月1回は定期的に記録・分析する。
今日からのアクションプラン
今日:記録フォーマットの準備
- エクセルまたは手書きで記録シートを作成
- スマホにメモアプリを設定
明日から1週間:完全記録週間
- 30分単位での行動記録を開始
- リアルタイムでの記録を心がける
来週:分析と改善計画
- 記録データの分析
- 改善ポイント3つの設定
- 次週からの改善実験開始
まとめ:時間の主導権を取り戻そう
1週間行動分析シートは、あなたの時間の使い方を客観視する強力なツールです。多くの経営者が「こんなに無駄な時間があったのか」と驚きます。
でも落ち込む必要はありません。現状を把握できれば、改善は可能です。そして時間の使い方が変われば、確実に結果も変わります。
あなたの168時間を、本当に価値ある活動に使えるように、今日から記録を始めてみてください。
次回は「行動改善PDCAサイクルの回し方」について詳しく解説します。記録したデータをどのように分析し、継続的な改善につなげるかの具体的手法をお伝えします。
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