現状の行動が今の結果を生んでいる事実確認法
なぜその売上なのか?答えは1週間の行動記録にある
ネイルサロンのPオーナーは、毎月の売上を見てため息をつきました。
「今月も目標の80万円に届かず、65万円か…」
しかし、1週間の行動記録を分析してみると、65万円という売上になる理由が手に取るようにわかったのです。
65万円の売上は、65万円分の行動しかしていない結果でした。
逆に言えば、80万円の売上を得るには、80万円分の行動をする必要があったのです。
「結果」と「行動」の因果関係を理解する
売上の方程式
多くの経営者は売上を「運」や「景気」のせいにしがちです。
しかし、売上には明確な方程式があります。
売上 = 客数 × 客単価 客数 = 新規客 + リピート客
そして、これらの数字は全て「あなたの行動」によって決まります。
ネイルサロンPオーナーの分析例
目標:月売上80万円
- 必要客数:80人(客単価1万円の場合)
- 営業日:25日
- 1日平均:3.2人
現実:月売上65万円
- 実際の客数:65人
- 1日平均:2.6人
なぜ65人しか来なかったのか?
1週間の行動記録を分析すると…
新規集客活動
- Instagram投稿:週1回(目標は毎日)
- ブログ更新:0回(目標は週3回)
- チラシ配布:0枚(目標は週100枚)
- 口コミ依頼:0件(目標は週5件)
リピート促進活動
- アフターフォロー連絡:20%(目標100%)
- 次回予約の提案:30%(目標80%)
- 会員カード配布:50%(目標100%)
結論:65万円分の行動しかしていないから、65万円の売上だった
行動と結果の因果関係分析法
ステップ1:結果を数字で把握する
まず、現在の結果を正確に数字で把握します。
把握すべき数字
- 月間売上
- 月間客数
- 客単価
- 新規客数
- リピート率
- 稼働率(席の利用効率)
美容室の例
- 月間売上:120万円
- 月間客数:200人
- 客単価:6,000円
- 新規客数:30人
- リピート率:60%
- 稼働率:70%
ステップ2:目標との差を明確にする
次に、目標との差を具体的に数字で出します。
目標との差(美容室の例)
- 目標売上:150万円 → 差額:30万円
- 目標客数:250人 → 差:50人
- 目標新規客数:50人 → 差:20人
- 目標リピート率:80% → 差:20%
ステップ3:差を生む行動の不足を特定する
1週間の行動記録から、目標に足りない行動を特定します。
新規客20人不足の原因
- SNS投稿:実際2回/週 vs 目標7回/週(5回不足)
- 紹介依頼:実際0件 vs 目標10件/週(10件不足)
- 地域イベント参加:実際0回 vs 目標月1回(参加なし)
リピート率20%不足の原因
- アフターメール:実際30% vs 目標90%(60%不足)
- 次回予約促進:実際40% vs 目標80%(40%不足)
- 会員特典案内:実際0% vs 目標100%(100%不足)
ステップ4:行動不足の根本原因を探る
なぜその行動ができていないのか、根本原因を探ります。
よくある根本原因
1. 時間不足 「やろうと思っているけど時間がない」 → 実際は優先順位の問題
2. スキル不足 「Instagram投稿の仕方がわからない」 → 学習時間を確保していない
3. 仕組み不足 「アフターメールを送り忘れる」 → チェックリストやリマインダーがない
4. モチベーション不足 「効果が見えないからやる気が出ない」 → 小さな成果を測定していない
実際の分析事例:居酒屋Qマスターの場合
現状の結果
- 月間売上:200万円
- 月間客数:400人
- 客単価:5,000円
- 平日の客数:8人/日
- 週末の客数:25人/日
目標との差
- 目標売上:300万円(100万円不足)
- 必要な追加客数:200人/月
- 平日に必要な追加客数:10人/日
1週間の行動記録分析
平日集客に向けた行動
- 平日限定メニュー開発:0時間
- 近隣企業への営業:0時間
- 宴会プラン作成:0時間
- ランチ営業検討:0時間
実際に何をしていたか
- 仕込み時間:1日4時間(効率化可能)
- テレビ視聴:1日2時間
- スマホ時間:1日1時間
- 雑談時間:1日1時間
結論 平日の集客活動に1分も使っていないのに、平日の客数不足を嘆いていた。
改善後の行動配分
削減した時間
- 仕込み効率化:4時間→2時間(2時間短縮)
- テレビ視聴:2時間→0時間(2時間短縮)
- スマホ時間:1時間→30分(30分短縮)
新たに確保した時間(4時間30分)の使い道
- 平日メニュー開発:1時間
- 企業営業活動:2時間
- SNS・販促活動:1時間
- 休憩時間:30分
結果(3ヶ月後)
- 平日客数:8人→16人(倍増)
- 月間売上:200万円→280万円
- 目標まであと20万円に迫る
「行動不足」を「具体的行動」に変換する方法
変換例1:「新規客が足りない」
曖昧な認識 「新規客をもっと増やさないと」
具体的行動に変換
- Instagram投稿:毎日18時に1投稿
- Google口コミ依頼:来店客の80%に依頼
- 紹介カード配布:月50枚
- 地域イベント参加:月1回
変換例2:「リピート率が低い」
曖昧な認識 「お客様にもっと来てもらいたい」
具体的行動に変換
- アフターメール:施術から3日後に送信
- 誕生日メール:誕生月の1日に送信
- 次回予約促進:会計時に必ず提案
- 会員特典説明:初回来店時に必ず案内
変換例3:「客単価が低い」
曖昧な認識 「もっと単価を上げたい」
具体的行動に変換
- アップセル提案:施術中に必ず1回
- セットメニュー案内:メニュー表の最上段に配置
- 高単価メニューPOP:5枚作成して店内設置
- スタッフ教育:週1回の単価向上研修
「言い訳」を「改善行動」に変える思考法
よくある言い訳と改善行動
言い訳1:「忙しくて時間がない」 改善行動:時間の使い方を見直し、優先順位を明確にする
言い訳2:「お客さんが少ない地域だから」 改善行動:近隣地域への集客範囲拡大、出張サービス検討
言い訳3:「競合が多すぎる」 改善行動:差別化ポイントの明確化、独自サービス開発
言い訳4:「景気が悪いから」 改善行動:不況に強いメニュー開発、コスパの良いサービス提供
改善効果を測定する「行動→結果」トラッキング
トラッキングシートの作成
週次測定項目
- 新規集客行動回数
- リピート促進行動回数
- 実際の新規客数
- 実際のリピート客数
- 売上金額
月次効果測定
- 行動量の変化
- 結果の変化
- 行動と結果の相関関係
効果測定の例
美容室Rオーナーの3ヶ月追跡
1ヶ月目
- Instagram投稿:21回
- 新規客数:12人
- 投稿1回あたり新規客:0.57人
2ヶ月目
- Instagram投稿:28回
- 新規客数:18人
- 投稿1回あたり新規客:0.64人
3ヶ月目
- Instagram投稿:30回
- 新規客数:24人
- 投稿1回あたり新規客:0.8人
結論 継続することで投稿の質が向上し、1投稿あたりの効果が40%向上した。
今すぐできる「因果関係」確認チェック
5分でできる現状確認
質問1:目標売上を達成するために必要な客数は? 目標売上 ÷ 客単価 = 必要客数
質問2:その客数を得るために、今月何回集客活動をしましたか? 具体的な回数を数えてください
質問3:目標達成のために足りない行動は何ですか? 必要な行動量 – 実際の行動量 = 不足行動量
質問4:その不足分を埋めるには、何時間必要ですか? 不足行動量 × 1回あたり所要時間 = 必要時間
質問5:その時間は、現在の何の時間を削れば確保できますか? 1週間の行動記録から無駄な時間を特定
まとめ:現実を受け入れることから改善は始まる
多くの経営者は、うまくいかない理由を外部環境に求めがちです。
しかし、本当の原因は「自分の行動」にあることがほとんどです。
現状の行動 = 現状の結果
この事実を受け入れることができれば:
- 何を変えれば結果が変わるかが明確になる
- 具体的な改善行動が決まる
- 言い訳をやめて行動に集中できる
- 小さな改善の積み重ねで大きな成果が得られる
あなたも今日から、自分の行動と結果の因果関係を客観的に分析してみませんか?
きっと、今まで見えなかった「成果を出すための具体的な道筋」が見えてくるはずです。
次回予告 次の記事では「目標に直結しない時間の発見と改善策」について解説します。1週間の行動記録から、目標達成に貢献していない時間を特定し、それを有効活用する具体的な方法をお伝えします。
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