先日、開業3年の美容室オーナー(30代・女性)からこんな相談をいただきました。
「ジョイマンさん、毎日やることがありすぎて、何から手をつければいいか本当に分からないんです。SNSの更新も、在庫管理も、スタッフとの面談も、新規集客の仕組みも……全部大事な気がして、全部中途半端になってしまっている感じがして」
この感覚、すごく正直に言葉にしてくれたなと思いました。実はこれ、経営歴に関係なく、飲食店・美容室のオーナーのほとんどが一度は通る場所なんです。
問題は「やることが多い」ことではありません。すべてのタスクを同じ重さで抱えて、やめる判断と優先順位づけができていないことが本質的な原因です。
この記事では、そのオーナーに実際にお伝えした考え方と手順をベースに、優先順位の決め方を初めての方にも分かりやすく解説します。
📋 この記事でわかること
- なぜ「やることリスト」がいくら増えても解決しないのか、その本当の理由
- 社長が集中すべき仕事と、止める・任せる・外注すべき仕事の見分け方
- 優先順位を決める具体的な3ステップの手順
- 「迷わず動ける状態」に切り替えるための思考の転換ポイント
こんな方におすすめ
- ✅ 毎日忙しく動いているのに、何も進んでいない感覚がある方
- ✅ ToDoリストが増える一方で、消化できていないタスクが溜まっている方
- ✅ 「全部大事」に見えて、何を後回しにしていいか判断できない方
- ✅ 売上を上げたいのに、目先の作業に追われて手が打てない方
- ✅ 経営者として「自分がやるべき仕事」の輪郭をはっきりさせたい方

「全部大事」という感覚が、一番危ない
冒頭のオーナーの話に戻ります。彼女のタスクリストを一緒に見ていったとき、そこには30項目近くが並んでいました。SNSの投稿、返信対応、在庫の発注、スタッフのシフト調整、売上の入力、ホームページの修正、チラシのデザイン……。
どれも「やらないとまずい」と感じているから書き出している。その気持ちは分かります。でも、これを全部同じ優先度で抱えていたら、脳みそがフル回転しているわりに何も前に進まないんですよね。
経営の現場でよく起きる「忙しいのに成果が出ない」という状態の正体は、ほぼここにあります。
❌ よくあるパターン:全タスクを均等に抱える
- 「全部大事」という思い込みで、何も捨てられない
- 重要度・緊急度の区別がなく、目の前のことから手をつける
- 結果として、売上に直結する仕事が後回しになり続ける
✅ 推奨アプローチ:「社長の仕事」だけに集中する
- 儲かるアイデアを考え、儲かる仕組みをつくることが社長の本来の仕事
- それ以外は、止める・任せる・外注するの3択で判断する
- 自分の時間とエネルギーを、利益に直結する行動だけに投下できる
「忙しさは充実の証拠ではありません。忙しいのに手元にお金が残らないなら、それは時間の使い先を間違えているサインです。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所 代表)
「全部大事に見えて、何から手をつければいいか分からない」——その迷いの根っこは、タスクの量ではなく判断の軸がないことにあります。繁盛店ポータルでは、AIと対話しながら自店のビジョンと優先すべき行動を5ステップで整理できる「増益繁盛プランナー」を無料で使えます。メールアドレスだけで登録でき、すぐに使い始められます。
優先順位を決める前に知っておきたい「社長の仕事」の定義
優先順位を決めようとするとき、多くの方が「どのタスクを先にやるか」という順番の問題だと思っています。でも実は、その前に決めておくべきことがあります。それが「社長の仕事とは何か」の定義です。
私がクライアントの方々にいつもお伝えしているのは、シンプルにこれです。
「儲かるアイデアと儲かる仕組みをつくるのが社長の仕事」
逆に言えば、それ以外の作業は——どれだけ慣れていても、自分がやった方が早くても——本来は社長がやる必要のない仕事です。
美容室オーナーであれば、施術の一部や在庫の棚卸し、SNSの投稿作業。飲食店オーナーであれば、仕込みの一部や電話対応、予約台帳の管理。これらは「社長じゃないとできないか?」という問いに、実はほとんどがNOと答えられる仕事です。
スタッフに仕事を任せる完全ガイドでも詳しく触れていますが、「任せる」という判断は、信頼の問題ではなく構造の問題です。「任せられる形」になっていないから任せられないだけで、仕組みさえ作れば手放せる仕事は山ほどあります。
✓ ここまでのポイント
- 「全部大事」という感覚が、忙しいのに成果が出ない状態の根本原因
- 社長の仕事は「儲かるアイデアと仕組みづくり」に絞られる。それ以外は止める・任せる・外注する
- 「任せられない」のは能力の問題ではなく、仕組みができていないだけ
「社長の仕事に集中し、それ以外は止める・任せる・外注する」——この考え方は分かっても、実際に「何をやめるか」「どう時間を捻出するか」の手順が分からないと動けません。動画講座「行動収益化法」では、1週間の行動分析で利益に直結しない行動を特定し、行動の6つの選択肢(なくす・任せる・外注する・変える・速める・集約する)で整理する具体的な手順を収録しています。有料の動画教材で、申し込み後すぐに視聴できます。
今日から使える、優先順位の決め方3ステップ
定義が決まったら、次は実際に動く手順です。難しく考えなくて大丈夫。紙1枚とペンがあれば今日からできます。
優先順位の整理 STEP 1
今週やろうとしている「全タスク」を書き出す
頭の中にあるものを全部紙に出します。大きいこと・小さいこと関係なく、思いついたものをすべて書く。この「頭の外に出す」という作業が、最初のポイントです。頭の中で抱えている限り、すべてが「同じ重さ」に感じられます。
⚠️ よくある失敗:「後で考えよう」と思って書き出しを省略してしまい、結局また頭の中でぐるぐる悩み続けてしまう。まず全部出す、が鉄則です。
優先順位の整理 STEP 2
「これは社長じゃないとできないか?」で1つずつ判定する
書き出したリストの各タスクに、正直に問いかけます。「これ、自分じゃないとできないか?」と。YESなら残す。NOなら、止める・任せる・外注するの3択に振り分ける。
部下に仕事を振る手順を参考にしながら、「任せる」の欄に入れたタスクは、誰に・どうやって渡すかをセットで書いておくと実行に移しやすくなります。
⚠️ よくある失敗:「自分がやった方が早いから」という理由で、本来任せられる仕事を残してしまう。「今は早い」かもしれませんが、それを続けることで社長の時間がどんどん奪われていきます。
優先順位の整理 STEP 3
残ったタスクの中で「売上・利益に直結するか」で順番を決める
STEP 2を経て残ったタスクが、本当に社長がやるべき仕事です。その中で、今週の売上・利益に一番直結するものを1番に置きます。2番、3番と続けて並べたら、優先順位のある行動リストの完成です。
仕事の優先順位はどうつければいい?でも触れていますが、「緊急かどうか」ではなく「利益に直結するかどうか」を軸にすることが、経営者としての時間の使い方の基本です。
⚠️ よくある失敗:「緊急なもの」を優先順位1番にしてしまい、「重要だが急ぎではないもの」——つまり仕組みづくりや販促の設計——が永遠に後回しになる。
「やることを増やす前に、やめることを決める。それだけで経営の速度が3倍変わります。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所 代表)
実際にこの方法で変わったオーナーの話
冒頭でご紹介した開業3年の美容室オーナー(30代・女性)は、このSTEPを実践してから数ヶ月後に、こんな変化を報告してくれました。
「優先順位が明確になって、迷いが本当に減りました。以前は『何が正解か分からない』状態が続いていたんですが、今は動くべきことが見えている感じがします。月商300万円の壁も突破できました」
開業3年サロン(女性・30代)
この方が変えたのは、施術の腕でも立地でもありません。「何に時間を使うか」の判断基準です。
「何が正解か分からない」という状態は、実は優先順位の軸が定まっていないことから生まれます。軸が決まれば、「これをやる」「これはやらない」の判断が自分でできるようになる。迷いが減る、というのはそういうことです。
私自身も、役所を辞めて独立してから破産寸前まで追い詰められた時期に、最終的にたどり着いたのが「今の現実は100%自分が作り出している」という考え方でした。時間の使い先を根本から変えない限り、結果は変わらない——そのことに気づいてから、経営の景色が変わっていきました。
繁盛店研究所では21年にわたる支援実績の中で、飲食店・美容室の経営者が「やることが多すぎる状態」から抜け出すための仕組みをともに作ってきました。はじめての経営の仕組み化の考え方も、ぜひ参考にしてみてください。
優先順位が決まらない本当の理由と、その解決策
最後に、少し深い話をします。
「優先順位が決められない」という状態には、知識や手順の問題だけでなく、「どこへ向かっているか」が自分の中で決まっていないことが原因になっているケースが多いです。
目的地が決まっていない旅では、どの道を選ぶかが永遠に決まらない。それと同じで、「3年後にどんな店にしたいか」「自分はどんな経営者でありたいか」というビジョンが曖昧なままだと、目の前のタスクの優先順位も決め切れないんです。
「未来から今を見る」という視点を持つことが、優先順位づけを根本から変えます。来年・再来年の自分の店の状態を先に描いて、そこから逆算して「今週やるべきこと」を決める。すると、「これはその未来に近づく行動か?」という問いで、すべてのタスクに判断ができるようになります。
チェックポイント1:今週のタスクは「未来の自分の店」に近づく行動か
毎週の行動が、3年後・5年後に自分が目指す姿に向かっているかどうかを確認する習慣が、優先順位の精度を上げます。
✅ ポイント:「忙しい=よいこと」ではなく、「望む未来に近づいている=よい時間の使い方」と捉え直してみてください。
チェックポイント2:「社長がやらなくていい仕事」が手放せているか
STEP 2で「任せる」「外注する」と判定したタスクが、実際に手放せているかを定期的に確認します。
✅ ポイント:手放せていない場合は、「任せる仕組み(マニュアル・チェックシート)」が整っていないことが多いです。仕事をマニュアル化する手順を参考に、作業を言語化するところから始めてみてください。
まとめ:「迷わず動ける状態」は作れる
仕事の優先順位を決める、というのは結局、「何をやるか」ではなく「何をやらないか」を決めることです。
やることをどれだけ整理しても、「社長の仕事」の定義が曖昧なままでは、また新しいタスクに追われ続けます。でも、「儲かるアイデアと仕組みづくりに集中する」という軸が決まれば、それ以外のすべてに「止める・任せる・外注する」の判断ができるようになる。
まずは今日、手元にある紙に「今週やろうとしていること全部」を書き出すことから始めてください。それが最初の一歩です。
「何が正解か分からない」状態は、情報が足りないのではなく、判断の軸が定まっていないことから生まれます。軸を手に入れれば、迷いは減ります。
「優先順位が明確になり、迷いが減った」——開業3年サロンのオーナーに起きたこの変化は、未来から逆算して今やるべき行動だけに絞り込んだことで生まれました。動画講座「行動収益化法」では、未来デザインマップと曼荼羅シートを使って望む未来を描き、利益に直結しない行動を特定してやめる判断をするまでの一連の手順を、全8本・約6時間17分で学べます。一括払いのほか分割払いも選べます。