突発的業務に振り回されない仕組み作り
はじめに:なぜあなたは毎日「予定外の仕事」に追われるのか?
「今日こそはチラシを作ろう」「POPを5枚書き上げよう」と朝に決めたのに、夕方になってみると結局何もできていない…そんな経験はありませんか?
その原因は「突発的業務」にあります。お客様からのクレーム対応、スタッフからの質問攻撃、急な機材トラブル、予想外の来店ラッシュ…これらに振り回されている限り、あなたは永遠に「火消し人生」から抜け出せません。
「突発的業務」の正体を見抜く
まずは「突発リスト」を作ってみよう
過去1ヶ月間で起こった突発的な業務を全て書き出してください。多くの経営者は「そんなにないよ」と言いますが、実際に書き出すと驚くほど多いことに気づくでしょう。
よくある突発業務の例:
- 「店長、これどうしたらいいですか?」の質問攻撃
- 「お客様がクレームを言っています」の緊急呼び出し
- 「機械が故障しました」のトラブル対応
- 「材料が足りません」の急な仕入れ
- 「今日休みます」の急な欠勤対応
「慢性化」している突発業務に気づく
実は最も危険なのは、突発業務が慢性化して「それが普通」だと思ってしまうことです。
毎日のようにスタッフから質問されているのに、「うちはいつもこうなんです」と諦めていませんか?それは異常事態なのです。
突発業務が生まれる3つの根本原因
原因1:判断基準が共有されていない
スタッフが何かあるたびに「店長、どうしましょう?」と聞いてくるのは、判断基準が明確でないからです。
改善策: 「こういう場合はこうする」という判断基準を事前に決めて共有する。
原因2:マニュアルが整備されていない
同じトラブルが何度も起こるのは、対処法がマニュアル化されていないからです。
改善策: 一度起こったトラブルは必ずマニュアル化し、次回以降はスタッフが対応できるようにする。
原因3:予防策が講じられていない
機材トラブルや材料切れなどは、多くの場合予防可能です。
改善策: 定期点検や在庫管理システムを導入する。
突発業務を激減させる5つの仕組み
仕組み1:「FAQ(よくある質問)」リストの作成
過去の質問を全て記録し、回答集を作成します。新しいスタッフには必ずこれを渡し、「まずはここを見てから質問して」と伝えます。
仕組み2:「判断基準表」の策定
状況 | 判断基準 | 対応者 |
---|---|---|
お客様のクレーム | 金額1万円未満 | スタッフ対応 |
お客様のクレーム | 金額1万円以上 | 店長対応 |
機材の不調 | 軽微なもの | マニュアル参照で対応 |
機材の不調 | 重大なもの | 業者連絡 |
仕組み3:「定期点検カレンダー」の運用
機材や設備の点検日を事前に決めて、カレンダーに記入。突然の故障を防ぎます。
仕組み4:「在庫アラートシステム」の導入
材料や消耗品の最低在庫数を決めて、それを下回ったら自動的に発注するシステムを作ります。
仕組み5:「緊急時対応マニュアル」の整備
火災、停電、システムダウンなど、本当の緊急事態への対応を事前に決めておきます。
「社長不在時間」を作って仕組みを強化する
まずは1時間からスタート
いきなり半日店を空けるのは不安でしょう。まずは1時間、お店を離れてみてください。案外、何も問題は起こりません。
問題が起こったら「改善のチャンス」
もし問題が起こったら、「やっぱり自分がいないとダメだ」ではなく、「これを仕組み化するチャンスだ」と考えてください。
段階的に不在時間を延ばす
1時間→2時間→半日→1日と、段階的に不在時間を延ばしていきます。
実践事例:居酒屋チェーン店の改善例
改善前:
- 毎日平均15回の「店長コール」
- 月末の売上集計作業で深夜まで残業
- 休日も電話で呼び出される
改善後:
- 判断基準表とマニュアル整備で「店長コール」が3回に激減
- 売上集計の自動化で作業時間が80%短縮
- 緊急時以外の電話禁止ルールで休日確保
結果: 月間40時間の時間創出に成功し、新店舗出店の準備に集中できるように。
今日からできるアクションプラン
ステップ1:突発業務リストの作成(今週中)
この1週間で起こった突発業務を全て記録する
ステップ2:FAQ作成開始(来週から)
よくある質問トップ10の回答集を作成
ステップ3:判断基準表の策定(今月中)
スタッフが自己判断できる基準を明文化
ステップ4:1時間不在実験(来月から)
週1回、1時間お店を離れる練習を開始
まとめ:「火消し経営」から「予防経営」へ
突発業務に振り回される経営は、「火消し経営」です。これを「予防経営」に変えることで、あなたは本来やるべき「儲かるアイデアを考える時間」「儲かる仕組みを作る時間」を確保できます。
仕組み作りには最初は時間がかかりますが、一度作ってしまえば永続的に時間を生み出してくれます。今日から少しずつでも始めてみてください。
あなたの人生の主導権を、突発業務から取り戻しましょう。
次回は「1週間行動分析シートの作成と活用方法」について詳しく解説します。あなたの24時間×7日間を完全に見える化し、時間の使い方を劇的に改善する方法をお伝えします。
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